IFストーリー〜もしも過去に残っていたら〜   作:幼馴染み最強伝説

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久しぶりの投稿ですっ!最近はハイスクールD×Dの方が描きたい部分に突入しているのでややそちらに傾倒気味に……。

とはいえ、今作を読んでくださっている方もいますので、頑張って書いていきます!

とここで軽く予告です。

次回から以前に感想欄に書かれていたことを実行したいと考えています。

ですので、宜しければアンケートに協力していただきたく存じます。面倒だと感じる方も是非ご協力お願いします!


藤本くんと七人の嫁

季節は流れ、三年の春を迎えた将輝はある事に頭を悩ませていた。

 

それは他でもない今年に入学してきた新入生のこと。

 

例によって、男を見下している輩が多い………事はなかった。

 

昨年起きた世界的事件である亡国企業壊滅。それを起こした中心的人物が将輝であると世界中の人間には知られていて、殆ど将輝の事を知らない人間はいなかった。

 

見下していないのであれば、恐れているのか?その問いに対する答えもノーであった。

 

IS学園はかなり特殊な学校ではあるものの、立ち位置的には専門学校。

 

昨年度から体験入学のようなものを実施していた。

 

その際、偶々将輝は別の用事で学園不在であった為にその体験入学に参加してはいなかったのだが、お手伝いの為に参加していた昨年度の二年生達は参加していた今年の新入生に小一時間ほど本来の将輝の姿を語った。

 

結果、入ってきた新入生は既に人気アイドルの信者化しており、既に恒例とかした新入生への挨拶の際は壇上に立つや否や拍手喝采にホールが揺れた。

 

その事自体は将輝は気にしていない。

 

臨時副会長就任時や昨年度の入学式を終わった後のように襲撃してこない事は将輝としてもありがたく、彼女達の女尊男卑意識を改革する手間もないためにその辺りは寧ろ感謝すらしていた。信者化した事に関して言えば半ば諦めているような状態だ。信者化していない女子達も流石に去年の事件の後では倒せるなどとは思わなかったらしく、「男は気に入らないが、実力は認める」といった状態であった。

 

しかし、問題はそこではない。

 

今年度の新入生には数人の代表候補生がいる。

 

その中に知っている人間はほぼおらず、大体は初めて見る顔だった。

 

書類を片していく上で将輝の目に留まったのは修学旅行の折、奇跡的な確率で出会ったドイツ軍の少女クラリッサ・ハルフォーフ。ドイツの代表候補生にして専用機持ちの少女だ。

 

そしてもう一人。顔こそ見てもピンとはこなかったものの、名前を見て、将輝は額に手を当てた。

 

その新入生の名前はナターシャ・ファイルス。

 

原作で銀の福音のテストパイロットを務めていたアメリカ人の女性で、一時的にとはいえ、部分展開の状態であったにもかかわらず、サイレント・ゼフィルスを駆る亡国企業の人間織斑マドカと渡り合っていた。

 

彼女が新入生として入学してきた事に関して言えば、別段驚くようなことはない。原作の年齢では大体二十歳くらいだったため、この時期に入学してくる事は何もおかしくはない。

 

ただ、将輝が問題視しているのは彼女についての情報を殆ど持っていないこと。そして入学式で僅かに感じたオーラが限りなく楯無に近かった事だ。

 

人を見る目に関しては将輝は自信がある。特に人間観察は特技とも言えるレベルであり、何を考えているのか大まかに判断は出来る。

 

一通り、新入生の顔を見渡した時、ナターシャと目があった将輝は出会った頃の楯無と同様の感情を感じた。

 

端的に言うと確実に何かを狙っているのだ。

 

結局は面倒事を避ける事など出来ないという事実は受け入れたくないものであるが、かといって頭を抱えるほどではない。その程度で頭を抱えていれば、今頃精神的ストレスで将輝の頭部から毛髪が一本残らず消え失せているだろう。

 

(ま、何狙ってても関係ないか。厄介事も面倒事ももう慣れた)

 

「なーに、悩んでるんですか~?副会長~」

 

「今年は去年と比べて刺激が少なくて助かるって安堵してるだけだよ。特に去年は心労が絶えなかったからな」

 

「色々ありましたからね~。亡国企業の事とか」

 

「始まりはお前の入学式の宣戦布告からだけどな」

 

猫撫で声で話すのは更識楯無。彼女は生徒会役員ではなく、個人的に将輝の補佐を務めている少女であるが、彼女もまたイタリアの代表候補生を務め、IS学園にいる間は対暗部用暗部更識の当主として本名ではなく、楯無を名乗っている。

 

「えぇ~。そんなに私の宣戦布告って面倒でした?」

 

「疲れはしたが、手間は省けたな。おまけに人命を救えたわけだしな、華凛」

 

「うぅ~、そのタイミングで名前を呼ぶのはズルいですよ。あざといですけど、もう落とされてるし、好感度もメーター振り切ってるので意味ないですよ?」

 

とはいいつつも、顔を赤くして俯き気味に話す彼女は名前で呼ばれた事は嬉しかった。

 

本来であれば他人に知られてはいけない。

 

だが、彼女は将輝に自ら教えた。命の恩人であるならば本当の名前くらいは教えて当然だとして。

 

故に二人きりの時は名前で呼ぶように将輝へとお願いしているため、今のような状況では将輝は楯無ではなく、華凛と呼ぶ。

 

「ところで華凛。クラリッサ・ハルフォーフの事は知ってるか?」

 

「知ってる事には知ってますけど、殆ど知らないですね。ドイツは情報規制が厳しいのか、閉鎖的なのかはわかりませんけど、あんまり情報が流れて来なかったんですよ」

 

「そうか」

 

華凛の言葉に将輝の脳裏にはある男の存在が思い浮かんだ。

 

世界平和の大義名分を掲げ、ドイツを中心に世界を回そうとした男。あの男なら自国の情報は規制している可能性は高い。

 

(彼女が俺を敵視してるわけじゃないし、これといって問題はないが………)

 

「何か気になる事でも?」

 

「いや、何でもない。気にするな」

 

「それは何かあるって言ってるようなものですよ、副会長。言いたくないのなら訊きませんけど」

 

そこで一旦会話は途切れ、二人は書類の山を順々と片していく。その手際の良さはなかなかのものである。

 

コンコン。

 

二人の目の前から殆ど書類がなくなった時、扉がノックされる。

 

生徒会室の扉をノックする人間は教員か、一般生徒か、役員の真耶かの何れかではあるものの、教員の場合は滅多に来ず、大体の場合は生徒会室の前に設置されている投函ポストに頼み事などを書いた紙などが投函されている。真耶ならばノック後に入ってもいいかの確認を取る為、現在無言であるノックの主ではない。

 

他の生徒会役員はノック不要でいきなり扉を開けるので論外だった。

 

将輝と華凛は互いに顔を見合わせた後、華凛の「どうぞ」という声と共に扉が開かれる。

 

「失礼します」

 

そう言って扉を開けて入ってきたのは先程まで話題の中心にいた人物。

 

クラリッサ・ハルフォーフだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何か用かな?」

 

クラリッサの前に紅茶を置き、将輝は問いかける。

 

こうして訪問者には自然と紅茶或いは珈琲を出してしまうのは千冬達が原因で習慣とかしているからだ。その為、相手が教員だろうが生徒だろうが取り敢えず出してしまう。因みにその時は相手によって分けている。観察眼はこういう部分でも役立っていた。

 

現在は将輝とクラリッサの二名のみ。

 

それはクラリッサが自国に関わる事であるため、将輝にのみ話す事を希望したからだ。

 

もっとも、束やヒカルノにかかれば秘匿など無意味であるし、楯無も情報収集には長けているため、その気になられればこうして内密にするのも意味はない。

 

「ご挨拶を兼ねて、ご報告したいことが何点か」

 

「そっか。あ、お菓子もあるからくつろいでくれていいよ。あんまり堅苦しいのは好きじゃない」

 

「いえ、お気遣いなく。私はこの紅茶だけで十分です」

 

そう言ってクラリッサは紅茶を口につける。

 

紅茶を飲んだクラリッサは僅かに目を見開いて、ぽつりと「美味しい……」と呟くのを聞いて将輝は頬を綻ばせる。いくら手慣れている事とはいえ、万人に受け入れられるとは限らない。こうして初めて飲む人間にそう言われると嬉しくなるのは当然である。

 

「篠ノ之博士は何処へ?入学式の際は姿を見ましたが……」

 

「例によってラボに引きこもってる。束縛されるのを嫌うからな。今回だって最後だからって理由で参加しただけで前はいなかったからな」

 

将輝は自身の分の紅茶を淹れつつ、そう返答する。

 

束は束縛されるのを嫌う。例外は存在するものの、基本的に自由に動き回りたがる。それ故に彼女はIS学園に通う事の交換条件として束縛することの禁止と自身の要求は何が何でも受け入れる事を提示している。故に束の行動を強制することが出来る人間は生徒会のメンバーと妹の箒くらいしか存在しないのだ。

 

「そうですか。出来ればお目にかかりたいと思っていたのですが」

 

「そのうち会えるさ。ただ、親しくなるのはちょっとハードル高いよ」

 

「存じ上げております。篠ノ之博士の人間嫌いはかなり有名です」

 

「ならいいや……さて、本題に入ろうか」

 

向かい合わせに座った将輝はそう切り出す。

 

「実は我が特殊部隊の指揮権を貴方に委ねたいとドイツ軍上層部が申してきました。その際、それ相応の地位を約束する、だそうです」

 

「……それを受けたとして、俺になんのメリットがある?」

 

「ある程度ドイツの内政に首を突っ込む事は可能でしょう。その気になればドイツ軍を駒として動かすことも可能かと」

 

淡々と告げるクラリッサに将輝は笑みをこぼした。

 

それはクラリッサに向けられたものではなく、その後ろ、彼女を伝言役として使ったドイツ軍上層部に対してだ。

 

彼等は最大限譲歩しているつもりなのだろう。他国の人間に内政に干渉する権利を与えるのだから。ましてや軍を動かす権利を与えるのも普通なら考えられない。

 

だが、将輝を引き入れるという事に関してはそれを交換条件に出してなお、お釣りが返ってくるなどというレベルではない。

 

何せ、世界各国の政府が将輝の行動を常に警戒……否、怯えている。

 

もし自分達の行いが将輝の琴線に触れれば自国が滅ぼされかねない。という危険性に怯えているのだ。

 

その為、彼等は将輝とその周囲に干渉する事はなく、その危険の対象外となる自国のIS学園の生徒を使ってなんとか引き入れようと努力をしているものの、結果としては崇拝にも似た好意を生徒達が抱くために成功には至っておらず、各国首脳陣は頭を抱えていた。

 

そこでドイツは考えた。リスクを恐れて他国がしなかった手段を行使した。自国への干渉権を与え、世界最強の兵器を引き入れようと企てた。

 

だが、そんな事は将輝でなくともわかる。クラリッサの声色も半ば呆れの色が聞いて取れた。

 

「君の意見は?」

 

「はっきり言って話すだけ無駄かと存じます。私は貴方と話した回数は数える程ですが、とても貴方が権力を欲しているとは思えません」

 

「ああ、必要ない。俺は俺の好きにやるだけさ。何処かの国の犬になるつもりはない。後、話がしたけりゃ、自分でここまで来いって言っといてくれる?」

 

「了解しました」

 

そう言うとクラリッサは携帯電話を取り出し、ドイツ軍上層部へと連絡を取ると二度目のコールで低い声の男性がそれに応じた。

 

Generalmajor.Die Verhandlungen wurden abgebrochen(少将。交渉は決裂しました)

 

Was⁉︎Warum ich mich weigerte!(何⁉︎何故断られた!)

 

Kein Interesse an der Macht, und ist der.(権力には興味ない、とのことです)was sie tun?(どうしますか?)

 

『Wie auch wenn es!Wie auch wenn es!』

 

「向こう。なんて言ってるの?」

 

「何としてでも貴方の首を縦に振らせろ、だそうです。不可能な事ですので、穏便に話を……」

 

「ちょっと携帯電話借りるよ」

 

立ち上がった将輝はクラリッサから携帯電話を強引に奪い取ると電話の相手へと話しかける。

 

「初めましてかな、少将。俺はあんたの事は知らないが、あんたは俺の事は知ってるだろ?」

 

「ッ⁉︎」

 

電話の向こう側で男は言葉を失う。電話相手が突然目的の人物に変わったこともそうだが、それ以前にクラリッサが本人の前で話しているとは露ほどにも思っていなかったからだ。

 

「日本語、わかるか?伝わらないと面倒だが」

 

「……日本語で問題ない」

 

渋々、男は同意する。

 

「そいつは結構。因みに俺が言いたいのは一つだけ。俺はどの国にも下るつもりはない。それだけだ」

 

「……待遇は要相談だが?」

 

「くどいな。俺は首を縦に振るつもりはないって言ってんだ。じゃあな」

 

そう言って一方的に将輝は携帯電話を切るとクラリッサに返した。

 

「……驚きました。もう少し穏便に済ませると思っていました」

 

「下手に出て調子に乗られるのは嫌だからね。最大限の拒絶をするに限る。勝手に切ったのはごめんね。後で怒られるかも」

 

「構いません。頼まれはしましたが、少将と私の管轄を管理している方は別の人物ですので」

 

女尊男卑の風潮が出来てからというもの社会全体で男女差別はより明確なものとなっている。それは軍内部でも同じで基本的に男女が混同している場合は少ない。ましてや、クラリッサは代表候補生。その為彼女の所属している管轄は女性のみなのだ。

 

「用件はそれだけかな?」

 

「はい。不躾な頼み事をしてしまって申し訳ありませんでした。それでは失礼します。宜しければ、紅茶の淹れ方をまた教えて下さい」

 

「良いよ。最近は色んな人に教えてるから」

 

「ありがとうございます。それでは」

 

ピシッと綺麗な敬礼をした後、クラリッサはくるりと踵を返して、部屋を後にする。それと入れ違いで楯無や片付けをしていた生徒会メンバーが帰ってきていた。

 

「何の話をしていたんだ?」

 

「ちょっとした勧誘。すぐ断った」

 

「将輝は人気者だねぃ。流石は私達の旦那様。そうでなくちゃナー」

 

「もっとも私達は好意を、あちらは敵意を、といったところだな」

 

「まあ、まーくんに何かしようなんて考える馬鹿はいないと思うけどね〜。そんな事したら地球上から国家を消してあげるし」

 

「し、篠ノ之先輩。それはやり過ぎですよ……」

 

「実際は篠ノ之博士がやる前に副会長がしてそうですけどね」

 

『それはある』

 

各々に感想を述べた後、楯無の言葉に全員が声をハモらせながら同意する。将輝はそれにおいとツッコミをいれつつも、やはり平常運転である事に何処か安心していた。

 

結局、彼女達にとって今日が何の日であっても、誰が何をしようとしていても変わらない。彼女達の世界の中心には将輝が立っていて、それを中心に物事を考えるからだ。

 

そして将輝もまた彼女達を中心に物事を考える。どうすれば彼女達を幸福に出来るか、迫る障害を排除できるか、それが何よりも重要だ。

 

この世界に残ると決めた時から将輝は大切な存在を全て守ると心に誓っているからだ。

 

そしてそれはどんな手を使っても、犠牲を払っても成し得るつもりだ。

 

その結果、どの国家が滅ぼうが関係はない。そんな事は有象無象の現象でしかないのだから。

 

全員が帰ってきたのを確認した将輝は全員分の飲み物を淹れる為に椅子から立ち上がった。

 

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