ゼロと勇者王   作:tonebon

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第02話 「桃色の髪の少女」 Aパート

 獅子王凱の人生は苦難の連続だった。

 

 木星探査で行方不明になった母を探す為、宇宙飛行士になる夢を実現した凱だったが、

その初飛行の時、突然の「機界」の侵攻により瀕死の重傷を負ってしまう。

 しかし、「機界」の侵攻を追って飛来したメカライオン「ギャレオン」によりもたらされた、

プラス思考「勇気」を力に変える「Gストーン」と、父「獅子王麗雄」により、凱はサイボーグとして蘇った。

 パンチ力は数トンを超え、新幹線と並走する事も可能な脚力をもつ、地上最強のサイボーグに。

 そして、地球の科学と宇宙の技術の結晶となる巨大ロボ「ガオガイガー」の力と、

頼もしい「最強勇者ロボ軍団」、そしてGGGの仲間達と共に様々な苦難を乗り越え、

ついに、「機界」を統べる「Zマスター」を消滅させ、最悪の敵「機界新種」をも倒したのだった。

 

 その「機界新種」との最終決戦の時、「Gストーン」による奇跡によってサイボーグと生機融合を果たしたのが

今の獅子王凱である。

 サイボーグの能力と融合した上で、生身の肉体をもつ「エヴォリュダー」と言われる存在になったのだ。

 

 しかし。

 それは、「機界」の生機融合体「ゾンダリアン」と同じ存在とも言えるのだ。

 戦ってきた敵と同種の存在になってしまった凱。

 

 この異世界で、凱の自分を見つめ直す闘いがはじまろうとしていた。

 

 

■第02話「桃色の髪の少女」 A

 

 

「怪我はありませんか?」

 コルベールが生徒達に言った。

 召喚された時点で瀕死の凱以外では、先の「馬頭巨人」の攻撃を受けたコルベール本人が、

一番重い怪我をしていた。

 受け身を取っていたが、脇腹が痛む。肋骨にヒビが入っていると自己診断した。

 そして自分がだいぶ鈍っている事を自覚した。

 

 「炎蛇」と呼ばれていた過去を思い出し、唇をかむ。

 

 コルベールは地面に伏して動かなくなった「馬頭巨人」を見た。

 なんだったのだろう。

 ミノタウロスに似ているが、別の存在と思われる。

 魔法探知をしたところ、なんらかの魔法による生物との結果が出たからだ。

 と、いうことは。

 この魔獣は自分たちの世界のどこかの場所からこの学院にやって来たという事。

 そして、なんらかのを目的をもって来たであろう事。

 今年の春の召喚の儀式は、なにかとてつもない事態の幕開けなのだと思えた。

 

「せ、先生。つ、使い魔がまた倒れてしまったんですけど…」

 桃色の髪の少女がもう一人の使い魔の少年の背中に隠れて言う。

 そう言えば、ミス・ヴァリエールが召喚した、この二人の使い魔もわからない。

 

 少年の衣服はどう見ても異質だった。こんな材質の服は見た事がない。

 黒髪もそれほど多く見られない特徴だ。

 さらに、先程の戦闘で左手の甲にルーンが出ていたが、あれも珍しいものだった。

 後で詳しくスケッチさせてもらおう。

 

 そして、血を流し傷だらけで倒れている赤く長い髪の青年。

 突然起き上がり、信じられない動きとパワーで魔獣を倒した青年。

 あんな動きが人間にできるはずかない。

 この青年についても詳しく調べなければ。

 

「状況はさらに悪化しているようです。急いで水魔法の治療を受けさせましょう」

「私がやる」

 

 いつのまにか、タバサが倒れている凱の側にちょこんと座っていた。

「先生は私に頼んだ。最後まで治す」

「でも、ミス・タバサの水魔法は専門じゃないでしょう?」

 タバサは首を振った。

「秘薬。水の秘薬を補助に使って治します」

 

 普段、あまり目立った事をしない彼女がこんなにこだわるとは。

 コルベールはタバサの素性をだいたい把握していた。

 この年令でガリア王国の「シュヴァリエ」の称号をもつ騎士である事も知っている。

 しかし、これは治療であり、この青年は瀕死なのだ。

 コルベールは専門の治療を受けさようと思ったが、

「ミスタ・コルベール。私も協力しますわ。だから、このルイズの使い魔の治療は、

タバサにまかせていただけませんか?」

 タバサの横に立つキュルケが真剣な眼差しでコルベールを見て言う。

 

 キュルケは思う。あのタバサがこんなにこだわるのだ。

 きっとなにか理由があるに違いない。

 それに、倒れている青年にも興味があった。

 青年が自分と同じ赤く長い髪をもつ事に親近感を覚えるし…なにより…よく見れば、

精悍な顔つきで、いい男!

 そんなキュルケの内心を置き去りにして、コルベールはルイズを見た。

「ミス・ヴァリエール。あなたの使い魔です。どうしますか?」

 

 コルベール、キュルケ、そして治療魔法をかけながらのタバサの視線がルイズを見た。

 

「なあ」

「な、なによ!」

 才人のパーカーの袖をぎゅっとつかんでいたルイズは、突然声をかけられ、びくっとしつつ、

袖から手を放し、半歩下がって、才人を見つめた。

 いろいろありすぎて混乱していたが、ルイズの心に焼き付いた出来事があった。

 この少年は自分を守ってくれたのだ。

「そろそろ目を覚ましたいんだけど」

「はあ?」

「ファンタジーの夢はそろそろいいかな、と。早く起きて、インターネットしたいんだ。

出会い系に登録したんだけど、メール来てるかもしれないし」

「はあ」

「俺も現実で彼女欲しいのよ」

「はあ」

「現実でもお前みたいな可愛い子とキスしたいしなあ」

「……」

 才人は自分の頬を指さした。

「ここんところをガツンと一発頼みます。目が醒めるような一撃をください!」

 数秒、ぽかんと口を開けて呆然としたルイズだったが、右拳をふるわせて言った。

「わかった」

「うん」

 ルイズは右拳をぎゅっと握りしめ、構えた。

「なんでこんなことになったのよ」

「うんうん」

「なんであんた達が召喚されちゃったのよ!」

「俺のせいじゃないよ」

「あの変な馬男はなんなのよ!!」

「あれはキモかったな。怖い怖い」

「契約の儀式がキスって誰が決めたのよ!!!」

「俺は嬉しかったなー」

「ファーストキスだったんだからね!!!!」

「俺だってそうだよ!」

 ここでルイズの怒りのオーラを込められた右パンチが才人の顔に叩きこまれた。

 才人は鼻血を出しながら意識を失った。

 

「先生」

「はい。ミス・ヴァリエール」

「使い魔がもう一人倒れてしまいました」

 

 

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