ブラック・ブレット〜白の変革者〜   作:ヒトノミライ

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原作を一巻から見直し、何処で絡ませるか悩みました。


Beast.3 戦闘音を奏でる

地平線から太陽を顔を出した頃、俺はゆっくりと目を覚ました。

相変わらずの夜明けとともに起床に苦笑が漏れる。

 

凝り固まった身体を解すように伸び、朝食でも摂るかと再び川に潜る。

 

が、今日の川は少しおかしかった。

 

(なんだ? 昨日はたくさんいた魚たちが全くいない)

 

昨日最後に食べたのが日が沈む頃。

その時は結構な量の魚がこの川にはいた。

だが、今はどうだろうか。まるで狐に化かされたように一匹も気配を感じない。

 

(アラガミに、喰われたのか? ………いや、待て。まずアラガミが居るならこの森なんてものは真っ先に喰いつくされる筈だろ)

 

川の異変で初めて気づいた身近な疑問。この森について。

アラガミが居るならこんな広大な森は絶対に存在しない筈だ。

 

なにせアラガミーーーオラクル細胞はなんでも喰べる。

原作でソーマが話していたが、オラクル細胞はそれ単体で考え、捕食が可能な単細胞生物だと言っていた。

 

それが数万、数十万と寄り集まり結合した存在が主にアラガミと言われている。

そして、アラガミの一番恐ろしいところは食べたモノの性質を取り込み、学習する点だ。

しかも、アラガミはなんだって喰べる。有機物だろうが無機物だろうが喰う。生物には毒でしかない核廃棄物だって喰べる。

 

だからどう見ても機械にしか見えないアラガミも居た。おそらく戦車や兵器を喰ったアラガミだ。

 

だからこそおかしい。

原作じゃあほとんどの植物はアラガミに喰われ、絶滅した。

なのにこの森は悠々とその根の伸ばし、天を貫くとばかりに日々その丈を伸ばし続けている。

 

(もしかして、ここにアラガミは居ないのか? だとしたらこのは何処なんだ? 植物を見る限り、おそらく日本じゃない筈だ)

 

熱帯雨林にしか生えないようなシダ植物や潅木が所々に見えていた。

中には、見たこともないほど捻れた樹が幹を伸ばしながら、周囲の樹に絡みついているのもある。

これを見る限り、日本ではないことは確かだった。

 

なら、ここは何処なのか。

ゴッドイーターの世界でこんなにも植物が生い茂っている場所は無いとされていた筈だ。

 

(もしかして、ここはーーー)

 

 

 

 

その瞬間、背後から大きな影が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

その黒い影ーーー水生ガストレアは虎視眈々とずっとこの瞬間を狙っていた。

 

昨日、周囲に喰べるものが少なくなったそのガストレアは空腹を満たすために川を下っていた。

少しの間、川を下っていると大量の魚がいるのを見つけた。

すぐさま喰べてしまおうと思ったが、それは出来なかった。その周囲を自分より強いガストレアが泳いでいたからだ。そのガストレア本能的に悟っていた。あのガストレアに真正面から挑んでも勝ち目は無いと。

 

この知能がガストレアという生物の恐ろしいところである。

だから、あのガストレアが川から上がり少し離れたところでとぐろを巻いて寝息を立てたのを見計らい、川の周囲にいた魚たちを喰べ尽くした。

 

久しぶりに大量の餌を見つけて舞い上がっていたのか、魚たちを喰べ尽くした頃にはすでに夜明けだった。

あのガストレアが起きる前にここから逃げようと思った時にはすでに遅かった。あのガストレアはゆっくりと起き上がってしまったのだ。

 

このままでは自分は喰われてしまう。川に息を殺しながら潜んでいたそのガストレアは思ったが、あのガストレアはこの川に魚たちが居ないことに気づいたようだったが何故か襲ってこなかった。

少しの間川に目を向けていたが、その視線を森の方や向けたのだ。

 

これはチャンスだとそのガストレアは考えた。幸い、川の近くで森に目を向けているので川からの奇襲が行えそうだった。

 

そして、身体全体が森の方に向いた瞬間、そのガストレアは川から飛び掛かった。

それに気づいた様子はない。

自身のヒレとは別に生えた虎のような鋭い爪があと数センチで当たるところでそのガストレアは勝利を確信した。

 

 

だが、その予想は外れた。

消えたのだ(・・・・・)

それは比喩表現などではなく、触れる一瞬のうちにあのガストレアはまるで最初からそこに居なかったかのように消えてしまった。

 

飛び掛かった反動を殺し切れず、無様にも地面を滑るそのガストレアは瞬時に起き上がり、周囲を警戒した。だが、生き物の気配はまるでしない。

少しの間、警戒していたが何も起こらず、風に揺れる木々の音だけが周囲に響き渡っていた。

 

 

そして、なにも居ないと判断したガストレアは警戒を解き、歩き出そうとしたその時、身体に衝撃が走り、木々をなぎ倒しながら吹き飛んだ。

 

そのガストレアはいきなりの奇襲とダメージの大きさに驚愕していた。

あの状態で何処から奇襲をしたのか検討もつかなかった。

殴られたと思われる、身体の腹部は内側にめり込んでおり、その衝撃を殺し切れずに一部の内臓をズタズタに破壊していた。

 

「ギ、ギィヤヤヤャヤャヤヤヤァァァァアアアッッ!!!」

 

襲撃者であり、今は姿の見えないあのガストレアに向けて怒りの咆哮をあげる。

数十秒すると内臓も回復し、身体も治った。

そして、あのガストレアを食い尽くすために吹き飛んだ道をガムシャラに走った。

 

 

 

そして見えた。あのガストレアが。

真っ白の体毛に、大きな白い尻尾と腰部から生える青白い炎のようなもの。

 

そのガストレアは怒りで我を忘れ、勢いよくその白いガストレアに飛び掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

(なんだこいつ。アラガミか? にしては気持ち悪い外見してるな)

 

奇襲した瞬間に一瞬だけ見えた不気味な姿に、俺は影の中(・・・)に潜みながらそいつに触れた右手ーーー右前脚をさすっていた。

 

 

 

(出来るってのはわかってたけど、やったこと無かったから不安だったが、ぶっつけ本番で出来たな)

 

あの時熟考していても、俺は気づいていた。俺をアラガミが狙っていることに。

いや、別にあの時に気付いたわけじゃなく、川の気配を探った時から気づいていたが敢えて泳がせておいた。どうせ襲ってくるのは分かっていたし、こうして試したい事もあったからだ。

 

(原作でマガツキュウビが影のようなものを展開して泳いでるみたいに攻撃していたのを見て、出来るか? と思ったが出来て良かった)

 

あの瞬間俺は攻撃が当たる寸前、一瞬で影を展開、そしてその影の中に入る事で攻撃を回避した。

 

初めての試みで不安ではあったが、何故か出来ると思っていた。

いや、出来る分かっていた。

あの尻尾から出る赤いレーザーの出し方も、影の展開の仕方も、殺生石の出し方も分かっていた。何故かは分からないが不思議と理解していたのだ。その応用には不安があったけど。

 

『ギ、ギィヤヤヤャヤャヤヤヤァァァァアアアッッ!!!』

 

(一応、あのアラガミで実験でもしてみるか)

 

吹き飛ばした方から聞こえる怒りの咆哮と思われる奇声が聞こえると、バキバキバキッ! と木々を踏み砕き、なぎ倒しながら此方に向かってくるのがわかった。

 

(まずは身体能力から)

 

目の前の木々の隙間から躍り出た不気味な姿のアラガミを再び限界まで接近させる。

 

(動体視力が良いからかは分からないが、こいつの動きが酷く遅く感じる)

 

回避しようと集中した時から奴の動きがスローモーションのように遅く見えていた。

 

(別にこんなスローモーションでなくても回避出来る自信はあったけどな)

 

最初の一撃は余裕をもって躱し、二撃目は紙一重で躱す。

相手は怒りで攻撃が大振りで単調であるのもあるが余裕で躱せる。

 

(大体の回避行動は行ったから次は特殊攻撃か)

 

何度か繰り返し、段々と反射的に出来るようになってきていた。

今度は相手の右脚での大振りな攻撃をギリギリまで引きつけ、当たる寸前で影に潜り込む。

 

敵を見失い、一瞬硬直したのを見て背後の影から身を現す。

そして、影を鋭利な形に変形させムチのように斬りつける。

 

「ギャイィィイッッ!?!?」

 

いきなりの背後からの攻撃にパニックになったようでガムシャラに攻撃し出した。

 

(よし、じゃあ最後にあれをやるか)

 

辺りをめちゃくちゃに攻撃しているアラガミを影を使い、下から上空に向かって吹き飛ばす。

 

「ギャッッ!?」

 

いきなり上空へと放り出せれ、混乱しているアラガミに向かって三本の尾から無数の赤いレーザーを放射する。

 

半分は普通に相手に当たるが、残りはジグザグに曲がりながらアラガミを貫いた。

 

(これでフィニッシュ!!)

 

上空でレーザーに蜂の巣にされたアラガミはそのまま重量に従い、落下してくる。

それを爪にオラクルの炎で武装するように固定する。

まるで爪が長くなったように見える。

 

ガリガリガリッ! と地面を切り裂きながら相手が地面に落ちるところでタイミングよく振るう。

 

するとアラガミは綺麗に三枚におろされた。ついでに後方の木々が衝撃波でも出たのか、爪の延長線上に沿って切り裂かれていた。

 

(よし、圧勝だったな!)

 

俺は満足そうに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、でもメシどうしよ)

 

ボロボロになった周囲を見渡し、俺は呆然と心の中でそう呟いた。

 

 

 

 

 




今回はゲームで言うチュートリアルのようなものですね。
そして、この世界が本当にゴッドイーターの世界なのか疑問に思い始める主人公でした。


ちなみに一巻での絡ませる場面は決まりました。
結構あったんですが、あの場面にしました。
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