日も落ち、学校も完全に人が居なくなったと思しき頃合に、それは始まった。
ひとりはランサー、赤き槍を用いて一気呵成に攻め込む青き槍兵。
ひとりはアーチャー、白と黒の双剣を用いて槍をさばく赤き弓兵。
遠坂凛は英霊の戦いに目を奪われていた。圧倒的な速度で攻撃を繰り出すランサー
にそのことごとくを防ぎきるアーチャー。戦いは硬直していた。だが、人の目では追い抜けない速度での戦いは感動すら与える。しかし、その戦いは突如終焉となる。
目撃者だ。うかつにも、物音を立ててしまったのである。二人はすぐに存在に気付いた。すかさず逃げた。
なんだあれは・・・!!
ヤバイ早く逃げなくては殺される・・・!!
くそっ、学校に財布を忘れて取りに行っただけで、どうしてこんなことが・・・。
衛宮士郎は己の不運を呪った。かなりの距離を走ったが、
「よう、わりと遠くまで走ったなオマエ。」
後ろを振り向くとさきほど赤い槍を持って戦っていた槍兵がいた。
「オマエ・・・自分でもわかってただろ?どうしったて逃げられないってことがさ。なに恥じることは無い。やられる側ってのは得てしてそういうもんさ。こちとらオマエに恨みはないが・・・見られたからにはしょうがねぇ。
悪いが坊主おとなしく死んでくれや・・・!!」
一撃だった。左胸心臓一突き。抵抗のスキはなかった。一瞬で衛宮士郎の一生は終った。
遠坂凛は息を切らしようやく目撃者のもとにたどり着く。
「どうしてよりにもよってあなたなのよ。」
だが、すでに始末された後だった。悲観に暮れる凛だが、
「まだ手はある。」
衛宮士郎は意識を取り戻した。まだ胸が痛む。
俺は確か・・・胸を刺されて・・・
俺は・・・生きて・・・いるのか?
「なにがどうなってるんだ・・・」
・・・帰ろう。まずは家に帰って・・・
全てはそれからだ・・・
痛む胸を押さえて家に着く。もはや財布を取り戻して夕飯を買いにいくことなど頭から抜け落ちていた。衛宮士郎は居間いついてようやく落ち着きを取り戻した。そして状況を把握することが出来た。
なんだったんだ・・・アレは・・・
とてもこの世の人間だったとは思えない・・・見たことも無い素材でできた服・・
それに・・・武器
あいつらは本気で殺し合いをしていたんだ。俺はそこに偶然居合わせた・・・
途端に家の結界が侵入者を知らせた。すぐに口止めに奴が来たと知る。天井からさきほどの槍兵が奇襲してきた。ぎりぎり避けることに成功した。
「全く・・・一日に二度も同じヤツを殺すハメになるなんてな。とんだ災難だぜ。オラ避けんなよ・・・!!」
士郎に再び死が迫ってきた。士郎はとっさに新聞紙を丸め、その槍を防いだ。
「ほう・・・変わった芸風だな?『強化』-その紙筒に魔力を通して強度を高めたってわけか。
お前・・・魔術師だあ・・・!?」
槍兵は獰猛に笑い、より凄まじく攻めてきた。防ぐだけで手一杯、むしろ押されていた。
中庭まで弾き飛ばされ追い討ちかける槍兵に目一杯振ったら槍を弾き飛ばすことに成功した。が、最速の英霊と呼ばれるランサー、凄まじいスピードで士郎の鳩尾に蹴りを与え、土蔵の方まで吹き飛ばした。
「フン・・・筋は良いが・・・若すぎたか。まあ魔術師に斬り合いを望むべくもないが・・・もしかするとお前が7人目だったのかもな。だとしてもこれで終わりなわけだが・・・じゃあな坊主、今度は迷うなよ・・・!!」
死ぬ?俺はここで死ぬのか?冗談じゃない!俺はまだ誰一人救えていない。俺はまだ正義の味方になれていない。衛宮士郎はまだ死ぬわけにはいかない・・・!!
そして突如旋風が巻き起こり、
「バカな!?7人目のサーヴァントだと!!」
ランサーを追い払い少女は口にする。
「-問おう、貴方が私のマスターか」
役者は揃った。それでは聖杯戦争を始めよう。