東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
今日は六華と人里に訪れている。六華のことを幻想郷縁起に記録してもらうためだ。どこへ向かうかは前もってアリスさんに伝えてあるため大丈夫だと思う。
以前僕とアリスさんで人里に行った際に持って行ったお菓子も持っている。アリスさんが作っていた時に一つもらいましたけどあれはとっても美味しかったです!つまみ食いしてもいいかな……?
「ダメです。それは阿求さんへのものでしょう?マスター」
「そうだけど……美味しいんだもん、少しくらいは…」
「ダメです」
ぴしりと言ってくる六華に溜め息を漏らした。はぁぁ……六華は厳しいと思う。少しくらいはいいじゃないですか……。
文句を垂れている間に人里が見えてきた。以前と同じようにやっぱり人里は人が多い。それは人間が最も多くここに住んでいるだけではなく妖怪も住んでいるから……とはいえ、
「慣れない……」
「何にですか?」
「ここの人の多さに……」
どうにも人が多い場所は苦手だ。毎度のこと、人里に訪れるたびにそう思う。唯一の救いは変な人に絡まれたときに六華が対処してくれることだろう。
この身体なんてただの借り物で、中は男なのになんで狙うのだろうか。さっぱりわからない。
そんなことを考えているうちに人里に到着した。阿求さんの家への行き方は覚えているから問題ない。飛んでいってもいいけど、どうにも目立ちそうだからそれはいつも避けている。
「それじゃあ、行こう」
「はい」
***
行き方は確かに覚えていました。が、人里の入り口から向かうとなるとそれなりの距離があるわけで……
「はぁ…はぁ…つか、れた……」
「10分ほど歩いただけですよ、マスター。そんなことでは弾幕ごっこでもすぐにバテてしまいますよ」
うん、いつもすぐにバテてます……。たしかに六華が言ってることは間違ってないけど…。息が上がっているために自然に前かがみになってしまう。
「ちょっと……休憩してから入ろう…」
「はぁ……わかりました。少しですよ?」
「えぇ……」
「おや?」
あんまりな六華に抗議しようとした時、横から声が掛かる。その声の主は六華ではない。
「ああ、阿求、さん……」
「随分とお疲れのようですね」
「ちょっとマスターがご迷惑をおかけしてます……」
ひどい……六華はいつからこんなに毒舌になったのだろうか……?
「ひどいよ、六華……えっと、こんにちは。阿求さん」
だいぶ体力も回復したので、体勢も直すことができた。
「ええ、こんにちは。今日はどういった御用ですか?」
「今日は六華のことを幻想郷縁起に記録してもらいたいと思って来ました。あ、これアリスさんからのものです」
「ありがとうございます。アリスさんが作ったお菓子は美味しいんですよね」
物凄く同意です!僕もできれば食べたいです!
「マスター……」
「……はい」
六華に力を供給し続けることで同時に六華は僕の心を読むことができる。些細な、少しのことでも見ぬかれてしまうのだ。
「御要件はわかりました。まずは入りましょうか」
「あ、はい。お邪魔します」
「お邪魔します」
***
やっぱり、阿求さんの家はお屋敷と言っていいほどに広い。使用人の人たちも散見できる。以前訪れた紅魔館が洋風のお屋敷と言うのならば、阿求さんの家は和風のお屋敷と言えるだろう。
そんなことを考えながら時間を阿求さんの家の縁側で時間を潰す。今僕は少し分けてもらったアリスさんのお菓子と、ここの使用人さんに淹れてもらったお茶を飲んでいた。と言うのは、六華が阿求さんから質問を受けているからだ。
六華は僕の心を読むことができる。だがそれは逆も然りだ。
以前僕が阿求さんに幻想郷縁起に記録してもらうために受けた質問攻め―――あれはかなりきつかった。それは六華も変わらないようで、六華が今どうなっているかがよくわかり、思わず苦笑いをこぼしてしまった。
さらに10分ほど待つと、部屋から阿求さんと六華さんが出てきた。六華を見ると、それはもうめちゃくちゃ疲れてた。
「ありがとうございました、阿求さん」
「いえいえ、もう少しお時間をいただければ書いたものを見せることができますが、どうしますか?」
「それじゃあ、待ってます」
「わかりました。10分ほどで完成しますからもうしばらくお待ちください」
「はい」
「お疲れ様、六華」
「はい……さすがにこれは……」
部屋に戻っていった阿求さんを見届けたあと、六華に労いの言葉を送った。ヘトヘトな六華もそうは見る機会がないから新鮮だ。
「あともう少し時間ができたから六華も食べる?」
「いいんですか?」
「うん。一緒に食べよ?」
「はい!喜んで!」
喜々として一緒に食べてくれる六華はとても可愛らしかった。しかもものすごい勢いでお菓子を食べていき―――――
「ああ!六華!僕の分まで食べるな!」
さっき僕を叱った六華は何なんだ。沸々と怒りが湧いてきたので、その腹いせに六華が手に持っていたお菓子を奪い、口に放った。
「なんてことするんですか!マスター!」
「六華が猛スピードで食べるからでしょ!」
そんな口喧嘩は、阿求さんが完成したと報告に来るまで続いた。
***
白き自立人形
六華
能力 白を模する程度の能力
危険度 中
人間有効度 中
主な活動場所 さまざま
元はアリス・マーガトロイドが所有していた上海人形。元々水上白に懐いていたようだが、彼女の霊力と妖力を通した事により、姿能力が変化した。それが六華である。今では水上白をマスターと慕っている。
不思議な事に、彼女は自立型人形であり、力の供給さえ止めなければ自身で動く事も可能なのである。感情も持っている。
はたから見ればそれはもうメイドのような存在であるが、本当にメイドのようであり、彼女の水上白(マスター)に害する者があれば全力で攻撃をしてくる。だが、彼女の力の供給源は水上白であり、あまり使いすぎると今度はそちらへ影響が及ぶのである一定以上は攻撃してこない。しかし、会うたびに攻撃される事は間違いないだろう。
その代わり、普通に付き合えば彼女もそれに応じてくれる。感情を持っている故に、会話もしっかりと成り立つのだ。
PC買い換えました、と報告を。
今回は六華の分の幻想郷縁起もどきを作りました。なんとなくです。そろそろ次の章に移りたいなぁ、と思っていますのでそろそろこの章も終わるかもしれません。
それでは次回もお楽しみに。
〜更新情報〜
H28.3.26. 誤字の訂正、一部文章を訂正