仮面ライダー龍騎 14番目のライダースレイプニル 作:壊れゆく鉄球
今日もいつものスーツを着、いざ出ようといったときに電話が鳴った。画面には妹の『美波』の名前がある。いや、いつもぎりぎりの出社だからやめていただけませんかね?
「はいもしもし。なんか用か?そろそろ出なきゃいかんからさっさと言ってくれ」
《あのさ。お兄ちゃん。もし…もしだよ?私がアイドルになるって言ったらどうする?》
「なるのか!?」
我が家の常識人である美波がアイドルにだと!?ナニイッテンダ!フジャケルナ!
《だからもしだって!で、どう思う?》
「……うれしくもあるし、寂しくもなる…かなぁ」
《……》
「ああすまない。そろそろマジでやばい。33-4ぐらいにやばいから切るぞ。じゃあな」
《う、うんお仕事頑張ってね!》
それにしても美波がアイドルになる姿か……。まったく思い浮かばないな。
☆
「プロデューサー殿。大丈夫でありますか?上の空ですよ?」
「え?ああすまん」
その後はぎりぎりの時間に出社でき、今は亜紀のテレビ出演の本番前である。しかし亜季は俺が上の空であるらしい。原因はやはり朝の美波のことだろう。
ソロソロホンバンイキマース!
「だってよ。しっかり見てるからな。ミスんなよ」
「わかってますって」
カメラが回りゲストとして亜紀が登場する。簡単な自己紹介から今日の予定が言われる。今回の目的はこのオフィス街の魅力を伝えること。レストランとかはすでに予約されているがその時間までは完全に自由だ。…もう一度言うがノープランだ。こんな撮影初めてだぞおい。
撮影が始まってから30分ぐらいだろうか。藍子ちゃんが一人の占い師を見つけた。亜季が交渉し撮影が始まった。一瞬俺を見たのは気のせいか?
占いの方法はコインでやるようだ。四枚重ねて上に二回放ち出た面で判断するシンプルなもの。まずは藍子ちゃんからのようだ。
「最近仕事が増えてきている。がそれでもまだ不満がある。時を待て。今できることを全力でやっていけば大丈夫だ」
「わかりました。高森藍子頑張ります!」
続いては亜季。
「誰か…親しい人との別れがある。早くて半年。遅くとも1年。その人との思い出をたくさん作っておけ。その人を忘れないためにも」
「…しかし信じなければ…」
「俺の占いは当たる。だが運命は変わるわけではない。むしろ変えてゆくべきものだ。その人と一緒にいれば変わるかもしれない」
撮影班が礼を言って離れようとしたとき、占い師―――『手塚海之』が俺を指さした。
「彼を占わせてくれ」
時間が押しているわけでもなく特に反対する理由がないため許可された。
「今日俺にとって重要な人物に合うと占いで出た。あんただと思うが?」
「…!」
カメラでは拾われないぐらい小さな声でいい、ポケットからカードデッキを見せる。
「その話はあとでだ。早く俺を占ってくれ。ま、当たるも八卦当たらぬも八卦だけどな」
「さっきも言ったとおりに俺の占いは当たる。そうだな…結論を言うと今日のあんたの運勢は悪い。今日できたものだろう?今頭を悩ませているものは」
「あ、ああ」
「真摯に答えてやれ。そうすれば関係は良好のままだ。大切なんだろ」
「わかった。よく考えるよ」
あの占い師…じつは結構な腕があるんじゃないのか?誰にもいってないぞ妹のことは。
その後の撮影は何の問題なく終わったが、あの占い師のことが頭から離れなかった。
☆
346プロに戻った俺は、残りの事務仕事を片づけ帰路に就く。正門を出たあたりで昼間の占い師が待っていた。
「何か用かなぁ?戦いたいってんならそれでもいいだぜ」
デッキを取り出すが占い師は俺の予想外のことを口に出した。
「俺は戦いをしに来たのではない。戦いを終わらせに来た」
「ハァ!?」
何を言ってんだこいつ!?ライダーは自分の願いを叶えるためにやっていいるんだろ?その願いは戦いをやめることォ!?
「むなしいとは思わないのか?こんな戦いを続けて」
「残念だがそうは思はないね。こんなことでしか願いを叶えることができないかもしれないだろ?やる気がなくなったよ。じゃあな」
バイクを走らせるが占い師もバイクで俺を追いかけてくる。なぜかはわからないがこの男に自宅を知らされても特に害はないように思える。さっきの言葉を信じてしまったからか。
あの男をどうしようかと考えて、なんとなくではあるが自宅の方向を見ると1条の煙が立っていた。煙が立っているだけならそれでいい。問題なのはその方角が明るいことなのだ。
「っておいおいおいおいおいおい!」
嫌な予感しかしねえ!俺の勘違いであることを祈りながらバイクを加速させる。自宅が近づくにつれ俺の嫌な予感は確信に変わりつつあった。しかし、最後の曲がり角が見えたところでモンスターの接近音が鳴った。
「ミラーモンスターだ」
「わかってる。自宅がすぐそこだっていうのに空気の読めねえ奴らだ」
俺と占い師はカードデッキを取り出しそれぞれのバイクの鏡に突き出す。
「「変身!」」
☆
ミラーワールド専用バイクのライドシューターに乗り込みモンスターの場所まで急行する。
「見つけたぜ!」
モンスターの形はイノシシっぽい感じだ。『食事』の後なのか牙に衣服の切れ端が残っている。
「今の俺のテンションは最低なんだ。一気に終わらせる」
《スティックベント》
近くの鏡に手を伸ばしゼブラロッドを取り出す。その瞬間にモンスターが突進を仕掛けてきた。多少早いだけなのでギリギリまで引きつけてから横にジャンプして回避する。以外にもこのモンスターは賢いのか、避けられたのがわかるとすぐさま止まりこちらに振り向いた。その無防備な瞬間を俺が逃すはずもなくゼブラロッドで一突きする。急な攻撃で踏ん張ることもできずに吹き飛ばされるモンスター。そいつに手塚は手に持った鞭で追撃をする。
「助かるぜ手塚」
ゼブラロッドに召喚器を取り付け戦線に復帰する。手塚は俺がモンスターに近づくのを見て鞭を振るうをやめる。モンスターも背後にいる俺に気付いたようだがもう遅い。おもいっきしに振り下ろした巨大斧はモンスターに大ダメージを与えた。
「決めるぞ!」
「ああ!」
《《ファイナルベント》》
初めに手塚がエイ型モンスターに乗ってファイナルベントを決める。イノシシが吹き飛ばされた先には俺とゼブラスカルが待ち構えていた。
「いらっしゃ~い♪」
俺とゼブラスカルはイノシシを挟むようにして切り刻みとどめに上段回し蹴りを叩き込んだ。
イノシシは連続して受けたファイナルベントに耐え切れずしめやかに爆散四散した。
☆
ミラーモンスターを倒し急いで現実世界に戻った俺は非情な光景を目の当たりにした。
「なんでやっぱり俺のアパートが全焼してんだよォォォオオオオオ!!」
手塚の言った通り今日の俺の運勢は最悪だチクショウ……。住まう家がないって…。
つづく