どうしてこうなった?! 神による転生者の輪廻物語 作:マーボー
「劉ちゃ~ん。起きて~」
フィオネの声と共に身体を揺さぶられる。
どうやら母さん達が帰ってきたらしいけど……
「ゴメンねフィオネ。オレはまだ眠いの……」
身体を捩り、掛け布団の中へと避難した。
たぶん母さん達が帰ってきても、高町家のみんながそろわない限りパーティーは始まらないだろうことから、あと少しは眠っていられるはずだ。
「もう、そうんなこと言って~。起きてくれないと困るのよ~」
さっきと同じように、ゆさゆさとオレの身体を揺さぶるフィオネ。
「な、何が困るんだよ~」
このままいてもたぶんずっと揺さぶられるだろう。
観念して、掛け布団から顔を出しながら聞いてみる。
これでどうでもいい内容だったらデコピンぐらいはしなきゃね。
「あのね。誰か来てるんだけど……」
「だから、それが母さん達じゃないの?」
「う~ん。その来てる人たち、ずっとインターホンを鳴らしてばかりで、家の中には入ってこようとしないのよ。ほら、劉ちゃんの親なら鍵もあるんだし、入ってくるはずでしょう?」
「そ、そりゃまぁ……そうだね」
フィオネの言葉に、確かにそうだと頷く。
しかし、この世界にだって新聞勧誘だってあるはずだから、その類じゃ……
「でもねでもね。その人達、劉ちゃんの名前を呼んでるのよ」
「じゃあ知り合いかな」
もしかしたら高町家のみんなが先に到着したのかもしれない。
『わかったわ。これは劉ちゃんのストーカーに間違いないわね!』
「あぁうん。ちょっとお客さんみたいだから、静かにしててね」
『はぅぅ! 出会って間もないのに、私への扱いが投げやりになってるわ~』
『それはそうなるだろうな』
ゼロの嘆息と共に、デバイス陣はスリープモードへと移行してくれた。
クリスだって言っていることはアレだけど、ちゃんと言うことは聞いてくれる。
「え~っと。ん……電話?」
高町家のみんなを待たせてしまっているかもしれないこんな時に、タイミング悪く家の電話が鳴った。
「はいはい。ちょっと待ってくださいよ」
外のみんなには申し訳ないけど、とっとと電話の応対を済ませることにして、受話器を取る。
「はい。もしもし」
「劉! 早くドアを開けてくれ!」
なんと相手は士朗さんだった。
しかも相当切羽詰まっているご様子。そんなに待たせてしまったのだろうか?
「え、はい。わかりました!」
あまりの勢いだったこともあって、オレは受話器を戻すと直ぐに玄関へと向って扉を開ける。
すると、いきなりどうしたことか。
桃子さんが泣きながらオレに抱きついてきたのだ。
「桃子さん!? なに、そんなにオレの誕生日を喜んでくれているわけ!? つかあれ、他のみんなは?」
抱きつかれながら周りを見ても、オレの想像していた団体とは違い、士朗さんと桃子さんの二人しか姿が見あたらない。
「劉……」
「な、なに?」
未だに泣きながら抱きしめる桃子さんに困惑しながらも、頭上から聞こえる士朗さんの声へと顔を向けた。
「落ち着いて聞いて欲しい」
「う、うん」
普段の朗らかな感じの士朗さんとは打って変わった真剣な様子に、オレまで釣られて真剣になってしまう。
え、なに? 何が起ってるの?
あまりにも誕生日に似つかわしくない緊迫した雰囲気に、嫌な予感がする。
そして、その嫌な予感は士朗さんの言葉によって確かなものになった。
「劉。君のご両親が……亡くなった……」
「――え…………」
言葉を理解するよりも早く、オレの意識はそこで途絶えてしまった。
side out
士朗side
あまりにもショックが大きかったのだろう。
意識を失った劉をベッドに寝かせてから、リビングの椅子に腰を下ろした。
桃子はさっきから泣き崩れてしまっている。
無理もない。私たちは劉のご両親と付き合いが長く、共に過ごすことが多かった。
付き合いの深い知人の他界。それだけでも胸が張り裂けそうなくらいに苦しい。
劉に至っては自分の親だ。その苦しさは私たちなんかとは比べるまでもない。
「伝えるのがいきなりすぎたのだろうか……」
などと考えてみるが、遅かれ早かれ伝わるし、伝えなければならない話だ。
それに劉だってもう子供ではないのは、あの日、病院に見舞いに来てくれた日に確認済みだ。
「桃子。先に家に帰って子供達に話してきてくれないか?」
電話で伝えるには、あまりにも重い話だ。
母親の桃子が直接伝えるのが一番だろう。
そのことは桃子も理解してくれたようで、溢れる涙を抑えながら了承してくれた。
そして、桃子を見送った後も私は劉が目を覚ますのを待つことにした。
ふと、テーブルに置いてあった一枚の紙切れが視界に入る。
「これは……」
そこには、今日のことが書いてあった。
「何を、やっているんだ……」
その文字を目で追いかけるごとに、涙が一つ、また一つと頬を伝う。
「子供の成長を見届けずに逝く親がどこにいる……ッ」
自分ももしかしたらこうなっていたに違いない。
そう思うと、あの時に助けてくれたであろう劉の笑顔が胸に突き刺さる。
「劉……」
しかし、直ぐに感じていた苦しみを無理矢理に取っ払う。
(ここで私が折れてどうする。私が折れたら……誰が今の劉を)
劉が目を覚ますことを祈りながら、私はただ静かに待つことにしたのだった。
side out
数年越しの更新になります。
自分でもどういったところまで投稿していたのか忘れかけていました(汗
こんな感じであってる、かな?
さて、次話も早めに投稿出来たらいいなぁとは考えております。
考えておりますが、最近は「魔法科高校の劣等生」の二次小説を作成することにはまっていまして……。
一応、こちらでも投稿していますので、お時間があるときは覗いてみてもらえると幸いです。
では、次話も宜しくお願い致します。