生まれ変わったらめんどくさい種族になっていた   作:ラーカー

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珍しく筆が乗って書き進めたけど
どう書いてもおかしくなっていく気がする

いつもより長め


お調子者は悪ふざけする

sideレティシア

 

 その光景を見てしまったのは必然というより偶然であった。

 十六夜との役割分担でフリフリの洋服の少女と陶器で作った人形ような巨人を相手にすることになった私は、苦戦する振りでもして二人を足止めしつつ情報を引き出すつもりだった。

 魔王との戦いでは些細な情報でも有益であるし、自身の強さに自信があったのも理由だ。

 だが、どこか別の事に気がついた少女の視線を追ったことで、隙ができ不気味な黒い風で意識を薄れさせられてしまった。

 

「シュトロムその子の足止めをお願い」

「BRUUUUUUUM!!」

 

 シュトロムと呼ばれた巨兵に吹き飛ばされてしまった。

 幸い誰もいない屋根に打ち付けられたが大したダメージではない問題なのは

 

「く、油断した」

 

 どうやら最近の平穏に少し平和ボケをしていたらしい。

 そうでなければ例えギフトを奪われて弱体していようとも、あのような奇襲をまともに受けることはなかった。

 しかし、反省はしても後悔はしない。

 事実は事実として受け止めなければ、魔王との戦いでは命を落としかねない。

 

(こいつはシュトロム――『嵐』か。ならば天災に関する悪魔。先ほどのやり取りからしても下っ端。それもいてもいなくてもいい程度の立場のようだ。ならあまり時間をかけずに倒して、あの少女を追わなくては)

 

 すでに少女を見失ったが別に隠れるつもりはなく、誰かを相手にするなどの目的がある動きであった。

 ならば、そこまで時間をかけるのは得策ではない。

 早めに追いつき目的の人物の保護、あるいは共闘を行ってあの少女に対応するのが最善。

 敵の合流が目的だったとしてそれの妨害あるいは時間稼ぎが次善。

 

「どちらにしてもお前程度に時間はかけられないな」

 

 龍の影を使用してシュトロムをバラバラにし、少女の飛び去った方向に向かって、かつての知人が、昔可愛がっていたゲントが先ほどの不気味な黒い風とは比較できないほどの霊格(ちから)のこもった黒い風。先ほどのが意識を奪うためならば殺すための攻撃を受けるのを目にしてしまった。

 

「   」

 

 黒い風を受ける直前、ゲントは私を見つけて何かを言ったようだったが、その声は聞こえず代わりに自分が声にならない叫び声をあげているのに、自覚することなく赤く染まった視界の中で少女に向けて本気で槍を叩きこんだ。

 

「もしかして大事な人だった?だとしたら謝るわ殺してごめんなさいね」

「――!」

 

 本気で叩き込んだ槍が効いてない事にも驚いたが、さらに驚くべきことが起きていた。

 

「別に謝る必要ないんじゃないか?死んでないし」

「な!?」

 

 振り返って余裕の表情をしていた少女が本気で驚いたように声の方向を向き驚愕する。

 

「あなた殺したはず!?」

「死の恩恵ってのは強力で凶悪だ。しかし、呪いに身代わりがあるように無効化できなくはない。もっとも俺みたいに死の穢れを纏って無効化するなんて真似はできないだろうがねえ」

 

 人のシルエットが見えないような黒い靄に包まれたそれはまるで何でもないように話していた。

 

「つくづく斜め上にいくな。それも死の恩恵だろうに」

「死で死を相克する。俺みたいな嫌われ者には死神対策というか必殺対策は必須でねえ。それよりレティシア離れな。主役(・・)の登場だ」

 

 多少、冷静になった私はその言葉に従うわけでもなかったが一旦距離を取り構え直した。

 そこに火龍の息吹が彼を襲う。

 

「遅かったじゃないかサンドラちゃん。さらっと俺が敵認定されてるのが悲しいぜ」

 

 大げさにそれを避けたゲントは余裕そうにサンドラへ声をかける。

 

「その声……ゲントさんですか!?それは彼女の仕業で?」

 

 状況を把握できてない様子のサンドラだが、確かに今の見た目のゲントはどう見てもやばい存在だ。

 しかし、いつまであの靄を纏っているんだ?

 記憶にあるゲントなら「鬱陶しい」とか言って解除しそうなものだが。

 

「いや自業自得」

「ハーメルンの魔王!あなたを――え?自業自得?」

「一瞬で殺す私の攻撃を防いで、勝手にああなったから自業自得といえば自業自得ね。あと私は”黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)”よ」

「……二十四代目”火龍”サンドラ」

 

 とりあえずゲントのことは脇に置いとくことにしたのか名乗りを上げるサンドラ。

 

「”黄昏”のゲントだ。早速だけど魔王ちゃんにサンドラちゃん。戦いなんかやめてデートしない?」

 

 しかし、ゲントはやはり空気を読まなかった。

 

「ゲントさん今はそれどころじゃ……」

「あなたふざけてるのかしら?」

「デートなら後で私がしてやるから少し静かにしてろ」

「わーい。全方位から厳しい意見だぜ。でもふざけてはいないぜ?」

 

 顔は見えないが立ち振る舞いからわかる。

 こいつは確実にふざけている。

 しかも確信的に何かを狙ってふざけているようだ。

 そしてそれは碌でもないと断言できる。

 

「二人ともうちに来れば俺が得だからな」

「あなたの都合なんて知ったことじゃないわ」

「私も”サラマンドラ”があるので」

「ふられちまったよ。ざーんねーん」

 

 ここまでは予定調和のようでそのまま何かを続けようとしたその時

 

『”審判権限”の発動が受理されました! これよりギフトゲーム”The PIED PIPER of HAMERUN”は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します―――』

 

「これは少し――どころかかなり予想外かな。中断されたなら俺は去らせて貰うよ。交渉に関わるだけで面倒なことになるし。バイバーイ」

 

 言うだけ言ってさっさと逃げる。その姿はいつも通りのゲントだ。

 ……気のせいか?

 いつもより調子が悪かったような?

 ふむ。主殿たちと合流する前に今回のゲームでのあいつの立場だけでも確認しておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideゲント

 

 幼女三人組と別れて、誰もいない路地裏に隠れていた。

 

「やばい死ぬ」

「大丈夫ですか!?」

「全身――いやそこまでないか。半分くらい腐れ落ちてんのに大丈夫だと思うならあの世への片道切符を用意してやるが」

 

 靄を解除したはいいけど、長時間使った悪影響で身体のあっちこっちが穢れにやられていた。

 

「頭と心臓とかには影響はなかったみたいけど。内臓の一割、肉の2割が腐ったな。このまま治すより取り除いてから治した方が消費は少ないかな」

 

 ちょうどがん治療のように取り除く、内臓系は下手に切り取ると面倒くさいので治癒で治すが、肉は切り取ってから治した方が効果は高いだろう。

 

「お手伝いします」

「ならユーちゃん。こことここ切り取ってくれ。新鮮な所も含めて」

「……!わ、わかりました!」

 

 怖々と背中に刃を突き立てるユーちゃんに指示しながら、治療を進めていく。

 

(うーん。即死は防げてもあの程度の時間でここまでダメージ受けるんだったらコスパは悪いなあ。薄めて効果がなくなったら意味ないし、やっぱ無理があったか)

 

 そもそも問答無用で殺すようなものを無理矢理、防衛に使っているのが間違いだったのかもしれない。

 まあ、即死防げるってだけで欲しがる奴は欲しがるけれどな。

 命あっての物種。生きてれば何とかなるってのは箱庭だからこその考えかもしれない。

 

「……ゲントか?」

 

震えるような声が聞こえたのでそっちを見ると、

 

「ん?なんだレティシアか。交渉に行ったんじゃなかったのかよ」

 

 また面倒くさいのに見つかったなあ。

 こういう真面目な善人って相手するのが一番面倒くさいのに。

 

「一応、人払い張っていたんだけどなあ」

「ああ、探し人がゲントでなければ見つけられなかっただろうな」

 

 そういえば昔、血を吸わせたことあったなあ。

 吸血鬼だからその時の匂いかなんかで俺の場所を特定したのかもしれないな。

 人払いはなんとなく近寄りたくないって思わせる程度の効果しかないし。

 

「あー、偶然じゃないってわけね。で、なんかよう?今治療で忙しいんだけど」

「……それは魔王のせいか?」

 

 切り替えたようだな。

 

「詳しくは教えないけど俺の即死対策の代償。聞きたいのはそれだけ?」

「いや違う。このゲームでのゲントの立ち位置を確認しておきたくてな。黒ウサギの味方をしてくれるのだろう?」

 

 希望的観測、いやマイシスターを出すことで味方につけようとしてるのか。

 最悪でも中立を維持させたいとかそこらへんかな?

 

「さっきも言ったけど魔王にもホストにも肩入れしないよ。今回は静観させて貰うつもりだ」

「そうか……。……それ大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないけど?まあストックは減ったが問題はない。あー、リトルシスターには黙っといてくれよ。やさしいあんたは言わないだろうけどな」

「……」

 

 レティシアって俺に対してなんか妙な感情を持ってるっぽいんだよなあ。

 流石にそこまでじゃあないだろうけど、一番近いのは俺の事を息子か何かと考えているんじゃないか?

 実際にはなんかの罪悪感だと思うが、そうだついでに聞いとくか。

 

「レティシア。ちょっと聞きたいことがあるんだが」

「……なんだ?」

「大したことじゃなくて悪いが――アジダカーハはどこに居る?」




ちょっとキャラがおかしくなってきた気がする

次回からこれぐらいの分量を目安に投稿しようかと思います

あとどうでもいいですけど感想返しやめます(今後の構想とか口走りそうな)のでご了承お願いします
感想は参考にするので感想くれるとうれしい
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