日常1.甘くて切ない想い―古明地 さとり―
―…けて―
―…すけて―
―助けて、弥生―
―待って、今助けに行くから―
―遅いよ…もう、私は―
―死んだのだから!!お前のせいで!!―
―違う!!あれは、私では…―
―お前のせいで!!―
―やめて、やめてよ…―
「うわあっ!!」
だらだらと嫌な汗が寝間着を濡らす。夏もそろそろ終わりを迎えてあの山の秋の神が張り切る出す頃だというのに。
「やはり、この悪夢に悩まされるのか…」
秋。秋と言えば食欲、読書、運動、いろいろあるがとにかく良いイメージの多い季節だが、私は一番憂鬱な季節である。なぜなら、"あいつ"の死んだ季節だから。本当は死んだのかどうかははっきりしていない。だけど、毎年のようにあの夢のせいでうなされる。にしても、今日も私の式たちはいない。まあ縛っておくのは良くない。
「こういうときは気持ちを切り替えないと、ね」
私は昨日夜酒でもしようと思って冷やしたままのお酒を持って、友人の所へ飛んでいった。
………
………
………
「なるほど、それで私の所へ来たのですね」
その昔忌み嫌われた妖怪達が今も多くいるという地下旧地獄、長屋が多く建ち並ぶなか、一際目立つ洋風の館。そこが地霊殿。
そこの主、古明地 さとり。名の通り覚り妖怪だ。出会ったのは30年くらい前か。仲良くなった話はまたいつか。
「仕方ない。けど、やっぱり毎年見せられるとキツいんだよね」
「…それが、あなたのトラウマなんでしょうね」
「うん…なにしろまだ解決してない問題だからね」
静かになる。さとりの紅茶をすする音だけが部屋に響く。
「…私は覚り妖怪です。基本会話しないのですが、あなたは心が読めない。いや、読む心が無い」
「しかしそれは矛盾しているのです。あなたの夢はトラウマ。トラウマは心的外傷ともいえます。ならば、傷付く心があるはずなのに、あなたにはそれが見えない」
「心は、昔どこかに忘れてきちゃったからね…」
さとりの言うことはもっともだ。それが妙に鋭く刺さる。だから、適当な言い訳をしてしまう。
「…私は、そんなに信用できませんか?」
「ッ!!そんなこと無い!!私は、私は…」
「いえ、無理に聞くつもりはありません。どうですか?今日は1日ここに泊まっていくのは」
「う…うん、そうするよ」
「とりあえず、風呂に行きませんか?地下ですから温泉がわいていまして」
「…うん、行こう。久しぶりにさとりとお風呂だね」
「ま、まさか、またアレをやるつもりですか…?」
「もちろん、だってさとりがすごく気持ち良さそうにするから、こっちも楽しくて」
「アレ、結構恥ずかしいんですよ」
「細かいことは気にしない!!さあ、早く行こう!!」
そう、気晴らしに来たのだ。暗い気持ちでおるなど相手に失礼だし、久しぶりに楽しみたいし。少しだけだけど、心が軽くなった。
………
………
………
「あれー?さとりー、ちょっと大きくなったんじゃない?」
「そ、そうですか?…あなたが言っても嬉しくなるどころか妬ましくなるんですけど」
「はは、そんなどこぞの橋姫みたいなこと言わないでよ。良いじゃん、こんなでかくても邪魔なだけだよ?」
「ちょっとイラっと来ました。今日はこっちから仕掛けますよ」
「えっ、ちょっと、私、受けはあまり…さとり?」
「大丈夫、やさしくしてあげるわ」
「目が怖いー!!」
「何やってるのー?お姉ちゃん、弥生」
「「!!」」
この時、二人の考えは一致した。そう、こいしで遊ぶと!!
「こいし、ちょうど良いわ。あなたも一緒に風呂に入りましょう」
「お姉ちゃんと!?弥生も入るの?」
「うん」
「じゃあ入る入るー!!」
(よし、今日の獲物は二人で山分けね)
(ええ、存分に楽しもうね)
「ふー、気持ちよかったね」
「く、こいし、なんという体力なの…」
「この弥生が勝てない…だと…!?」
…え!?ナニをやっていたかって?ふふ、秘密だよ?
「次はお空やお燐も呼んでやろうねー」
こいしはそうのたまうと、可愛く手を振り回し、鼻歌をしながら自室へ帰っていった…あの子のことだ、口からポロっと今日のことを言ってしまうだろうな…。
「とりあえず、私の部屋に、来る?」
「そうしよう…若干湯中りしたっぽい」
フラフラの足取りでさとりの部屋に向かった。
「ごめん、ちょっと横にさせて」
そう言うと弥生は私のベッドで横になった。本当に湯中りしたみたい。あんなに激しくするから…
「ちょっと水を持ってくるわ」
「ん~、ありがとう」
私は水を取りに向かった。
「あれ?さとり様、水なんて持ってどうしたのですか?」
「お燐…これは、湯中りして弥生に持っていこうと思って」
「ほほう、それはなかなか良いシチュエーションじゃないですか」
「どういうこと?」
「いま弥生さんは弱っているんですよ?いまならやりたい放題ですよ」
「な…!!そんなこと、し、しないわよ」
「ふふ、下着とシーツの替えは置いておきますから、存分に楽しんでください」
「~~~!!仕事してきなさいお燐!!」
「はーい」
まったく、余計なお世話よ。私たちはそんな関係じゃないのに…。
「すー、すー」
部屋に戻ってくると、弥生は寝てしまったようだ、寝息をたてている。なんとも苦しそうな顔だ。起こして水分をとらせなければ。
「………」
ドキッ。
湯中りのせいで顔や肌が赤くなっている。私と同じくらいか小さいのに、ものすごくエロい。
「ダメよ…弥生は湯中りしているのだから」
………
………
………
ち、ちょっとくらいなら、起きないよね?
そっと、顔に近づく。私にわかるくらい、熱い。
そのまま、上に乗る。頬、のど、腕、胸、上から順番に口づけをしていく。
「つ、次は…ここ…」
暑かったからか、下着はつけていない。
「い、行くべき、よね。うん、大丈夫、起きない…はず」
そう言い訳をして、私は―
「すー、すー」
「はぁ…私って、大事なときに決断できない…」
あのあと、私は結局中止して、冷水に浸したタオルをおでこ、首、脇の下にいれてあげた。お燐が見てたら怒られちゃうわね…
「…早く元気になってね」
私はそういって本を読み出した。
「お燐、さとり様はなにやってたの?」
「お空にはまだ早いかなー」
「そうなの?」
「なんなら今度教えてあげようか?」
「本当に!?ありがとう、お燐!!」
結局、この日は普通に食事をとって、こいしとさとりと一緒に寝ました。
「じゃあねー、また来るよ」
「ええ、いつでも来てください」
「弥生、またアレやってね」
「う、うん」
今日も楽しい1日だと良いな。あ、お酒、一緒に飲もうと思ってたのに、置いてきちゃった…。まあ、4人で飲んでもらえばいいか。
―出来ました、成功ですよ、神奈子様!!―
―ああ、だが、ここはどこだ?―
さとりはこんな感じが似合う。そしてさりげなく次の予告。