魔法少女リリカルなのはStrikers IRONMAN   作:赤い配管工の人

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「シグナム―。お茶とって~」
「はい。我が主」
「ヴィーター。カステラあるで~」
「わーい」
「あらあら」
「zzz」
「・・・・」

(ここでカメラとカンペを向ける)

はやて「えっ!?休憩終わり!?皆出番やで!」

「支度支度!」「おめかししないと!」「あたしの帽子どこだ!?」

(早く早く)

「皆いくで?せーの」

「「「「「魔法少女リリカルなのはStrikers IRONMAN!!」」」」」

「ちょっと待て!今違う奴が混じってたような!?」

「・・・しまった!人違いだ!すまない!」

「逃げた!?」
「待てコラぁ!!」

目撃者募集!

特徴:身長187㎝。赤い服に白髪で肌は浅黒い。

「・・・誰か私にテレビの録画教えてーー!!」




#14

「ロト。この部分のパーツを頼む」

 

アーク・リアクターが完成した数日後

彼は作業に取り掛かっていた。

 

シャリオはその後死ぬように何日も寝込んでしまい、皆を心配させてしまった。

 

代わりにマリエルが立ち会いを担当してくれているので、問題なく作業を続行していた。

 

今、彼が会話しているこのマシーンはトニーの助手兼ぶきっちょアームことの『ダミー』の同型『ロトロト』だ。

マリエルに依頼し、実際に設計図を提供し作らせたのだ。

(ダミーと同じく喋らない事も付けて)

 

アーム一本と四輪駆動の車輪が付いてトニーが作ったAIメモリを搭載している所は変わらない。

 

「ぶきっちょ」の辺りが少し再現出来てない所が問題だがたいした事はない。

 

先端にある三本の指がカチカチと鳴らしながらこちらの様子を伺っている。

首を傾げるように左右に動いている所がまた愛らしい。

 

「『ロトロト』っていう名前はあなたが名付けたの?」

 

マリエルは『ロトロト』に感心していた。

旧世代ながらも良く動き、人の言語を理解する部分が最初に目につく。

 

元々トニーが若き頃、大学の課題で作り上げた物だが当時の人々はそれが理解を得られなかった、

別荘には『ぶきっちょアーム』が複数存在し、消化用や記録用などの様々なアームがいる。

 

トニーはよく毒づくが決して嫌ってはいない。

 

それを欲しいと言ったら設計図とAIを内蔵したメモリを渡してくれ、あとは自分で作れと言われた。

 

カイリーは製作しようとしたが『アーマー』に多くの時間を掛けているため暇がなかった。

 

そこで依頼という形でマリエルに作らせた所、完成したのである。

 

「オレのいつも見ているアニメから取ったんだ。『ロト』っていう名前」

「じゃあ何で『ロトロト』って二回付けたの?」

 

マリエルは疑問を持った。

何故二回も付ける必要があるのか?

誰もが思う当然の疑問だが彼はそれを一蹴した。

 

「『ロトロト』って二回付けた方が響きがいいだろ?それ以外に何がある?」

 

そう言いながら作業している手を止めず着々と進めるカイリーにマリエルは少しズッコケた。

 

彼は名前付けに関しては一つズレているのかもしれないと思った。

 

(もちろん自分もそうだが)

 

「よーしロト。お疲れさん」

 

彼はロトのアーム部分をなで、ロトの働きぶりを評価した。

 

そこにはぶ厚いフレームで囲まれて細部に配線やボルトが設置され、重厚なブーツだとマリエルは解釈する。

 

次に円形の発光装置にギプスサイズのガントレットが二つあり、これは飛行装置兼武器ではないか?と推測した。

 

二つの装置にある細かいディティールがそれらを印象づけた。

マリエルにとっては初めて見る物だった。

今まで数々のデバイスを製造・調整していたが彼のを見ると前代的な物を思い浮かべる。

 

「ここって台車借りられるか?」

「借りれるけど何に使うの?」

 

 

 

「コイツの晴れある飛行テストのためさ」

 

へへっと笑いブーツを指で小さく叩きながら彼はマリエルの疑問を返した。

 

 

 

 

 

 

オレは興奮を隠さずにはいられなかった。

 

現在、カイリー達がいる場所は隊舎の屋上にあるヘリポートにいる。

 

マリエルは陸戦用空間シミュレータをテストの場所として提案したが

この時間帯は新人達が訓練に使っているためスリルを味わいたい彼にとっては願い下げのようなものだ。

 

先程の二つを乗せた台車をロトに引かせながら、彼らは屋上を眺めまわしていた。

全体を見渡す限り水平で海も見える。

潮風の匂いが体全体に伝わり、マリブにある別荘を思い出した。

 

あそこは海が近く波の音もカモメの鳴き声も聞こえる。

ここも同じように見え錯覚してしまった。

 

「・・・いい場所だな。何で八神はここを本拠地に?」

 

「私もよ。海鳴市と言う町に似てるって八神さん言ってた」

 

海鳴市

 

それは別の世界の地球の日本に存在し、なのは達の生まれ故郷でもある。

前に親父と海に行った事を思い出し、目尻に涙が少しこもる。

 

(意外とやるな)

 

声に出さずに心に仕舞い、話題を切り替えた。

遠くのヘリポートにあるオリーブドラブに塗装された整備中の大型の輸送ヘリに目を付け

 

「あの輸送ヘリは?」

「あのヘリ?えっーとね。確か名前はなんだっけ?」

「別に答えなくても」

「ヴァイスくーん!ちょっとこっちに来てーー!」

 

マリエルが大きな声で整備している黒いジャンパーを着た男に呼びかけ

こちらの呼びかけに彼は駆け足でこちらに来て、急ブレーキを掛け止まった。

 

「何すか?マリエルさん今ちょうど休憩に入っているのに」

 

ぜぇぜぇと息を切らしながら

 

「あのヘリの名を教えてくれない?ヴァイス君が乗るあのヘリ」

「JF704式ですか?」

 

「そうそれ!やっと思い出した!」

 

「・・・スマン」

「・・・俺の出番ってこれだけなのか」

 

マリエルが突然思い出した事に白くなった背中に木枯らしが吹いているヴァイスであった。

 

オレは彼を慰めるあらゆる方法を思い浮かべようと頭を抱えていた。

 

「ん?アンタ設立式の最後にやった」

「拝聴ありがとう。カイリー・E・スタークだ」

「ヴァイス・グランセニックだ。ヴァイスでいい」

「じゃあカイリーって呼んでくれ」

 

二人はお互いの右手を強く握り上下に振った。

 

「ちなみに階級は?」

「陸曹だが?」

「じゃあヴァイス軍曹。今思いついたあだ名」

「陸曹だ」

「いいじゃないヴァイス軍曹」

「乗ってどうするんですか。マリエルさん」

「軍曹。カッコいいですよ!」

「アルト!?それに皆も!?」

 

いつの間にか作業員やヴァイスと同じ服装をしたアルトと呼ばれた女性も来ていた。

 

その時、何でここ(屋上)に来たのかをようやく思い出した。

 

「忘れてた。この場所少し使ってもいいか?」

「屋上をか?」

「カイリー君の開発した物のテストをするんだけどいいかな?」

 

ヴァイスは突然の申し出に困惑した。

 

台車に置いてある二つの物を見ながら彼は考える。

 

(突然呼び出されたのかと思ったらこれかよ!)

 

経験上こういう事は何回も経験した事があるので慣れているがどう返そうかと悩んでいた。

 

(だがそのままの言葉で返す訳にはいかねぇ・・・オブラートで包んで返さなくては)

 

頭に電球が点くような古典的な閃きを感じ、喉を整え大人な台詞を言おうとしたが

 

「この台に乗ってるのデバイス?」

「デバイス?オレはそんなタチじゃあない。観戦料はタダだがどうだ?」

 

アルトの質問に『タダ』という魅力的な言葉を付け、返したところ

ざっと作業員達が沸き、人だかりが出来た。

 

群衆を味方につけ自分だけ一人残されてしまった事にヴァイスは

 

「・・・一時間だけでいいから俺をひとりにしないでくれ頼む」

 

頭に手を当て、ズーンと折れてしまった。

 

 

 

 

 

「テステス。カメラちゃんと動いてるな?」

 

アームの先端をカメラに取り換え、調子を確かめる。

ちゃんと動作しているのを確認したオレは数歩離れて行った。

 

「テスト一日目。今回は開発したばかりのリパルサー・レイとブーツのテストだが、今回は観衆(ギャラリー)を交えて紹介したい」

 

カメラが動き一人一人捉えてゆく。

 

「本局第四技術部から出向してきたMs.マリエル」

「どうも」

 

手をひらひらと左右に振りながら応対するマリエルを確認したロトは次にヴァイスに向いた。

 

「お次は機動六課のヘリパイロットでバイク持ちのヴァイス・グランセニック軍曹」

「陸曹だ!どんなだけ軍曹つけたいんだ!?」

「とその愉快な仲間達でお送りします」

「しかもハブりやがった!?」

 

オレのジョークにツッコんでくれるのはこれで二人目だ。

内心笑い手足の調節を確認しながら最終段階に移った。

 

体にアーク・リアクターを直接接続したベルトタイプのチョッキを身に着け

 

コードに光が灯ってゆくのを確認したオレは構えに入った。

今回実施するテストはアーク・リアクターとリパルサーとブーツの稼働テストだ。

 

トニーはアフガンで捕らわれた時、その場であった機材で『マークⅠ』を造り、脚部にジェットを仕込んで脱出していった。

飛行する事に成功したが足だけではうまく飛ばない事を判明した。

 

トニーはそれを踏まえ『マークⅡ』を製作する際、ブーツだけでなく腕部に

リパルサー・レイを追加し一つの飛行制御装置兼武器として開発する事に成功した。

 

トニーのようにブーツ→リパルサー→同時→最終テスト

の段階ではなく

 

同時→リパルサー→ブーツ→最終テスト

という順でテストをする事に決定した。

 

この順序なら11日を6日に短縮することができ、設計図が存在するため早く済む事が利点でだろう。

 

空は快調、雨なし曇りなし風も良好。絶好のテスト日和だ。

 

「出力10%にセット。ロト!ちゃんと撮れよ」

 

上下ゆっくりとロトが(うなず)きながら撮影モードに入った。

皆が注目する中、リパルサー・レイとブーツの稼働の音がが徐々に大きくなっていく。

 

「行くぞ。3」

 

カウントが始まる。

 

「2」

 

手と足に力が入り込み体が固まらないように息を整え

 

「1」

 

飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

ここで一つ疑問を出そう。

 

人が何も身に着けず高度4000mの上空で飛行機から突き落とされるとしたらどうなるだろうか?

 

何も出来ずあたふたと彷徨い、意識がマッハで失ってしまうだろう。

 

彼の場合、屋上と言う足場からのスタートだがアクシデントがなければ無事に済むだろう。が

 

(クソっ!!出し過ぎた(・・・・・)!)

 

10%という出力が彼を上空へと放り出し、体の自由が聴かないまま地面へと落下してゆく。

 

腕に動けと命令するが空気抵抗で思うように動けない。

 

このままでは屋上から逸れ背中で地面とキスし、骨折どころでは済まさない。

死というこの世で一つの恐ろしい言葉を思い出し、行動を起こした。

 

(リパルサーで制御!リパルサーで制御!)

 

急いで腕のリパルサーを起動させ、時間稼ぎを始める。

両腕と両足を出来るだけ空気抵抗を減らすよう広げ、パラグライダーのごとく落下する。

 

空気の圧力に当たりながらもすぐに行動に移したおかげか、リパルサーは起動を始め光を発した。

 

ぶつかる寸前に手を向け目をつぶり

 

(遺言はこう残そう。『神様、一発殴らせろ』と)

 

危機一髪の瞬間、シンプルな遺言を決めその瞬間を待った

 

がいくら待っても来ず、目をゆっくり開け見てみると

 

「・・・セーフ?アウト?」

「セーフです」

 

間一髪地面に接触せず、わずか5㎝で浮上をしていた。

 

上では全員が手をしがみつきながら下を見ていた。

 

多くの者は彼の行方にハラハラしていたが姿を見てホッと安心していた。

 

 

 

リパルサーの出力を強め、体制を立て直し上を見上げた。

 

「2・5%に変更。あそこに着くのが本番だ」

「了解。申し訳ありませんカイリー様」

「10%にしたオレが悪かったな。欲を出しちまった」

「実は謝罪したい事があります」

 

謝罪したい?いつもサポートしてくれるメリルが謝罪だと?

 

混乱に陥りながらも立て直し彼女の言葉を待った。

 

「音声データですが再生しますか?」

「あ、あぁ」

 

耳に付けたインカムタイプの通信機からそのデータを聞く

 

『よーし、じゃあテストいくぞ』

 

これは親父の?確かこれは・・・

 

『センターの50㎝後ろから』

 

思い出した。試作したばかりのブーツのテストだ。

 

『まずは小手調べだ。パワー10%で浮上をテスト』

 

ブーツのテストって事はまだリパルサー・レイが出来てないはず

 

それってまさか・・・

 

『3・・・2・・・1・・・』

 

次の瞬間、ジェットが鳴り響くと同時にドン!と壁にぶつかる音が発生した。

 

お、消火器役は確かダミーだったけ?

 

「再生終了」

 

再生が終わり、メリルの声が続く。

 

「先程再生された記録はトニー様が試作したブーツの性能テストです」

「・・・知ってる」

「もしテスト前にこれを再生していたらこういう事態にはならなかったでしょう」

 

彼女の言い分を理解した。分からなくもない。

 

「・・・メリル。遺言を記録してくれるか」

「何をなさろうと?」

「いいから」

 

唐突に遺言を作成を指示し、彼女を戸惑わせた。

右手を拳の形にし、口に当て考える。

おっとすぐに思いついた。

 

『親父、一発殴らせろ』

 

「随分と短い遺言ですね」

「と言いたいが変更」

 

あの音声を聞いて少し見方が変わった。

 

カエルの子はカエルってか

 

遺伝とは恐ろしい物だ。

 

『先人の知識は無駄ではなかった。決して』

「それでよろしいですか?」

「OK。あとメリル」

「はい」

 

「仮にアレを見せてもオレは同じ事はするぞ」

「なぜ?」

 

「スリルを味わうためだ。それ以外でもそれ以上でもない」

 

「・・・・」

 

『自分の中のセリフ ベスト10』から選びメリルを考えさせた。

彼女は彼の言葉を分析し思考した。

数分間の沈黙の末、ようやく結論が浮かんだ。

 

「・・・相変わらず変わってますね」

「変わっていない人間がどこにいる?」

 

冗談を言いながらオレは再び上昇の準備をした。

 

彼女に理解(わから)せたい。

 

オレがこういう人間であると

 

人前では冗談を言い、ぐうたらな生活を送る男で

 

母親を失い、酒好きで女好きの父親から引き取られ

 

『アイアンマン』というヒーローに出会った人間だと

 

それを受け継ぐ人間である事を

 

 

 

 

 




『ロトロト』は機動戦士ガンダムUCの『ロト』から

作中に出たメカテストは映画『アイアンマン』でトニーがメカテストをした時の格好と同じです。
今回はアメコミの泉はお休みです(期待してた皆さん。スマヌ)

上記のやり取りは声優ネタが混じってます。

メカテストの格好に燃えるのは私だけだろうか?

次回いよいよ『マークⅡVer.M』が・・・!

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