東方白化雪 ~ White wonder wizardry.   作:夢哉

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その35

 

 

あの後―――妖夢さんと別れた後、文さんとも会った。どうやら彼女もこの異変についてを調べているらしく、情報を集めている最中だったようだ。話しかけてみたら向こうも話し相手になってくれた上に、いくつかの情報もくれた。

 

「どうやら一面に鈴蘭が咲いている場所があるようですね。そこに新しい妖怪が住み着いているのだとか。後は、まあ、他の人達も行動をしているってところですかね」

 

と、文さんの情報だ。これだけならまだ良かったのだが、何かお返しが必要でないかと尋ねたのがいけなかったのだろうか。タダで情報をもらうのが悪い、と思ってしまった故にそう話すと、

 

「ほほう……なら後で白さんの写真をたくさん撮らせてくださいね!」

 

などと超笑顔で言われてしまった。どういうことなの……?

 

何故なのか尋ねたが頑なに答えてくれなかったのでかなり心配である。が、言ってしまったからには仕方がないし、まず返事をする前にどこかへ行ってしまったのだからどうにもならない。甘んじて受けることにしておこう。

 

「そういえば、さっき文さんは他の人も動いてるって言ってたよね」

「そうですね。もしかしたらまた誰かと会うかもしれません」

「本当にこの異変って幻想郷中で起こってるんだ……」

 

六十年に一度という周期は未だによくわからない。何か法則性があるのだろうか。

 

「とりあえず、次は文さんが言ってた鈴蘭の場所に行ってみよう」

「わかりました」

 

ひとまず行ってみなければどうにもならない。ここでじっとしているよりかは進展が有るのではないかと期待しながら、文さんに教わった方向へと向かった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「ふわぁ……」

「これは……すごいですね……」

 

僕も、六華も目の前の光景には驚きを隠せなかった。緑と白の世界には最早神秘的なものすらも感じる。思わず変な声が出てしまうくらいに。

 

「これが文さんが言ってた鈴蘭畑なんだね」

「とても綺麗ですね!」

 

六華がここまではしゃぐというのも珍しい。……けれど、わからなくもない。いやだって誰もが美しいと思うって!

 

「だけど今までこんな場所あったっけ?」

「どうでしょうか……?今回の異変でこういった場所が発生したのかもしれません」

 

なるほど。ここは博麗神社からそれなりに離れている場所だ。今までにここまで来たことはなかったし、見落としていたかもしれない。または六華が言うように異変によって偶然こういった場所が発生したのかもしれない。

 

何にせよ、こういう場所にはめったにお目にかかれない。この世界に来る前にこういう場所を見たことはなかった。だからとても新鮮で、純粋に喜びがこみ上げてくる。

 

こういうところもこの身体になってからだ。なんというか、見た目相応な行動をしてしまう。この場に六華しかいないからまだいいが、以前のように雪ではしゃいでるところを霊夢さんに見られると………ね。

 

(抱きつかれる……もう慣れっこになってきちゃったけどやっぱり恥ずかしいよ……)

 

思い出すとゾッとする。断じて霊夢さんが嫌いという訳ではないが、毎回のようにやられると羞恥心が限界突破してしまう。そうすると人形の如く、弄ばれる。

 

改めて考えると

 

「霊夢さん……恐ろしい人!」

「…?どうかしたんですか、マスター?」

「いや、なんでもないよ」

 

しまった、思わず声に出てしまった。訝しむ六華の目にダメージを受ける。

 

ものすごく話が脱線してしまったが、ひとまず鈴蘭畑を探索してみる。

 

「そういえば鈴蘭って毒があるんだっけ?」

 

向こうの世界にいたときにどこかで聞いた記憶がある。少量でもかなりやばいと。口に入れなければ大丈夫だと思いたい。もっとそういう方面も勉強しておけばよかった……。

 

「あなた……誰?」

「へ?」

 

あまりにも鈴蘭畑に意識を向けていたために、周囲の警戒を怠ってしまっていたらしい。後ろから声を掛けられ、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。

 

目に入ったのは、なんというか、人形みたいな娘だった。頭に赤いリボンをつけた金髪の女の子。背丈は僕よりも少し小さいくらい。

 

「ここは私とすーさんたちの居場所なの。私の名前はメディスン。あなたは誰?」

 

どうやら、ここ一帯は彼女のテリトリーだったらしい。しかし、あまり敵愾心を感じさせない辺り、友好的に接してくれるのかもしれない。

 

「えっと、僕は水上白。こっちが六華」

「六華と言います」

「そう。それで、どうしてここにいるの?」

「今回の異変を調べてるんだ」

 

その後、僅かに彼女の表情が曇ったのが伺えた。

 

(何か言っちゃった……?)

 

「……ここの鈴蘭―――すーさんたちは私の友達なの。今まで以上にすーさんたちが咲いた。だから、たとえ異変だとしても止めてほしくない……!」

 

ああ、と。

 

彼女の目は本気だ。何が何でもこの場、鈴蘭たちを護ろうという目だ。たとえ、彼女に相対したのが自分ではなく、絶対的な強者であっても彼女はこの決心を曲げはしないだろう。

 

だけど、そうじゃない。彼女はあまりにも周りを知らない。きっと、ここに訪れてきた人だって多くないだろう。こんな辺鄙(へんぴ)な場所、好んでやって来る者の方が少ないのだから。

 

だから、彼女は偏り過ぎた。まず、このような場所に彼女のような存在が()()()()でいることがおかしい。

 

「私は人間に棄てられた!だけどすーさんたちは私を受け入れてくれた!付喪神になって、毒の力も手に入れられた!だから、私はこの場所を護る!そして人間たちに絶対復讐してやるんだ!」

 

小さな体から放たれた悲痛な叫び。僕の見た目よりも小さい彼女がここまでの気持ちを吐露してしまうにまで、壮絶な経験をしていたのだ。

 

だから僕は、彼女に真っ直ぐ向き合わなければならないと思った。




今回はいつもどおりの分量になったかなぁ、と思います。ええ……
次話もなるべく早く仕上げられるようにしたいです。それでは今回はこの辺で。ノシ
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