東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その27

 

 

幻想郷の上空を飛行すること数分、ようやく逆さの城にたどり着くことができた。こんな酷い嵐なんて、いつ以来だろうか。

 

「もう少しだな。大丈夫か?白、六華」

「私は大丈夫ですがマスターは……」

 

六華は僕の力のみをパスしているので外部からの力の影響は特にない。が、僕は目の前の城からの力で体力を消耗していた。

 

城から発せられる力が何度も囁いてくる。“強くなれるぞ”と。それだけなら振り切れるが、加えて強制的にその力を許容させようとしてくる。

 

抗ってはいるが、これでは埒があかないし、この先の相手とも対面するときの力が残っていない可能性が高い。

 

だが、そんなことで六華と魔理沙さんを足止めする訳にはいかない。消耗しているがまだなんとか残っている。

 

「…大丈夫です。いきましょう」

「……そうか。くれぐれも、無茶はするな。敵と戦う前に倒れちまったら元も子もないんだ」

「ええ、わかりました。そのときはお願いします」

 

上手く誤魔化せた……そんなわけがない。恐らく六華も魔理沙さんも気がついているだろう。それでも僕の意見を通してくれる。こんなところで倒れる訳にはいかない。

 

それに、漠然とした嫌な予感もする。……頑張らなくちゃ。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

城の中も、逆さまになっていた。床が床の役割を果たしていないのにとても違和感がある。

 

「さて、どうしたもんかね」

「かなり大きいですね、この城は」

「ああ。いちいち探していくのも面倒だし、魔法ぶっ放して突っ込んでくか?」

「それで崩壊したらどうするんですか……」

 

六華と魔理沙さんがどうしたら良いか話しているなかで、じわりじわりと体力が奪われていのを感じていた。息なんてもうぜぇぜぇいってるくらいだ。

 

二人にバレないように深呼吸をして落ち着かせる。そうすればいくらかは回復できるだろう。

 

「はぁ……しょうがない。とりあえず回っていこう。いけるか、白?」

「…ええ、もちろんです!」

「そうか。じゃあいくぜ!ついて来いよ!」

 

霊夢さんほど鋭い勘は持っていないが、相手にかなり近い位置にまでは来ているような気がする。気を引き締めていかなくては。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「さて、次はここか」

 

三十分ほど探索しただろうか。無数にも感じられる部屋のうちの一つを目の前にしていた。明らかに今までの部屋とは雰囲気が違う。この場にいる全員がそう思ったのだろう、緊張感を最大限に高める。

 

「それじゃ、いくぞ」

「はい」

 

魔理沙さんが前に立ち、目の前の戸を開く。

 

「……なんだ?お前たちは」

「この異変を解決しに来た人間だぜ。それじゃあ、さっさとこの異変を止めてもらおうか?」

「はぁ……ここはお前たちのような人間が来る場所じゃない。さっさと出て行ってもらおう。……ん?お前は」

 

不意に視線を向けられた。

 

「……ほう、お前はこいつとは違うようだな。私の名前は鬼人正邪。どうだ、我々の仲間にならないか?」

「違う……?何の事ですか?しかも唐突に仲間の勧誘ですか?」

「そうだな、説明が不足したか。我々ひっくり返す者(レジスタンス)は姫の秘宝を使い、幻想郷をひっくり返すのだ!」

「幻想郷をひっくり返す…ですか……?」

「そうだ。我々は幻想郷この地で強者に虐げられてきた。だから今、我々は強者に対して下克上をするのだ。そうすればお前のような存在がとても暮らしやすい世界ができるはずだ」

「それで僕に何の関係があるんですか」

「そうだな。そこの奴とお前には決定的な違いがある。それは強者か弱者であるかの違いだ。現に、そこの奴はピンピンしてるのにお前は今にでも倒れそうだ」

「白、やっぱりお前……」

「あはは……ごめんなさい…」

 

今まで嘘をつき続けていたのは本当に申し訳ない。だけど、それで足手まといになるのは嫌だった。

 

「さて、それでどうだ?我々の仲間に加わらないか?」

「……一つ教えて下さい」

「いいだろう。何だ?」

「各地で、今まで大人しかった妖怪が暴れています。それはこの城から発せられている力が原因ですか?」

「この城から力……?ああ、なるほどな。その質問の答えだが、恐らくその力は姫の秘宝による代償から生まれ発せられている力だ。そしてその力は」

「弱者にのみ与えられる、と。だから僕もその力を受けていたんですね」

「ほう。やはりお前も我々と同じ存在なんだな」

 

「ちょっと待て!さっきからなんだ、その力ってやつは!」

 

会話を遮るかのように、魔理沙さんの叫びが部屋の中で反響した。その質問に答えようとすると、六華が突然僕の前へと動いた。

 

「六華?」

「魔理沙さん、その力はこの異変が始まってからずっとマスターに干渉していました」

「……だからそんなに疲れてるのか?」

「はい。マスターはその力に対抗するために今までずっと力を消費して、私までも守ってくださいました」

「……なんで話さなかった?足手まといになると思ったのならそれは間違えだぞ…?」

「……」

 

話さなかったのが間違えだった……?対抗する手立てが見つからないから話さずにいたのが間違えだった……?それじゃあ話さなかった今の僕の方がずっと―――――足手まといじゃないか……?

 

「……もう、そんな無茶をするな。約束してくれ」

「……」

「マスター、私を守ってくれたのは嬉しいですが、私もマスターにこんな無茶をしてほしくはありません」

「……わかりました」

 

無茶をしたのが間違えだったのだとしたら、なら、せめて自分のできる範囲のことをしたい。今度は無茶じゃなくて、周りも少し頼りながらで。

 

「さて、話は終わったか?」

「はい。僕はあなたたちの仲間にはなりません。幻想郷で下克上だなんて、そんなことはさせません」

「ああ。お前たちのような奴らが幻想郷を支配したらどうなるかなんて目に見えてる。そんなことに賛同できないな」

 

「そうか、残念だ。それじゃあお前たちにはここで倒れてもらう」

「お前なんかが私たちを倒せるとは思えないけどな」

「確かにお前には敵わないかもしれない。だからこの秘宝と私の能力を使う。さあ、秘宝(こづち)よ、我にその夢幻の力を与えよ!」

 

正邪がそう宣言すると、目の前に黒いモヤが現れ、徐々に形成されていく。正邪の持つ秘宝と、能力によって生み出されたものは―――――僕だった。




久々に書いたらもう……なかなか更新できず、申し訳ありませんでした。
予定していた話とだいぶ逸れた話になってしまい、なんてこったい状態です。ここおかしいな、と思った所があれば指摘していただけると幸いです。

それではまた次回に、ノシ
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