東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その29

 

発動された「氷雪結界」は、辺り一面を“白”へと変えていった。まだ早い冬が、その場にのみ訪れていた。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 Side 黒

 

 

 

 

「……これは…?」

 

不思議そうに辺りを見舞わす。先程までは、周囲は木々が紅葉した景色が視界に映っていた。しかし、今は雪が降る白銀の景色へと変わっている。

 

そして、目の前の少女がスペルカードというものを唱えていたことを思い出した。

 

急いでこの空間から抜けだそうと、目の前の少女から離れようとする。が、不可視の壁に阻まれるように外へ出ることができなかった。外は、先ほどの木々が紅葉した景色が広がっているにもかかわらず、この空間のみは白雪の世界へと化していたのだ。

 

「……結界、みたいなもの。かなり強力」

 

冷静に、この空間から抜け出す方法を考えてみる。まず、この空間内では幾つもの弾幕が常時展開され続ける。時間が経つごとに密度も上がっていくが、弾幕をぶつけ退路を作ることで回避している。

 

そして不可視の壁は上にも、そして四方、地面にも展開されている。これは恐らくあの少女の力で生み出されたものだろう。霊力と妖力がごちゃ混ぜになったものが壁となっているものだと思われる。

 

壁の方へ弾幕を幾らぶつけても壊れる様子は見られない。先程までのあの疲労はどこへいったのか。少女の方へ目を向けると、まっすぐ私を見ていることに気づいた。表情がまるで変わって、無、と言うのが正しいのか。何もなかった。ただ、こちらを見て、弾幕を延々と作り続けているのだ。

 

「……暴走、してる?」

 

先程までの少女は、的確に判断し、弾幕を必要最小限に作っていた。それは、恐らく体力的な理由であろう。では、なぜ今それを無視するかのように弾幕を作業のように作り続けているのか。

 

単純に、リミッターが外れたのだろう。恐らく引き金は私がゼロ距離で彼女に弾幕を放ったこと。それによって彼女に何が作用したかはわからないが。

 

視界の端に、そんな彼女に近づいていく存在が見られた。白い人形と白黒の魔法使いだ。

 

「……あの二人は…彼女の仲間?」

 

脱出の手立てが見つからないのであれば、まずはあの二人に接触してみるのがいいかもしれない。そう思い、二人の方へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 Side 魔理沙

 

 

どうやら私も、六華もこの結界の中へと閉じ込められてしまったらしい。もちろん、白もわざとではないと思うが、

 

「あいつは……今度から修行はハードにしてやる」

「マスター……」

 

ああ、ちくしょう。目の前にいたのに助けることができなかった自分に苛立ちが募る。

 

以前、白が見せてくれたこのスペルだが、圧倒的にこのスペルは異常だった。勢力の衰えが一向に表れないのだ。展開の手順は同じで、密度も徐々に上がっていく。その弾幕群を対処するが故に白に近づけない。

 

「白の力の残量を考えれば、こんなスペルなんて展開できるわけがなかったんだ。あいつが今暴走状態だってことはわかるんだが、どうやってこんな……」

「……今、マスター自身は気絶状態と同じです」

「なんだと?」

 

本人の意志とは別に、身体だけは動いている、というのか。

 

「操られている、って線はないよな?」

「……はい、と言えば、そうなります」

「どういうことだ?」

「マスター自身は気絶状態です…ですが、マスター以外の何かが、マスターの身体を動かしている、というような感じです」

「それは他者からの干渉ってわけじゃないんだな?」

「はい」

 

どういうことだろうか。他者からの干渉なしに他人を動かす?そんなこと、白の中に他の誰かがいるかのようじゃないか。

 

いや、無意識による防衛本能の延長……それも考えられる。それが過剰となった結果が、ああなってしまったのであれば。

 

「白を叩き起こせば、直る可能性があるってことか」

「はい。ですが、今のマスターに近づくのはとても難しいです。……私はマスターに攻撃することができません……」

「ああ、わかってる。だが、どうにも戦力が足りない」

 

六華と話している間にも絶え間なく弾幕の吹雪が私達を襲う。時間を少しでも稼ぐために何度かマスタースパークで間を開けようとはしているがどうにも実を結ばない。

 

「せめてあと一人、戦力になる奴がいれば……」

「……じゃあ、私が加わる」

「うわっ!いつの間にいたのか!」

 

(くそ、目の前の弾幕を対処しているせいで気が付かなかった!こいつはかなり厄介な奴だってのに!)

 

「何が目的ですか。貴女はマスターの敵ですよね」

「……ん、今は違う。早くここから抜け出したい」

「抜けだした後はどうするんだ?」

「……どうもしない。あの子、強いから……」

 

(強いから……なんだ?その後が聞こえなかったな。なんか顔も赤いし……まさかな)

 

まあ、そんな事は後でもよく。どうやら彼女は協力的らしい。

 

「そうか。まあ、わかった。お前の名前は……黒でよかったか?」

「……合ってる」

「わかった。黒、協力してくれるんだな?」

「……うん」

 

味方にすれば、心強い奴だ。さっきの、白との対峙を見ればよくわかる。

 

(あと少しだ。絶対に助けてやるからな、白)




やっと投稿できました。

パソコンも変わって、データも必要最低限移して。だけど東方のデータが少し欠けてて……夢想天生のクリアデータが吹っ飛びました。辛いです……

あともう少しでほのぼのに戻せる……!

次回もまた未定です。きっと、霊夢サイドになると思いますが……

それでは次回もお楽しみに、ノシ
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