日月戦争   作:デクシトロポーパー

7 / 7
多分、雪風回だと言いながらも。
加古の方が先に上がりました。
次回作戦の準備回です。言うなれば戦略フェーズです。
艦隊司令官、加古の初仕事とでも言いましょうか。

そして吹き荒れる独自解釈の嵐。
今さら言うかって感じですけど。



艦隊司令・加古

小名浜に戻った加古は艦隊の皆に、雪風に会ったことだけは伝えた。

その他は伝えるべきではない。

酒の席での酔っ払いのたわ言で終わらせるべき内容だ。今は、まだ。

誘拐されている最中にされた仕打ちが元でPTSDを発症し、

二度と戦場に戻れないため解体。これが表向きの雪風の末路となる。

 

「でも戦わなくなるわけじゃないよ。戦場が変わるだけ。

 そこ、勘違い無しだかんね」

 

意気消沈した球磨に言ってやれるのも、せいぜいがこのくらい。

そこから何かしら感じ取ったものがあったのか、球磨は穏やかに微笑んでいたが。

死ななきゃまた会えるクマ、と。

さて、事務作業である。今後、何が起こるかを非公式にでも知ってしまった加古は

充分な戦力を用意する義務を負ったのだ。万が一それが不可能でも、

できません、助けて下さい、とアラートを上げるのもまた義務だ。

古鷹を頼りたかったが、頼れない。今知られてはならない情報は渡せない。

自分で詰めて、実際に指令がやってきた段階で長門に判を押してもらわなければ。

まず、周辺地域を含めた現有戦力の再確認から。

最初に自分達、女川警備艦隊。

女川要港部を失った今では、 Aegis Overload Luna の南下を警戒、阻止する役目を

与えられ、それに沿った運用計画を他ならぬ加古が策定している。

とはいえ、ほとんど長門から引き継いだまんまなのだが。

部隊概要は、以下。

まずは、Aegis Overload Luna との直接戦闘を担当する迎撃部隊だ。

 

 

総旗艦 重巡洋艦・加古(艦隊司令官兼務)

秘書艦 重巡洋艦・古鷹

 

第一分艦隊

目的:

総旗艦を有する中枢艦隊として、指揮機能の維持を最優先する。

深海棲艦との戦闘を一切考慮せず、陸上の索敵・砲撃に特化した装備を持つ。

 

重巡洋艦・加古(旗艦)

軽空母・鳳翔

駆逐艦・五月雨

駆逐艦・白雪

駆逐艦・黒潮

 

第二分艦隊

目的:

第一分艦隊の予備である。第一分艦隊が機能を喪失した際、

残存艦と合流して指揮を引き継ぐ。

 

重巡洋艦・古鷹(旗艦)

駆逐艦・漣

駆逐艦・朧

 

 

第三分艦隊

目的:

Aegis Overload Luna の侵攻に対応し、陸上攻撃を実施する。

状況に応じて艦隊をさらに二分割することも考慮する。

 

戦艦・霧島(旗艦)

戦艦・榛名

空母・蒼龍

空母・飛龍

駆逐艦・荒潮

駆逐艦・大潮

 

 

第四分艦隊

目的:

Aegis Overload Luna に対し、海側からの進出を警戒、

発見すればこれを撃退する。

また、深海棲艦が戦域に紛れ込んできた場合、これに対処する。

 

軽巡洋艦・阿武隈(旗艦)

駆逐艦・初霜

駆逐艦・初春

駆逐艦・若葉

 

 

次に、警備部隊。

こちらは艦娘本来の役割である深海棲艦への警戒を実施する。

そして Aegis Overload Luna が侵攻してきた際には、

ピケット艦として敵攻撃を警戒する。

言葉を飾らずに言うなら……肉の壁だ。

指揮系統と打撃力、両者を守るために迎撃部隊の最外縁に展開する。

前回のようなミサイルの飽和射撃を受けるとすれば、

最初に受けるのは、彼女らだ。

女川警備艦隊の残存駆逐艦のうち、迎撃部隊に配属されなかった

残り七隻から形成され、そこに総旗艦として球磨が加わる。

この被害担当艦隊の創設を提案してきたのも球磨だった。

実際、それしか方法がないので加古も頷いた。

艦隊司令官として書類に判を押し、

球磨に警備部隊指揮官としての権限を授けた。

今は、松葉杖をつきながら球磨自身が訓練や警備出動の指揮をとっている。

おそらく次の戦闘に球磨は参加できないだろう。怪我の治癒が間に合わない。

つまり、駆逐艦七隻が全戦力。これでピケット網を構築しろという。

 

「ど、どうしろってんだ~……」

 

加古は机上にうずくまり頭を抱えた。

敵の南下を警戒、牽制するならこれでどうにかなったものの。

大規模攻勢で来られたら、これで支えきれるかは賭けになる。

とくに、敵の攻撃で迎撃部隊の第三分艦隊が開戦劈頭でやられでもすれば、

以降、艦隊はほとんど役立たずになってしまう。これをどうにかするには、

せめて駆逐艦をあと二隻増やして警戒線を増強しなければならない。

だが、もう余分な駆逐艦娘など、どこにもいない。

女川警備艦隊の戦力は、以上。

気を取り直し、戦力の再確認に戻る。

Aegis Overload Luna が南下した場合、最初に激突するであろう陸上自衛隊は、

現在、浪江町に集結し、敵の攻撃に備えている。

規模は普通科一個連隊。特科二個大隊。

それと、かき集めた戦車がどうにか一個中隊。

緒戦でやられまくった師団を、やっとここまで再編成したらしい。

宮城に続く幹線道路を爆破、閉鎖した上で、

請戸川周辺に陣地を構えているとのこと。

現状では自衛隊単独で勝てる可能性は低いのだが、遅滞防御にひたすら徹し、

特科の火力をフル活用して少しでも打撃を蓄積させていく方針になっている。

加古達は、ここが持ちこたえている間に湾岸に駆けつけ、

敵に砲爆撃を実施しなければならないわけだ。

敵歩兵の侵攻阻止はどう逆立ちしても艦娘には無理なので、

メック撃退が主目標となるだろう。

他にも、戦闘発生時には入間基地から航空自衛隊がやってくる手はずだが、

これを一切あてに出来ないことは、今この場で加古だけが知っている。

最後に、海上自衛隊。これは出番が無いに越したことはない。

福島失陥が確定した最悪のケースにて、

残存戦力と避難民を茨城に脱出させるための船艇を

茨城の日立港に現在進行形で集結させている最中だ。

そもそも戦力として計上すべきではない。

以上が、加古を取り巻く福島の現状だ。

ちなみに、今回、加古は能動的に敵地に出向き、

戦うことをすでに前提としている。

その訳は、今朝の朝刊にも載っているのだ。

国家非常事態宣言。

急迫不正の侵略に直面している日本国は、

鎮守府を一時的に防衛省下の軍事機関とし、

鎮守府と自衛隊の共同作戦によって Aegis Overload Luna に対処する、と。

非常事態宣言そのものの阻止は出来なかった……というより、

核攻撃が目前に迫っているこの状態では

阻止してしまった方が困ったことになるだろうが、

鎮守府と自衛隊の共同作戦に多くの制限をつけ、

解釈の野放図な拡大をいくらか防ぐ内容には留まっている。

とくに、なし崩し的に独断専行で鎮守府が軍組織として動き出すような事態は、

当面これで完全に叩き潰されたと言っていい。

長門のロビー活動の成果は、これだ。

まず、敵を Aegis Overload Luna に限ること。

次に、日本列島内の領土を回復するまでの緊急措置である、との時間制限。

最後に、共同作戦の都度、内閣の承認が必要となること。

つまり、艦娘が一時的に自衛隊に組み込まれたような状態である。

艦娘は軍人になれないため軍事行動に伴う責任の主体になりえないという問題は、

鎮守府における当該艦娘の提督、司令官がその責任を負い、

それが不可能である場合は艦娘の任命責任者が負うことで合意を得た。

加古の場合、任命責任者は長門だが、その長門もさらに艦娘なので、

長門の任命責任者である聯合艦隊司令長官、遠山満(とおやま みつる)。

全鎮守府のトップが、それにあたることになる。

えらいことになってしまった。

重巡洋艦一隻の責任が、聯合艦隊司令長官の責任とイコールだとは。

狂っている。そろそろ胃に穴が空くんじゃあなかろうかとも思ったが、

カッコをつけると決めたのだ。

それに、これがなければ、また受身の戦いを余儀なくされただろう。

自分達が巻き込まれるまで座視していた段階で、

もう勝ち目のない状況に陥っている戦いを、だ。

こうなってはやむをえない。

防衛の任務を押し付けてきた長門に泣きつけるだけ泣きついてやろう。

まず、足りない駆逐艦、最低二隻を無心するのは確定だ。

装備面についても見直しが必要である。

今、金剛型戦艦娘、霧島がつけているX字型艤装は前方至近距離に

全砲門分の火力を一瞬で集中できるため、突撃しながらの短距離戦では

圧倒的な破壊力を持つのだが、遠距離の統制射撃には難がある。

今回も相手にするのは陸上の標的だ。

つまり、強みがまるで発揮できない。

また、アームの先端に砲塔が乗っている構造上、

アームの破損がすなわち砲塔の脱落を意味し、

敵の攻撃で無力化されるリスクを高めてしまうことになる。

対して、同型戦艦娘、榛名がつけている船型艤装は取り回しが悪く、

とくに至近距離では非常に狙いにくいのだが、

四つの砲塔がひとつのユニットにすべて収まっているため

防御力が高く、整備性も優れている。

もっとも、装甲を貫通されて弾倉に直撃すれば、

英国マイティ・フッドよろしく一瞬で艤装も艦娘も

木っ端微塵になってしまうのだが。

当然、ミサイルは爆発物である。撤甲弾ではない。

面で迫り来る爆発なら充分耐えられるはずだ。

そしてここは艦娘の艤装工場である小名浜港。

申請してから二日もすれば、改修された艤装が戻ってくる。

加古は提督の権限を以って、霧島に艤装の変更を命令することを決めた。

他にも変更点はある。

迎撃部隊には、阿武隈の率いる第四分艦隊を除いて、

魚雷を搭載する意味がまったくない。

誘爆による即死のリスクを高めるだけだ。

第一、第二、第三分艦隊すべて、魚雷を取り外す。

大潮と荒潮の魚雷発射管は手持ち式であるから、

これの代わりに睦月型用の増加装甲を取り寄せて持たせることにする。

敵メックの頭にくっついていたレーザー砲くらいなら、あれで防げるはずだ。

あとは、可能な限り全艦に電探を搭載したかったが、これは数が限られる。

駆逐艦と空母以外の全艦に搭載できれば良しとしよう。

今の時点で球磨と阿武隈が持っていないので、これも長門に都合してもらう。

駆逐艦には、前回と同様、25mm機銃を搭載させればいい。

メック相手には充分有効な連射火器だ。

接近してきたメックを駆逐させるなら駆逐艦以上の適任は無い。

火力も射程も必要充分で、小回りについては最強である!

対メック戦闘の訓練カリキュラムは、あとで古鷹と詰めておく。

自分の艦隊について尽くせる人事は、これでおそらく全てだろう。

すぐにでも行動を開始しなければ。とくに駆逐艦二隻の派遣要請は、

実際に作戦行動の指令が降りてからでは間に合わない可能性が高い。

間に合ったとしても、つまりそれは、配属されて即戦場ということ。

ろくな連携の訓練も実施せずに、である。誰も幸せになれない。全員が危険だ。

陳情の書類を作り始めたところで、電話が鳴った。

端末を手に取る。長門からだった。

 

「執務中か。すまないな、私も執務中だ」

「はい。ご用件は?」

「御用聞きだ。

 宇宙人をやっつけるのに、警備隊に不足のものは無いかと思ってね」

 

加古の顔が少し引きつった。

いけしゃあしゃあと、よく言う。

自分をお得意様に仕立て上げたのは、どこのどいつなのだ。

しかし、ありがたいのも確かである。

 

「駆逐艦がせめてあと二隻いればいいんですが。

 警戒網の陣容が薄すぎるんです」

「それだけいれば問題は無いということか」

「欲を言えば、軽空母がもう一隻欲しいです。

 搭載機は少なくていいから、快速のやつを。

 あと、電探。海から来るやつを見過ごしたら泣くに泣けないんで。

 これも巡洋艦のが最低ふたつ。出来たら駆逐艦全員分!」

 

正規空母をもっと回せ、などとは言わない。

これ以上、横須賀から戦力を抽出させたら今度は深海棲艦への備えが

疎かになるし、向こうも向こうで、多分、艦隊編成、訓練計画の変更を

急ピッチで進めているだろう。

 

「最後に、万が一の場合に備えて、日立に後詰を置いておくといいと思います。

 最悪の場合……誰も、止める戦力がいなくなりますから」

「それはもちろんだ。だが、億が一と修正しろ。そのためのお前なんだろう」

 

過大評価なんだよ。心中でぼやかずにはいられなかった。

だが、この過大評価を現実にしなければ、差額分を血で購うことになる。

それが自分の血であるなら、まだマシなのだが。

辛気臭い。嫌になる。

 

「お前も被害を防ぐ手段は考えているだろうな」

「考えた結果、戦力が足りないなって」

「なら、敵の新戦法は? 敵の取りうる手管について考えは巡らせたか。

 一度見せた手品を何度も繰り返す相手だと思うなら、それは慢心だぞ」

 

そして、長門の指摘に押し黙ることになってしまった。

そうだ。ミサイルの飽和射撃だけで終わりだとは限らない。

前回の決定的な敗因は、敵ヘリボーンを見抜けなかったこと。

だから、飽和射撃対策と、通過する敵を見逃さないことを

意識して編成を行っていたのだが。

これだけで万事安心なのか。そう思うなら、今回も負ける。

 

「例えば、の話ばかりになるがな」

 

口ごもった加古を諭すように、長門は言う。

陸上、航空自衛隊の領分でしか対処できない部分は置いておくとしても、

敵は艦娘を脅威と認識しているのだから、対艦娘戦術は用意してくる。

そのひとつが、前回のミサイル飽和射撃だった。

今度は艦娘に関する詳細な情報を入手した上でそれを準備できる。

まず、艦娘がいても役に立たない状況にしてしまったり、

補給を断ち切って継続して戦えない状態に陥れる方法。

前者については、主戦場を陸上に絞る場合だったり、

意図的に混戦に持ち込んだ場合などなので陸上自衛隊の領分である。

後者は、全ての港湾に戦力を向けなければならず、非効率的だ。

なので、艦娘を無力化するにあたり取る確率がもっとも高いであろう手段は、

やはり一挙に殺戮すること。かわしきれない爆発物を殺到させるやり方が

ミサイル飽和射撃で、この効果は実証された。

では、次に何をやってくる?

 

「大量の機雷をばらまく……いや、これは重すぎるなぁ。

 すぐになんか出来っこないし、出来るとしたら爆撃機。

 あたし達に爆撃機を差し向ける。すっごい無駄。

 じゃあ、砲撃部隊じゃなくて前衛に爆発物を装備……

 単にぶっ壊されやすくなるだけだねぇ」

「具体的な手段については仲間と一緒に検討して欲しい。

 ああ、もちろん、私の言ったことが正しいとは限らない。

 お前が言ったように海上から迂回しての奇襲だってありえる話なのだからな。

 とにかく、より多くに考えを巡らせてくれ」

 

うん。

加古は敬語を忘れて頷き、

その後で軽く口を押さえ、咳払いした。

 

「でも、そうなるとますます空母が欲しいです。

 敵を近づけないことが最良の対処ですよね、これ。

 となると、快速よりも搭載機のとにかく多い奴がいいかな」

「ミサイルより遠くから撃たれるのは考えにくいからな。その通りだろう。

 わかった。大丈夫だ。お前の考えを実行できるようにするのが私の仕事だ。

 次会う時は、お互い凱旋としよう」

「そのときは酒おごってください」

「おいおい、仕事中だぞ。だがいいだろう。蒲田にいい呑み屋があってな」

 

唐突にたかられた長門は半分噴き出しながら、朗らかに快諾した。

どうせだから、そっちからも何人か連れて来い、と、長門の方から言ってきた。

実現するために、早いところヒマになりたいものだった。

 

「あ、そうだ。陳情の書類、いります?」

「当たり前だろう。だが今回はたまたま、こちらで増援派遣が検討されていてな。

 必要な分の戦力は送られるから、お前が今から書いても無駄になるとは思うぞ。

 明後日あたり、その書類が届くだろう。

 ちゃんと処理して、受け入れの用意をしておけ」

 

確認のために聞いてみたら、ものすごい勢いで手間が省かれた。

明らかに最初からそのつもりで電話をかけてきている。

これで最低二日は訓練を増やせるだろうことを考えると、

雑事は任せて迎撃に全力を尽くせ、ということか。

 

「じゃ、酒の約束、忘れませんからね」

「ああ、楽しみにしろ。ではな」

 

通話を切る。

戦力不足の問題は当の長門自身が認識していて、加古の用意を図るために、

御用聞き、などと回りくどいことをしてきたようだった。

結果、準備不足が露呈したわけだが、増援は間違いなく送ってくれる。

送られてくる増援は、当然、横須賀長門印の艦娘達だ。それが嫌だという訳ではないが。

……もう、提督に従う艦娘じゃあないんだな。派閥に属する地方司令官なんだ。

鏡を見る。

そこに写っている自分の顔が、自分の内面と似ても似つかない気がしてきた。

 

「恨むかんね、提督」

 

寝台の上に体育座りし、膝を抱え込んで丸まった。

前任の旗艦だった天龍が解体されて佐世保鎮守府会計局に異動したとき、

次期旗艦の最有力候補は鳳翔か龍田のどちらかだと見られていて、

加古にとっては他人事でしかなかった。

そこを、いきなり抜擢された。提督からの名指しで。

わけがわからず思わず抗議した。

あたしなんかよりよっぽど向いてるのがたくさんいるだろ、と。

提督はこともなげに言った。だからいいんだ、と。

それがわかっているなら、周りを頼ってやってみろ、と。

言われた通り、頼ってなんとかやってきた。

古鷹はもとより、鳳翔も、球磨も、龍田も、龍驤も、

ニコニコ笑いながら、ぶつくさ言いながら手を貸してくれて、

警備艦隊はそれで何とか動かしては来られた。

最大の後ろ盾は、やはり提督だった。

いきなりトチ狂ったことを言い出しただけのフォローをしてくれたおかげで、

大惨事も招かずに済んだし、恨みも買わずに済んだ。

会議中に寝こけたところに、鼻に指を突っ込まれたり、

油性ペンで額にアホと書かれたりもしたが。

もう今は、仕事中に寝られない。仕事中でなくても、気持ちよく寝られない。

宿泊したてのホテルのようなこの部屋だった。

散らかっていたあの部屋は、粉々の瓦礫と消し炭に変わった。

良き時代は終わりを告げたのだ。戻っては来ない。

 

「帰ってきたら、仕事山ほど積んでやるからね。

 ホントは提督の仕事なんだからね」

 

恨み言を一言ぶつと、加古は勢いをつけて立ち上がる。

このままでは陰鬱に傾いてしまう。

変化は免れないにせよ、明朗で呑気なのが自分の持ち味のはずだ。

昼食が済んだら、対メック戦闘訓練計画の策定に入る。

長門の財布を警備艦隊総動員で吸い枯らすためには、

ただ嘆いてなどいられないのだった。

そして五日後。作戦指示が下りると同時に、念願の増援が到着する。

 

 




GW前にある程度書き終わっていたけど、
書き終わった翌朝に見ると、えもいわれぬ違和感に襲われ、
これでいいのか、と自問の挙句に改修。というより再設計。
初期型では独自設定がコレ以上にずらりと並んで大雪崩状態だった。
さらに警備艦隊の残存戦力を見誤って前提がおかしかったりしたため、
ごく初期を除いてほとんど書き直しになったりした。
勢いは大切だけど、頭も冷やすべき。

感想、ご指摘、ツッコミ、是非よろしくです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。