魔法科高校の劣等生 -彼のこれからは-   作:レイヴェル

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どうも、レイヴェルです。


入学編 10

 時間が過ぎるのは早いもので昼休み。

「さて....行くぞ神綺。深雪が待ってる」

「本当に行かなきゃダメなのか?」

「何言ってるんだ。生徒会長に言ってしまった以上、グダグダ言うな」

「あいよ...」

 はぁ、とため息をつきながら神綺は鞄から自分の弁当と雫の分の弁当を取りだした。

「ん?どうして2つも弁当を持っているんだ?...まさか2つ共食べるのか?」

「いや、片方は雫のさ」 

 それを聞いたレオが物珍しそうに弁当を見ながら。

「へぇ、ってことは神綺が弁当作ったのか?」

「そうだぞ」

「すごいね、神綺君男の子なのに料理できるんだ」

「料理するのは好きでね、色々教わったのさ。...それじゃぁ俺は雫に弁当届けてくる」

「別に行かなくてもいい様だぞ?ほら」

 と達也が顎で示した方を見ると、

「なるほど、確かにそうだな」

 雫と深雪が教室のドアの所で待っているのが見えた。

 

 

 

 

 

「はい、これ雫の分な」

「ん、ありがと」

「それは...神綺が作ったの?」

「あぁ、料理は好きなんでね。それに雫は俺の料理を気にいってくれてるしな」

「うん」

「へぇ....それじゃぁ今度から私達もお弁当にしましょうか?お兄様」

「それは魅力的だが、食べる場所はどうするんだ?」

 達也の指摘はもっともだ。昨日の騒動のせいか前よりは深雪についてくる生徒は減ったのだが、今現在も数人ちらちらと様子を見ている生徒がいる。

 そんな生徒が近くに居るのに昼食などいい気がしない。

「それもそうですね...」

 深雪もそれを察したのか残念そうに言いながら諦めた。

「それじゃぁ悪いが雫、俺達は生徒会室に行ってくるから」

「うん、深雪から聞いてる。いってらっしゃい」

「悪いな、明日から今度こそ一緒に食べるとしよう」

「そうだね、ほのかにもそう言っておく」

「それじゃぁ神綺、深雪、行くぞ」

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「こんなに足が重いの初めてだ....」

「俺もだ....深雪が呼ばれるのはわかるがなぜ俺らまで...」

「ほんとそれ」

 今現在、生徒会室のあるフロアに向けて階段を昇っている最中だ。

 深雪はどうしてかしらんか比較的進む足は軽い。だが、神綺と達也はこれからなにが起こるかわからない不安と面倒さから足取りは重かった。

「ここが4階ねぇ....」

 生徒会室があるのは4階の廊下を真っすぐ行った突き当り、迷うことはない。

 見た目は普通の教室と同じようなドアだが、中央には木彫りで生徒会室と彫られたプレートがあるし、壁にはインターホンというなんとも異様な雰囲気を醸し出していた。

「これは....」

 生徒会室の扉の前に来てみると、あることがよくわかった。

「こりゃぁすげぇ厳重だな」

「え?」

 深雪には神綺の言った意味がわからなかったが、達也には理解できたようだ。

「そのようだな...うまく隠されている」

 そう、うまく周りにカモフラージュさせたセキュリティ機器が多数見受けられたのだ。

「さ、深雪。今回の主役は深雪だ、呼び出しは任せるよ」

「えっ あ、はい。わかりました、お兄様」

 今回はあくまで深雪を生徒会に勧誘する為の呼び出し、達也と神綺はそのおまけに過ぎない。

 そして、恐る恐る深雪がインターホンを押すと、

『はーい、どうぞ』

 と明るい様子で歓迎する声が聞こえると同時にドアのロックが解除された音が微かに聞こえた。

 すると達也が深雪の前に立ち、まるで警戒しながら潜入するように深雪を庇うように体を傾けながら扉を開けた。

(どんだけ警戒してるんだよ....いや、この場ならどれだけ妹思いなのか、か)

 それを後ろで見ていた神綺は現実逃避よろしくしょうもないことを考えていた。

 すると、

「いらっしゃい、遠慮しないで入って」

 扉の正面奥、自分達と真っすぐ見つめ合う位置の席に座る真由美がそう声を掛けた。だが疑問に思うことがある。

 なにがそんなに楽しいのかわからないほどの笑顔で手招きをしているのだ。....不気味でしかない。

 先ほどいったように今回の主役は深雪だ。なので達也は2歩下がり、深雪より後に立つように動いた。そして深雪は流れるようななめらかな動作で礼儀作法のお手本のような綺麗なお辞儀をした。

 その綺麗な動作に真由美は驚いたのか、若干たじろいだ様子で、

「えーっと、ご丁寧にどうも...」

 どうやらそこまで作法や礼儀にうるさくない場所なのかもしれないが、ここは生徒会室。わきまえなければならない。

 その様子に苦笑しながら神綺はチラッと周りを見回す。

 そこには会長以外に2人の役員が同席していたのだが、雰囲気に呑まれている。

 そしてもう一人、達也と神綺を呼んだ張本人である渡辺摩利風紀委員長が、座っていた。しかし、ポーカーフェイスに慣れていないのだろう。無理しているように見えたのが神綺でもわかった。

「どうぞ、掛けて。お話は、お食事をしながらにしましょう」

 と最初の少し砕けた様子ではなくなった。それに神綺は軽く引っかかったが深く考えないことにして深雪と達也が座ったのを確認して自分のも着席した。

 すると

「お肉とお魚、精進のどれがいいですか?」

 と神綺の対面に座っていた女子生徒がそう聞いてきた。彼女は確か2年の中条あずさ、書記をしていると説明を受けていた気がする。

 そしてなにより驚きなのは今の言葉だ。それから察するにこの生徒会室には自配機があることが伺える。無人食堂などに置かれる機械がなぜ生徒会室用に置かれているのかが不思議でしかなかった。

「精進でお願いします」

「私もお兄様と同じのを...」

「...あ、私は弁当がありますので」

 あずさの目配りの意味がわからず数テンポ遅れてしまったが、弁当があるのでそれを長机に置きながら答えた。

 するとわかりました、とあずさが言うと席を立ち、あずさの後ろに設置してあった和ダンスほどの大きさの機械を操作し始めた。

(あれが自配機ねぇ....すげぇ)

 なにげに初めて自配機を見た為、少し興奮していた。機械好きとしてはあの中の機構が気になる。

 そして操作が終わったのかしばらく待つことになる。

 いくらなんでも操作してすぐにできるわけではない。少しは時間が掛るのだ。

 その間にもう一度席に座っている役員を確認する。

 ポスト席に真由美、そしてその隣に深雪、その対面に先程から端末を弄って作業をしている3年生であろう女子生徒がいた。そしてその隣が摩利、対面が達也、その隣が神綺で対面があずさ。となっている。

 現状確認を神綺がしていると真由美が軽く咳払いをしてから

「入学式で紹介しましたけど、もう一度紹介しましょうか。私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん」

 そこで初めて端末を操作するのをやめ、

「私のことをそう呼ぶのは会長だけです」

 とても顔立ちは整っているのだが、どこかキツめの印象があり、美少女より美人の人か、と神綺は思った。

「その隣は渡辺摩利、風紀委員長よ」

「渡辺摩利だ。来てくれたことを感謝する」

「その隣は書記の中条あずさ、通称あーちゃん」

「会長....後輩のまえで『あーちゃん』はやめてください。私にも立場と言う物が...」

 彼女は小柄でどことなく小動物を連想させるような雰囲気を醸し出す。あーちゃんと呼ぶのもなんとなく納得してしまう。

「あともう一人、副生徒会長のはんぞー君がいるのだけど...それは今度でいいでしょう」

 確かにこの場にははんぞーという人はいない。それにさっきの様子から行って本名のウチなにかをもじったのだろう。

 なにか事情があるのだろう。と神綺は考えるのを止めた。

 するといいタイミングで、

「あ、出来上がったみたいですよ」

 自配機が料理の出来上がりを知らせる音と共にパネルが開き、料理が乗ったトレーが出てきた。




閲覧ありがとうございます。

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