東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
Side 白
アリスさんの家へ招かれ、上がらせてもらう事にした。そして彼女から手鏡を渡されそれを覗いてみると信じられないものが映った。
白髪で赤い目の美少女………いや、美幼女とでも言おうか。
なんで自分が女かどうかがわかったか?…無かったんだよ…男としてのアイデンティティーが…
身長はさっきアリスさんに計ってもらったら133…小学三年生がいいところだ。
…正直、泣きたい。
だが顔を凝視してみると男の頃の顔の面影はほんの少しだけあった。が、凝視しないとわからないレベルだ。
服装は僕が轢かれた時から変わらない服装だが、事故が起こる前と同じ状態で血の跡などは見当たらなかった。
さっき叫んだためか、アリスさんがしばらく呆けていた。
「え、えっと、どうしたの?えーっとあなたの名前は…」
「え、あ、はい。水上白です。えっと、ちょっと気が動転してしまいまして…」
「そう…?」
アリスさんは少し疑っていたようだったが、すぐさま笑みを浮かべ、
「お茶とお菓子を取ってくるわ。あなた紅茶は飲める?」
「あ、はい…ありがとうございます」
「気にしないで」
そう言い、アリスは台所へと向かっていった。
さて、どうしようか…まず、なぜ自分はこんな姿になっているのだろうか?
…わからない。どう考えても、わからなかった。
それじゃあここはどこ?
…それもわからない。少なくとも僕が住んでいる周りにはこんな森はなかった。
さっきの蜘蛛の様な生き物は何?
…化け物か何かの類だろうか。僕の知識の中にはあんなに大きい蜘蛛なんて知らなかった。
「はい。どうぞ」
考え事をしている内にアリスさんが戻ってきていた。ティーカップに注がれている紅茶とその横にあるクッキーがとても美味しそうだ。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
まずは紅茶から飲んでみる。…とても美味しかった。何よりも、こんな紅茶は飲んだことがない。少なくとも自分ではここまで美味しい紅茶は作ることができないだろう。
「とても美味しいです」
「そう?それはよかったわ」
紅茶の感想を話すとアリスさんは笑顔でそう答えた。
そして横にあるクッキーを手に取り、一口食べる。
「お、美味しい!!…あっ…」
「ふふっ…可愛いわね」
「あ…あぅ…」
あまりの美味しさに思わず声をあげてしまった。そこらで売っているクッキーとはまるで違う、サクサクとした食感に甘すぎない味。これだけ食べていても生きていける自信がある。
それほどまでに、アリスさんのクッキーは美味しかった。
だが、可愛いと言われ、恥ずかしくなってしまい僕は顔を伏せる。きっと顔は真っ赤になっているだろう。
恥ずかしい気持ちを紛らわせるために僕はいくつか質問をしてみることにする。
「あ、あのアリスさん」
「ん?何かしら?」
「ここってどこなんですか?少なくとも僕が住んでいた場所にはこんな森はなかったのでわからないんです」
「ここが知らないって事は…あなたは外来人かしら?」
「ここを知らないのでたぶんそれかと」
「そう。ここは幻想郷。人間や妖怪、神までもが共に暮らす土地よ」
「妖怪…?神…?」
「ええ。さっきの蜘蛛も妖怪の一種よ」
「そう、なんですか…」
さっきの蜘蛛が妖怪…妖怪なんて空想上の生き物かと思っていたけどさっきの蜘蛛が妖怪だと言われれば頷ける。
そしてこの場所の名前は幻想郷…少なくともそんな土地は聞いたこともなかったが…異世界か何かなのだろうか…
「外来人となると霊夢の所に行った方がいいわね…」
「霊夢さんとは?」
「幻想郷の外を囲う結界を管理してる人よ。博麗神社の巫女をやってるわ」
神社に巫女。ここは日本とあまり大差のない場所なのだろうか。…アリスさんは少なくとも日本人ではなさそうだが…
「それじゃあ行こうかしら。白
ぎゃああああああああ!!!ちゃんって言わないでええええええ!!!
僕が床に伏せ悶えているとアリスさんは驚いたようにその光景を見て
「え、えっと、どうしたの?白ちゃん」
「イヤ、ナンデモナイデス…」
「そう…?ならいいけど…」
僕は女じゃない、と言いたかったがそれはもう…さっき自分で確認してしまったから言えなかった。だけど精神は男なのでちゃんと言われるたびに悶えそうになる。
「それじゃあ、行くわよ。しっかり掴まって」
「え?は、はい」
アリスさんが手を差し出してきたのでおずおずと手を握る。…精神は男なのでこういうのには慣れてないんだよね…
それにしてもしっかり掴まってとは…?
その答えはすぐに出た。
「え、う、うわ!空飛んでる?!」
「こっちじゃあ普通よ?」
「そ、そうなんですか…?」
「ええ。幻想郷に住む実力者たちはみんな飛べるわね」
「それはすごいですね…」
空をこんなに簡単に飛べるなんて…僕も飛べるのかな?
***
しばらくアリスさんに掴まって空を飛んでいると目の前に箒に乗って空を飛んでいる女の子がいた。…まるで魔女のようだ。
「ん?おお、アリスじゃないか」
「魔理沙じゃない。どうしたの?」
「これから霊夢の所に行くんだ」
「あら、奇遇ね。私たちも向かってるところよ」
「そうか。お前の腕に掴まってる女の子についてか?」
「ええ」
どうやら二人は知り合いのようだった。どうやら箒に乗った彼女は魔理沙という名前らしい。…しかし魔理沙さん、僕は男なのです。女の子と言われると僕のSAN値がゴリゴリと削られていくのです…
「私の名前は霧雨魔理沙!普通の魔法使いだぜ!お前さんの名前はなんだ?」
「えっと、僕の名前は水上白。外来人って呼ばれる人みたいですね」
「そうか!なあ白、そんなに不安定な場所にぶら下がってないでこっちの箒に乗らないか?」
そう言われ、アリスさんの方へと向く。アリスさんの目線を読むと、「乗らせてもらったら?」と、言っていたのでお言葉に甘えさせてもらう。
「えっと、お願いします」
「ああ!任せるんだぜ!」
そうして僕は魔理沙さんの箒へと移る。…魔理沙さんって男っぽい口調だなぁ…
「それじゃあ飛ばすんだぜ!しっかりと掴まるんだぜ!」
「え、う、うわっ!!!」
「あのバカ…」
魔理沙さんはスピードを思い切り上げ、かなりの速度を生み出す。まるで新幹線並みの速さだ。…魔理沙さんの箒に乗った方が一段と不安定になった気がする…まあ、楽しいからいいんだけどね!
アリスさんもスピードを上げ、横を飛んでいた。
***
「見えたぜ。あれが博麗神社だぜ!」
さっきよりは幾分かスピードも落とし、余裕も生まれた。そして魔理沙さんの指差す方へと目を向けると、桜の咲き誇る中に鳥居と社を見つけた。とても美しい場所だった。
「さて、着陸するんだぜ!」
「魔理沙、いつもみたいに突っ込むんじゃないわよ。後ろには白がいるんだからね」
なんかアリスさんがすごく怖い事を言った。
「わかってるんだぜ!」
「それが一番心配なのよね…」
だがアリスさんの心配とは裏腹に、魔理沙さんはしっかりと地面に着地した。
「おーい、霊夢!お邪魔するんだぜ!」
「またあんたね…あら、アリスもいるの?」
「ええ。外来人の子を連れてきたのよ」
「そう。その子は?」
「この子よ」
「はじめまして。水上白です」
「っ…!!」
霊夢さんは僕を見た瞬間になぜかフリーズした。なぜだろうか?
…その理由はすぐにわかる事になる。
「かっ…」
「「「か?」」」
「可愛い!!!!!」
なんと、霊夢さんが猛ダッシュでこちらへと駆け寄り、抱きついてきた。…霊夢さん、魔理沙さんとアリスさんが固まってますよ…
こんばんは。夢哉です。
今回は珍しく3000文字を越えました。頑張りましたよ!
ですがキャラ崩壊が…すみませんorz
それと、今日小説情報を確認したところ、お気に入り11件、評価☆9を頂けて…恐縮です…!
これはしっかりした話を書いて皆さんを喜ばせなくては!と思い、張り切って書いてみたところ、キャラ崩壊が起こりました…そういったものが苦手な方は申し訳ありません…
さて、次回は白ちゃんを空に飛ばしたいなぁ、なんて思いながら…頑張ります!
それでは今回はこの辺で!ノシ
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