ALDNOAH.ZERO~ある火星騎士の物語 (休載中)   作:jorjue

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なんかスランプ酷いな…

まぁ、更新遅いけど…ゆっくりしていってね


最凶の申し子 -Heaven-sent Child of Disaster-

それは突如降ってきた。

 

伝説の聖剣の名を冠するも真逆の意味合いを持つ色に塗られた機体、オートクレール。それが、バートン城から800m地点に単体で降下してきた。

カタフラクトの装甲は高密度だ。確かに単独で大気圏へ突入することはできる。が、それは機体の強度を度外視した方法だ。ディオスクリア並に重装甲な機体ならばほぼ無傷で済むだろうがオートクレールはその真逆。装甲は確かに全身を覆うものだが通常の量産兵器に比べると薄すぎる。

 

だが、そんなことはこのオートクレールには通用しない。この機体のアルドノアドライブの恩恵が受けられる限り、オートクレールは本当の意味でディオスクリア以上の超高密度な装甲を『増やせる』のだから。

 

 

「何!?」

 

クラウディアはその彗星のように降ってきたカタフラクトを見やる。まだその当たりは砂埃が舞って状況が分かってない。だが彼女の第六感が行動を優先させた。左へ急速に機体をずらす。すると同時に砂埃の中から岩の嵐が先程あった機体の位置へ降り注いだ。リジェクトは速さを求めた機体のため、装甲に凹凸がある箇所は背面装甲くらいだ。正面への被弾を極力避けねばならない。

 

『流石だなぁ、クラウディア。ヴァース最強と言われてんだ、そんくらいしてくんないと嬲るのに精が出ねぇぜ?』

 

自分いや、この戦域全体に呼びかけて話しているその声をクラウディアは知っていた。訓練兵時代、自分を越えようとあらゆる手を使い挑んできた男。

 

クラウディアの戦い方を正道とするならばその男の戦い方は邪道…

 

『会いたかったぜェ…クラウディアァ!!』

 

「マリネッ、貴様ぁ!!」

 

互いに策士を主君に持つ最強と最凶はそれが必然かのように銃口を向け合い、二人にしか許されない戦争がはじまった。

 

初手を取ったのはリジェクト。その圧倒的加速力で抜き打ちのソードトンファーによる斬撃を与えようとオートクレールの懐へ潜り込み、一閃を放つ。

 

「なっ!?」

 

だが、それはオートクレールのすぐ手前の、何もない空間に手応えを感じた。

 

マリネはその光景に口元を歪める。初手を譲り、隙を見せてしまったリジェクトはいま、オートクレールの餌食になる。

 

『アルドノアドライブ出力上昇、周囲の微分子濃度を収縮…』

 

オートクレールの両腕から円盤が展開され、急速に回転する。すると、オートクレールの周囲の空間が徐々に渦巻き状に歪みはじめた。

 

「なんだ…それは…」

 

『クラウディア様!』

 

クラウディアが歪みはじめた空間をみているとら揚陸城からの通信が来た。

 

『あの機体の周囲へその周りにある分子が移動し、一定空間内の分子量が急激に増え始めています!さらに…』

 

「さらに、どうした!?」

 

『ほ、本来結合するはずのない原子や分子が結合し、光をも多重屈折する密度、いえ、それ以上の高密度な空間による壁が出来ています!!』

 

なんてことなのか…この機体は物理法則をねじ曲げることを平然とやってのけているのだ…

 

『さぁ、クラウディア…4年前の続きと行こうじゃねぇか…!!その最強、俺が砕いてやるよ!!』

 

リジェクトはありえない軌道で後進をかける。このカタフラクトは規格が違う。禁忌のアルドノアドライブの力は物理法則をも無視するのか。だが、これを超えねばバートン様の負担が増えてしまう。

 

「私とて…負けるわけにはいかない!マリネ!」

 

フォーゼを撃つリジェクトに対しオートクレールは回避することもなく、左指を飛んでくる弾丸に向ける。やはり弾丸は指にあたる直前で爆発、オートクレールには当たらない。だが、衝撃までは抑えれなかったのか若干よろける。しかし、それも一瞬でありさらに、爆風によりリジェクト側からはよろけるオートクレールを見ることができなかった。よって、オートクレールに追撃は来なかった。

 

煙が晴れ、やはり無傷のオートクレールをみてフォーゼを腰に仕舞い、フランベルジュを構える。あれは拳銃の威力では突破できない。瞬間的な攻撃力が高い擲弾銃のフランベルジュならば突破出来るかもしれない。

 

フランベルジュを構える。狙いは血塗られた死神、対してオートクレールも背中にあった推進翼と思われた部分を外し手に持つ。それは剣のようで、禍々しいオーラを放つ。だが、クラウディアは気押されなかった。先に動いたのはリジェクト、思い切り後進をかける。いきなりの加速Gに意識がブラックアウトしかけるがそれが許されない相手が目の前にいる。

それを見たオートクレールは追いかけては来るが全速力ではなさそうだ。スピード勝負は負けると考え程々にしているのだろうか。

マリネの気は知れないが、クラウディアはリジェクトの左手にあるフランベルジュを見て、オートクレールに向け放つ。しかし、オートクレールは手に持つ禍々しい剣を向かってくる弾丸に向け一閃、すると弾丸はあらぬ方向へ飛んでいく。その先には、バートン勢のカタフラクト。

 

「う、うわぁぁぁあ!クラウディア様ぁ!!」

 

そして無残にも、胴体に当たった凶悪な火薬の量を内包している弾丸は胴体に命中した。その際に空気を震わせる程の爆発を起こしたため、塵一つ残さなかった。

 

『アッハハハハハハハハハ!!!楽しいよ!楽しいなぁクラウディアァァァ!!』

 

オートクレールが再度迫る。だが今回は周りに岩塊を纏わせ突撃体制をとっている。その右手にはあの禍々しい剣を、左手はリジェクトに乗ったクラウディアの首を掴むような執念を表すように、リジェクトへ向けられている。

 

「ッ、マリネェ…」

 

自分の放った弾丸が味方を殺したショックを気力で押し込み、全力でリジェクトを後進させる。殺人的なGをその身で受けるも、今は気を抜けない。少しでも気を抜いたら、あの禍々しい剣に殺られてしまうだろう。フランベルジュはおいそれと使えない、ソードトンファーでも恐らくあの空間の壁に防がれてしまう。威力の低いフォーゼでは突破もできないだろう。

万事休す。今のクラウディアではあれを突破できない。そうと分かれば負けない戦いをすればいい。

 

『…アァン?』

 

その声はマリネ。目の前にはフランベルジュをこちらに投げつけるリジェクト。

 

『はっ、なんのつもりかは知らねぇが…』

 

オートクレールは剣を振りかぶり、

 

『俺の前にゴミを投げ棄てるな』

 

フランベルジュを両断した。

 

瞬間━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガッ━━━━!?』

 

 

 

 

 

 

 

そこら一帯が轟音に包まれた。

 

(フランベルジュはまだ1発しか撃っていない。一発であの破壊力ならば中に残ってる弾頭全てが爆発した破壊力は計り知れない。オートクレールの空間の壁は空間内の分子密度を増やして圧縮、出鱈目に結合させて強固な壁にしている。ならば、それ以上の破壊力で結合崩壊させて穴を開ければ出鱈目に結合された分子は元に戻る!!)

 

現に、歪んで見えたオートクレールの姿ははっきりとした姿に見えている。

 

「今だ!カタフラクト隊、叩き込め!!」

 

クラウディアの鋭い一声がバートン勢のカタフラクトに動きを与えた。オートクレールは今、『丸裸』なのだ。

 

オートクレールは動かない。いや、動けない。いくら性能が良くても、動かすのが人である以上パイロットがやられては鉄の塊も同然だ。

 

オートクレールに大量の弾丸がばら撒かれる。

が、それを許さないのがクルーテオ勢のカタフラクト。

 

『マリネ卿!』

 

突如戦闘に介入したため敵味方の識別がつかなかったがザーツバルムの騎士、マリネ卿と主たるクルーテオより教えられたクルーテオ勢は丸裸であるオートクレールの壁になる。

 

『マリネ卿を保護した後、全軍我が城に退避せよ!体制を立て直す!』

 

オートクレールがスカイキャリアに収納され、クルーテオ勢が撤退する。同時に、バートン城の修理が終わった。それは即ち。

 

『揚陸城、大気圏離脱準備完了。いつでも打ち上げれます』

 

「よし!全カタフラクト収容次第、宇宙へ上がる!そして、バートンに指示を仰ぐ!急げよ!」

 

ここに、最強と最凶の二人だけの戦争は幕を閉じた。この20分の戦いだけで、双方の死者合わせて180もの命がここに散った。

 

 

 

『ブラド卿、あと数分で目標船に到着します』

 

「うむ、大儀である。私を降下後、上空を旋回して周囲警戒に当たれ」

 

伊奈帆の策により凹んでしまった頭部を予備パーツで補ったアルギュレに乗ったブラドは、クルーテオの命によりバートンの乗る強襲艦へ襲撃をかけるべく、あのオレンジ色の機体により落ちた自信の名誉を挽回すべく、ズームにより見える船を忌々しく見る。

 

(待っていろ、我が宿敵。貴様の首を持って我が名誉を…!!)

 

意気込みは十分、あとはあそこにある人形どもをひとつ残らず切り伏せるのみ。そして、バートンを引っ張りだし、主たるクルーテオに捧げる。それが騎士たる彼の役目。

 

『ブラド卿、到着しました。降下します』

 

そして、復讐の武騎士は宿敵と相対すべく決戦の地へ降下した。

 

 

 

『上空に敵航空機!!総員戦闘準備!』

 

わだつみの艦内に襲撃を知らせる放送が流れる。船内の民間人は軍人の慌ただしさにこれから起きる惨状に恐怖し、軍人はカタフラクトの準備や艦砲へ向かい迎撃体制を取る。

 

『アルダニティ小隊、発進準備!二番エレベーター上昇!』

 

『アルダニティリーダーより各機、HE弾は使うな!AP弾で応戦!』

 

「鞠戸大尉!?そいつはまだシステムチェックが終ってません!」

 

「こっちでやる!お前は他の機体のチェックをしていろ!!」

 

コックピットに乗り込み、システムチェックを行う鞠戸。

 

「フォースフィードバックチェッキングプログラム、スターッ!?」

 

突如、視界がぼやける。そして、15年前のあの光景や悲鳴が聞こえる。

 

「━━━━━━!!」

 

戦闘は鞠戸のそれを無視するかのように継続する。

 

 

「ふん!」

 

手に持つ刀で艦砲1つを切り伏せ、艦橋を背にして敵を見やる。

 

『くたばれ火星人!』

 

『まて!奴の背後を見ろ!野郎…』

 

「艦橋を盾に…!」

 

『アルダニティ44、敵に回り込め。プランBだ。やれ!』

 

『了解!』

 

アルギュレの右側に忍び寄る1機のアレイオン。そして、アルギュレの右手に掴みかかり、右手にもつ刀を封じる。

 

「ほぉう?」

 

『捕まえた!やれ!』

 

『アルダニティ22、今だ!関節を狙え!アルダニティ33はサポート!』

 

『了解!』

 

コンバットナイフを手に持ち、アルギュレに肉薄するアレイオン。なるほど、武器を封じてしまえばあとは裸の鉄塊だ。だが…

 

いったい、誰が『刀は一本しかない』と言ったのだろうか?このとき、アルダニティリーダーは右手と左手を封じる策を取らねばならなかった。

 

「馬鹿め!」

 

アルギュレの右腰から新たにブレードフィールドが展開される。そして、それを左手に持ち、抜刀━━!!

肉薄したアレイオンは紙のように容易く二つになり、爆発する。

 

『逃げろ!アルダニティ44!』

 

その指示は数秒遅く。

 

アルダニティ22と、アルダニティ44は斬り捨てられた。

 

「ふっ…!」

 

ブラドは、この瞬間を楽しんでいた。

 

 

 

 

「戦況は!」

 

ブリッジに若い声が響いた。声の主はドアにいるジョルジュ。

 

「ダメです。相手のビームサーベルを扱う技量がケタ違いです。銃がまるで役に立たない」

 

マグバレッジ艦長が俯きながらそう答えた。そう、あの火星騎士のビームサーベルの操作が驚異的すぎる。

 

「他にパイロットは?」

 

「グラッドン小隊、パーセル小隊が残ってますが、システムチェックが間に合わず…」

 

「貝塚君は?」

 

「貝塚弟ですか?」

 

「艦長!貝塚准尉からです!」

 

『艦長!タクティカルスーツの使用許可を!』

 

「…なんだ、わかっていたか、貝塚君」

 

「バートン伯爵?」

 

ジョルジュの呟きを聞き取ったマグバレッジがどうしたのかと問うがジョルジュは「何でもない」と返す。あまり気には留めず、貝塚准尉へ視線を向ける。

 

「マグバレッジ艦長、タクティカルスーツだが…使用させてあげてください。どうやら、彼なら何とかやれるようだ」

 

「…」

 

沈黙を是と受け取ったジョルジュはブリッジを出て、食堂へ向かう。食堂には一般人がいる。まずは彼らと姫を安心させねばならない。それが、今彼のやるべき事だ。

 

 

「…ふぅ。どうやらなんとかなるようですね」

 

「艦長?」

 

マグバレッジは火星のカタフラクトを見る。あの全てを両断する刀をもつカタフラクトに、バートン伯爵と貝塚弟はどう攻略するのか、不謹慎ではあるが、彼女はその好奇心に心を支配された。

 

 

 

「つまらぬ…」

 

これほど脆いとは…このような雑魚では我が名誉を回復する事は不可能だ。

刀を艦橋へ向ける。

『オレンジ色の奴を出せ!こんなガラクタでは話にならん!!』

 

ふと、アルギュレの足元を見る。すると傷のない胴体部分を見つけた。

 

「…あまり、気は進まぬが…これも戦争だ。悪く思うなよ」

 

右の刀を仕舞う。そして、空いた右手でその胴体部分を掴み、左の刀で腰部に突き刺した。そして…

 

徐々に、上へ切り裂いていく。

 

『う、うわぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!』

 

中にいたパイロットの悲鳴が響く。しかし、ブラドは殺すつもりは無いのか、そのまま両断するわけでもなく、パイロットにギリギリ当たらない場所で刃を止め、胴体を投げ捨てる。中にいるパイロットは死んではいないはずだ。

 

 

 

数分前。

 

伊奈帆は格納庫へ向かっていた。だが、進む先にはライエが待っていた。

 

「…死にに行くのは勝手だけど。あなた、お姫様の騎士か何かのつもり?」

 

「別に。そういうわけじゃないよ。それにあの人の騎士はバートンさんだ。ただ…」

 

 

 

「僕たちが生きるために…これは戦争だから」

 

 

 

いつもと変わらぬ表情で告げる伊奈帆。しかし、ライエには思う所があったのか、伊奈帆が通り過ぎてもその場を動けなかった。

 

 

『マスタースイッチ、オン。燃料電池、ヒートアップ。イジェクションシート正常、ベイルアウト機能チェック…問題なし。IFF確認…スレイプニール、起動』

 

「スレイプニールが!?まさか、なお君!?」

 

「何してるの!降りなさい!」

 

『ユキ姉こそ。負傷兵だろ?』

 

事実を言われ、椋れながらも「パイロットが足りないの!」と言えるユキの神経はやはり弟には甘いからなのか?しかし、そんなことを気にする伊奈帆ではない。

 

『なら僕が出たって同じだ。パジャマどこ?』

 

「…?えっと、パジャマ?」

 

『アップリケのやつ』

 

 

そして、マグバレッジ艦長の許可が出て、スレイプニールは一番エレベーターにて上昇する。鮮やかで、無骨なオレンジ色が隠れるも存在感が尚高まったタクティカルスーツを装着した姿を、アルギュレに見せる。

 

 

『現れたな…我が宿敵!』

 

そして、食堂も異色を放つスレイプニールをみてざわめく。

 

「あれってもしかして…」

 

「伊奈帆!?」

 

「タクティカルスーツで防げるかよ!」

 

そのカームの指摘は正しい。アルギュレの刀は全てを両断する。故に、重くなったスレイプニールはただの案山子だ。

 

『この刀に斬れぬ鎧はない!一瞬でカタをつける!!』

 

アルギュレは伊奈帆の乗るスレイプニールに目掛けて突貫する。スレイプニールから放たれる弾丸を積み重ねた経験で以て、未来予知に等しい動きで躱していく。そして、アルギュレの刀は遂に巣レイプニールを捉えた。それを、伊奈帆はスレイプニールの左腕で防御体制を取る。直後、スレイプニールの左腕が爆発した。

 

「伊奈帆さん!!」

 

アセイラム姫の叫びと同時に、煙が晴れる。そこには、斬られて無傷なスレイプニールと、右腕を掴まれたアルギュレが、そこにあった。

 

「っしゃ!!」

 

カームはガッツポーズをして、韻子は冷や汗をかきながらモニターを眺めながら、呟いた。

 

「なるほど、そういう事ですか…不見咲、わかりますか?」

 

「いえ、なぜあの刀の攻撃を防げたのかは…」

 

 

 

「でも、なんで刀の攻撃を防げたんだ、伊奈帆のやつ!?」

 

「…りアクティブアーマー」

 

カームの疑問に、後ろの壁にもたれ掛かってたライエが答える。

 

「爆薬で出来た装甲板。本来は爆発で敵の砲弾を跳ね返すものだけど…」

 

「貝塚弟は、それを利用して刀のプラズマを爆発で吹き飛ばしているようですね…」

 

アルギュレの左手にある刀が、スレイプニールに襲いかかる。しかし、スレイプニールの右腕の装甲により、それも防がれ、両手を封じられてしまった。

 

『おのれ!小癪なぁあ!!』

 

『コントロール、船を傾けてください』

 

貝塚弟からの要請…意図はわからないが、ここは従う方がいい!

 

「不見咲!」

 

「バラスト注水!ウェルドッグ、ハッチ開放!」

 

すると、船が傾いた影響によりアルギュレがスレイプニール側に引っ張られる。

 

『くっ、離せ!』

 

ブラドは刀の出力を限界まで上げて、スレイプニールの足を溶断しようと試みる。しかし、それは寧ろ、

 

『好都合だ』

 

伊奈帆の策を早めるも同義だった。スレイプニールの脚部大型安定翼を逆方向へ向け更に加速、アルギュレはその推進力に引っ張られる。

 

『バックパック投棄よし…ベイルアウト』

 

そして伊奈帆はスレイプニールが海に落下する直前に、機体から脱出、スレイプニールとアルギュレは海に沈む。そして…

 

 

 

巨大な爆発が起きた。

 

 

 

「伊奈帆さん!?」

 

「なんだいまの!?」

 

「あ、あれ!みんな見て!」

 

ニーナが指を指す。その先にはパラシュートがついたコックピット部分。恐らく、伊奈帆が乗っている。

 

「水蒸気爆発。あの刀の膨大な熱エネルギーが海水を急激に蒸発させ、その高圧水蒸気の衝撃が奴を破壊した」

 

そして、海からアルギュレの残骸が次々に浮かび上がり、敵を撃破したことが証明された。

 

「貝塚伊奈帆、意外に使える子ですね」

 

不見咲の発言にマグバレッジは小さく溜め息をついて、

 

「不見咲君…君が持てない理由を教えましょうか?」

 

落下したパラシュートは海に着水、外に出た伊奈帆はわだつみを見る。

 

「素直な性格は好まれるのでは?」

 

そして、わだつみからボートが伊奈帆に近づく。乗っていたのはライエ。彼女が手を差しのべると、

 

「君のは素直ではなく、遠慮がないというのです」

 

伊奈帆は、その手を受け取り、ボートに乗り込んだ。

 

 

 

「グッ…!!」

 

視界はまだ定まってない。苛立ちのあまり、壁を叩いてしまう。

 

鞠戸のそれは、鞠戸を縛るかのように過去を思い出させる。それは、彼が乗り越えるまで縛り続けるだろう。

 

 




少年の行動が策士を焦らせる。
天才の騎士は宇宙から見下ろし、狂気の騎士は空を見上げる。
記憶に縛られた男に、6つの殺意が降りかかる。
次回、忌々しき島。策士の目は、悲壮に歪む。
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