東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
その26
異変がない日はほぼ毎日、博麗神社で霊夢さん、魔理沙さんの指導の下で修行をしていた。それ以外では、アリスさんと魔法の練習をしたり、お菓子を作ったり、人里に出掛けたり、六華とどこかへ行ったり……と、様々なことをしていた。
そんな日々が、僕が幻想郷という世界に訪れてから二年経とうとしている。最初に経験した『紅霧異変』が冬の季節だったので概ね間違っていないだろう。
そして、自身のことを周囲に二年間も隠し続けていた。この二年間、とても充実していたと思う。だけど、それ故に今でも頭に残り続けていることもある。
あの時助けた猫はどうなったのか。なぜ僕がこの身体を得たのか。そもそもどうしてここに来たのか。
二年経った今でも、わからないことがずっと残っていた。周囲は知らないだろう。だが六華は………心を読むことができる六華であれば、僕の経緯は知っているのだろう。それを決して口に出さないでくれている。本当に、僕には出来過ぎたパートナーだ。
***
季節は秋。木々の葉が紅葉し、秋独特の景色が展開されている。霊夢さん、魔理沙さんと一緒に特訓していると、あっという間に時間が経っていった。
そんな中で、唐突に異変は起こる。各地でいつもはおとなしい妖怪が暴れだしたのだ。
更に加わる違和感。それは
「……?」
上空にそびえ立つ反転した城から禍々しい力が送られてくるのを感じた。だけど、この力を甘んじて受けてはいけないと、勘でそう伝えられた。
今現在、異変解決の真っ只中にいる。道中に出会った妖怪たちの暴走を収めながら空に浮かぶ城へと目指していた。
メンバーは僕、六華、霊夢さん、魔理沙さん、咲夜さんだが、二手に分かれている。今僕と六華と魔理沙さん、霊夢さんと咲夜さんでペアを組んで異変解決を目指している。
「どうした?白」
異変への支度をしている魔理沙さんに声をかけられる。魔理沙さんは気がついていないのだろうか。
「空に城が浮いてるじゃないですか?」
「ああ、そうだな」
「あそこからなんというか、力が送られてるような気がするんです」
「何?……そういえばさっき倒してきた妖怪たちも同じようなことを言ってたな。普段は力がない妖怪たちが暴れてるってことは……」
「この力が原因ってことですか…?」
「ああ。その可能性が高いな。私のミニ八卦炉もなんか勝手に動いてるし、こりゃまずいんじゃないか」
その割には喜々としてそのミニ八卦炉を使っているのだから、魔理沙さんらしい。
「六華は大丈夫?」
「ええ。マスターのおかげで自我を保てています」
「よかった」
ひとまず、安心できそうだ。
「それじゃあ、上空に向かうか」
「はい」
***
「それにしても、この異変はなんなのでしょうか?私のナイフも勝手に動いてますし」
「そうね……私のお祓い棒も勝手に動くし…」
道具が意思を持つ……今までにはなかった異変だ。更に加えて上空には逆さの城が浮かんでいる。
というか、そんなことを言いながら喜んでナイフを投げつけてたこいつはなんなのだろうか。
「さっき倒してきた妖怪たちはあの城から力が送られる……とか言ってたわね」
「ええ。普段はあまり強くなく、大人しい妖怪たちのはずなのですが」
普段は大人しく、力も弱い妖怪……自分にはそういう感覚はない。
「あんたのところのお嬢様はどうなのよ?」
「特に異常はありませんでしたよ」
となれば、力の弱い妖怪にのみ発生してる……?
「あの」
「ん?」
「力の弱い、と言えば、白様はどうなんでしょうか?」
「……」
確かにそうだ。あの子の力の総量は少ない。だがそれをなんとかやりくりしていることで妖怪として見てみれば、中級妖怪の上位層に入れるほどの実力はある。
しかし、それでも力に限界がある彼女は、“弱い”と言える。
ただ―――――
「白ちゃん大丈夫だと思うわ。今のところあの子が暴れたっていう情報も入ってないし、勘もそう言ってるしね」
「……博麗の巫女の勘がそう言うなら間違いないのでしょう」
「あんたはどう思ってたのよ?」
「私も大丈夫だと思いますよ。白様は……強いですから」
「…そう。それじゃあ、ちゃっちゃと異変を解決するわよ」
この異変を象徴しているように、幻想郷の上空の天気は嵐だった。
更新できました。そろそろまた更新頻度が下がりそうです。
今回から輝針城編となります。終盤かなぁ……
それでは次回もお楽しみに、ノシ