東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その28

 

 

信じられない。ただそれしか言いようが無い。それが今の状況だった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「どういうことだ…?白が二人…?」

「でもマスターと髪の色は違いますよ…?」

 

魔理沙さんと六華が口々にそう感想を漏らす。だが、僕は何も言わなかった。いや、言えなかった。

 

「こいつは言わば、今のお前のコピーだ。だが、私の能力によってお前の短所のみは“反対”にしている。そうだなぁ、お前の反対だから名前は―――――黒ってところか」

「黒……」

 

僕の短所なんて幾らでも挙げられる。それらを補われたとなれば……

 

「それじゃあ、私の説明はここまでだ。黒、こいつらを倒すんだ」

「……わかった」

「おい!まだ話は終わってないだろ!」

「そいつを倒せたら追ってくればいい。倒せれば、の話だがな」

「あ!くそっ!」

 

目の前の少女に目を向ける。外見は髪の毛の色を除けば全く同じだ。髪の毛の色は、彼女の名と同じく、闇のような黒色をしていた。そして、恐ろしく表情が抜け落ちていた。

 

何を考えているかわからない、まるで深い闇を見ているような気がしてくるほどに、彼女の表情は何もなかった。

 

「マスター……大丈夫ですか…?」

「うん。大丈夫……大丈夫だよ」

 

黒の実力はわからないが、時間がない。急いで倒さなければいけない。

 

「時間がないので倒させてもらいます!雪符『ホワイトアウト』!」

 

(力を込め、後ろに回りこんでの攻撃なら不意をつけるはず。このまま一気に蹴りをつける!)

 

「……ん」

「なっ……!」

「嘘……だろ……?」

 

黒が放ったたった一つの、それも手のひらサイズの弾幕で、僕の弾幕が全て掻き消された。それなりに力を込めたはずなのに……

 

「……それ、だけ?」

「くっ……それだったら!雪砲『スノースパーク』!」

 

『スノースパーク』の劣化版スペルカードだが、それでも結構な力を込めた。さっきの彼女の力を見て、これで倒せるとは思えないが無傷では済まないだろう。

 

「……さっきよりは、強いね。だけど……闇符『ブラックアウト』」

「え……?」

 

目の前に現れた黒からゼロ距離での弾幕を放たれ、動くことができなかった。スペルカードを使用はしているが、ルールはほぼ無視した威力にスピード。なのに、景色が全て遅く感じる。

 

視界が黒く染まっていく。生前に感じた恐怖、この世界にきても何度か味わった恐怖。

 

―――――ああ、死ぬのだろうか。

 

そう認識した後、無意識にスペルを宣言していた。

 

 

 

「『氷雪結界』」

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「マスター!!!」

 

マスターの目の前に、いつの間に現れたのか。黒という少女の実力が計り知れず、行動が遅れてしまった。

 

なんとしてもマスターを助けなければならない。なんとしてもマスターを……!

 

この異変が始まってから、マスターはずっと苦しんでいた。私を守るために、ただの人形である私なんかを守ってくれるために。そしてパスを通じて私がマスターの状態に気づいた時、「黙ってて欲しい」と頼まれた。

 

マスターの言う事は私にとっては絶対だ。しかし、目の前で明らかに疲弊しているマスターを無視し続けることもできない。

 

私がマスターを労らなかったツケが今、回ってきてしまったというのか。なんとしても、今度は私がマスターを守らなくてはならない。

 

今も、パスを通じて伝わってきた。

 

―――――死にたくない

 

マスターの過去に何があったのか、それも私はわかっている。だから、もうそんな目に遭わせられない。

 

今自身が持つ最高の火力の弾幕を作り出し、放とうとしたその時、ポツリと呟く声が聞こえた。

 

もはや目に光すらも残っていない、絶望しか残っていないマスターが無意識にスペルを宣言した。

 

「『氷雪結界』」

 

刹那、マスターの持つ霊力、妖力、魔力、が爆発的に開放された。だが、それは同時にマスターの危険信号でもあった。

 

マスターは、暴走状態に陥っているのだと。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

白と黒のほぼ一騎打ちと言っても過言ではない状況に、手を出せない状態でいた。

 

白は確かに強くなった。限界があるとわかっていながら、その範囲内で上手く力をやり繰りして戦えていた。流石は、天才だと。そう思えた。

 

だが

 

(まずいな。力の差が開き過ぎてる)

 

彼女らの戦いを見て、わかった。そして正邪の言ったことも理解した。

 

黒は、紛れも無く白の正反対の存在だ。

 

(おかしい位の弾幕の威力、底が見えない力―――――限界が見えてる白にとっては最悪の相手じゃないか……!)

 

しかも、白はスペルを使って避けさせる間を与えないよう、攻撃を止めないでいる。それもかなりの威力を込めているに違いないだろう。一般人よりも少し多め程度の力の中でも、だ。

 

故に、かなりの速度もある弾幕なのに―――

 

(最低限の動きで避けてやがる!)

 

今、私の横にいる六華もかなり苦い表情をしている。白の状態がパスを通じて伝わってきているのだろう。そして、彼女の表情が芳しくないということは、状態も芳しくないということである。

 

「六華、白の残りの力はどのくらいだ?」

「……残っては、います。ですが、どうにも力を上手く使えてません。焦ってるみたいです……」

 

(一応残ってはいるのか)

 

ならまだ余裕が……と思ったその時、初めて黒がスペルを宣言した。

 

―――――闇符「ブラックアウト」

 

「な……!」

 

スペルの内容が白の雪符「ホワイトアウト」と全く同じだった。だが、黒が放った弾幕は白の眼前ゼロ距離で放たれ……

 

「マスター!!!」

「あっ!待て!!!」

 

六華の表情は、焦燥の一色に塗り潰されていた。

 

「くそっ!」

 

急いで六華の後へと着く。そして、目に入ってしまった。

 

 

 

白の目には、もはや何も写っていない。

 

いつの間にか展開された、雪景色。白が持つ、ラストワード。

 

「『氷雪結界』」

 

そのスペルが暴走状態で展開されたものだと、すぐに理解させられた。




輝針城編って、難しいんですね……


今更ですが、オリジナル展開に足を突っ込んでます。きちんと輝針城異変もやっていきます。

次回もまた未定です……。それではまた次回に、ノシ
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