東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
Side 白
あれから三十分くらい霊夢さんに愛でられ、僕は満身創痍になっていた。魔理沙さんとアリスさんは口をポカンと開け呆けていた。助けてよ…
そしてまだそれは続いている訳で、
「あ、あの、霊夢さん…」
「なにかしら~?」
「も、もう開放していただけませんか…?」
「うー…わかったわ…」
渋々といった感じで開放する霊夢さん。元男だからこういうのはちょっとまずいんですよ…
「それで魔理沙、アリス、今日は何のようよ?気分がいいからお茶とお菓子くらいは出すわよ」
「ま、まさかあの霊夢が私たちに食べ物を提供するとは…」
「天変地異の前触れなんだぜ…」
いったい霊夢さんはどんな人なのだろうか。ここまで言われるって…
「失礼ね。毎回お茶くらいは出してるじゃない」
「はぁ…まあ、いいわ。今日はこの子に幻想郷の事を教えてあげて欲しいのよ。あなたに」
「!」
霊夢の目がギラッと光る。まずい。あれは獲物を狙っている目だ。これはやばいぞ…!
霊夢さんの気迫に押され、一歩後ずさる。それに習って霊夢さんがこちらへと一歩踏み出す。これは…
「え、えっと…(恐らく)外の世界から来たのでこの世界の事を教えて欲しいな…と…」
「ええ、いいわよ。だからこっちにおいでなさい…!」
これは…近づきがたい…助けて、とアリスさんの方へ目を向けると、やれやれ、と言った感じに、魔理沙さんは思いっきり苦笑いしていた。
これは自分から一歩踏み出さないといけないのか…だがしかし、このまま進んだら一生元に戻れない世界へと誘われそうだ。そう、僕と霊夢さんの間に結界があるかのように…
「もう、じれったいわね。早く前へいきなさいよ」
アリスさんに背中を押され、霊夢さんの目の前まで前進した。顔を上げてみるとそこには霊夢さんが目で「やっと来たわね!」と語っていた。
「それじゃあ今日は頑張りましょうね!」
「は、はい…」
「やけに張り切ってるなぁ…霊夢のやつ」
「そ、そんな事ないわよ!」
必死に反論しているがごまかせてない。…本当にいつもの霊夢さんってどんな人なんだろう…?
***
「さて、まずは…弾幕を作り出すところからかしらね?」
「弾幕、ですか?」
「ええ。これを見てちょうだい」
霊夢さんがそう言うと手のひらに青い球体が生まれる。え、え?!
「どうやってるんですか?!」
「ああ…可愛い…じゃなくて、そうね、私の場合は霊力、というものを使ってこれを作ってるわ」
「霊力ですか?」
「ええ。人間なら誰しもが持ってるわよ。今から白の持っている力を見てみるわね」
霊夢さんがお札を掲げて呪文のようなものを唱え始める。すると驚いたように目を開けた。
「…白、あなたは確かに霊力を持ってたわ」
「そうなんですか!」
「だけど同時に妖力もあったわ」
「え…?」
アリスさんと魔理沙さんも驚いていた。話を聞くと幻想郷には人間、妖怪、神など多種多様な生物が棲んでいる。そこまではアリスさんから聞いた事だった。だが、次に魔理沙さんから聞いた話だと、人間には霊夢さんが言ったとおり霊力を持ち、魔法使いは魔力を所持する。…魔理沙さんは例外なようだが…そして、先ほど出てきた妖力というのは“妖怪だけが持つ力”だったのだ。
そして僕には霊力と妖力を持ち合わせていると言う。ということは―――――僕は人間と妖怪の二つの力を持ち合わせているということ。
「それって…」
「いや、そこまで珍しい訳ではないわ。前にも話した通り幻想郷には多種多様な性別が棲んでる。だから人間と妖怪のハーフは然して珍しくはないのよ」
「でも二つの力を持ってるとなるとやり方も大きく変わるわね…」
霊夢さんがうーん、と唸っている。霊夢さんは純粋な霊力だけであの“弾幕”を作り出していた。恐らく勝手が違うのだろう。二種類の力を合わせて作り出すという事は。
「うーん…あいつがいれば楽なんだけど…」
「あいつですか?」
「ええ。覗き魔よ」
「なんというか…悪趣味な方という事はわかりました…」
「誰が覗き魔よ!」
「わわっ?!」
急に空間に亀裂が入り、そこから女性が現れたため驚いてしまった。
「あら、可愛いお嬢さんなこと」
「…っ!」
またもや悶えそうになる衝動を抑え、なんとか耐えた。うぐぐ…僕は男だって…!
「都合よく来てくれたわね、紫」
「悪口を言われればどこからでも来るわよ…」
明らかに怒っているご様子の紫さんに一つ声を掛ける。
「はじめまして、外の世界から来た水上白です」
「礼儀正しいのね。どこぞの誰かさんと違って」
「紫には白に力の使い方を教えてあげてほしいのよ」
紫さんの皮肉を軽くスルーしてこちらの要望を発する霊夢さん。紫さんはふむ、とこちらに顔を向け、
「いいわよ」
と、笑顔で返してくれた。
***
神社の境内に僕と紫さんの二人きりになる。霊夢さん、アリスさん、魔理沙さんは神社の中へ入り、お茶とお菓子を楽しんでいた。
「さて、まずは弾幕を出す…って、どうやって力を使うかわかるかしら?」
「それがさっぱり…」
「そう。あなたには二つの力が宿ってる。それをあなたは“別々のもの”として使いたい?それとも“合わせたもの”として使いたい?」
なるほど、二つの使い道があるのか…
「ちなみにそれぞれのメリットとデメリットを教えていただけませんか?」
「そうね、別々のものとした場合はもちろんのこと両方の力を使えるわ。その代わり片方の力が劣化してしまうかもしれない。合わせたものは二つの力を合わせるから別々として使うよりも高い威力を扱う事が出来る。その代わり習得までに時間がかかるわね」
なるほど…だけど…
「まずは“合わせたもの”を使いたいです。その後で別々にして使いたいです」
「そう、わかったわ。それじゃあまずは身体の左半分と右半分を別々に考えてちょうだい」
「わかりました」
丁度身体の中心から左右を分けてみる。いや、物理的にじゃないよ?
「そうね、左に霊力、右に妖力がある、って言えばいいかしら?」
なるほど。…血液と同じように身体に流れていたのか…
「そして左右から同じ量ずつ力を手のひらに集めてみなさい」
言われたとおり左右から同じ量ずつ力を抽出する。すると…
「おお!」
「成功ね」
手のひらに紫色の弾幕が出来ていた。色は恐らく霊力の青と妖力の赤を合わせたからだろう。妖力については紫さんに見せてもらった。
「それを…そうね、あの木を的にして投げてみなさい」
「はい」
野球ボールを投げる容量で実行してみる。だが慣れないためにヒョロヒョロとブレながら変な方向へと飛んでいった。
「まあ、始めのうちはこんなものよ。頑張っていきましょ!」
「はい!」
僕の返事を聞くとうん、と一つ笑顔で頷いた紫さんだった。…なんでこんな人が覗き魔なんて言われてるんだろう…?
お久しぶりです。
テスト期間が明けました。久々に書いたためかいつも以上に文章が乱れてる…申し訳ありません…
さて、小説情報を見てみるとお気に入り件数21件。創成録を超えそうです(なんてこったい
あちらをメインとしてきましたがまさかそれを超えてしまいそうになるとは…読んでくださっている方々には感謝感激の極みです。
さて、空を飛ばしたいななんていいながら進んだのはここまで、思ったよりも進みませんでした…次回こそは、と思っています。
それでは次回もお楽しみに!ノシ
~更新情報~
H27.3.1. 後書きの誤字の訂正
H27.10.30. 誤字の訂正