東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
Side 白
呆然とする魔理沙さん達だったが、すぐさま戻ってきた。
そしてすっごく怒られた。怖かった。
「どれだけ心配をさせるんだ!」と、魔理沙さんに。「心配したんですよ!」と、六華に。
ひたすらに謝るしかなかった。五分ほど説教を受けてようやく許してもらうことができた。
「はぁ……まあ、無事でよかった。こっちも無事だったし、結果オーライってやつか」
「ええ。ですが……」
全員が黒へと目を向ける。彼女はこの中でダントツで高い能力を持っている。
だが、目を向けると、何故か逸らされた。
「えっと……なんで目を逸らすの…?」
「……」
「あの……えっと……」
「……好き」
「え……?」
何と言ったのだ、この子は。うん?
「……白は私より強かった。だから……好きになった」
「えっと……僕は強くないし、ここにはもっと強い人もたくさんいると思うんだけど……」
あの時相手にしていたのは僕ではなく、あの子だったのだが。
そう言えば身体をまた貸してもらうときに、
『私、あいつ嫌い』
と頬を膨らませていたのを思い出したが、この事だったのか。なんであの子が怒ったのかはよくわからないが。
「……私は、白がいい」
「えっと……」
助けを求めようと魔理沙さんと六華に目を向けるが、清々しいほどに勢い良く逸らされた。この人たち……あとで処す。
「……えっと、ありがとう……?」
「む……!マスターを一番好きだと思っているのは私です!貴女が介入する余地なんてありません!」
「なんでそこで六華が参戦するの……」
全く意味がわからなかった。しかも割と本気らしく、これでもかというくらい頬を膨らませて黒を睨んでいる。
と、その時、誰かがこちらへと飛んで来るのが見えた。あれは……
「あんた達!だいじょう……ぶ……?」
霊夢さんだった。そして着いた途端に安全確認をしてくれたが、霊夢さんの声が小さくなっていく。そして小刻みに震えだした。この動作……覚えている!これはまさに、初めて僕が霊夢さんに会った時―――――
「白ちゃんが二人もいるなんて!ここは天国なのかしら!??」
抱きついてきました。やっぱりですか。……もはや、こんな事態に慣れてしまっているのだから、危ういのかもしれない。
僕はもう慣れてしまっているので身を任せているが、慣れていない黒にしてみるとやはり苦しいらしく、嫌そうな顔をしていた。
「……むぅ」
「その拗ねた顔も可愛らしいわね!あなた名前は!?」
「……黒」
「黒ちゃんね!覚えたわ!」
凄い力を持った少女すらをも包み込む……幻想郷最強は霊夢さんなのではなかろうか。
「なあ、霊夢……一応そいつ、敵だぜ……?」
「…………え?」
きょとん、と霊夢さんが黒を見やる。相変わらず黒は嫌そうな顔をしていた。
***
魔理沙さんが霊夢さんに事情を説明し、なるほど、と一言呟いた。が、俄然僕と黒は抱かれたままだった。
「えっと、黒の事は話したのですが……」
「ん?ああ、大丈夫よ。あんたはもう戦うつもりもないんでしょ?」
「……うん。白には攻撃しない」
「なら大丈夫ね!」
いや、全然、全く大丈夫じゃないと思うんですが。僕にはって、僕以外にはするってことなんじゃ……
「僕以外に攻撃するのもだめだからね……?」
「……むぅ」
チラリと黒が霊夢さんの方へ目をやった。やっぱり嫌なんだろうなぁ……。
「こうしてみると、お前ら双子みたいに見えるな?」
確かに、姿は瓜二つみたいだからそう見えなくもないかもしれない。霊夢さんは魔理沙さんのその言葉を聞いて更に目が輝いた気がした。
「むー………」
一向に六華の機嫌は治らない。
「さて、まあ、異変解決ってことでいいかしらね」
「ああ、そうだな。……あー、今回はやたら疲れる異変だった」
「マスターがご無事で本当に良かったです」
本当に今回も解決できてよかった。多くの人に迷惑を掛けてしまったし、新たな幻想郷の住民も増えた。やたらに僕を気に入ってくれている黒も、いずれはここに慣れるだろう。
今回の件で、自分の非力さを改めて感じることができたし、あの子のことも頭に入れておかなければならない。やることは山積みだ。
今回はだいぶ少なめです。次で輝針城編も終わりかな、と。
次に一話挟んで、その次はどうしようかな、と。少し無理が入るかもしれません。
それでは今回はこの辺で。ノシ