ラブライブ 〜Anather story 〜 作:ナンジョルノ
自分の中で考えた“もし”をテーマに執筆できたらなと思います。
原作通りに行くかはわかりませんが見守ってやってください笑
とりあえず第1話はあの方目線で始まります。
再会の時
ー彼の存在が私を変えたー
私はうっかり、12時間も眠ってしまい、目が覚めたら窓の外がすっかり夕焼けだったので驚いた。
「やっちゃった……」
高校生になって、一人暮らしをすることを両親から許されてからこうゆうことは度々あった。
起こしてくれる人がいなくて、歯止めがないとこんなにも眠れるのかと思うと凄く不毛な気分になり、うつろな気持ちでシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終わり、窓から夜に移り変わる街並みをぼんやり眺めていたら、ふと昨日のことを思い出し、スマートフォンのディスプレイに写る家族写真に目がいった。。
「春人が帰ってくる。」
両親から告げられたその知らせは私にとって嬉しいことでもあり、胸が痛くもなる言葉だった。
“綺羅春人”
私が最も尊敬している男性であり、そして私のただひとりの兄である。
兄と暮らせたのは私が生まれてから、6歳になるまでの間だけだった。たった5年という期間であったが、私は兄の面影をしっかりと覚えている。兄には普通の子にはない才能があった。いわゆる天才というやつである。
「ツバサ、おとうさん、おかあさん。今から僕が作った曲を聴かせたげるね。ちゃーんと聴いといてよ?」
当時、5歳だった兄は自分よりも身長の高いピアノの前で私たちにそう言った。そして楽しそうにピアノの前イスに座り、自分が作った曲を披露したのだ。幼い私にはその凄さがわからなかったが、両親はものすごく驚いていたのを今でも覚えている。今考えれば、その光景は異様だったと思う。なにせ5歳の男の子が手つきは子供だが、自ら曲を作り、それを音として表現したのだから。
その日を境に兄の才能は輝きを増した。兄の才能は音楽の才能だけには止まらず、様々な方向に可能性があることがわかった。兄は完璧な天才だった。
そして、私が6歳になった誕生日の次の日に兄は、海外で大きな会社を経営している友人の元に預けられ、外国で生活することが決まった。
「お父さん、お母さん!僕がんばってくるよ!」
空港の入場口の前で兄は、お父さんとおかあさんに抱きしめられながら、眩しい笑顔でそう言った。その時の兄の左手は力いっぱい握りしめていたのを今でも覚えている。兄は何かを我慢する時必ず左手を握りしめていた。きっとお父さんとお母さんと別れるのが本当は嫌なんだ。でも本音を言わないのは両親のことを想ってのことだろう。
「おにいちゃん……絶対に帰ってきてね。
帰ってきたら、またおにいちゃんといっぱい遊ぶんだから!」
そう思ったら私も寂しくなって、兄を抱きしめていた。
「うん!約束だよ!ツバサ!お父さんとお母さんのこと頼んだよ!」
そういって私の頭を撫でる兄の顔は笑顔なのに瞳は泣いていた。涙は流していないのに、私には泣いているように見えた。こんな時ぐらい素直に泣けばいいのにと思いながらも、それがなんとも兄らしくも思えた。
「あれから10年か……」
窓から夜になってゆく街並みと、窓に映る自分の姿を見て私は10年の長さを感じた。あの頃の自分と今の自分、比べてみるとどんどんお母さんに似てきたなと思った。そして兄は……いや、“春人”はどれだけ成長したのだろうと……噂ではあっちで音楽部門ではかなり名前が知られ、学校は天才児として認められたらしく、飛び級で大学に進学し、現在は卒業してしまっているらしい。規格外だとほんと思う。
「少し出かけようかな………」
窓から街を見ていると不思議と都会がみたくなり、電車に乗って街に出た。
不思議と青く澄んだ、生暖かい夜だった。
夕食を軽く済ませると私は駅を西から南へ抜けるモールへと歩いていた。緩やかな坂に沿って並ぶ店のウインドウが、ずらりと夜に浮かぶのを、何となく見て歩いた。明るく光るディスプレイが続き、色んなものを売っている。人もたくさんいた。中央の広場は祭りのようににぎわい、ビルとビルの間に挟まれた小さな夜空を風が渡っていた。
ベンチにはカップルが鈴なりになり、クレープ屋さんにはいつも通りに女の子がてんこ盛りだった。こんなにたくさんの人々がどこから湧いてくるのかな、と思いながら、私はそこを通っていた。そして、ふとビルに設置された巨大ディスプレイに目がいった。
「もう、使われてるんだ。そういえば今日からだっけ。」
巨大ディスプレイには女の子3人組のミュージックビデオが流されていた。その中心にいるのは自分であり、綺羅ツバサという1人のアイドルだった。
“A-RISE”それが私たちのグループの名前である。
アイドルとは言うがあくまでスクールアイドルである。だが、ここ最近スクールアイドルは世間でも注目され初めている。自慢になってしまうが、私たちがそのキッカケを作ったと言っても過言ではないと思う。実際メディアがそう言ってるから、きっとそうなんだと思うが、違ったらちょっと恥ずかしいな。
「ねぇ、見て!あの人ちょーかっこよくない?モデルさんかなー?」
ふと後ろを通った高校生ぐらいの女の子の声が耳に入ってきた。
「あ、本当だ!もしかしたら芸能人だったりして!」
こういった声は結構耳に入る。そして、そんなに珍しくはない。ここは日本の中心都市であり、人が集まる場所なのだ。だから自然にそういった人も集まってくる。実際に私もこの街にお父さんの仕事の関係で引っ越してきたぐらいだから、不思議なことではない。
「もういいかな。あんまり良いのなかったし。」
結局何も買わなかったが、心は何故か満たされた。気分転換としては上手くいったのかもしれない。夜に出歩くなんて、お父さんに言ったらきっと怒るだろうなと思いながら、顔は笑っていた。
「あんまり、夜の街を出歩くのはよろしくないんじゃないかな?」
後ろから声がした。どこか懐かしくもある声に、振り返ってみると、そこには1人の青年が立っていた。身長はかなり高く、おそらく180㎝はあるだろう。顔はかなり整っていて、正直今まで生きてきた中でこれほど整った顔は見たことがない。そして髪は赤みがかった茶色で、瞳も茶色だった。先ほど女の子達が口にしていた人はこの人のことだろうと直感でわかった。
「え、あ……あの……」
「あ、ごめんごめん!別に説教してるわけじゃないんだ。
なんか久々だから、なんて言えばいいのかわかんなくて……その……」
目の前で私が戸惑っていると、彼はすぐに謝ってきた。
「ほら、アレ!」
彼の指が指した方を見るとA-RISEが映し出されている巨大ディスプレイがあった。ファンの人かな?そう思いつつ口にしようとした時だった。
「久々に日本に帰ってきたら、いつの間にか妹がさ!」
え?この人は……なにを……
「まさかスクールアイドル?になっちゃってるとは思わなくて」
まさか………
「なんてゆーかさ……待たせたね、ただいま……ツバサ!」
「おにいちゃん?」
それが綺羅ツバサと、綺羅春人の2人の兄妹の再開の瞬間だった。
主人公と綺羅ツバサの関係性についてのお話でした。
次から物語は進みます。