王子様になりたかった。
かっこよくて、お姫様を守る。おとぎ話のかっこいい王子様。
王子様のようにお姫様を守りたかった。
王子様のように、姫、あなたを守りたかった。
あなたが傷つかないように。あなたが悲しまないように。
私は女で、あなたは男だけれど、そんなのは関係なくて。
ただただ、あなたの王子様になりたかった。
王子様には程遠いくらい、頭は弱いし、ルックスも良くない。
なんでもできるあなたとは、大違いだ。
なんでも出来るからこそ、あなたは期待される。
あなたは、皆の王子様になってしまう。
だから私は、あなたの代わりに王子様になりたかった。
私が王子様になれば、あなたは傷つかないでしょう?
私が王子様になれば、あなたは悲しまないでしょう?
私が王子様になれば、王子様になれれば、
あなたは、姫で居られるでしょう?
姫、あなたはあまりにも鈍感で、可哀想な、私のお姫様。
あなたはどうしようもないくらい、どうしようもない人間だけれど。
私を救ってくれた、私を助けてくれた、神様よりも尊い人だ。
あなたの身勝手さに私は救われた。
あなたの考え方に私は救われた。
あなたがいてくれたから、私は今ここにいる。
あなたの笑顔が、私を勇気づけた。
あなたの横顔が、私を切なくさせた。
あなたの言葉が、私を生かしてくれた。
だから、ああ、姫、泣かないで。
もう、限界なんだよね。面白くもないのに笑顔を振りまいて、疲れて、それでも私にしか言えないんだよね。
大丈夫だなんて嘘をついて、友達に合わせて。
相手が喜ぶように、それぞれで表情を変えて。
それでいて皆から好かれて。笑顔をずっと振りまいて。
毎日、毎日、皆の期待に応えて。
それでも私と話す時は、心からの笑顔で応えてくれた。
「君と居ると救われる」って、少し寂しそうに、はにかみながら言ってくれた。
「あなたはそれでいいの?」って、私はずっと思っていた。
私の前では素でいてくれる。それはどうしようもなく嬉しいけれど。
私の前でしか、素でいられない。それはとてもつらいことで。
そんなに無理しなくてもいいのに。そんなに笑わなくていいのに。
いつか読んだおとぎ話。姫を助ける王子様。
姫、私があなたの代わりに王子様になれれば。
そうしたらあなたは、笑わなくていいのに。
そうしたらあなたは、皆の前で素でいられるのに。
皆の期待に応えなくてもいいのに。
ごめんね、これからもきっと、あなたは笑い続けることになってしまう。傷ついてしまう。
ごめんね、ごめんね。
私が強くなくて。私が弱くて。
王子様になれなくて。
本当に、ごめんね。
ありがちな設定かもしれませんが…
初めてでいろいろなことが分からないので、何か間違っていたりしたら教えていただけるととても嬉しいです。