東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その18

 

Side 白

 

 

また、あの笑顔を見てしまった。ゾクリと背筋に悪寒が走り、無意識に一歩退いてしまう。

 

「待ちなさい、フラン」

「?なぁに?お姉さま」

「ちょっと白と話があるから、少し待ってちょうだい」

「うーん……わかった!」

 

にへら、と柔らかな笑顔を浮かべる。が、それは最初の彼女じゃない。まだ、狂気だ。

 

「ちょっと来なさい」

「わかりました」

 

急いでレミリアさんの下へと向かう。真剣な表情から、何か重要な事なのだろう。

 

「何でしょうか」

「まず、ごめんなさい。身内の問題は私が解決するはずなのに……」

「…あの狂気を押さえ込めなかったんですよね」

「……ええ。恐らくフラン自身でも押さえ込めてないわ」

 

逃げられない。恐らく、あの狂気から背を向けて逃げ出しても、待っているのは死だろう。力の無い者が、他人を救いたいと思うのは無謀だけど、せめて、開放だけはしてあげたいと思うのが純粋な僕自身の思いだ。

 

だが、現実は甘くない。

 

「頼む側がこんな事を言うのは申し訳ないのだけど……はっきり言わせて貰うわ。あなたにはあの子を倒すことはできない。絶対によ」

「……ええ、そのとおりでしょう」

「前回は博麗の巫女の護符があったみたいね。あと何枚残ってるの?」

「一枚、ですね」

 

霊夢さんの言葉を思い返してみる。

 

―――――護符を使い切ると私の元に予め籠めておいた霊力が届くわ。そしたら即!駆けつけるわよ!

 

つまり、これを使う事で霊夢さんが間違えなく駆けつけてくる。……が、勝てるのだろうか?確かに霊夢さんは幻想郷屈指の実力者だ。けれど、破壊の能力の前に勝てるのか。

 

信用していないわけではない。だが、もしも、ということがある。霊夢さんの能力もよくわからない。

 

ここは、使わない方がいいかもしれない。

 

「これは―――――使いません」

「そう。なら、これを使いなさい」

 

レミリアさんから差し出されたのは白紙のスペルカード。なんで持ってるのだろうか…?

 

「賢者から結構な枚数を渡されたのよ。余ったし、もしもの打開策のためにあなたに譲るわ」

「ありがとうございます」

 

前回は運良くスペルカードを創りだす事ができた。だが、今回も同じように運良くことが運ぶ訳ではない。

 

予め、構想を練りスペルカードを創り出す。フランに届かなくても、せめても攻撃を防ぐためのスペル。

 

思案する事数十分、なんとか作り出す事はできた。レミリアさんからはキツく

「死にそうになったら私が入るわ。間違えても、実力を測り間違えるな」

 

「お姉ちゃんまだー?」

「今からいくよ」

 

待ちくたびれたのか、フランが声を掛けてくる。

 

「マスター、私も一緒に戦わせていただきます」

「うん。お願いするよ」

 

先ほど創っていたスペルの行程は六華も見ていた。せめて、せめても六華の破壊は免れなくてはならない。いや、それは僕自身がなんとしてでも阻止する。

 

「…お願いね」

「わかりました」

 

「おまたせ」

「ほんとだよー!待ったんだからね!だから―――――簡単には壊れないでね」

 

ニッコリと浮かぶ笑顔にも、動揺を見せる訳にはいかない。飲み込まれたら、死ぬ。

狂気に対して“スペルカードルール”は効を成さないだろう。もちろん、僕はスペルカードに則って攻撃をするが、フランは恐らく………

 

「うん。それじゃあルールだけは決めておくね。前回と同じ、どちらかが被弾したら終わり。いい?」

 

恐らく、決められてここまでだろう。本来はスペルカードの枚数まで決定する必要があるのだが、この戦いにおいてそれが守られるとは思えない。

 

「わかったー!それじゃあ……いくよ!禁忌『クランベリートラップ』!」

 

前の対決で、最初に使ってきたのがこのスペルだった。今回も同じスペル……だが、パターンを組んでしまえばギリギリではあるが、回避は可能だった。

 

この合間に六華と共に弾幕を放つ。だが、

 

「避けるんだ……つまんないの。禁忌『フォーオブアカインド』」

「っ!またこれ…!」

 

フランの分身体が生まれ、合計四人。弾幕の濃さが尋常じゃなかったのがしっかりと記憶されていた。それ故に、思わず苦い顔をしてしまう。

 

「避けるだけじゃ、ダメだよ!禁忌『レーヴァテイン』!」

 

紅い剣が四方から繰り出される。こんなの、避けられる訳がない。

 

「雪符『ホワイトアウト』!」

 

相殺するためにスペルを使う。前回は焦りで威力を上げすぎてしまったが、今回は弾幕を消すために使うので地力はそこまで持っていかれなかった。

 

「マスター!」

「わかってる!白化『一面広がる銀世界』!」

 

あの程度ではダメだ。六華と共に白の弾幕を設置していく。そして、展開。

かなりの数を設置したはずだから、これなら―――――!

 

「すごいよお姉ちゃん!その小さいのも強いんだね!」

「なっ……!」

 

無傷だった。被弾したと思ったのに……

よく見ると、フランの手にスペルが提示されていた。

 

禁弾『スターボウブレイク』

 

「楽しい…楽しいよ!!!」

 

分身を自らなくし、狂気の笑みでこちらへ向かってくる。その笑みにあるのは悦楽。だが、それは狂気のものであり、フラン自身のものではない。おぞましいものだった。

 

「いくよ!!禁弾『カタディオブトリック』!!」

 

壁に向けて放たれた弾幕群は反射してこちらへと向かってくる。後方へ下がろうかと思えば、フランがそのまま接近してきている。逃げ場が、ない。

 

六華にチラリと視線を向ける。六華もそれを察してくれ、頷きを返してくれた。

 

「いくよ!」

「はい!」

「「氷星『クリスタルサテライト』!」」

 

レミリアさんから頂いたスペルを使い、作成したスペルカード。六華との共同スペルだ。

 

僕が霊力で生成した弾幕を、六華が形成する。削った部分は弾幕として発射し、残った部分を……

 

「放射!!!」

 

これで地力をほぼ、持っていかれた。これで倒せていなければ最早ジリ貧だろう。

 

「っ!こんなの!!」

「六華!」

「はい!」

 

六華に弾幕を放出してもらう。僕のではなく、彼女自身が蓄えていたものを使い、弾幕を作り出した。

 

そしてフランを巻き込み……被弾させるはずだった。

 

「はぁ…はぁ……」

 

耐えていた。フランの弾幕で相殺されたのだろう。被弾させたと思ったのに、ほぼ地力を持っていかれた状態で耐えられてしまった。

 

だが、フランの表情が一変していた。さっきまでの狂った笑みは鳴りを潜め、苦悶の表情を浮かべていた。フラン自身も追い込まれてるのか?

 

「はぁ…はぁ……お姉ちゃん、すごいよ…だから、私の本気の弾幕を見せてあげる…!」

「本気の弾幕…?」

 

今まで以上の弾幕を繰り出される…?そんなの……無理だ。

 

「白!逃げなさい!」

「楽しかったよ……!QED『495年の波紋』!!!」

 

眼前に広がる弾幕を見れば、今までの比ではないほどの弾幕。反射弾まであり、まるで意思を持っているかのように向かってくる弾幕。

 

「マスター!スペルを!」

 

六華が弾幕に応戦してくれているが、意味を成さない。レミリアさんも、間に合わないだろう。

 

―――あの少女を解放させる。

 

ハッと顔を上げ、フランを見る。狂気に囚われている彼女に、このスペルが届くかはわからない。僕自身の余力も、ほとんどない。

 

だけど、勝つしかない。レミリアさんに無理だと言われても、その結果を覆すしかない。

 

「ラストスペル」

 

力を全て集め、対抗できるかもしれない唯一のスペル。

 

「負けてたまるもんか!!!『スノースパーク』!!!」

「これは!?」

 

全身全霊、全力を込めたこのスペル、届いてくれ。

 

一直線に伸びていったこの魔砲は、フランのもとへとたどり着く。フラン自身も、回避するまでの余力など残っていなかった。

 

「綺麗……」

 

思わずポツリと零れた言葉を残し、被弾した。




久々に書いたらこの有様でした!ごめんなさい!

今回は、フランとの戦闘回でした。次回は、少しフランの描写が入ります。きっと、また間が空くのだろうなぁ、と思います。ごめんなさい。

それでは今回はこの辺で、ノシ


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