side ゲント
「ジン、久しぶり!コミュニティが襲われたと聞いて随分と心配していた!」
先程までと違い、年相応の可愛らしい表情と口調でジンに駆け寄るサンドラ。
そういえば3年前まで普通に交流してたんだっけ。
仲良くてもおかしくはないか。
「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」
「ふふ、当然。魔王に襲われたと聞いて、本当は直ぐに会いに行きたかったんだけどお父様の急病や継承式の事でずっと会いに行けなくって」
「それは仕方ないよ。けどあのサンドラが
「その様に気安く呼ぶな、名無しの小僧!」
ジンの言葉を聞き、マンドラが詰め寄る。
というか斬りかかった。
ジンとやらの首筋に触れる寸前に金髪ヘッドフォン――十六夜が足の裏で刃を止めた。あれただの靴なのによく止められたな。
「おい。止める気なかっただろお前」
「当然だろう名無しのクズ共。サンドラは北の
いきなり斬りかかられた。危ないな。
「おいマンドラ。いきなりなにしやがる。鬱陶しい」
「人の発言を捏造しといてよく言うわ!それに勝手にうちの酒飲んでいる!?というかどこから持って来た!?」
「ここに来る前に酒蔵が開いてたから」
「勝手に持ち出すな!」
「ちゃんと金は置いといたから問題ねえ」
「勝手に持ち出すな!」
五月蠅いなあマンドラは。
せっかくの人払いなのに騒いでたら外に聞こえるだろうに。
「なあ。あの二人はいつもああなのか?」
「……はい。マンドラ兄様はゲント様の事が気に入らないようでいつもああなんです」
「こいつがしたことを考えれば当然だ!」
俺なんかしたっけ?
「惚けた顔をするな!星海龍王の遺産を奪おうと2年前サラマンドラに仕掛けてきただろ!」
「あー。あれ?結局遺産が手に入らなかったから完全に無駄足で示談金出して大損害だったんだよねえ」
太陽の主権と最強種に対する切り札があると推察し(過去の文献参照)、仕掛けたが何も手に入れられなかった上に汚名をかぶり敵を増やして金を払って示談というある意味完全敗北した抗争である。
「貴様のせいで”角”の片方が失われただろうが!」
「何度も言ってるけど手に入れてたら大々的なゲームでもして全力でおちょくるっての」
「信用できるか!」
信用ないなあ。
「つーか、その”星海龍王の角”とか要らねえんだけど。狙いの遺産はもっと価値あるものだったし」
「嘘をつけ!遺産でもっとも価値あるのは”角”しかないわ!」
ん?
今サンドラちゃんの顔色が一瞬変わったな。頭首しか知らない情報なのかな?
「お前らの管理の杜撰さを俺のせいにするなよ」
「あの時に無くなったのだ!お前以外あり得ぬわ!」
「聞けよ」
以上のことにより二年前のゲーム以来、”サラマンドラ”ではかなり嫌われているのだ。
頭首が変わるまでに色々懐柔工作したので交渉出来る程度にまでは懐柔が出来た。
元から前党首とサラ姉さん(最近知ったけど年下らしい成長速度の差って残酷だ)が割と仲良かったのでその周りから切り崩していったのがいけなかったのだろうか?
それにしてもサラ姉さんは3年前から見てないがどこ行ったんだろうか?
” ”が潰れてから”サラマンドラ”を飛び出したと聞いているが……南側にいるらしいがあっちは幻獣が多いから意思疎通が出来ないことも多く、どうしても敵味方の入り乱れる北側を優先しがちであるから南側はあまり行かないんだよな。
「話が進まないからおんしらは少し静かにしとれ」
「へいへーい」
「ふんっ!」
酒を飲み干してしまったので煙管に火をつけ紫煙を燻らせる。
マンドラが睨んでるが無視する。
どうでもいいから話半分で聞いていたがどうやら” ”から春日部が『造物主達の決闘』に出るらしく決勝進出した連中の話をしているようだ。
「へえ、"ラッテンフェンガー"……『ネズミ捕り道化』のコミュニティか。てことは、明日の相手はハーメルンの笛吹き道化だったりするのか?」
十六夜の呟きに、黒ウサギと白夜叉は慌てて十六夜に詰めよる。
「”ハーメルンの笛吹き”ですか!?」
「まて、どういうことだ小僧。詳しく話を聞かせろ。」
これから
なにか狙いがあるのか?
「ああ、すまんの。――最近召喚されたばかりのおんしらは知らぬ事なのだが、”ハーメルンの笛吹き”とはな、とある魔王のコミュニティ”幻想魔道書群”の下部組織だったのだ。その魔王のコミュニティは全二〇〇篇以上の魔道書から悪魔を呼び出した、ある召喚士が統べたコミュニティだったのだ」
そういえばそんなのいたらしいな。
俺が生まれる前に中心の『詩人』は討伐されたと聞いていたが、召喚された悪魔どもはある程度生き残ってるらしい。
最近知り合った奴は悪魔というより悪霊だったような?
どうでもいいか。
「おいマンドラなんで俺を睨んでる」
「貴様が呼んだのだろう!」
「そこまで暇じゃねえよ。だいたいコミュニティ紹介してやっただけで招くかどうか決めたのはお前らだろうが!いい加減にしろお前!」
流石にキレた。
「表出ろや!ぶっ潰してやる!」
「上等だ!数々の無礼を後悔させてやる!」
この後、マンドラと演習場でやりあってたら妹たちに鎮圧された。
お互いの認識
マンドラ→ゲント(危険人物兼交渉相手)
ゲント→マンドラ(商売相手兼友人)
ゲントの服装
・タキシード
・ハンチング帽
・煙管を片手に持ってるか咥えてる
という設定ですがどう考えても不審人物ですね
次からようやく本番(魔王のゲーム)が始められそうです