ラブライブ 〜Anather story 〜 作:ナンジョルノ
日も落ちて東京の街は綺麗に、そして慌ただしく煌めいていた。その中でも秋葉原は独特の雰囲気を出している。通る人はみな何か目的を持っていて、少し騒がしくても何かのイベントだろうと見向きもしない。そんな街の片隅で私は妹と二人組の男に追いかけられていた。
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学校を出た時には、すでに5時を過ぎていた。生徒会に篭って廃校をなんとかするために、打開案を練っていたのだ。親友の希は神社でバイトがあるからと、途中で帰ってしまったため、結局1人で考え込んでいた。だが1人で考えてみても、結局は学校の良いところをアピールすることしか考えつかない。
しかも、現状の学校の手札と言えるアピールポイントも多いとは言えない。部活動においても目立った成績もない。強いて言えば《珠算関東大会6位》ぐらいだろう。微妙すぎてなんとも言えない。つまり泥沼だ。あぁ、もう考えたくないと書類を片付けてすぐに生徒会を出た。
なんとかしなければと、考えれば考えるほど頭が回らない。希にはカギが揃えば上手くいくはずやと、いつもの謎な助言を言われたが、私は生徒会長としての責務がある。そんな悠長に待ってはいられない。そして何よりこの学園が大好きなのだ。絶対になんとかしてみせる。
下駄箱に上履きを納めて外を出ると、もう日が暮れようとしていた。そこでハッと気づく。今日は妹の亜里沙と夕飯の買い物へ出かける予定だったのだと、急がなければと待ち合わせの校門へと急ぐ。すでに約束の時間から30分が過ぎようとしていた。亜里沙は私と違ってロシアでの暮らしが長いため、日本に慣れていないのだ。人懐こい亜里沙なら知らない人について行きかねない。
「あ、おねぇちゃん!遅いです!遅刻です!」
校門に私と同じ瞳を持った女の子が待っているのが見えた。良かったちゃんと待っててくれたんだと一安心した。
「ごめんなさい。生徒会のことで、色々案を出してたらこんな時間になってたの。代わりに今日は亜里沙の好きなご飯にしましょう。」
「わぁー!本当ですか?じゃあ亜里沙は鯖の味噌煮というのを食べてみたいです!」
「また随分と日本食ね。作れるかしら。」
作り方など知らないが、料理アプリを先週ダウンロードしたので、いけるだろうと自分の中でこの問題は解決した。
「さぁ、早く行かないと!美味しいお魚さん達が待ってます!」
そう言って亜里沙は私の手を引っ張って、行きつけのスーパーまで走ろうとする。結構距離があるのに、大丈夫かしらと思いながらも、無邪気な妹の後に私もついて行く。
「ハラショー!いろんな魚がありますねー。お姉ちゃん!この魚が鯖ですか?」
スーパーについた途端に亜里沙は鮮魚コーナーへと向かった。そして沢山の魚に目を輝かせている。
「それはブリよ、亜里沙。鯖はこっち。」
本物の鯖を亜里沙に渡してやると、興味深々で二つを見比べていた。それを見てついつい笑ってしまうが、笑うと亜里沙がどうしたのですか?と聞いてくるので、なんでもないわと言っておく。どこまでも純粋な妹を見ていると、私の悩みなんてバカらしく思えてくる。
「さぁ!早く帰りましょう!魚は鮮度が命なのよ!」
家に帰るまでに鮮度なんてそうそう落ちるものではないけれど、純粋な亜里沙は信じて、急いでレジまで持っていく。まったく可愛いものだ。でも日本に来た時の私もあんな感じだったから、ちょっと昔の自分を見ているようで恥ずかしい。
レジで会計をすませると亜里沙は上機嫌で買った商品をレジ袋に詰めていく。途中生卵を1番下に置いちゃダメよと注意したが、きっと本人は何故かはわかっていないだろうな。
「もう、すっかり夜ね。早く帰りましょう。」
店の外へ出ると外はすっかり暗かった。夜になればなるほど、危険性は上がってくる。世の中物騒だし、危険な大人なんてこの国には山ほどいる。それが日本の中心なら尚更だ。なにより私は暗いのが苦手だった。早く帰りたい。
「あのぉ、ちょっといいですかぁー?」
後からの声に反応するとそこには、20代と思われる明らかにチャラチャラした男が立っていた。こんなやつには関わってはいけないと無視して帰ろうとする。
「ちょっと待ってくださいよ、お姉さん!ちょっとしたアンケートに答えて欲しいなぁーって声かけさせてもらっただけなんですよー!」
「アンケート?すみません。私も妹も早く帰らないといけないので、失礼します!」
こうゆう男はナンパの類いだ。教育に悪いものを亜里沙に見せるわけにはいかないと、亜里沙の手を掴んで無視して目の前を通り過ぎようとした。
「お姉ちゃんいいの?アンケートぐらい受けてあげてもいいんじゃないでしょうか。」
「お、妹さんは話が早いね!ささ!あっちにアンケート答えてもらうためのクルマ用意してるから行こうよ!謝礼も出すからさ。」
「待ちなさい!勝手にそんな話を進めないで!」
男は亜里沙の手を取りクルマへ連れ込もうとする。
「さぁ、妹さんもこう言ってますし、お姉さんもどうぞどうぞ!」
後から別の男に背中を押される。本格的に怪しい。2人の男に強制的にボックスタイプのクルマの近くまで連行される。頭の中ではすでに危険のサイレンがなっている。まずいとは思うが、女の私ではこの2人の力には勝てない。亜里沙に至っては私より力がないので勝てるわけがない。どうすればいいのと頭をフル回転させる。
「さぁ、この中にどうぞ!」
男の顔が下品にニヤけていた。私はこのままでは仕方ないと、勝負にでることにした。幸いなことに、スクールバックには教科書と参考書が結構入っていたため、これで攻撃すればいくら男と言えど怯むはずだ。
「亜里沙!走りなさい!」
私は男の手を振り払うと全力でスクールバックを男の顔面にぶつけた。そして、亜里沙の手を掴み全力で走った。
「くそ!ばれたか!おい!逃がすな!」
スクールバックをぶつけられた男が、もう一人に指示を出すのが聞こえた。上手くいったが、ここからはまったく考えていなかった。でもとりあえず逃げるしかない。私は亜里沙の手を握りながら、全力で走る。
通行人がいてくれればいいのだが、あいにくここは人通りの少ない裏路地で人があまり通らない。逃げる道を間違えたと心の中で舌打ちする。そして、目の前の分かれ道を左に曲がったところで私の思考は止まってしまった。
「行き止まり……」
「ふぅ……やっと追いついたよ。おねえちゃん!相棒の顔によくもあんなもんぶつけてくれたな。」
「お、お姉ちゃん……怖いです……」
行き止まりに追い込まれて、男に追いつかれた。亜里沙は怖さで手が震えている。私も内心は怖くてしかたない。今の私を立たせているのは妹を守るという責任だけだ。
「へへ!やっと追いついたぜ!さぁ、さっきのお礼たっぷりしないとね!姉妹揃っていただくよーん!」
もう一人が追いついてきて、下品な笑いを浮かべながら近づいてくる。
「おい、おれに妹よこせよ!こうゆう顔好みなんだ!」
一歩一歩男達が近づいてきて、私と亜里沙を追い詰めていく。そしてもう手が届く距離まで男が近づいてきた。
「お姉ちゃん!!」
「亜里沙!!」
私と亜里沙は恐怖で泣いていた。それでも私に出来ることは亜里沙を最後まで守る事だと抱きしめた。そして男の手が私に触れる瞬間だった。私は見た。
「グハァ!!!」
「うっ!!」
男たちの後からひょっとこの仮面に、黒のパーカを目深にかぶった背の高い男が狭い路地と壁を利用して、アクロバティックに空中で男の頭二つを確実に足で捉える瞬間を………
「さぁ、はやく!こっちだ!」
ひょっとこ仮面は私と亜里沙に手を差し伸べてきた。その声はどこかで聞き覚えがあり、私は自然と手を掴んでいた。この人は助けてくれたのだと確信し、すぐに走り出す。さっきまで震えはもうない。
「うっ!おい!まて!」
後で男達の声が聞こえた。あの蹴りを食らってまだ起き上がるのかと、再び恐怖の感情が込み上がってくる。
「大丈夫だから!君たちには指一本触れさせないよ!さぁ、この先を左に曲がれば安全なとこだ。」
仮面の男は私たちにそう告げると手を離して、男たちに向かいあった。
「貴方も逃げましょう!危ないわ!」
「ふふ!大丈夫!これがあるからね!」
仮面の男はパーカのポケットから缶を取り出した。あれは………おでん缶?何故?
仮面の男は邪魔なのかパーカのフードを後に払って、おでん缶をピッチャーのように振りかぶって投げた。
おでん缶は歪な回転ではなく、ライフルの弾のように男へ放たれた。私は野球は生で見たことはないが、あれは相当速いと思う。なにより男の顔面に直撃したおでん缶はドス!と鈍い音を立てて男を気絶に貶めた。
「ハ……ハラショー……」
気づけば私と亜里沙は同じ言葉を口にしていた。そして、私は腰を抜かしてしまった。
「ふぅ……間に合ってよかったよ!とりあえずアレは警察に任せよう。すでに呼んであるからもう時期くるはずさ。」
これで仮面をしていなければ、かっこいいのにひょっとこの仮面が奇妙な雰囲気を醸し出している。
「ふぁぁーかっこいいです!これが仮面ライダーですね!助けていただいてありがとうございます!」
亜里沙が大きな間違いをしているが、私には突っ込む気力はない。
「ふふ!仮面ライダーか。懐かしいね!」
ひょっとこ仮面は笑いながら、仮面を取り素顔を見せる。その素顔に私は息を呑んだ。
「やぁ、こんばんわ。綾瀬さん!」
異常に整った顔には見覚えがあった。今日理事長室まで私が案内した臨時教員の綺羅春人という人だ。
「あ、あなただったのね!」
「学園からの帰り道で君たちを見つけてね!ちょうどその時君がスクールバックで男を殴ってたから、これはただ事じゃないと思ってね!いやーでも君たちを助けれて良かったよ!」
彼はニコリと笑顔で私の頭を撫でた。そして急に真剣な目になり……
「最後までよく妹を守ったね。よくやった!怖かったろう。」
その声はとても優しくて、私の心に溶け込んだ。そして、さっきまでの恐怖を思い出して、また涙がこみ上げてきた。気づけば私は彼の胸で泣いていた。本当に怖かった。
しばらく泣いて、気持ちが落ち着いてたのか、頭が冷静になってきた。そして今の状態を考えた。男の人の胸にしがみついている自分を想像すると顔がカァっと熱くなる。
「ご、ごめんなさい!私ったら!」
「いいよ!怖かったろう。さぁ、家まで送ろう。もうすっかり夜だし、女の子だけじゃ危険だ。」
彼は私の手を握って、立ち上がらせてくれた。そして、亜里沙の手も握って、さぁ行こうと歩き出す。握られている左手を見るとドギドキしてしまうが、落ち着こうとしても、胸のドキドキは収まらず余計早くなってしまう。これじゃまるで……
「あの、お兄様?おでんは飲み物なのでしょうか!」
「お兄様?あーえーっと。そうだね!飲み物かもしれない!」
「妹に変なこと教えないでくれる?」
いや、気のせいかもしれない………
はい!ヒロイン2人目のエリーチカとのエピソードでした!
完全にオリジナルです笑
あんまりかっこいい演出すると面白くないと思ったので、ひょっとこ仮面とおでん缶で和めれたのではないでしょうか!
はぁ……いまだ1話分も終わってない……先は長いです。。。