ゼロと勇者王   作:tonebon

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第00話 「終焉序曲」

「ゼロと勇者王」

 

 

 第00話 「終焉序曲」

 

「共存する方法もあるはずだ!」

 

 黄金色に染まる夕焼け雲。

 それはまぎれもなく地球の空だった。

 ただし、複製された地球の空であった。

 その空に響いた青年が叫んだ言葉。

 それはかつての地球を含む我々の宇宙の生存を脅かす敵との戦いにおいて放たれた言葉である。

 

 獅子王剴は異世界でその言葉を再び耳にした。

 

「共存する方法だって、きっとあるよ!」

「そうよ! わわわ、わかりあえる! 闘う必要なんてないんだから!」

 

 それはこの異世界で知り合い、共に闘った少年と少女の言葉であった。

 「地球」から共にこの異世界へ召喚された--その少年の名は平賀才人。

 そして彼を召喚した虚無の魔法の使い手--彼女の名はルイズ。

 

 彼等は奇妙な因縁とめぐり合わせにより、ガオファイガーに搭乗している。

 闘う勇者王は膝のドリルより下の針葉樹の森をバキバキとなぎ払いながら、その巨体を身構えた。

 かつてその身を融合させ闘う我が身としてきたガオファイガー--それが自分と対峙する。

 獅子王凱は苦笑した。

 凱はジェネシック・ガオガイガーにて戦闘姿勢をとっている。

 その破壊神--悪魔の如き巨体は微動だにしない。

 

 この異世界でも夕陽が遠くの山脈の向こうに降りていく。

 複製された地球でソール11遊星主と対峙したあの時と同じ美しい夕焼け雲。

 

 獅子王凱は迷っていた。

 破壊神の名をかせられ--そして殺めてしまった--その事実。

 あの瞬間に、まさに映像情報として焼きついた少女の顔。

 救えると思ったその直後に発生した惨劇。

 俺はこの世界とは分かり合えない。

 この世界とは闘う運命なのかもしれない。

 凱の心は疲れ果てていた。

 

「俺達は今まで闘ってきたんだぜ…俺は…俺達の闘いを否定する事はできない!」

 

 否定? 剴は無意識に自分の考えを咎める。

 咎める、悩む。しかし、今の剴にはこうするしかなかった。

 

「だから…サイト。今のお前はこの世界を救う勇者だ。勇者なら…俺を止めてみろ」

「剴さん!」

「ちょっとまってよガイ!」

 

 サイトとルイズの声。

 凱はジェネシック・ガオガイガーの両腕を胸前に突き出し、悪魔の如き鉤爪の両手を組む。

 

「ギルギルガンゴークフォ…」

 

 それは剴の「地球」を度重なる危機から救ってきたヘル・アンド・ヘブンの発動の呪文。

 獅子王凱のメモリバンクから複製された天海護とレプリガオガイガーと闘った刻の映像が浮かぶ。

 ああ、あの時の護の気持ちがわかった気がするぜ。

 剴にはわかっている。勝利するのは勇気ある者だと。

 

 異世界の夕陽が暮れていく。世界が夜の闇に染められてゆく。

 

 二人の勇者が対峙する光景を見て、ある存在がつぶやいた。

「これで本当に良かったのでしょうか、姉さん」

「ええ。彼をこの世界に召喚した時からこうなる事は覚悟していました。

 この世界の存亡を見届けましょう。

 そして--それから考えましょう。私が次のZマスターになるかどうかを」

 

 今、ジェネシックとガオファイガーの闘いが始まろうとしている。

 なぜこんな事になってしまったのか。

 なにが獅子王凱にあったのか。

 それを知るには過去に戻らねばならない。

 獅子王凱、そして平賀才人がルイズに召喚されたあの日に。

 

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