IFストーリー〜もしも過去に残っていたら〜   作:幼馴染み最強伝説

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将輝1/2

 

「まーくん!まーくん!聞いて聞いて!面白いもの作ったよ!」

 

「そうか。じゃあ今すぐ壊せ」

 

「何でさ⁉︎まだ何も言ってないよ!」

 

「言わなくてもわかるっつーの。ていうか、前の兎ロボット騒動があるだろうが、いい加減学習しろよマジで」

 

生徒会室。普段と変わらず、俺達は無駄口を叩きながら仕事をこなしていた時だった。

 

これまた普段と変わらずに仕事をせず、錠剤の大量に入ったビンを俺たち四人に見せびらかせる。

 

本当に学習能力のない奴だ。いや、わかっててやってるから始末に負えない。

 

「という訳で静。束の『あれ』取り上げて」

 

一々あいつから取り上げるのに労力は費やせない。かといって、放っておいていても面倒な事にしかならないので今は手の空いている静に頼んだのだが…………あれ?反応ないぞ。

 

「静?」

 

「将輝………悪い」

 

何で謝るんだ?ようわからん。静の謝罪に首を傾げつつも、珈琲を飲む。あれ?何時もと同じ淹れ方をした筈なのに味がおかしい。なんていうか、甘酸っぱくて、後味がしょっぱくて苦い。絶対何か入ってたな……これ。ん?となると静がさっき謝ったのは………

 

「静。まさかお前……」

 

「くくく、まーくん、甘いのだよ。ここにはまーくんの味方などいない!」

 

「済まない。私も興味があってな……」

 

実行犯は静か⁉︎一体何吹き込まれたんだ!

 

「にしし、私は面白い方が良いからナー」

 

「私は何も知らないぞ。ああ、何も知らないとも」

おい、千冬。あからさまに何か知ってるって顔してるぞ。本当に嘘つけない性格してるな。ヒカルノの奴なんざ隠す気もねえじゃねえか。

 

「………後で覚えとけ……」

 

その言葉を最後に俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと俺は自分の部屋にいた。頭が痛いし、身体も重い。

 

さっきのは夢?それにしてはかなりリアルだったし、口の中に広がった微妙な味が残っているような気がする。

 

時間は午後五時半。となるとやはり夢ではない。一時間近く寝ていた事になる。

 

「ちくしょう……絶対許さねえ………は?」

 

声がおかしい。女子のように高い。具体的な人物名を指すなら堀江由衣みたいな声だ。俺って何時からそんな声高くなった?いや、これはもしかしなくてもあれじゃん⁉︎

 

自分の胸に手を当てる。俺の手に伝わったのは何時もの固い感触ではなく、むにゅっとした柔らかいもの。触ると何か不思議な感覚がする………そして、今の俺はおそらく苦虫を十匹くらいまとめて噛み潰したかのようなもの凄い表情をしているに違いない。

 

それはそれで気になったので、俺は脱衣所に行って鏡を見ると、其処に映ったのは赤髪の目つきが悪い少女の顔でその表情は引きつっている。誰これ?って言えればどれたけいいことか。それが言えないのが悲しい。

 

「は、はは………女になってらあ、俺」

 

服はIS学園の制服(女子用)。胸はあるはずのない膨らみがあるし、下半身にはあるはずの感触がない。髪も赤いし、ストレート。目つきも悪くなってるし、特徴的な犬歯が好戦的を醸し出している。

 

さてと自分の状況は理解した。そして犯人は既に目星がついている。

 

「カカッ。はぁ……本当に面白いなぁ……」

 

千冬もヒカルノも静もあの兎に協力していた。という事は同罪としてカウントしても良いって事だよな。束?言うまでもない。吊るし上げだ。二度とおいたが出来ないように後悔させてやる。

 

そうと決まれば、早速行動開始だ。

 

俺はそっと部屋を開けると周囲に誰もいない事を確認する。もし俺の部屋から見知らぬ女子が出入りしていたともなれば、後々厄介なことになる。説明も出来ないしな。

 

誰の視線もない事を確認し、俺は寮の廊下を一気に駆け抜ける。良かった、身体能力自体はあまり衰えていないようだ。

 

「目ぼしいのは生徒会室か。流石に寮の部屋にいるなんて事はねえよな………ん?あれは」

 

前方に見知った人間の姿を見つけた。ダメ元で聞いてみるか。

 

「ミハエ!」

 

「?誰かしら、貴方は?」

 

話しかけた金髪の女子ーーーミハエ・リーリスは俺の顔を見て、首を傾げる。おっと、いかんいかん。今の俺は見る影もなく女子だった。

 

「何故、私の名前を知っているのかしら?私は貴方の事を知らないのだけれど」

 

「いや………えっと、藤本さんがそう呼んでたから、つい」

 

何故自分の名前をさんづけで呼ばなきゃいけないのか。咄嗟に思いついたのが、これしかなかったから仕方ない。俺がそう言うとミハエは一瞬思案顔になるがすぐに普段の無表情に戻る。

 

「そう。彼が……それで何の用かしら?」

 

「たば………じゃなくて、篠ノ之さんの居場所を聞きたい」

 

「知らない……と言いたいところだけれど、知っているわ」

 

「何処にいる?」

 

「彼女なら先程「どんな可愛い服を着せようかな〜」と言いながら、学園の外に出ていったわ。他の生徒会の方ももちろん一緒よ」

 

わざわざご丁寧に口調まで真似してくれるのはいいが、無表情で言われると凄く怖い。ていうか、他にも何か服を着させるつもりだったのか⁉︎流石の俺も今の状態で束と静と千冬が襲いかかってくると百パーセント取り押さえられる。特にこういう時の束は普段の三割増しで性能が高い。しぶとさは二倍なので、相手にしていてものすごく疲れるのだ。

 

「ありがとう、リーリスさん。それじゃあ「待ちなさい」はい?」

 

「一方的に話しかけておいて、私の疑問を解決せずに去るのは頂けないわ」

 

はて?何故知っているかという疑問には答えたはずだったが。

 

「貴方の名前と彼との関係を聞きたいのだけれど」

 

あー…………それかぁ……。どうしよう。俺が藤本でした、なんて言える訳ないし、言ったら絶対変な目で見られる。もし女子になるのが趣味(意味不明)の変態副会長などという不名誉なあだ名がついたら俺は死ぬしかない。仕方ない、こうなったら適当につけておくにかぎる。

 

「おれ……じゃなくて、私の名前は真崎紅音で、えーと藤本さんとは………友達、かな」

 

「そう。妙に間が空いたのが気になるけれど、まあいいわ」

 

「じゃあ私、急いでるから!」

 

「あーーー」

 

まだミハエが何か言おうとしていたが、今はそんな事をしている暇はない。一刻も早く、奴等の行動を阻止せねば、外出届け?そんなもの出してる暇があるか!それに勝手に出て行ったのがバレた所で俺は痛くもかゆくもない。だって、俺は男だからな!そして何より警備員さんにはメールで用事があるから赤髪の女子を通してやってくれと頼んでおいた。ははは、まさかここに来て束とかの騒動の所為で警備員さんと親しくなったのが功を制すのだから、人生何があるかわからないな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はは………本当に人生何があるかわからないな………はぁ……」

 

モノレールに乗って、街へと繰り出したまでは良かった。ここはIS学園から近く、生徒達がショッピングをするのによく使用する場所ではあるが、なにぶん店の数が多い。ついでにいうと平日なのに人が多い。まあ、まだ六時はきていないし、これくらいいてもおかしくはないが…………

 

「なあなあ、俺らと楽しいことしようぜ」

 

「本当、IS学園の生徒はレベル高えよな」

 

「まさしくお嬢様学校だもんなぁ」

 

かといって、この手のナンパ野郎がいるのも如何なものかと思う。というか、このご時世によくもまあナンパしようなんて気概のある奴がいたもんだ。通報されるのがオチだぞ。因みに今は何処かの路地裏の為、人はいない。

 

「悪い。私、人探ししてるから」

 

「そんなこと言わずにさあ」

 

「第一、あんた達の言う楽しい事ってのは、青少年に見せられないような事だろ。だから断る」

 

何が悲しくて限定的な女子状態の時に貞操を散らさなきゃならんのだ。それに集団でとかただの強姦だろ。喋ってないだけで、後二人いるし、おそらく連れて行った先にも何人かいるってところか。誰が行くかよ

馬鹿。

 

「IS学園の生徒だからってお高くとまりやがって、あんまり調子に乗って「止めろ!」なんだ?」

 

本当に絵に描いたようなテンプレナンパ野郎からどうやって逃げようかと考えていた時、一人の少年が入ってきた………って、一夏じゃん⁉︎何でこんなところにいんの⁉︎IS学園からそう遠くないところに家があるとは千冬から聞いたが、だからってこんな時間に小学生がいていいのか⁉︎

 

「あぁ?んだ、このガキ」

 

「お前ら、寄ってたかって女の人を脅すなんて、男して最低だ!」

 

「ハハハ!このご時世に「男として〜」なんて馬鹿なんじゃねえのか?そういう時代は終わったんだよ。だから、こういうお高くとまってるような奴には力づくが一番さ。結局、ISに乗らなきゃ女どもなんざ怖くねえよ。わかったら、とっとも失せろガキ」

 

「嫌だ!」

 

「へ、そうかよっ……⁉︎」

 

ナンパ野郎は一夏を躊躇いもなく蹴飛ばす………所で俺が足で止めた。うん、流石は主人公。相手が自分より大きいからとか関係ないな。異性を惚れさせる理由が分かる気がする。もっとも俺は男だし、一夏は小学生だから惚れるなんてあり得ないけどな。

 

「楽しい事したいんだろ?だったらーーー今してやるよっ‼︎」

 

俺は足をどけるとそのまま顔面に向けて飛び膝蹴りを放った。よくわからないが、多分鼻の骨は折れたし、歯も何本か折ったな。

 

「こ、この女のくガァッ⁉︎」

 

「女の癖に、か?その女に延髄蹴りされる気分はどうよ?」

 

取り巻きの一人が意識を失ってそのまま倒れる。さて、他の奴は………何かこっちの下の方に視線を向けて固まっている。あ、そうか。俺は今スカートで、蹴った態勢のままだからパンツ見られてるって事か。恥ずかしくもなんともないが。棒立ちしてるなら、さっさと潰しておこう。

 

取り敢えず鳩尾に肘鉄を叩き込んで一人沈黙。もう一人は顎に掌底を浴びせたら、宙に三メートル浮いて沈黙。

 

「つ、捕まえたぞ!」

 

あ、一人目の奴、気絶してなかったのか。

 

「おい!こいつは動けねえ!やっちまアバッ⁉︎」

 

「動けるっつーの。身体柔らかいから」

 

羽交い絞めにされた状態から、俺はナンパ野郎の顔面を蹴った。男の時なら身長的に無理でも今は多少身体が小さくなってたお蔭で何とかなったな。まあ、投げようと思えば投げ飛ばせたが。

 

「さてどうするよ?お仲間連れて逃げ帰るか。このままぶちのめされるか。私は寛大だから、選択権をやるよ」

 

「ば、化け物‼︎」

 

残った一人は仲間達を放置して何処かに逃げた。連れて帰れよと言いたいが一人じゃ無理か。

 

「怪我はないか、一夏くん」

 

「え?何で俺の事を……」

 

あ、いかん。またやらかした。

 

「君の事はお姉さんから聞いてるよ。自慢の弟だとね。もう一度聞くけど、怪我はない?」

 

「お、お蔭様で………その……強いんですね」

 

「それなりだよ。そんな事より何で君はこんなところに?」

 

「千冬姉が服選んで意見を聞かせて欲しいって言われたから」

 

おい、千冬。大切な弟をこんな時間に呼び出すなんてどういうつもりだ?まあ、これで弟成分でもなんでも補給してるんだろうな。そして一夏も姉成分を補給してるに違いない。何この姉弟、怖いんですけど…………ん?という事は千冬に呼び出されているという訳だな。そして当然合流する訳だから、居場所も知っているな。

 

「一夏くん。お姉さんのいる場所わかる?」

 

「はい。でないと千冬姉と合流出来ませんし………うわ⁉︎」

 

「そうかそうか!偉いぞ、一夏くん!私はこの瞬間、猛烈に君という存在が好きになったよ!」

 

「えぇぇ⁉︎」

 

なんの手がかりもなしに来て十分。変な輩に絡まれただけかと思えば、まさかこんな所で足取りを追える人間に出会えるとは!其処が一夏である所が尚良い!最低でも千冬だけはその場に縛れる。一人捕まえれば無罪放免を餌に芋づる式だ。そしてその一人目が千冬ならもう全員捕まえたのと同義だ。

 

「あ、あの……苦しいです……」

 

「ん?あぁ……ごめんね、一夏くん」

 

「えーと、千冬姉に用があるなら電話しましょうか?」

 

「いや、良いよ。私が直に会いに行くから。だから其処まで案内してくれる?」

 

「は、はい!」

 

えらく元気が良いな。まあ、小学生なら元気がないとやっていけないしな。元気だけが取り柄的な?

 

一夏に案内される事僅か三分。ついに十メートル程先に標的を見つけた。全員固まっているな。一夏を待っているからだろうが、警戒心が低い。大方、俺がまだ学園で寝ていると勘違いしてるからだろう。これはなかなか楽なハンティングになりそうだ。

 

「一夏くん。案内ありがとう。悪いけど、先に私が用を済ませてくる」

 

つい笑みを抑えきれず、一夏に礼を言う顔が満面の笑みになる。目の前で油断しきっている獲物が入ることがこれ程までに滑稽とは。邪悪な笑みにならないように取り繕うので必死だ。

 

「〜〜〜ッ⁉︎」

 

何故か一夏の様子がおかしいが、まあ大丈夫だろうが、放っておくと迷子になるかもしれないので、手を握って連れて行く。

 

俺は人混みに紛れながら、自分より背の高い人の陰に隠れて、接近する。ブラコンレーダーなら五メートル以内に入れば引っかかるが、それが俺の目的だ。つまり一夏は餌ということになる。

 

そして案の定、五メートル以内に入った途端に千冬は俺たちの方に向いて歩いてくる。もちろん、俺は隠れているので見えず、一夏だけ立っているという状態だ。それにしてもさっきからボーッとしてるが大丈夫なのか?

 

「一夏?何をそんな所でボーッとしている?集合場所はすぐそこ「いや、其処じゃないよ」ッ⁉︎」

 

「やあ、織斑生徒会長。私の言った事、覚えてるよな?」

 

千冬は掴まれた手に疑問を持つとその直後、俺の顔を見て、ダラダラと冷や汗を流し始めた。やはり変化後の俺の顔は見ていたようだな。

 

「協力すれば千冬だけは助けてあげよう。さて、どうする?」

 

「わかった」

 

わお、頷くのに一秒かからなかったよ。まあ、千冬も怒るけどな。

 

「じゃあーーーハント開始だ」

 

多分、今の俺は最高に良い笑顔でそう宣言しただろう。千冬も保身に走っているため、俺が走り出すと同時に三人めがけて走り出した。

 

三人の中で一番始めに危機を察知したのはやはりと言うべきか、実働隊の静だった。静はこちらに気づくと無言で逃げ出した。二秒遅れで束も気づき逃走。ヒカルノに関しては気づくのが遅く、その時には既に目の前にいた。

 

「げぇっ⁉︎将輝⁉︎」

 

「よお、ヒカルノ。本当なら今すぐにでも大切な話があるが、色々と時間がない。束と静の位置を特定しろ」

 

「お、おう!」

 

ヒカルノはすぐさま愛用しているディスプレイを取り出して、二人の位置を特定し始める。すると約五秒程で二人の位置を割り出した。まあ、束もびっくりの指さばきだったから、そんなものだろう。

 

「タバねんはデパート内を逃走中。静は北に向けて逃走中であります!」

 

「OKだ。じゃあヒカルノは一夏くんの様子を見てろ。俺は束を、千冬は静を捕獲しに行く、もちろん逃げたらどうなるかわかってるよな?」

 

良い笑顔でそう言うとヒカルノは首が千切れそうな勢いで頷いた。よろしい、俺は理解のある人間は大好きだ。

 

この後、門限の三十分前まで俺達のリアル鬼ごっこは続いた。もちろん、とっ捕まえた後、男に戻してもらい、最初に協力させた千冬は一夏の顔を立てて、なんやかんやで無罪放免としたが、三人はこってりと絞った。因みにどんなお仕置きだったのかは想像にお任せする。ただ、三人口を揃えて「死んだ方がいっそマシだった」と言っていたと教えておこう。

 

尚、二人が追い掛け回している最中の一夏はというとーーー

 

「あのお姉さん………強くて綺麗でカッコよかったなぁ……」

 

「ん?どったの、一夏くん?」

 

「また会えないかな………」

 

(あちゃ〜、これ完全に惚れてるな。一体ここに来るまでに何やらかしたんだ、将輝の奴)

 

ものの見事にハートを射抜かれていた。唐変木オブ唐変木ズが落とされた歴史的瞬間だった。

 

 

 

 

 

 





そんなこんなで以前記念ストーリーの候補だった性転換の話を短めに書きました。

性転換後の主人公の容姿はけんぷファーの美嶋紅音(変身後)です。

そして気づかぬうちにまさかの鈍感王子織斑一夏くんを落としてしまった将輝。歳上の女性に弱い一夏くんの弱点をついた攻めでした。まだ耐性が低かったとはいえ、難易度Sランクの人間を落とすとかマジパネェ!

それが今後の展開に影響するかは作者次第。では、睡魔がやって来たのでおやすみなさい。
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