魔法少女ともか☆マギカ   作:AC-130U

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いつもの朝

 

 

その後、のろまなわたしはやっぱり遅刻しそうな時間に家を飛び出しました。

 

 

 

一生懸命走ってやっと、わたしの友達たちに追いつきました。

 

「おっはよー!」

 

見慣れた三人の影を通学路で見つけたわたしが、手を振って駆け寄ると───

 

「おはようございます」

 

「まどか、遅ーい!」

 

「待ったんだぞー」

 

ひとりはにっこりと、もうひとりはにかりと、そしてもうひとりは、にぃっと微笑みながら振り向きました。

 

 

丁寧に頭を下げてお辞儀してくれる、髪の長い奇麗な子は、志筑仁美ちゃん。

清楚な彼女は、見滝原中学校に入学してから仲良くなったクラスメートです。

 

腕を組んで、にやっとわたしを見つめている前髪の長いショートカットの子が、近衛友華ちゃん。

さやかちゃんに負けず劣らずな男勝りな子です。

 

そして、すかさずわたしを羽交い絞めにしてくるこのショートカットの子が、その美樹さやかちゃんです。

 

友華ちゃんとさやかちゃんとは、小学校から一緒の、一番長く付き合っている子でした。

 

 

 

 

「・・・・・・ご、ごめん」

 

わたしが切らした息を整えつつそう謝ると、さやかちゃんは、突然「おお?」とわたしの髪を見つめてきました。

 

「かわいいリボンじゃん。ね、友華、仁美?」

 

「そ、そうかな・・・・・・派手すぎない?」

 

照れくさくてそう訊き返すと、仁美ちゃんと友華ちゃんが微笑みます。

 

「いいじゃんか」

 

「とても素敵ですわ」

 

みんなわたしなんかよりもずっとおしゃれ上手なので、そう言われると、すこしだけ安心できるわたしでした。

 

 

そのまま、四人並んで仲良くいつもの通学路を進みます。

 

今日も、空は雲ひとつなく───

抜けるような青空が広がっていました。

 

 

わたしは大きく息を吸い込みます。

緩い坂を下るように駅方向に顔を向けると、そこには見滝原の街が広がり、遥か地平には山々が霞むように連なっていました。

 

 

───新しいものと古いものがとてもうまく融合している、住むには最高の街さ。

 

前に、ママが気持ち良さそうに目を細めてそう言っていたのを思い出します。

 

 

確かに、駅前には大きなショッピングセンターがあったし、広めの公園も多くて、朝や夕方には犬を飼っている人たちが仲良く散歩させています。

いつも誰もが笑顔で歩いているようなそんな街───それが、わたしの住む見滝原市でした。

 

 

 

「で・・・・・・まどかさん。訊いてくれました? 例のこと」

 

仁美ちゃんがどこか照れるようにそう尋ねてきたので、わたしは頷きました。

 

ここに来るまでにもどう伝えるかわたしなりに考えたんだけど、結局、ママの言ったことをそのまま伝えます。

 

「あのね、直に告白できるようにならなきゃ駄目だって」

 

「やっぱり、そうですよね・・・・・・」

 

仁美ちゃんが、何かを考え込むように頷くと、

 

「いやー、相変わらず、まどかのママはかっこいいなぁ」

 

さやかちゃんが感心するように声を上げました。

 

「そ、そう?」

 

「そうだよ! 美人だしさ。バリキャリだし、ホント憧れちゃうよ!」

 

「そうそう。さやかよりずっとかっこいいよ」

 

「あ! こらぁ、友華ー!」

 

友華ちゃんがさやかちゃんをからかって───友華ちゃんは追いかけられます。

 

これが、わたしの家族と同じように、ふたりの恒例行事なのでした。

 

 

「やっぱり、そうだよね・・・・・・」

 

そんなふたりを横目に、わたしは考え込みます。

 

・・・・・・うーん、それはとっても嬉しいことだし、自慢できることなんだけど・・・・・・

わたしにしては───ママがかっこいいほど、プレッシャーが凄いのです。

 

 

ママはいつだってすぐに自分の考えを言うことができて、わたしにはできません。

そしてママは自分の考えをすぐに行動に移すことができて、わたしはやっと思いついた自分の考えを、行動に移す時にまた迷ってしまうのです。

 

結局、ママが十の行動をする間に、わたしはようやくひとつ行動するような有様でした。

だから、ママが褒められれば褒められるほど、どうしてわたしはこんなにどんくさいんだろう、と落ち込んでしまうのです。

何事にも自信をなくしてしまうのです。

 

 

わたしがひとりでぐるぐると考え込んでいると、

 

「まどかさんのお母さんみたいに、きっぱり割り切れたらいいんだけど・・・・・・はぁ、返事どうしようかしら」

 

仁美ちゃんが、静かに溜息をつきました。

 

それで、わたしも慌てて───そうだよね、どうしようね、と一緒に考え始めます。

 

「しかし、羨ましい悩みだねぇ」

 

さやかちゃんは、呑気な顔つきで伸びをしながらそう言うけど・・・・・・実は、ちょっぴりわたしもそう思います。

 

 

───どこかの男の子から手紙をもらったら、どんな気持ちがするんだろう?

 

そんなふわふわとしたわたしの想像は、いつしか口から勝手に飛び出していました。

 

「いいなあ、わたしも一通くらいもらってみたいなあ・・・・・・ラブレター」

 

「お?」

 

・・・・・・え?

 

気がつくと、さやかちゃんは───満面の笑みでわたしににじり寄ってきています。

 

「まどかも仁美みたいなモテモテ美少女に変身したいと? そこでまずはリボンからイメチェンですかな?」

 

「ち、違うよぉ、これはママが・・・・・・」

 

「さてはママからモテる秘訣を教わったな!? けしからん! そんな破廉恥な子はこうだ!」

 

「や、やッ、ちょっと! やめてぇ」

 

 

何を隠そう、わたしはたいへんくすぐりに弱いのです。

手が伸びてきただけで、まだ触れていないのに身をよじってしまうほど、くすぐりの刑、恐怖症です。

 

 

「さ・・・・・・さやかちゃん! やめて! きゃははは」

 

「わはははっ。可愛いやつめ。でも男子にモテようなんて許さんぞー。まどかはあたしの嫁になるのだ!」

 

これはさやかちゃんの口癖なのですが、そんなことより───

 

「いやーッ」

 

わたしが全力で拒否しても、くすぐったくて笑顔になっちゃうので、さやかちゃんはよりいじわるモードに突入です。

嫌なのに強制的に笑顔にされてしまうなんて───くすぐりの刑はこの世で一番ひどい刑だって声を大にして言いたいんだけど・・・・・・きゃははは、やめてー!

 

 

 

そして、それは───

 

「はぁ、おいおい・・・・・・」

 

と友華ちゃんが溜息をつき、

 

「・・・・・・コホン」

 

と仁美ちゃんが咳払いして。

 

 

「・・・・・・・・・・・・あぅ」

 

 

たくさんの生徒たちが、目を丸くして見ていることに気がつくまで続いてしまったのでした。

 

 

 

 

 

 

 




さやかの「あたしの嫁!」、杏子たんに向けてやらせたいw
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