東方白化雪 ~ White wonder wizardry. 作:夢哉
その8
Side 白
僕がこの世界に転生してから早一ヶ月、アリスさんの家に寝泊りさせていただいている。そして、時間を見つけてはアリスさんから魔法を学んだり、霊夢さんのいる博麗神社に遊ばせてもらったりした。時々妖怪退治と言って留守にしているときは、境内を掃除したりしていた。
そして、まず僕は戦闘力はあるにはあるが、相手にできるのは中級妖怪まで。上級からは能力を行使してやっと、というところなので、もし出くわしたら即効で逃げるようにしている。
魔法に関しては水に適正があるようで、雪を扱ったりしている。まあ、スペルカードも雪系のものだもんね。
そして今、空に広がっている紅い霧。これは明らかにおかしい。アリスさん曰く、これが
幻想郷では「異変」というものらしく、妖怪が引き起こすものが大半だと言う。
前に霊夢さんに、異変解決に一緒に行かないかと言われた。なんでも、ある程度の実力はあるし、あまりにも激しい戦闘には関わらせないから大丈夫だ、とは言っていたけど…。
「やっぱり怖いです」
「まあ、霊夢と魔理沙がいるから大丈夫だと思うわよ。あの二人は幻想郷の中でも屈指の実力者。適当に誰かを連れて行くなんてことはしないわ」
「そうなんですか…。…それじゃあ、行ってきます」
「ええ。気をつけて」
アリスさんに見送られながら、アリスさんの家を出て、博麗神社に向かう。
力は中級妖怪と同等だけど、博麗神社で霊夢さんや魔理沙さんと弾幕ごっこをやったのでいくらか力はついたと思う。…未だに一度も勝った事がないんだけど…。
少しスピードを上げ、僕は博麗神社に急いだ。
***
空を飛ぶ事およそ五分、博麗神社に到着した。霊夢さんと魔理沙さんはもう準備も終えているのか、境内で話していた。
「こんにちは。霊夢さん、魔理沙さん」
「こんにちは、白ちゃん」
「こんにちはなんだぜ、白!」
笑顔で挨拶を返してくれる二人。
「それじゃあ、白ちゃん、これを持っておきなさい」
霊夢さんから渡されたのは三枚の御札。なんの効力があるのだろうか?
「これは護符よ。どんな攻撃を受けたとしてもこれを使えば一度だけは護ってくれるわ」
「おお………!ありがとうございます!」
「ああ、可愛い…!」
「霊夢、今は異変なんだから落ち着け。白、お前もそれなりに実力はあるんだ。それは無駄に使わないでもしもの時にだけ使えよ?」
「わ、わかってるわよ!」
「わかりました」
「それじゃあ、行くぜ!」
魔理沙さんの忠告をしっかりと頭に入れておく。そして僕たちは空へ浮上し………
「えっと、それでどこへ向かうんですか?」
「適当だぜ!」
「勘で行くのよ!」
なんとも大雑把な実力者二人だった。
***
今現在、僕たちは霊夢さんの勘を頼りに上空を飛んでいる。通ってきた所にはルーミア、チルノ、大妖精という少女たちがいた。
ルーミアちゃん、チルノちゃん、大ちゃん三人は仲がいいらしく、三人で遊んでいた。霊夢さんの勘によって着実に目的地には向かっているのだが、それでも念のためにとその三人に道を訊くことにした。霊夢さんたちも一休みと言う事で休憩になった。
話を聞くところによるとこのまま真っ直ぐ向かえば最近現れた館に辿り着くという。…霊夢さんの勘凄い…。
道を訊いた後、チルノちゃんがもっと話していようと言ってきたので三十分くらい話し込んだ。時々チルノちゃんが暴走し出すと、大ちゃんが抑えていた。大ちゃんはチルノちゃんの保護者役みたいだった。ルーミアちゃんは、食べ物の話になると目をキラキラさせてきた。三人とも、とても可愛らしかった。
三人と別れると再び目的地へ向かい始める。霊夢さんと魔理沙さんはとても微笑ましいそうに僕を見ていた。なんでだろう…?
***
しばらく直進すると、どこぞの大豪邸が持つような館がそこに存在していた。とても大きく、凄いなぁ、と思うんだけど、館の色のせいで直視できないでいた。だって色が濃い紅色なんだもん…。
「これは…目に悪いわね。白ちゃんに悪影響だわ」
「流石にこれは私から見ても悪趣味だと思うんだぜ…」
二人も同様の意見を持っていたようだった。とりあえず門の前に着地する。すると門の前に門番さんがいた。…寝ているようだけど………。
「あの…この人寝たふりってオチじゃないですよね…?通った直後に後ろからやられると怖いんですけど…」
「そうね。念のためこの針を飛ばしておこうかしら」
「流石にそれは酷いんじゃないですか…?」
「そうですよ!寝ているたびに咲夜さんにナイフを飛ばされて刺されてるんですから!…あ」
「「「あ、起きてたんだ(ですか)」」」
よかったぁ…。後ろからやられる心配がなくなった!だけど咲夜さんって誰だろう…?
「うぐぐ…バレてしまいましたか…」
「いや、お前から勝手に話してきたんだぜ」
「だって針で刺すって言うんですもん!」
「あら、真に受けてたの?」
「え、やらなかったんですか?」
「………そうね(白ちゃんに止められなければ投げてたわ…)」
「なんですか、今の間は!」
「え、えっと、門番さん」
「ああ!さっきは命を救っていただきありがとうございました!貴女が止めてくれなかったらきっと刺されてました!」
「あ、はい…」
霊夢さんのあれが本気だったとしたら目の前のグロテスクなシーンに絶対気絶してた…。後門番さんが凄い不憫に思えたので…。
「私の名前は紅美鈴と言います!」
「僕の名前は水上白です。えっと、美鈴さん、ここを通って行ってもいいでしょうか…?」
「…それは残念ながら答えはNOです」
無理でしたか…。やっぱり門番だからかな…。
「そ。まあ、無理だとは思っていたわ。私の名前は博麗霊夢。この霧を止めてもらいに来たわ」
「私の名前は霧雨魔理沙だぜ!流石に太陽が出てこないと生活に支障が出てくるんでな。力ずくにでも止めてもらいにきたぜ!」
「そうですか。私は知っての通りこの館の門番。ここを通す訳には行きませんよ!」
美鈴さんが構えをとる。彼女は武術の心得があるようだ。僕は生前には特に何もしていなかったので美鈴さんがとったような綺麗な構えができない。
霊夢さん、魔理沙さんも戦闘準備に入る。なんとか話し合いで解決したかったけどこればっかりは仕方ないかな…。
「力ずくでもここは通るわ。白ちゃん、援護お願いね!魔理沙、行くわよ!」
「わかってるんだぜ!白、頼んだぞ!」
「わかりました!」
「それでは、いきますよ!」
霊夢さん、魔理沙さんが前に出て、美鈴さんに攻撃をする。美鈴さんもそれでは効かなかったのか、まだ飄々と立っていた。………この人は間違えなく強い。こんなに強い人が門番をやっているということは、館の中に暮らす人たちはこの人と同じくらいの実力者がいるのだろうか?
美鈴さんが弾幕を放ってくる。それは虹色の弾幕で、目を奪われるような美しさを誇っていた。…だが見惚れている暇はない。僕が弾幕を展開させ対抗する。そしてその間を潜って霊夢さんと魔理沙さんが飛び出て行く。
「負けるわけにはいきませんよ!華符『芳華絢爛』」
「へぇ。貴女はここの世界のルールを知っているみたいね。それじゃあ、霊符『夢想封印』!」
美鈴さんが発動させたスペルを霊夢さんお得意のスペルで打ち消す。そして魔理沙さんは手にしっかりとミニ八卦路を握り、
「これ以上時間をかけるわけにはいかないんでな!これで終わらせるんだぜ!恋符『マスタースパーク』!」
この隙に魔理沙さんが特大のレーザーを放出した。美鈴さんは諦めたように両手を下ろし、レーザーを真正面から受けようとする。…だが、あれをまともに受けたら相当のダメージになってしまう。非殺傷の弾幕ごっこだって当たり所が悪ければ最悪…ということもある。
「美鈴さん!まだ間に合います!横に!」
「っ!」
一瞬驚いたような顔をしたが、僕が出した声に頷き、なんとか魔理沙さんのレーザーを避けきった。
美鈴さんがこちらへ駆け寄り、僕に声を掛けてくる。
「…なぜ声を?」
「流石にあれを真正面から受けたら美鈴さんでもまずいと思ったんですよ」
「はぁ…。流石に敵を助けるのもどうかと思うんだぜ…」
「あ、あはは…」
魔理沙さんの言うとおりだ。敵を助けるのは誰がどう見てもおかしく見えるだろうけど…何故だか勝手に声が出たんだよね…。
「と、とりあえず、ここを通っていいですね?」
「…わかりました。私を倒したのですから、いいですよ」
「やっと次に進めるわね」
霊夢さんがふぅ、と溜め息を吐き、前方に聳え立つ館に目を向ける。僕もそれに倣い、館の方向へ目を向ける。改めて見ると、やはり紅い色一色なので目が痛い。だが、これだけの豪邸に住んでいるのだから、さぞ大物がいるのだろうと僕は予想した。
「それじゃ、入りましょ。さっさとこの霧を止めてもらわなくちゃいけないから」
「そうだな。中にどんなお宝が眠ってるのか楽しみなんだぜ!」
「どんな人が住んでいるんでしょうか?」
それぞれが言葉を漏らし、足を動かす。目の前にある館の中には美鈴さん以外にどんな住人がいるのか、少し楽しみではあった。
えっと、こんばんは。投稿がかなり遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
理由は活動報告で記したとおり、忙しかったのです…。それで、今日やっと投稿できました。
―――――ここまで待たせておいて、内容が…。
はい…。反省しております。やはり弾幕ごっこの描写は苦手みたいです。基本ほのぼの、という事もあり、弾幕ごっこの描写は少なめにはしています。美鈴さん、スペカ一枚しか使っていませんでした…(おい
次回はやっと、館の中へ入れます。きっと、別々の道に行くんじゃないかな、と思っています。
それではこの辺で。次回もお楽しみに!ノシ
~更新情報~
H27.3.15. 本文の一部を訂正
H27.3.16. 本文の一部を訂正