魔法少女ともか☆マギカ   作:AC-130U

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まだ、しばらくまどか視点です。


きっと夢、だったよね?

 

 

 

 

 

「えー、今日は大事なお話があります」

 

 

朝のホームルームのことでした。

教壇の向こうで、担任の早乙女和子先生のいつにない真面目な口調が響きます。

 

 

「皆さん、心して聞くように」

 

 

眼鏡の奥の瞳が、きらりと輝いていました。

 

そしてその低い言葉に、そこはかとなく緊張感が漂って、教室中を静かにさせます。

 

 

「はい、中沢くん! 目玉焼きとはッ、固焼きですかッ? それとも半熟ですか!?」

 

 

突然、指名された中沢くんは強ばった表情で立ち上がります。

それから、しばらく黙った後───愛想笑いを浮かべておずおずと答えました。

 

「えと・・・・・・どっちでもいいんじゃないか、と・・・・・・」

 

 

すると、その通りっ!と和子先生は拳を突き上げました。

 

「そう、どっちでも宜しい! たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」

 

無事正解した中沢くんは、突然の緊張から解かれて、へなへなと席に着きます。

 

 

和子先生はいよいよ言葉激しく唾を飛ばしました。

 

「女子の皆さんはくれぐれも! 半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように! そして男子の皆さんは絶対に、卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」

 

 

なぜか和子先生は、肩で息をついていました。

 

 

 

───別れたか・・・・・・

───別れたんだねぇ・・・・・・

 

 

同時に、さわさわと教室のあちこちで囁き声が響きます。

 

 

しかし、言いたいことを思いきり言い切った和子先生は、すっきりしたのか、ほつれた髪をさっと手櫛で直して、にっこりと微笑みます。

 

「はい、それから。今日は皆さんに転校生を紹介しまーす」

 

「・・・・・・おい、そっちが後回しかよ?」

 

さやかちゃんの的確な突っ込みがわたしの耳に届き───

 

「じゃあ、暁美さん、佐倉さん、いらっしゃーい」

 

和子先生の言葉に促されるように、扉を開けて入ってきたその少女達を見た瞬間。

 

 

 

わたしの心臓は、とくん、と高鳴りました。

 

 

 

・・・・・・うそ、まさか・・・・・・?

 

 

 

同時に、クラスの中から、おおお、とどよめきが響きます。

 

「うわッ・・・・・・すげー美人! そして、かわいぃー!」

 

さやかちゃんも興奮してそう叫んでいたけど───

 

わたしはひとり心のなかで「まさか、そんなまさか」と呟いていました。

 

 

 

そう・・・・・・長い黒髪に、人形のように整った顔立ちを持つその少女。

そして、同じく長い赤髪が、すこしボサッとした赤面している少女。

 

そのふたりの少女は───今朝、わたしの夢に出てきた子たちなのでした。

 

 

 

「はーい、それじゃ自己紹介いってみよー」

 

和子先生が騒然とする教室を黙らせるように言うと、まず黒髪の少女が口を開きます。

 

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

 

 

だけど───

 

そこから先、みんながどれほど待っても、暁美さんは何も言いません。

 

黒板に「暁美ほむら」の「暁美ほ」まで書いた和子先生は、目で続きは?と促していたけど、暁美さんは無視するように黙り込んだままでした。

 

 

さすがに、教室中に気まずさが漂い始めた、その時───

 

暁美さんは唐突に動くと、和子先生からチョークを取り上げ、自ら黒板に「暁美ほむら」と完成させて、またこちらを向き直ります。

それから長く奇麗な黒髪をさらりと下げて、深々と頭を下げるのでした。

 

マイペースというのか、変わっているのか、その強い存在感にクラスの誰もが固まっていたけど・・・・・・やがて誰かが手を叩いたのをきっかけに、クラス中からぱらぱらとした拍手が起きました。

 

 

けど───わたしは、拍手をすることも忘れていました。

 

それは、その少女がまっすぐにわたしを見つめていたからで・・・・・・

 

鋭く、強く、凛とした瞳の輝きに、射抜かれていたからで。

 

 

そう、それは───今朝の夢のように。

 

 

わたしは、指先すら動かせないほど固まってしまっていました。

 

今の今まで忘れていた、あの嫌な夢を思い出します。

 

 

世界の終わりのような、赤黒く染まる空、乾いた大地。

そして、廃墟と化した街に浮かぶ、巨大な怪物───

 

思わず、目を瞑ってしまいます。

頭を振って、夢の光景を追い払い、もう一度そっと目を開いたんだけど───まだ、暁美さんは冷たい視線でまっすぐにわたしを見つめているのでした。

 

 

わたしが固まってしまっている中、それでもホームルームは続きます。

 

「そ、それじゃあ、佐倉さん」

 

「は、はい!」

 

 

「さ、佐倉杏子ですっ! よろしく、お願い、します・・・・・」

 

赤髪の子、佐倉さんはおどおどしながらそう言うと顔を背けてしまいました。

恥ずかしがっているのか、顔から火が出そうな勢いで赤面しています。

 

 

「おお? これはあたしの嫁第二号かー?」

 

さやかちゃんは瞳を輝かせながらそう言っています。

わたしも、この子は優しそうだななんて思って、少し安心していました。

 

暁美さんとはとても対照的に見えました。

 

 

 

そこで、わたしははたと気づき暁美さんのようすををもう一度確認します。

 

でも、もうわたしを見つめてはいませんでした。

何か、考え事をするようにただ静かにそこに佇んでいました。

 

 

それに安心し、やっとわたしは息を吐き出します。

 

やがて、クラス中から拍手が起きました。

さやかちゃんに至っては、それはいきいきと佐倉さんを見つめています。

 

そんなようすを見て、暁美さんのことは気にはなりつつも、微笑んでしまうわたしでした。

 

 

 

 

でも、ただひとりだけ。

友華ちゃんが何も言わず黙っていたのに、わたしは気づきました。

 

 

腕を組んで、いつになく真剣な眼差しでじっとしていました。

まるで何かを警戒するように座っています。

 

 

 

でも、その時のわたしにそれが何を意味するかは───知る由もありませんでした。

 

 

 

 





はてさて、どういう展開にしようか・・・・・・
ご提案があれば、是非。


赤面杏子たん かわいい///
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