魔法科高校の劣等生 -彼のこれからは-   作:レイヴェル

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どうも、レイヴェルです。


入学編 8

「し、神綺君....」

「ん?」

 森崎の後ろ姿をしばらく睨んでいると不意にほのかが震えた声でそう神綺を呼んだ。

 するとさっきまでの怖さというか、威圧感はなくなりいつも通りの雰囲気へと戻った神綺が不思議そうな顔でほのかを見た。

「どうした?」

「え?いや...えっと....」

「さっきの神綺、すごく怖かったよ。....それにほのかが怯えちゃってるんだよ」

「怖かった?...そうか。ごめんな、怖がらせちまって」

 神綺自身そんなつもりはなかったのだが、周りから見れば浅い付き合いではあるがレオ達でさえ、ついさっきの神綺の雰囲気は異常であると感じ取っていた。

「えっ ううん。....でも、あまり見たくはない...かな」

「そうか...気をつけるよ」

「どうしちゃったの神綺君?確かに私もあいつには腹立ったけど....神綺君とは考えられないくらい雰囲気が変わってビックリしちゃったよ」

「...すまんな」

「ううん。別にいいの、ちょっとびっくりしただけ」

「俺も驚いたぜ。にしても神綺」

「なんだ?」

「ありゃなんだ?神綺がしゃがめって言ったからしゃがんだが、その瞬間にあいつのCADは吹っ飛んでるしよ」

 と興味深々といった様子でレオが聞いて来た。

「あれは多分術式解体だろ。そうだろ?」

「正解だ達也。達也が言った通りはあれは術式解体だ」

『術式解体?』

 レオは勿論、ほのかも知らないらしく声を揃えて聞いて来た。それに達也が解説する。

「サイオンの塊をCADに打ち込んで起動中の起動式や魔法式のサイオン情報体を吹っ飛ばす魔法さ」

「へぇ....そういや、あの生徒会長だったか?あの人も使ってたな」

「でもおかしくないですか?普通魔法式には魔法が効かないんじゃ...」

「いい質問だなほのか。確かにそうだがあれは単なるサイオンだからな。原理としては、サイオンの弾丸を相手の起動式に当てる。すると元々構築されていたサイオンパターンがあるだろ?それにサイオン弾丸と言うなのノイズを打ち込むことによって効力のある魔法式を構築させないようにするのさ」

 と今度は神綺が補足を入れる。

「へぇ~」

「だが神綺が使えるとは思わなかったぞ」

 と素直に称賛する様な声で達也が言う。

「ん?難しいのか?」

「難しいもなにも、無系統魔法の超高等対抗魔法だ。使える魔法師なんて一握りだろう」

「すげぇな神綺」

「自衛の為に頑張って練習したのさ...ま、そう何回も打てないけどな」

 この術式解体は圧縮したサイオンを弾丸として利用するのだが、そのサイオンを圧縮するのに1発で相当の量を使用する為、せいぜい連続で4発撃てればいい方。というレベルだ。

 しかし普通なら1発分を圧縮するのに一日かけても搾り出せないほどの大量のサイオンを要する物。それを連続で4発も打てるのなら十分なのだ。

「そりゃぁそうだろう。あの密度を見ると....相当疲れるだろう?」

「あぁ、ゴッソリ持ってかれるからな」

「うへぇ、俺には無理そうだ」

「私も無理そうね~。てかそれよりも手が先に動くと思う」

 そうエリカは言うと棒状のストラップを指でくるくる回しながらそう言った。

「さ、もういいだろう?時間も時間だ、帰ろう」

 そう神綺が言うと急に左腕に違和感を覚え、なにかとそちらを向くと

「ん、帰ろ」

 神綺の腕に抱きついた雫がいた。

「そうだ。雫達も一緒に帰らなーい?」

「え?いいの?」

「大勢の方がいいでしょ?色々話したいこともあるしね~」

「んじゃぁ俺らもご一緒させてもらおうか」

----------------

 一緒に帰る、といっても駅までなのだが、その帰り途中。

 さっきの騒動がなかったかの様に明るい雰囲気で神綺達は駅を目指していた。

「へぇ、達也君ってCAD調整できるんだー」

 と物珍しそうにエリカが言うと

「えぇ、お兄様にお任せするのが、一番安心ですから」

 と我が事の様に答える。

「少しアレンジしているだけなんだけどね。深雪は処理速度が高いから、CADのメンテナンスに手が掛らない」

「それだって、デバイスのOSを理解できるだけの知識が無いとできませんよね」

「それにCADにアクセスできるスキルもないとな」

 と謙遜する達也に美月とレオが続く。

「へ~それじゃぁ達也君、私のホウキも見てもらえない?」

 とエリカはいじわるそうに聞く。実際意地悪なのだが、

(さっきのストラップ...ありゃぁCADだろ。エリカも性格悪いなおい...)

 神綺は声には出さないが、ついさっきチラッとエリカが手遊びで出していた棒状のストラップを思い出していた。

 あれはおそらくCAD....それに武装一体型とまで一応予想した。

 すると、

「無理、あんな特殊なCADを弄る自信はないよ」

(やっぱり達也も気づいたか、俺の予想は当たりか)

「あはっやっぱりすごいね、達也君」

 達也の返しは謙遜なのか本気なのかまではわからなかったが、エリカは表裏ない称賛を送る。

「何が?」

「これがホウキだってわかっちゃうんだ」

 とエリカは神綺の予想通り棒状のストラップを見せる。

「え!?それCADだったの?」

「そ、伸縮警棒ってやつ。いや~これ見せてもホウキだってわかってくれなかったら恥ずかしかった....」

 そしてそのストラップを見ながら訝しげに聞いた。

「...にしてもどこに組み込んでんだ?」

「刻印型の術式を埋め込んでるのよ。だから柄意外は空洞よ」

「刻印型....たしか幾何学紋様化した術式を、感応性の合金に刻み、サイオンを注入することで発動すつって奴か?」

「やるわね~ 流石、硬化が得意なだけあるじゃない」

「だがそうすると注入するサイオン量がバカにならねぇ量になるんじゃねぇか?よくガス欠にならねぇな」

「そこはあれよ。強度が必要になるのは、振り出しと打ち込みの瞬間だけ。だからそん時だけ注入すんのよ。所謂兜割りってやつ?」

 と得意げに解説をするエリカ。

「ねぇ、エリカ?....兜割りって、それこそ秘伝とか奥義とかに分類される技術だと思うのだけれど....」

 と深雪が何気ない指摘をすると、

「え゛っ」

 エリカの顔が急に強張ったが、

「達也さんも深雪さんもすごいけど....エリカちゃんもすごい人だったんだね....ウチの高校って一般人の方が珍しいのかな?」

 と天然発言をする美月に

「魔法科高校に一般人はいないよ。それにそんなこと言ったら神綺だってすごいよ」

「...は?」

 今までずーっと黙って神綺の腕にひっ付いていた雫がボソッと言った。

(急に何を言い出すんだ雫は....面倒事だけはよしてくれよ?)

 なにか嫌な予感がした神綺だったが、気のせいであってくれと密かに願った。しかし現実は非情である。

「へ?」

「神綺だって私のCADの調整して貰ってるもん」

「えぇ!?神綺君もできたの!?」

「あ、あぁ....」

 予感が的中しちまった....などと項垂れていると、予想通りエリカ達が食いついて来た。

「ほぅ...だからか。さっきから神綺もエリカのCADを見てたから気にはなってたんだ」

「え?それ本当なの達也君?」

「あぁ」

「うっ....いやまぁ予想はしてたが....」

「へぇ....神綺君も隅に置けないね!」

「嬉しくねぇ....」

 あまり自分のことには触れてもらいたくなかった為にわざと黙ってついて来たのだが、雫がカミングアウトしてしまってはどうしようもない。

「でもよ、そうなると本当にすごくねぇか?」

「ん?なにがよ」

「だってよ、神綺と達也は雰囲気が似てるだろ?それに同じ魔工技師目指してるし、二人共妹持ち....んで最後にお互いCADを調整できるスキルを持ってるなんて...なぁ?」

「....ほんとね。....本当はドッペルゲンガーとか?」

「何言ってんだ。顔が違うだろうが....」

「でもよ....この状況を見ても...」

「ん?」

 とレオは一歩さがり、達也と神綺を見比べた。否、達也と一緒にいる深雪と雫を見比べた。

「....やっぱり似てる」

「なにがよ...あぁ、なるほどねぇ」

 不思議の思ったエリカも一歩下がりレオの真似をする。

「なんだよ....」

「ほら、雫も深雪もお兄さんにくっついてるじゃない?」

「は?」

 エリカにそう言われなんとなく雫と深雪を見ると。

「....どこが似てるんだ?それに深雪は雫みたいにくっついてないだろ」

「どっちもお兄さん大好きってことよ」

「エ、エリカ!何を言うの!?」

 と深雪が恥ずかしそうに顔を赤くする。対して雫は

「うん。神綺のことは好きだよ」

 より神綺の腕を抱く力を強めた。

「ほら、似てる」

「どこがだ....」

 




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