東方の小説じゃないって言わないで下さいね
恐怖とは何なのか。
ホラー映画をみたり、交通事故に遭いかけたり、普通に過ごしてても恐怖は感じたりする。
背筋が凍ったり、脂汗が出たりと反応する。
では、何故人は恐怖するのか。
恐怖とは何なのか。
自分なりに考えてみた。
結果、人がする想像が恐怖させているのだ。
ホラー映画に出てくる何かが人々を殺しているのを見て、自分が同じ目にあっていたらどうなるか想像する。
交通事故に遭いかけて、実際に今通った車が当たっていたらどうなるか想像する。
そうする事で脳がなんらかの信号を送り恐怖するのだろう。
だが、しかし実際に恐怖する体験にあっていたら恐怖するのか。
本当に、車が自分の目の前まで勢い良く向かってきたらどうなるのか。得体の知れない何かと対峙した時はどうなるのか。
自分はそんな体験にあったことがない。
あったら覚えているだろう。
憶測の域は出ることはないだろう。
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何が起きているのか分からない。
理解が出来ない。
目をこすって幻覚かどうか確かめる。
消えない。
頭で、処理が追いつかない。
目の前には、今まで自分が生きてきて一番も見た事がないものがそこにはいた。
ピンク色の肉塊のようなものに手足が生え、体全体に辛うじて顔のようなものがみえる。
大きさは2,3mくらいだろう。
そんな生物が今目の前にいる。
手足が震える。
今から起きることが全く予想が出来ない。
ただ、脳が逃げろと警鐘を鳴らしているが震えで足が動こうとしない。
目の前にいる肉塊から視線を外す事ができなかった。
肉塊が一歩踏み出す。
それと同時に我に返り、手足が震えながらも自由に動くようになり、その洞窟から一目散に逃げる。
息が上がり、足がもつれそうになりながらも逃げる。
しかし、そこで気付いてしまう。
あのコスプレ少女がまだ寝ているのだ。
足を止める。
もう既に、洞窟が見えない所まできてしまっている。
今まさに、あの肉塊があのコスプレ少女を襲おうとしているかもしれない。
しかし、先ほど対峙した時の恐怖を思い出し身震いする。
必死に恐怖を打ち消そうとする。
しかし、足が動かない。
見捨てて逃げれば今なら逃げ切れりだろう。
しかし、少女は無事ではすまない。
少女を助けに行く。
そんな事をする理由が自分に有るわけがない。
「くっそ…」
悪態をつく。
必死に恐怖と戦う。
ようやく足が一歩動く。
そうするとさっきまで考えていて見えなかった周りが見える。
木々が生茂り、薄っすらと霧がかかっている。
その木の一つの根元にキノコが生えていた。
あるではないか、少女を助ける理由が。
毒キノコを食べかけた自分に気絶しそうなのに、注意を促してくれたではないか。
キノコを食べる。
そんな些細な事で命を落としかけた自分を救ってくれた。
それだけで理由は十分だった。
そう思うと驚くほど自由に体を動かせるようになった。
逃げてきた方を振り返り、戻るために走る。
洞窟が見えてきて同時に、肉塊も見えてくる。
今まさに少女を襲おうとしているところだった。
すぐに足元を見て手頃な石を掴み、肉塊に向かって投げつける。
石は肉塊に音もなく当たり地面に落ちる。
一見、効いてないようにみえる。
しかし、肉塊の意識をこちらに向けることは成功したみたいだ。
肉塊の赤い目がこちらを睨む。
一瞬たじろぐが踏みとどまり、また辺りを見渡し木の枝を掴み構える。
「来いよ肉塊!かかって来い‼︎」
肉塊に聴力があるか分からないがこちらに来させる為に挑発をする。
肉塊は動く気配を見せない。
痺れを切らし先に自分が動く。
地面を蹴り、肉塊に一気に近づき剣道の構えなど関係なしに思いっきり枝を振り回す。
しかし、枝が肉塊がぶつかると同時に真っ二つに折れてしまう。
「く、…!」
息を付く間もなく肉塊の腕が迫る。
間髪入れずにすぐさま距離を取り、避ける。
肉塊は空いた距離を縮める為にその重そうな足を上げる。
どうやら肉塊の意識を完全に自分に向けることは成功したみたいだ。
肉塊に折れた枝を投げつけ、肉塊から逃げ出す。
肉塊は折れた枝を物ともせず、自分を追いかける。
あとは肉塊から逃げ、巻くだけである。
あの巨体からして足は遅いだろうそんな事を思い、正直内面はもう勝ち気でいた。
それが誤算だった。
肉塊の足は遅くなかった。
寧ろ早かった。
自分の全速力と同じスピードで肉塊は後を追いかけてくる。
このままでは自分の体力が切れ、肉塊に追い付かれるのも時間の問題だった。
しかし、今の自分に足を動かす以上の出来ることはなかった。
息が上がり、内心焦り始める。
捕まったら何をされるのか、考えたくもない。
必死に足を動かし逃げ続ける。
以前として肉塊との距離は離れない。
体力がなくなり始める。
スピードが落ち始める。
ただただ焦る。
その焦りがミスに繋がる。
運命の神様はなんて無慈悲なんだ。
そんな事を思ってしまうほどの失態。
必死に逃げる中、木の根に躓き転んでしまう。
すぐさま、立ち上がろうとし肉塊の位置を確認しようと後ろを見る。
もうそこには、目の前には、肉塊がいた。
恐怖で足が竦む。
頭の中が恐怖でいっぱいになり何も考えられない。
否、考えられるが自分が今から何をされるのか想像だけが頭を支配していた。
手足を引き裂かれ、無残に殺される自分。
頭から食べられる自分。
何かの粘液を掛けられ自分の体が溶ける痛みを味わう自分。
吸収され、永遠に肉塊の中で苦しみ続ける自分。
恐怖が、絶望が、死が、体を支配していく。
走馬灯見ずに自分の殺される様を想像しながら死ぬ何て、なんて酷く酷なことだろう。
自分の人生にも悔いしか残さずに死んでいく自分が情けないかった。
そんな事を考え、震え続ける自分に肉塊の腕が伸びる。
「あ…あぁ…う、く…」
恐怖で叫び声すら出ない。
肉塊のブニブニした感触が全身を包む。
持ち上げられ宙に足が浮く。
ブニブニとした肉塊の腕が体を締め付けていく。
痛みで、苦しみで、意識が遠のいていく。
目の前が真っ暗になる。
絶望がもう目と鼻の先に…
あぁ、まだ。いや、もっと生きたかったな…
そんな事を考えながら、そこで意識は途切れた。
ご愛読ありがとうございました(嘘)
まだまだ続きます。