東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その15

 

 

Side 白

 

 

先日、魔理沙さんと霊夢さんのお蔭で「スノースパーク」を完成することができた。

実は、その前に文さんから新聞を一部頂き、“春雪異変”と“永夜異変”いうものが起きていたのだ。それによって………

 

「げほっげほっ……ごめんなさいね、白ちゃん…」

「大丈夫ですか…?タオル換えてきます」

「はい。お願いするわ……」

 

アリスさんが風邪を引いてしまったのだ。結果、僕と上海がアリスさんの介護をしているのだ。

 

「それと風邪薬は……切れてる?!」

 

バッドタイミング過ぎる。何故こういうときに風邪薬がないのでしょうか……。

 

「アリスさん、タオルです。あと、風邪薬が切れてしまってるのですが…どうすれば…?」

「そうね……永遠亭に行けば永琳から薬が貰えるのだけど…あの竹林は迷いやすいのよ…」

「……大丈夫です!絶対に貰ってきます!」

「…わかったわ。それじゃあ上海も連れて行かせる。そしてこれがお金ね」

「了解です。それじゃあ、上海、よろしくね」

「シャンハーイ!」

「魔力操作については教えてあるから大丈夫ね?魔力の残量は…」

「この前入れてもらったばかりなのでまだまだあります。それじゃあ、行ってきます!」

「頼んだわ…げほっげほっ…」

 

かなり苦しそうだ。急いで貰ってこなくちゃ…!

上海に魔力の糸を繋げ、案内を頼んだ。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「えっと…こっち、かな?」

「シャンハーイ!」

 

飛行によって向かった先には竹林、どうやら合っているようだ。急ごう。

 

「これが…迷いの竹林…」

 

なんと言うか、同じ景色が広がっている空間だった。魔法の森とはまた違った空間であるが、あっちよりも不気味な感じはない。良い天気にこの空間に寝転がったらいい景色だろうなぁ、と思った。

 

だけど、そんな事を考えてる場合じゃない。

 

「これは…本当に迷っちゃいそうですね…。飛んで行った方が安全そうです」

 

と飛ぼうかと思っていたとき、ふと上海に後ろ襟を引っ張られた。

 

「どうしたの?」

 

上海が手を向けている場所に目を向けると、細く透明な線がピンと張られていた。よく見ると、光の反射でなんとか視認できるものだった。

 

「これは…罠…?」

 

コクッと頷く上海。教えてくれなければ誰かが仕掛けた罠に引っかかっていただろう。

 

「ありがとう、上海」

 

お礼を言い、頭を撫でる。嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

「チッ……気付かれたか」

「ん…?」

 

一瞬、何かの気配を感じたが、すぐになくなってしまった。恐らく、犯人だろう。追いかけるべきかと迷ったが、本来の目的のために翼を形成させ、空を飛んだ。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「ここが永遠亭…阿求さんの家よりも大きいお屋敷ですね。急がなくちゃ!」

「あら、どうしたの?」

 

うわぁ、ウサ耳だ……触ってみたい…。でも、なんでブレザー?そんなことよりも!

 

「風邪薬を頂きに来ました!永遠亭の方ですか?」

「そうよ。それじゃあ、中に入って詳しく教えてくれないかしら?」

「はい!」

 

中に入るように促され、ウサ耳の方の後ろへと続く。

 

「あなた、名前は?私の名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。師匠からは優曇華と呼ばれてるけど、鈴仙って呼んで欲しいわね…」

 

どこか遠い目でそう話す。名前で弄られているのだろうか。

 

「水上白です。よろしくお願いします、鈴仙さん」

「礼儀正しいのね。さて、師匠はこっちにいるわ。病状はそこで話してね」

「わかりました」

 

小走りでその部屋へと向かう。そこには赤と青の服を着た女性がいた。

 

「あら、患者さんかしら?」

「いえ、風邪薬を頂きたいと」

「そう。私の名前は八意永琳、医者をやってるわ。それじゃあ、その人の病状を教えていただけるかしら?」

「はい」

 

一通りアリスさんの病状を話した。結果は気温の急激な変化による風邪で、薬を飲みしっかりと安静にしていれば良いとのこと。

 

そして鈴仙さんから聞いたことだが、永琳さんには【あらゆる薬を作る程度の能力】を持っていて、“月の頭脳”と呼ばれているらしい。つまりは、天才である。

 

「これが薬ね」

「ありがとうございます」

 

薬と引き換えにお金を渡す。

 

「はい、確かに。帰り道は大丈夫?…って、ここまで来れたんだもんね」

「ええ。行きと同じように帰るので大丈夫かと」

「そう、気をつけてね」

「はい。ありがとうございま―――あああああ!!!」

「大丈夫!?」

「引っかかったー!!!」

 

入り口の目の前に仕掛けられていた落とし穴に嵌ってしまう。上海もこれには気付けなかったのかおろおろとしていた。必死に僕を引っ張り上げようとしてくれている。

 

そんな僕を嘲笑うこれまたウサ耳少女。どうやらかなりのイタズラ好きらしい。ふつふつと、怒りが湧いてくるのが僕自身でもわかった。

 

「こら!てゐ!またあんたは…!!!」

「いえ、大丈夫ですよ……」

「でも勢いよく…!?」

「引っかかる方がわる―――!?」

「どうかしたんですかぁ…?」

 

急いで帰らなければならないのに、こんな目に遭うとは思わなかった。

どう、仕返ししてあげようかな……?

 

「てゐさん、でしたっけ?」

「そ、そうだよ!」

「そうですか。それじゃあ、覚えておきますね」

 

今は急いで帰らなければならない。まあ、恐らくこの事は忘れてると思うけど、とりあえず覚えておく。

 

「それじゃあ、薬ありがとうございました。急いでるので僕はこれで。いこ、上海」

「シャンハーイ…」

「え、ええ……気をつけて」

「………」

 

霊力と妖力を込め、一気に飛躍する。これで行きよりも早く帰れるだろう。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「アリスさん、戻りました!薬ですよ!」

「そう、ありがとう……」

 

急いで水と薬を用意し、アリスさんに飲むよう促す。

 

「気温の急激な変化で風邪を引いちゃったみたいです。その薬を飲んで安静にしていれば治るかと」

「そう、わかったわ。それじゃあ、休ませて貰うわね…」

「はい。えっと、上海は…?」

 

僕の肩にちょこんと座っている上海を返そうとアリスさんに尋ねる。

 

「そうね、その上海は前々から貴女に懐いていたものなのよ。上海、貴女はどうしたい?」

 

コテン、と首を傾げ、そして頬に口をつけてきた。

 

「そう、それじゃあ、その上海は貴女に譲るわ」

「でも、これはアリスさんのでは…?」

「人形には心が宿るのよ。そして、その人形は貴女を選んだ。だから、いいわよ」

「……わかりました。よろしくね、上海」

 

嬉しそうに周りを浮遊する上海に、僕も自然と頬が緩んだ。

 

「それじゃあ、私は休ませて貰うわ。おやすみなさい」

「おやすみです。お大事に」

 

僕も今日は寝てしまおう。色々あって疲れました。

 

「おやすみ、上海」




今回は永琳の薬を頂きに白ちゃんがお使いに行くお話でした。どうなるのか、と言っておきながら、この話は前々から考えていた内容なので、ある程度はスラスラと書けました。上海は、思い切り蛇足で、結構予定と狂いましたがそれはいつもの事ですので…。

次回は…未定です。思いついた話を書いていきたいと思います。
それでは、また次回に。ノシ
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