IFストーリー〜もしも過去に残っていたら〜   作:幼馴染み最強伝説

18 / 59
真剣で将輝に恋しなさい

臨海学校三日目。

 

三日目とは言っても、殆ど特に何もせず、持ってきた荷物などを纏めて片付けをする事が殆どだ。

 

六年後の臨海学校は色々と荷物も多かったのだが、まだISの開発が其処まで進んでいないということもあり、あまり多くはない。そしてここにはチート勢が四人いる。普段は働こうとしない一人は夜の出来事がよほど嬉しかったのか、もう働くことは未来永劫ないのではないかと思うくらいの働きっぷりだった。その反動か今は爆睡中。綺麗な鼻ちょうちんを作ってるので、思わず写真を撮ってしまった。まあ別に良いか。

 

安定のバスの最前席に座って、窓の外を眺める。

 

今も六年後も殆ど変わっていない景色というのはなんとなく嬉しさを感じる。ここまで科学が発展しても自然を感じさせる場所が残っているというのは良いな。

 

「随分と達観した思考をしているのね。まるでお爺さんのようだわ」

 

「其処まで老けた覚えはない。ただ少し思う所があっただけだ」

 

「以前ここに来た事があるの?」

 

「ああ。少し前の事だが………って、ミハエか⁉︎」

 

「そうだけれど………誰と思っていたの?」

 

「てっきり千冬か静辺りかと……」

 

うっかり未来の事を口にしかけた。話し方も声も違うのに何故そう思ったのかというと、まるでミハエが俺の思考を読んだかのような発言をしたからだ。実際「達観した思考をしている」と言ったし。うーむ、また俺の安全地帯が減ったような気がする。

 

「別に害するつもりはないわ。品のない事を考えていなければ……だけれど」

 

「頼むから思考読むのは止めてくれ。気が滅入る」

 

「そう。将輝君がそう言うのなら止めておくわ」

 

ミハエにしては思いの外、あっさりと止めてくれたな。ところで自分で言っておいてあれだが、俺の思考を読むのにオンオフがあるのか。それはそれで怖い。だって何時考えが読まれているか、わかったものではないし………っあれ?

 

「ミハエって俺の事名前で呼んでたか?」

 

「当たり前じゃない。酷い人ね、将輝君は」

 

そうだったっけ。うーん、そう言われると自信がない。ミハエが言うんだから、きっとそうなんだろう。

 

「隣、座っても良いかしら?」

 

「別に良いけど……急にどうした?」

 

「何でもないわ。ただ、そういう気分になっただけよ」

 

そう言って隣の席に座るミハエ。どういう風の吹き回しだろう。何時もなら自分からはあまり関わってはこないのに。また俺の命でも狙っているのだろうか?二年になってからは一度も無かったのは、作戦を練る為か?その割には殺気を感じないし、通路を挟んで反対側の席に座っている静がニヤニヤとしているのがすごく気になる。もしかしてまたあの四人が一枚噛んでいるのか。

 

「?急にそわそわして、どうかしたの?」

 

「何でもない。何時もよりミハエの態度が友好的だから驚いてるだけだ」

 

「私も驚いているわ。良いものね、自分の本心に気づくというのは」

 

「ようわからんが、悪くはないだろう」

 

吹っ切れたということか。何に対してかはわからないが、まあミハエが良かったのなら良いか。それにミハエ自身が気付いているかは知らないが、少し女の子っぽさを感じさせるようになった気がする。どの辺りが変わったかというと自然に微笑みを浮かべるようになった気がする。以前から他の女子には向けられていたが、俺には何時もの無表情だったからな。

 

「ところで学園に着いたら、話があるのだけれど」

 

「ここじゃ無理なのか?」

 

「ええ………流石にここで出来る話ではないわ」

 

「?そうか。なら学園に着いてからするか」

 

一体何の話なのか。ここで出来ないとなるとよほど重要なのか、この楽しそうな空気には似合わない重い話なのかの何方かなのだろう。どちらにしても其れ相応の覚悟を持っておくに越した事はないな。

 

そう決意し、俺は車に酔わない為に耳栓をして眠りについたのだが、その覚悟はあっさりとと砕ける事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局IS学園に着いたのは午後三時を過ぎた頃だった。

 

昼食はパーキングエリアで取り、所々で休憩を挟んだりしていたのでまあ妥当といえば妥当だが、隣にミハエがいたからか、時間が長く感じた。

 

別に彼女が横にいるのが嫌だというわけではないのだが、彼女が何もせずに近くにいるという状況はあまりなかったので、違和感を感じたというのが正しい。

 

おまけに横目でチラチラと此方を見るものの、俺が目を合わせに行けばよそを向く。何回かフェイントをかけながら目線を合わせにいったがダメだった。まあ、何を考えているのかはすぐにわかる事だ。

 

荷物も片付け終えて、既に話を通していたのか、生徒会室に行くのが遅れる事も千冬達は了承済みだった。もしかしたら五人で何か良からぬ事を考えているという可能性もなくは無いが、ミハエの性格上、なくは無いだけであるかと聞かれればほぼ無いと言っていい。

 

そんな訳で俺は今、ミハエと共に教室にいる。

 

何故教室なのかというと冷房が効いているからだ。いない間くらい切っておけよと言いたいが、こういう時はそれなりに有難かったりもする。

 

放課後の教室に美少女と二人きりとか普通の学園アニメなら告白フラグだが、普通じゃない学園アニメなら死亡フラグだ。まあ主人公はそういう時死なないので死亡フラグというより死にそうフラグって感じだけどな。因みに俺は主人公ではないのでフラグの方を折りに行く。

 

「それでミハエ。話っていうのは?」

 

そして折りにいくときに重要なのは相手に主導権を握らせない事だ。突然の事で反応が遅れると殺られるからな。いくらミハエに殺気がないとはいえ、それなりに警戒は必要だ。一応今までの事もあるし。

 

「あまり大きな声では言えないから、耳を貸して欲しいのだけれど………その前に」

 

ただでさえ、人気のない放課後の教室で其処まで警戒するとは何事だろうか。と思ったのも束の間、ミハエは突然IS学園の制服のボタンを外し始めた。貴方何しとるとですか⁉︎

 

「み、ミハエさん⁉︎なぜ脱ごうとしてるんでしょうか⁉︎」

 

「先程から将輝君はとても警戒しているようだから、無害である事を示すには私が貴方の命を狙ってはいない事を証明する他ないでしょう?ISスーツで下着というわけではないし、普段からISスーツの姿は見られているからあまり恥ずかしくはないわ」

 

そんなあからさまに警戒は………してたな。特にミハエは軍人でもあるし、そういう事には鋭いだろう。

 

「わかった!俺が悪かったから脱がなくていい!」

 

「そう。それなら話の方に移るわね」

 

服を脱ぐのを止めて、ミハエは俺の横に立つと背伸びをして、耳元に口を近づけてくる。

 

距離が近い為、女子特有の甘い香りが鼻腔を刺激するが今はミハエの話に集中する。そしてミハエの口から出てくる言葉に集中していた俺の耳に届いた言葉は予想の遥か彼方をいく言葉だった。

 

「貴方が好き、将輝君」

 

「は?」

 

俺は絶対にあり得ないと思っていた言葉に思わずミハエの方を向いてしまった。そして、頬にキスでもするつもりだったのか、ミハエの方に向いた俺の唇に彼女の唇が重なる。ラノベもびっくりな事故が起きた。

 

この二連ちゃんに俺の思考は完全にフリーズし、ミハエから顔を離すことが出来なかったが、ミハエもまさかそんな事になるとは思っていなかったらしく、フリーズし、俺も彼女も十秒ぐらい固まったのちに一旦離れた。

 

「ミハエ……さっきのは」

 

「…………本気よ。唇を重ねるのはもう少し先だと思っていたけれど、偶然とはいえ出来たのは僥倖だわ」

 

俺に背を向けたまま、ミハエはそう言う。もしかして泣いてる………なんて事はないよな?涙声じゃなかったし、偶然ああなったとはいえ、仕掛けてきたのはミハエの方だし、僥倖だとも言ったから。

 

しかし、わからん。何がどうなってるんだ?何故俺は彼女に告られているのか?あの四人の時は理由を説明されてからはある程度納得は出来た。楯無に関しても納得は出来る。真耶は何でかは知らないが理由があるだろう。だがミハエに関しては心当たりがない。最近こそ無くなったが、常に俺の命を狙ってきてる軍人少女的な感じだ。

 

「私ね。今まで誰かに告白される事はあったのだけど、自分からするのは初めてなの。だからこういう時何ていえば良いのかわからないから、取り敢えず貴方が納得できるだけの理由を言うわね」

 

「それは助かる」

 

「先ず貴方が私よりも圧倒的に強いから。私よりも弱いなんて論外だもの。次に人を惹きつけるカリスマ性。最後にどうしようもなくお人好しで馬鹿な所……かしら」

 

二つ目まで褒められてた感があるのに最後で全力で馬鹿にされたような気がする。状況を鑑みるに馬鹿にするつもりはないのかもしれないが、言い方的にあまり嬉しくはない。それにカリスマ性なんて無い気がする。強いのは否定しない。最近割と自分が人外の境地に達しているという自覚が芽生えてきた。

 

「将輝君。貴方は気がついていないと思うけれど、彼女達生徒会のメンバーが他者と繋がりを持っているというのは入学当初の彼女達から到底考えられない姿よ。特に篠ノ之博士に関しては業務連絡でさえ、織斑会長の仲介なしでは伝わる事はなかったわ。その彼女が貴方を副会長にする為に私達に演説紛いの事をした時はかなり衝撃的だったわ。こちらの言葉に耳を傾ける事のなかった彼女が自分から話かけてきたのよ。とは言っても、あの時の私は貴方が副会長になるのは否定的だったのだけれど。それが今では好きになって告白しているのだからわからないものね」

 

「毎度の事ながら、皆俺の事過大評価し過ぎてないか?」

 

「そういう貴方は何時も過小評価ばかりしているわね。貴方の事は好きだけれど、そういう所はあまり好きではないわ。謙虚は過ぎると鬱陶しいだけだもの。だから其処は直した方が良いわよ」

 

「……了解」

 

此方に背を向けているのに何故だか凄い圧力を感じた。このプレッシャー………出来る! 某伝説の超サイヤ人の声で「ええい!何故動かん!」とか言わなきゃいけないな。貴様も道づれだ!でバットエンドが見えちゃう感じ。

 

「話を戻すけれど、一年前と今の彼女達はまるで別人だわ………いえ、私達IS学園の人間全てが貴方によって変えられたと言った方が正しいかしら。今やこの学園は誰でもない藤本将輝君、貴方ありきで回っていると言っても過言ではないわ。また大袈裟な、とでも思っているのかもしれないけれど、事実は事実よ。そのカリスマ性とどうしようもなくお人好しな所がこの学園の人間全てを変えたのよ。反則的な組み合わせだわ。それに…………」

 

ミハエは身を翻して此方に向き直ると再び近づいてきて上目遣いにこちらを覗き込んでくる。

 

「何時も命を狙っていた私の身を案じるなんてお人好しも度が過ぎると馬鹿になるわ。もっとも私はそのお蔭でこうしていられる訳なのだからあまり言えないのだけれど。少なくとも、私………いえ、私達は貴方のそういう所、とても好きよ。強くて誰からも人気のある男性なんて条件としてはとても魅力的じゃない?」

 

「だから告白したと?」

 

「ええ。人気のあるなしはどちらでもいいわ。ただ、私はお人好しな貴方の事を好きになったわけなのだから。ここまで貴方を好きになった理由を話した訳だけど………告白の返事はしなくても良いわ」

 

「何で?」

 

「もう貰っているもの」

 

微笑みながらミハエは制服のポケットから携帯電話を取り出して操作すると何かを再生させる。其処から流れてきた音声は…………俺と束の声だった。どう考えても夜のやり取りのやつじゃねえか⁉︎しかも最後の方の責任とるって所の流れだ⁉︎

 

「実は昨日、篠ノ之博士から貴方の事を聞いたわ。未来人でISと同化しているのだそうね。凄く驚いたのだけれど納得いく点も多々あったわ。その上で貴方の事を好きでいられると聞かれたわ」

 

「何て返事したんだ?なんとなくわかるが」

 

「貴方の想像通り。当たり前と返しておいたわ。それで今朝起きてみれば携帯電話にこんな音声が入っていたの。告白するのは決めていたのだけれど、初めから返事を貰っている分、心強くはあったわ」

 

まさか束の奴が既にミハエの事をその枠組みの中に入れていたとは………何故にそうも狙いすましたかのようなタイミングなのか。昨日の時点でミハエが俺に好意を向けている事を束が知っていたという事は確実に『私達』の中にはミハエも入っている。これでは殆ど劣化版のリ○さん或いは○ッセー。尚、どちらもハーレム状態であるのが味噌なのだが、前者は一応普通の人間。後者はドラゴンパワーと人柄と全然違うので、○トさんの方が圧倒的に凄い。

 

「遅くても六年。早くても三年後には女にしてくれるのでしょう?それに貴方の理性が先に崩壊すれば………土下座して襲うのだったかしら?楽しみね」

 

「まさかミハエまで俺の平穏を奪うつもりじゃないよな……?」

 

「安心しなさい。彼女達程グラマラスでは無いけれど、貴方に不満は抱かせないから」

 

会話が噛み合ってない⁈ていうか、ミハエさん貴方かなり大胆な発言してらっしゃいますよ⁉︎今までの鉄壁の軍人少女ミハエ・リーリスさんは何処に行ってしまったのですか⁉︎

 

「これから末長くよろしくね、将輝君」

 

そう言ってぺこりと綺麗に一礼するミハエを見て、俺はもうハーレム王を目指すしかないのではないかと真剣に悩む事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。