東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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また日常
その23


 

 

前の宴会で何があったか、いつものように記憶になかった。六華も絶対に教えてくれない。霊夢さんにそのことを尋ねると笑顔でサムズアップするだけだった。

 

あれから数日の時が経って、季節は春半ば。先日には“聖輦船”というものが空を飛んでいた。霊夢さん、魔理沙さん、早苗さんはみんな揃って「中に何があるんだろう!?」と興味津々な様子で向かっていった。

 

僕は今回も行かなかったけど、彼女たちは魔界に行ったようだった。霊夢さん、魔理沙さんは前に行ったことがあるらしく、「懐かしい場所だった」と話していた。それを聞いたアリスさんの驚き様は凄まじいものだった。アリスさんは魔界から来たのだというから、僕の方が驚いた。

 

ということは、魔界に行けばアリスさんの母親に会えるのではないか、と思ったがあそこに行くのはあまりお勧めしないと言われた。なんでだろうか。

 

異変の最中には特にやることもないのでいつも外をふらふらとしているのだが、外には何と言えばいいか、カラフルなUFOが飛んでいた。そんな中で、封獣ぬえ、という少女に出会った。名前からも、本人からもわかったことで、彼女は鵺という妖怪のようで、鵺には「よくわからないもの」という意味合いもある。それによって彼女は正体をわからなくすることができるらしい。

 

なんでこんなことを教えてくれるのか、と訊ねたら単純に興味が湧いたからと話された。僕に興味の湧くようなものはないと思うんだけどなぁ。六華にも興味が湧いていたらしい。

 

その後、霊夢さんたちがたまに魔界にいた方のお寺に行くと言うのでついて行ったら、とても優しそうな方だった。なんと言うか、万人の母親、と言う感じの方だった。

 

そして今、博麗神社にいる。そこには僕以外に霊夢さんともう一人いる。魔理沙さんはいないが、まあいつも通り。しかし、今日は紫さんまでいた。理由は、スペルカードを作成するためだ。

 

以前、霊夢さんが魔理沙さんから僕が魔理沙さんからスペルカードを教わったと聞いたらしく、それじゃあ私からも教えたいと言われた。とてもありがたいことなのでよろしくお願いしますと言ったので今の状況にいたる。

 

「えっと、紫さんは?」

「霊夢が結界のスペルを教えたいから一緒に来てくれ、って頼まれたのよ」

「なるほど」

「そういうこと。それじゃあ白ちゃん、たっぷり教えてあげるからね!」

「ははは……お願いします」

 

意気込む霊夢さんはとても頼りに……なりそうだ。紫さんも微笑みを浮かべている。

 

「まずは結界の原理を教えるわ」

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

結界は大まかに二通りの活用術がある。

 

一つは防御。幻想郷を護ったりするために展開されているものは基本的にこれだ。「博麗大結界」などである。

 

もう一つは攻撃。霊夢さんの「二重結界」や紫さんの「弾幕結界」がこれに当たる。

 

また、攻撃・防御を併せ持つ結界もある。紫さんの「四重結界」「永夜四重結界」だ。

 

「白ちゃんには攻撃と防御を併せ持つ結界を学んでもらうわ。ただし、これは応用が利く反面、白ちゃんの力だと恐らく一度が限度よ」

「なんで併せ持つ結界なんですか?」

「はっきり言えば、楽だからよ。貴女に攻撃と防御を併用する結界を覚えてもらえば後は自力で理解して覚えるだろうと踏んでの判断ね」

 

なるほど。

 

「私たちの結界を何度か見たことはあるわね?」

「はい。霊夢さんの『二重結界』と紫さんの『弾幕結界』『四重結界』はあります」

「ええ。ただし紫の『弾幕結界』は所謂(いわゆる)“耐久スペル”というもの。時間制限を設ける代わりに自身にダメージが入る事はないわ」

 

何度か見てきたことはある。まさかだけど……

 

「貴女には、今挙げたスペルの特徴を全て覚えてもらって、自身でオリジナルを使えるようにしてもらうわ」

「大丈夫よ。白ちゃんならできるわ」

「はい!頑張ります!」

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

とてもわかりやすい説明を聞きながら、霊力と妖力を形にしていく。注意点を挙げていくと、

・霊力と妖力量は均等にすること。

・自分の力では一発が限度であること。即ち最終奥義のようなものになるということ。

 

このような感じだ。一つ目の注意点については自分の弾幕などがこういったやり方だから大丈夫だと思う。二つ目の注意点は、以前魔理沙さんから習ったスペルカードのように一度が限度。ハイリスクです。

 

イメージを明確に作り上げ、それを生み出す。「ホワイトアウト」と「一面広がる銀世界」を元に作っていこうと思っている。

 

大まかなイメージは完成している。であれば後は実践するのみだ。

 

「完成したかしら?」

「大まかに、っていう感じですね」

「さすがね。それじゃあ見せてもらっていいかしら、白ちゃん」

「はい」

 

大きく息を吸い、吐く。よし。

 

「いきます!『氷雪結界』!」

 

力を一斉に放出していく。視界は「一面広がる銀世界」のように雪国をイメージし、展開後は―――――

 

「なるほど。弾幕を無数に展開していって、その間に結界から出るのね。相手は結界内に閉じ込められるから耐久スペルになるわけね」

 

全くもってその通りだった。さすがとしか言いようがない。

 

「……これは、かなり怖いわね」

 

そう呟くのは、紫さんだった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

白が完成させた「氷雪結界」。本当に私たちのスペルを見よう見まねで展開させてしまった。どんなスペルかは霊夢が言ったとおりのものだが、それだけではない。

 

時間毎に、密度が上がっていく。結界から出てきた白はふらふらで、先ほど抑えた。この様子だと、ほぼ全部の力を使ったようだ。

 

私が使う「弾幕結界」と展開のさせ方は似ている。しかし、霊夢の「二重結界」の成分も多分に含んでいた。弾幕が歪んで進行して行く。これほど厄介なものはないだろう。密度も高く、さらには軌道も読めない。制限時間があるのが救いだった。

 

「この厄介さは霊夢のあのスペルに匹敵するわね」

 

ポツリとそう呟く瞬間に、霊夢が結界から出てきた。どうやら制限時間が過ぎたらしい。おおよそ30秒が限界のようだ。

 

「本当に、末恐ろしいわね。この子は」

 

腕の中で眠る少女に呟いてしまうのも、仕方ないのではないかと思った。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「さすがですね、霊夢さん」

「ありがとう、白ちゃん。でも、ものすごかったわよ」

「ええ。私たちから見ても申し分ないものだったわ」

 

白も目を覚まし、彼女のスペルの感想をそれぞれ話す。彼女の才能には恐れいくものだった。

 

「今日はありがとうございました」

「白ちゃんのためならいいのよ。また来てね」

「新しいスペルができてよかったわ。お疲れさま」

 

一礼し、帰っていく白を見送る。

 

「霊夢」

「ええ。ものすごいものだったわ。私でも危ういと思ったもの」

「そう、霊夢まで」

「……ねえ、紫」

「何かしら?」

「白ちゃんは……敵じゃないわよね?」

「……ええ、そう思っていたいわ」

 

あんなに礼儀正しく、好感を持てる彼女を、敵なんて思いたくない。そんなことは当たり前だった。




どうしてこうなった。
ということで今回出てきたスペルは前々から考えていたものではありました。こうして形にできて……できたと思います。
「氷雪結界」は白のラストワードとなります。ラストワードなだけに、ラストスペルよりも力を消費する模様。

それでは次回もお楽しみに。
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