東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
Side 白
バタン!と荒々しく扉が開かれる。驚いて僕もフランも飛び起きてしまった。あんなに重たいドアなのに………。
「ん…」
自然と呻き声があがる。フランも同じように呻き声をあげていた。誰だろう…?
目を開けると、目の前には四人いた。霊夢さんと魔理沙さん、そして…後二人は誰だかわからないけど…。しかも霊夢と銀髪の女の人は鼻血まで出している始末。…なぜ?
「あ!咲夜とお姉さま!」
フランが歓喜の声をあげる。恐らく僕が知らない二人の事だろう。それにしてもフランってお姉ちゃんがいたんだなぁ………。
「ふ、フラン?その子は?」
「えっとね、一緒に遊んでくれて、その後一緒に寝てくれたんだよ!」
「妹様…良かったです…」
ハンカチを手に持ち、涙を拭う銀髪の女性。なんだか、凄く霊夢さんに似てる気がする…。気のせいかな?
ちなみに言うと、霊夢さんも銀髪の女性と同じようなことをしていた。
「それにしても、白が生きてて良かったぜ…」
「え?なんのことですか?」
「それは私から話すわ」
身長が僕と同じくらいで青白い髪を持つ少女。だが、彼女から発せられる威圧感はとてつもないものだった。…この人はかなり強い。
「私の名前はレミリア・スカーレット。その子、フランドール・スカーレットの姉よ。そして彼女が…」
「はい。紅魔館のメイド長を勤めさせていただいています、十六夜咲夜と申します」
「フランのお姉さんとメイドさんでしたか」
レミリアさんとフランの年齢はそれほど離れていないように感じられた。そして銀髪の女性は咲夜さん…覚えておこう。
「それで、僕が生きてて良かった、とは?」
隣を見ると、フランは俯いていた。何かあるのだろうか?…心当たりがないわけではないが…。
「…彼女は少し情緒不安定なのよ」
「…そうでしたか。では弾幕ごっこをやっている最中に見せた彼女の笑みも…?」
「ええ。フランの“狂気”から来てるわ。でも、フランの弾幕を耐え切った貴女は一体…?」
「主に霊夢さんの護符に救われてましたが…僕は半人半妖の、水上白です。そこまで強くはありませんよ」
二度も霊夢さんから貰った護符を使わなければ、フランが行った“きゅっとしてドカーン”というものの餌食になっていたかもしれなかったのだ。ましてや最後に使ったあのスペルだって運が良かった、としか言いようがない。
―――――まだまだなのだ。僕は。
「…ごめんなさい」
呟くように、フランが謝罪の言葉を紡いだ。
「…いいよ、って言うだけじゃあダメだろうから、フランの能力を教えてくれないかな?」
「…フランの能力は【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】。だけど上手く使いこなせなくて…」
だから、霊夢さんの護符が壊れたのか。レミリアさんからこの能力を聞くと、ありとあらゆるものには、全て緊張している部分が存在しているらしい。それを“目”と称しているようだが、それを掌に寄せ、握りつぶすと、そのものは破壊されるという。それは、物でも、者でもだ。
そして、それはあまりにもこの少女が持つには負荷が掛かる能力であった。この能力によってフランに“狂気”が生まれてしまったようだ。それは、僕の能力でも“白”くすることはできない。あまりにも、深く根付いてしまっていたのだ。
だが、白くすることはできなくても、それを抑えることはできる。それは、フランを孤独にしない事だ。今までフランはずっと孤独を感じていた。その孤独から自分を護るために生まれたのがフランの中に存在する“狂気”なのだ。
「…この異変を起こしたのは…フランに外で遊んで欲しかったからよ」
「なるほどな。吸血鬼は日光にダメだって云われてるしな」
だから日光を遮るためにこの霧を発生させた、という事だった。
「でも、この霧は止めてもらうわ。異変解決は私の仕事、これだけを妥協する訳にもいかないわ」
「ええ、わかってる。すぐに止めるわ」
だが、レミリアさんの顔は落ち込んでいるように見えた。霊夢さんにどうにかならないのかと視線を投げかけると、仕方ないと、一つ溜め息を吐き、
「異変解決の記念として、今度宴会を家で行うわ。そこへ来なさい。なんとかするわ」
それを聞くと、レミリアさんもフランも一気に顔を明るくする。僕も、それを聞いて安心した。
「日程は改めて伝えに来るわ。それじゃ、またね」
「お邪魔したんだぜ!」
「それでは!」
僕たち三人は館から出ていく。残った者は、
「不思議な人間たちだったわね」
「うん!白お姉ちゃんも優しかったんだよ!」
「嬉しそうで何よりです。お嬢様、妹様」
それぞれ嬉しそうに言葉を零した。
***
アリスさんの家の庭で僕は魔法の練習をしていた。『the Grimoire of Alice』に載っている魔法だ。文字はアリスさんに教わったので読めるようになった。………かなりの時間を費やしたけど…。
そして今夜、あの宴会が行われる。場所は博麗神社だ。…僕と紅魔境の人たちにとっては初めての宴会なので、僕と紅魔館の人たちの紹介も兼ねての宴会のようだ。
宴会は今夜なので、まだ時間があるので魔法の練習をする事にした。だが、魔法を使うには“魔力”が必要不可欠となる。魔力がないのにどうして使えるかと言うと、過去の出来事になるのだが、魔法を使ってみる時にどうすればいいのか、とアリスさんに質問すると、結晶のようなものを渡された。
「この結晶の中に魔力を入れてあるわ。いわば電池ね。これがなくなったら私か、魔理沙、パチュリーの所に持っていけば補充してくれるように話をつけてあるわ」
「いいんですか…?自分の魔力を僕なんかに分けても」
「いいのよ。逆にありすぎても困るしね」
と言い、結晶をくれた。魔力がない僕にとってはとてもありがたかった。
そして、魔法を使う事ができている訳だ。なので、今度スペルカードに導入してみようかと考えていた。
だが、まだ完成していないのでまた今度、ということで。
「そろそろ宴会の時間ですね」
「そうね。それじゃあそろそろ霊夢の所へ行こうかしら」
とりあえず、宴会には料理が欠かせないと言う事でアリスさんが作った料理を持っていく。僕にとっては初めての宴会なのでとても楽しみだ。
~少女移動中~
「来たわね!」
霊夢さんがにこやかにこちらへ笑顔を浮かべてくれる。待っててくれたのだろう、魔理沙さんも笑顔でそこにいた。
「こんばんは」
「ええ、こんばんは」
「こんばんはだぜ」
「お邪魔するわね。はい、霊夢」
持ってきた料理をアリスさんが霊夢さんに手渡す。それを見るなり霊夢さんは嬉しそうにし、神社へ向かう。
「今晩は楽しんでいきなさいよ!」
「はい!」
僕たちはその後を追いかけた。
お久しぶりです。夢哉です。
創成録と並列で執筆していたのですが、何故かこっちの方が早く終わりました。不思議。そして文章が荒れに荒れています…申し訳ありません…。
次回は宴会本編に入れるといいなぁ、と思います。
それでは今回はこの辺で、ノシ!