今度は幸せに   作:角張った円

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まず導入だけ。


最後のチャンス

ある所にディアボロという男がいた。男は「スタンド」と呼ばれる特殊な守護霊のような超能力を持ち、「スタンド使い」と呼ばれる人間たちの集団の中でも指折りの強力なスタンド能力を持っていた。男は能力を使い母親を殺し地面に埋め、そのことに気付いた当時一緒に住んでいた神父をも殺し、その後入手した「鏃(やじり)」を手に過去を隠し正体を隠し全てを隠してマフィアのボスに成り上がり、圧倒的な能力を持って永遠の絶頂を極めた。

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

ディアボロは考えていた。

 

(何故だ!?何故だ何故だ何故だ!!エピタフが見たのは確定した未来だったはずだ!!俺は勝っていた筈なのだ!!この世の真実は、全ては!!俺の味方だった筈なのに!!)

 

そんなことを考えている間に真上からコンクリートブロックが降って来て頭部に直撃し死に至る。

 

(うがあおおぉ……!!!!まただ……!また死んだ……。即死だった筈なのにしっかりと痛みを!!苦痛を感じる!!)

 

気が付けばまた知らない所にいる。さきほど死んだ筈なのに。いや、死んではいない。正確に言えば死ぬ事はできない。ディアボロは死という「真実」にたどり着く事は永久に無いのだ。

 

(レクイエム……!!真実にたどり着けない能力…!!奴に殺された俺はもう死ぬことはないのか!永遠に死の瞬間だけを味わい続けるのか!!この苦痛を!!これからもずっと!!!)

 

彼は負けた。十人にも満たないちっぽけな存在に。途中までは上手く行っていたはずだったのに。

 

ケチの付きはじめはもう十年近く前になる。なぜやって来たのかは知らないが、麻薬を流すような極悪人を許すことはできない、これを見逃すのはあのJガイルを見逃すようなものだ。自分がこの国を守るのだ。と、チンケな正義感でたった一人組織に立ち向かって来たポルナレフとかいうフランス人。

 

救援も断ち、ボスである俺自らが直々に始末した。はずだった。確かに殺したはずだったのに。

生きていた。崖から落ち、岩に叩きつけられるのをこの目で見たのに。

 

(クソ!!今考えても忌々しい………!!あいつさえ………あいつさえいなければッ………!!)

 

奇跡的に助かり四肢のいくつかを失いながらも組織から逃げ延びたポルナレフが、あの小僧に鏃を持ってきてしまった。

 

あの小僧。ジョルノジョバーナ。俺ををこんな無限地獄に叩き落とした張本人であり直前の言動から推測するに今頃はディアボロの組織のボスでもやっているのであろう小僧。ふっと現れ流れ星のごとくあっという間にディアボロを打倒した少年。

 

おそらくやつ個人なら問題なかったはずだ。いつも通り不安要素を『取り除き』誰にも正体を知られず、莫大な富を、強大な権力を手に影でほくそ笑む。そんな毎日が過ごせるはずだった。

 

自分でさえ最近まで知らなかった娘という存在。誰かに任せていれば保護され、いつか、可能性は低いにしてもスタンド能力を開花させそこから自分の能力の秘密をヒントを掴まれてしまうかもしれない。親子なのだ。能力が似ることも有り得ない話ではないのだ。

 

だから自らの手で確実に始末するために組織の中でも古株でこういう仕事を任せても配下を使って確実にやり遂げてくれるであろうポルポに私の元までの護衛任務を任せた。

 

どうしてこんなことになったのだろう。上手くいっていたはずだったのだ。任務を任せて数日。そろそろ向こうに娘が届くはずだと報せを待っていたら届いたのはポルポが自殺したという報告だった。そして代理でポルポの部下であり最近組織で頭角を現し始めているブチャラティとそのチームにその任務を引き継がせたというのだ。

 

嫌な予感がした。

 

その予感は的中する。

 

殺そうとした娘は取り返され、暗殺チームを失い。

 

そして、鏃が、あれがジョルノジョバーナの元に届いてしまった。

 

表の人格として上手く隠れ蓑なっていたドッピオはポルナレフのレクイエムの力で引き剥がされ、ゴールド・E・レクイエムの力なのかスタンドも使えず、今までの生き方故に味方はおらず、助かる方法もない。

 

(ああ………また死んだ。一体、一体いつまで続くんだ………この苦しみから俺はいつになったら解放されるんだ………死んで死んで死んで死んで死んで死んで、死んでも死んでも終わらない………ああ、ああ。もう死にたくない………)

 

 

──────────────────────────────────

 

 

 

もう何回死んだかも覚えていない、思考も半分死にかけている。そんな時ふと小さな考えが生まれた。

 

(自分が今まで殺した人間はこんな絶望を、苦痛を感じて死んでいったのか………)

 

一度生まれた考えは加速度的に膨れ上がっていく。もう、止まらなかった。

 

(さっきまで、俺は何を考えていたんだ?自分がどうやって助かるかということばかりで、俺は周りなんて見ていなかったんじゃあないのか?)

 

考えれば考えるほどに湧き上がってくる贖罪の気持ち。

 

(今更だって考えはある………!それでも、今からでもやり直すべきなんじゃあないのか?今のこの状況だってやれることがある筈なんだ………!何かできる筈なのだッ!!)

 

死因の中には大規模な事故に巻き込まれたものもあった。そういう状況で今までは逃げ惑うだけだった。

 

しかし一人くらい救えた筈なのだ。スタンドはなくてもそれなりに体力に自信はある。火災なんかでも誰か一人くらい救えるかもしれない。

 

希望が見えた気がした。

 

(もう一度………!高望みのわがままだが、もう一度チャンスがあったなら!今度こそ人のために、自分の幸せなど投げ打てる、人のために生きてみせる!贖罪の機会を俺にくれッ!頼むッ!!!)

 

その瞬間また死ぬ。

 

しかし今度は意識がなかなか現実に戻ってこない。それどころか意識がどんどん遠のいていく。

 

(何?待て、まだ、まだ成さなければならない事があるんだ!!まだ、やる、べ……き、こと………が………………)

 

 

 

──────────────────────────────────

 

 

 

バッ

 

 

と、意識が覚醒する。

 

(ここは、何処だ………?うまく体が、動かない………。目も開かない………うぐ、苦しいッ!息もしづらいッ!ぐぁあッ!また、また死ぬのか!?何だこれはああ「あぁぁぁ!!!!」

 

「うぎゃああああぁぁぁぁん!!!!!」

 

(何だこの声は?俺が出しているのか?一体何が起こって)

 

「………かった!……やっ………産ご………も…ダメか…………よろ…んでくださ………げ…き…な…の子で………」

 

(駄目だ………また…いし、きが……遠のいて…)

 

何が起こったかは分からないが今の自分は何かしら凄い状況の中にいるような気がした。




またしばらく更新空くでござる
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