この少しおかしな幻想郷で私は   作:puc119

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第6話~木の葉が沈む~

 

 

 この何が何だかよく分からない世界。色々と上手くいかないことだらけではあるけれど、私なりに楽しませてもらうとしよう。

 

「……宴会?」

 

 私の言葉に対してレミリアはまた首を傾げた。

 異変を起こさせるのは無理そう。弾幕ごっこはできない。けれども、私は皆と騒ぎたいし、きっとそっちの方が面白い。

 妥協案と言う形となってしまうが、皆で莫迦みたいに騒ぐのなら宴会と言う場は丁度良い。

 

「ああ。皆で騒ぎながらお酒を飲むんだ。レミリアだってずっと此処へこもっているばかりじゃあ、面白くないだろ?」

 

 いつかの異変のときみたく、3日おきにやられるのはちょいと遠慮しておきたいが、やはり宴会は面白い。

 お酒が回れば落ちる話のひとつやふたつくらいあるものだ。だから、ちょいと頬染め騒いでみるのも悪くはないだろう。こんなもの楽しんだ者勝ちなんだ。

 

「ふ~ん、宴会、ね……それで、それはどうやってやるものなのかしら?」

 

 いや、どうやってって聞かれても困るんだが……誰かがやりたいと思ったときわーって始まるものだし。其処にルールとかはない。春は桜を見ながら、夏は暑さを紛らわすため、紅葉を見ながら飲むお酒は美味しいし、雪見酒ってのもまた乙なものだ。

 ただ、あの霊夢がいる博麗神社で開かれることが一番多かったかな。

 

「あー、皆でお酒や料理を持ち合わせてやるんだが……そう言えばお前、霊夢のこと知ってるか?」

 

 別に紅魔館で開かせても良いが、どうせやるのならあの神社でやっておきたい。だって、紅魔館じゃ訪れる奴だって少なそうだし。

 

「れいむ? いえ、私は知らないけど……えと、そのれいむって奴が宴会と何か関係があるのかしら?」

 

 あぅ。霊夢のことも知らないのか……まぁ、この世界ではレミリアが異変を起こしていないそうだし、それも仕方の無いことなのかねぇ。

 しっかし、そうなってくると色々と面倒だ。霊夢だってレミリアのことを知らないだろうし、もしかしたら幽々子とかのことだって知らないのかもしれない。初対面の奴らばかりを集めたところで、盛り上がる気とかしない。皆が皆よそよそしいとかそんな宴会は嫌だ。だから一発異変でも起こしてもらえれば良かったんだが……まぁ、できないものを求めても仕方無い。

 

 ふむ、とりあえず今後の目標は宴会を開くってことにしよう。最初の目標とはかなり変わってきたし、もうなんか色々とダメな気もするけれど止まることだけはしないぞ。

 

「んとだな、その霊夢って奴がいる神社で宴会を開いてもらおうと思ったんだが……」

 

 そう思っていたけど、霊夢とレミリアの間で繋がりがないとなると厳しい。そもそもこの世界では私と霊夢ですら出会ったばかりなんだ。いきなり宴会を開きたいって言っても上手くいかないよなぁ。

 これは色々と考える必要がありそうだ。

 

「まぁ、私ももうちょっと準備しないといけないから、宴会はまた頼むことにするよ」

 

 とりあえず、この世界では他の奴らがどんな様子なのか知っておいた方が良いだろう。どうせ宴会を開くのなら人数は多い方が絶対に面白いのだから。大丈夫、宴会の幹事は慣れている。

 それに今は無性に身体を動かしたい気分。幻想郷中を飛び回ってみるとしようか。

 

「あら、そうなの? なんだかよくわからないけど、楽しみにしているわ」

 

 そう言ってレミリアはくるくると笑った。屈託無い笑顔。ホント、この世界の奴らはこんな笑顔ばかりだ。ひねくれてしまった私はそんな笑い方すら忘れてしまったと言うのに。

 

「よしっ、それじゃあ、私はそろそろ動き出すとするよ」

 

 善は急げ。きっと今の時間は夜だろうけれど、妖怪なんかと出会うのには丁度良い時間。眠気はまだない。私はまだ動くことができる。

 

「えっ? もう行っちゃうの? せっかく来たのだし夕飯でも食べていったらどう?」

 

 なんか止められてしまった。こんなことばかりだ。

 う~ん、どうしようか。正直、パチュリーに出してもらった焼き菓子だけではちょっと物足りないと思っていたところだが……まぁ、せっかくなんだ此処はお言葉に甘えてみるとしよう。

 

「悪いな。それじゃあご馳走になるよ」

 

 腹が減ってはなんとやら。やらなきゃいけないことや、やりたいことは多いけれども、もう少しだけ待っていてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアから夕食に誘われて直ぐ、咲夜が部屋へ入ってきて夕食の準備が整ったと教えてくれた。私は今日、初めてコイツらと会ったと言うのに、随分と良くしてもらっている。違和感がヤバい。

 

 そして、食堂へ移動すると、莫迦みたいに大きなテーブルへ既にパチュリーと美鈴が座っていた。あと、名前も知らない妖精メイドの姿もちらほら。パチュリーはわかるが、美鈴も一緒に食べるんだな。私がいた世界ではどうだったんだろうか。

 

「あら? フランはいないの?」

 

 席についたレミリアがそんな言葉を落とした。

 そう言えばまだフランドールとまだ会っていなかったな。最近は割とおとなしくなってくれたが癇癪起こすと面倒なんだよなぁ。ああでも、この世界のフランドールはそうでもなかったりするのか? むしろ、やんちゃになっていたらどうしよう。

 

「えと、今日はあの氷精と遊ぶ日ですので、お弁当を持って外に出ていますよ」

「ああ、そう言えば今日だったわね。じゃあ、これで全員ってことかしら?」

 

 ……うん? フランドール外に出てるの? い、いや、それ大丈夫なのか? しかも氷精ってチルノのことだよな。フランドールとチルノが一緒にいる姿とか想像できん。それはそれで、ちょっと見てみたい気もするが。

 

「はい、これで全員ですね」

 

 う、うーん、あのフランドールが外に、ねぇ……私にしてみればそれだけで異変な気がする。フランドールって何を考えているのかわからないから面倒なんだよなぁ。アイツとやる弾幕ごっこは面白かったけど。

 

「それじゃ、今日はせっかくの客人もいることだし、始めましょうか」

 

 そう言ってからレミリアは真っ赤な液体の入ったグラスを持った。

 それを見てから私も目の前にあるグラスを持ち上げてみる。グラスからは仄かな酸味が香る。中に入っているのは多分、葡萄酒だろう。

 洋酒よりも日本酒の方が好きだけど、せっかく紅魔館へ来たのだからこう言うのも悪くない。

 

 

 ――乾杯。

 

 

 吸血鬼の住む真っ赤な館でそんな声が響いた。

 

 

「魔理沙はこの後、どうするの?」

 

 黒胡椒がたっぷりと振りかけられたローストビーフを齧りつつ、赤色の葡萄酒を一口。うむ、ちょっと胡椒が効きすぎている気もするがその分、葡萄酒に良く合い美味しい。

 そうやって料理を楽しんでいると、パチュリーが声をかけてきた。

 

「ん~それを私も悩んでいるんだ。とりあえず人里とか色々な場所へ行って、色々な奴らと会おうかなって思っているよ」

 

 地底なんかは流石に面倒だが、山の上にいる神々や竹林に住む月人、空の上にいる亡霊姫のところへは行こうと思っている。これから忙しくなりそうだ。

 

「そう……何か手伝うことがあれば私も協力するわよ?」

 

 そんなパチュリーの言葉を聞き――私は言葉が出なかった。

 いや、それくらい驚いたんだよ。だって、あのパチュリーがそんなことを言い出すだなんて流石に思わないだろ?

 

「お、おぅ、ありがとう。もし、何か手伝ってもらいたいことがあったらお願いするよ」

 

 だから、私の口からはそんな言葉しか出てきてくれなかった。今までが今までだったせいで、急な優しさには慣れていないんだ。

 

 さてさて、明日からは忙しくなるんだ。そのためにもしっかりと栄養を蓄えておこうじゃないか。

 何から手をつけて良いのかわからないほど、やりたいことや、やらなきゃいけないことは多いけれど、どうしてなのやら悪い気分じゃない。

 昔はあの巫女にいつもいつも負けてばかりだったけれども、今回ばかりは私が中心となって動かせてもらうとしようか。

 

 

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