東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
Side 白
「そういえば、白ちゃん」
なんと言いますか、もう女の子扱いされても言い返す力がなくなってきた気がします…。慣れなのか、身体が順応してきてしまっているのか、考えるだけでも恐怖心で身体が震える。
ちゃんづけされても、もう普通に返事を返せるほどにまでは、慣れてしまっていた。
「えっと、なんでしょうか?」
「そろそろ新しい服とか欲しくない?替えとでまだ二着しか作ってないんだけど…」
先日、作ってもらったばかりだというのに、また新しいものを作ってくれるとは、とても優しい人だと思う。だけど、まだ作ってもらったばかりだし、それに…
「え、えっと、大丈夫ですよ?」
「そう。それにしても似合ってるわね……人形に着せる服を模して作ったんだけど、作って正解だったわ」
そう、人形に着せる服をモデルにして作られた服なのだ。アリスさんの家には上海人形が沢山あるが、それは全て“女の子”である。そう、“女の子”なのだ。
さすがになぜかついてきたぶかぶかの男物の服を着ているわけにもいかず、作ってくれると言ってもらえたのでそうしてもらったけど、これは着るのに相当苦労した。もちろん、デザインに文句があるわけではない。全体的に白を基調とした服で、とても可愛らしいと思うのです。ですが、これは女の子向けの服です。心は男なのに、この服を着るとなると、それはもう、身悶えるほどでした。
「あはは……ありがとうございます」
「ええ。それじゃあ、今日は人里に行きましょう」
「え?この前行ったじゃないですか。また買出しですか?」
幻想郷は私に平穏を与えてくれないようで、毎日何かしらのイベントが起きていた。例外なんてなかったのだ。
「全部把握しきってないでしょ?白ちゃんが今まで行った事がある場所、まだ手で数えられるほど少ないわよ?」
「ああ…確かにそうですね…」
今までに行った事がある場所と言えば、魔法の森、博麗神社、紅魔館、八百屋さん………ああ、確かにほとんど無いです。
「とりあえず、まあ一箇所は行っておきたいわね」
「どこですか?」
「うーん、幻想郷を記録している人の家、ね」
「記録ですか?」
「ええ。行ってみればわかるわよ」
幻想郷はかなり昔からあると、霊夢さんから聞いた。それを記録しているとなると、凄い長生きな人なのではないか。
「それじゃ、行きましょう」
「はい!」
かくして、今日もまた人里に出かける事になりました。
***
人里に着くと、そこにはいつもと変わらずの賑わいが伝わってくる。
「さて、こっちよ」
アリスさんに手を引かれ、案内される。周りの目が、なんか凄い暖かかった。
「?どうしたの?」
「えっと…その…」
逃げるようにアリスさんの後ろへ回ってしまった僕は男として情けなく思う。だけど、なんと言うか、この姿になってからやたらと恐怖心のラインが低くなっている気がする。それこそ、こうして周りからの視線を浴びるだけでアウトというほどに。
「うん?まあ、いいわ。行きましょう」
「はい……」
うぬぬ、怖い…。
そんなこんなで歩いているうちに、家、というには大きいほどの建物に辿り着いた。お屋敷というものだろうか。
「ここね」
ノックしてしばらくすると、一人の少女が迎えてくれた。
「久しぶりね、阿求」
「お久しぶりです、アリスさん。今日はどういった御用ですか?」
「この子にあなたを紹介したくてね。あ、これも持ってきておいたわ」
朝からクッキーを作ったのはこのためだったのですか。私も教わりながら作らせていただきました。
「そうでしたか。それではどうぞ、こちらへ」
「お邪魔するわ」
「お邪魔します」
辺りを見回すと、書物の山だった。それはもう、それしか見えないほどの量で。
「それで、その子のことですが……幻想郷縁起に載っていませんね。外来人でしょうか?」
「はい。水上白といいます。よろしくお願いします」
「私は稗田阿求といいます。幻想郷縁起というものを書かせていただいています」
幻想郷縁起…?これが、幻想郷を記録しているものなのだろうか。それを書いているのが阿求さんということでしょうか。
「えっと、この幻想郷縁起という書物は阿求さんが全部書かれたのですか?」
「いえ、代々書き続けてきたものですよ。記憶を引き継ぎながら」
「阿求の能力ね。だからこの幻想郷縁起を読めば、幻想郷の歴史がわかるわ」
それは………とんでもない能力なのではないだろうか。記憶を保持しながら、転生しつづけているのだろうか。阿求さんは。
「それでは、白さんのことも記録させていただけませんか?」
「はい、わかりました」
まさか、文さんの取材攻めよりも厳しいとは思いませんでした………。
***
純白の少女
水上 白 Haku Minakami
能力 白にする程度の能力
危険度 皆無
人間有効度 極高
主な活動場所 さまざま
半人半妖の少女。元は人間だったようだが、幻想郷に流れ着きこの姿になっていたと言う。
原因は不明。姿は雪のような白い髪に、赤い目。背丈は幻想郷内でも一、二を争うほどに小
さい。
また、【白にする程度の能力】を持つ。聞くだけでは今一度わからない能力だ
が、かなり強力なもので、存在を“白”紙にして消滅させる、という使い方が出来るようだ
。他にもあるが、これが代表的な使い方かと思う。だが、これにはかなりの集中力を要する
ようで、彼女自身、滅多に使わない。
また、半人半妖なので、霊力と妖力と、もう一つ力を保持している。それを混ぜて弾幕
を作り出したり、翼を形成して空を飛んでいるようだ。これは、博麗の巫女である博麗霊夢
と、幻想郷の賢者である八雲紫の指導の下で完成させたものらしい。また、彼女のスペルカ
ードも、ここで完成させたものが大半を占めているようだ。
現在、七色の人形遣いであるアリス・マーガトロイドの家に居候しているようだが、もうあ
れは家族同然だと思う。いや、親子かもしれない。もう一つの力と先述したが、それはこの
アリス・マーガトロイドから貰う魔力である。つまり、彼女は三つの力を保持しているのだ
。
だが、彼女は好戦的ではなく、むしろ戦闘は避けるようで、下手をすれば戦闘、相手の心配
までしてしまうほど。
ひとまず、これにて幻想郷縁起は完成です。ネタです、本家様と似させようとして失敗しました。
フリーゲームのキャラはいつ出せるのかなぁ、と思っています。日常編が終わってからだと思います。
そして、素敵な挿絵を提供していただけました。本当にありがとうございます。
それでは、また次回に。ノシ
〜更新情報〜
H27.8.28. 後書きの誤字を訂正