魔法科高校の劣等生 -彼のこれからは-   作:レイヴェル

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どうも、レイヴェルです。


入学編 12

 昼休みが終わり、神綺達は各々の教室へと戻った。

 神綺と達也のクラスであるE組の5校時目は実習だった。

 といっても今回は、これからの実習授業でも度々使うであろう実習用CADの扱いに慣れる為の授業だ。

 神綺達二科生には教員が監督として就くことが無い為、結果的に課題がクリアできたかできないかで履修が決まる。

 その為、ある程度私語を話していようが監視の教師がいない為わりと自由なのだ。

 しかし、教員からの指導が受けられない為どちらがいいかは、比べるまでもない。

 そんなゆるい雰囲気の中、神綺は先程のことを考えていた。

(どうする...どうすれば逃れられる。あれは絶対に関わってはいけない。自分の自由が狭まるし、何といっても悪目立ちは避けたい)

 うーむ、と神綺は考え込んでいた。

 といっても、神綺は表に表情を出していなかった為、周りからはただぼーっとしているだけに見える。....一部を除けば。

「ほら、神綺...いつまで考え事しているつもりだ」

 気がつけば達也が呆れながらこちらへと向かってきた。

「お前はいいな、名指しされなくて」

「馬鹿言え、こっちだってヒヤヒヤもんだ。いつ深雪が暴走するかわかったもんじゃない」

「そんなに深雪ってやばいのか?」

「俺のことになると、な。あいつは俺を過大評価しすぎている節がある」

「なるほど....」

 と思っていると神綺の番となった。

「俺も番だから戻るぞ」

「あぁ」

 何しに来たんだ?と一瞬思ったが、すぐに頭を切り替えて実習用CADの前へと向かう。

 今回の授業の課題は、実習用CADの前方にあるレールの上に設置されている台車を直接触らずに、魔法で移動させるというもの。

 必要になる工程は加速、移動、減速、停止で、それを駆使して3往復させるというものだ。ぶっちゃけ加速と減速だけでいけるが、結構な荒業となる。

 そしてCADの前に着くと神綺は備え付けられているペダルスイッチを踏んでCADの高さを調整する。前が女子だった為に低いのだ。これでは、屈んでCADのパネルに手をかざさなければならない。

 それは避けたいので微調整をし、満足すると神綺は実習CADのパネルに右手を押しあてた。そしてサイオンをCADに注入し、起動式を呼び出す。

(っ....これはひどいな)

 なんてことを思いながらも魔法式を構築する。

 構築までは時間が掛ってしまったが、構築が完了すれば後は並の速さで台車は動き、無事、3往復を終える。

 今回はあくまでCADに慣れることが重要な為、タイムは計られていなかった。それが唯一の救いか、なんて思いながら後ろで待っていた生徒に譲った。

 

 

 

「ねぇねぇ、神綺君」

「ん?なんだエリカ」

 課題が終わったことに安堵していた神綺にエリカがひょこっと寄ってきた。

「さっきさ、神綺君がやってる時に嫌な顔してたけどどうしたの?」

「っ」

 まさか見られていたとは...

「大方起動式に嫌気がさしたんだろ?」

「あ、達也君」

「あぁ.....本音をいえばあんな汚い式で授業だなんて馬鹿げているとまで思ったな」

「汚い式?」

 エリカには神綺の言ったことがわからなかった。だが、神綺の心中を言い当てた達也が補足を入れる。

「あの起動式には無駄な構文が多々あるのさ。それを神綺は不快に思ったんだろう」

「気にしすぎじゃない?私はなんともなかったよ?」

「たしかに個人差もあるだろうが、俺も少なからずひどいとは思ったな」

 とヤレヤレと首を左右に達也が振るとその後ろから

「おぅおぅ、何話してんだ?」

 レオと美月がこちらへとやってきた。

「神綺君が実習中に不機嫌そうな顔してたから聞いてたの」

「おいおい...それ普通おいそれと聞くかぁ?」

「なによ?」

 とレオのことを睨む。

「おぉおぉ怖えなぁ。んで?なにがあったんだ?」

「あんただって聞いてるじゃないの!人のこと言えないじゃない!」

「んだと?」

「別にいいさ。ただ、あの起動式が気にいらなかっただけだ」

「へぇ。気にしたことなかったな、やっぱりCADを整備してるとわかるのか?」

「大体ね。ほんの一瞬だったはずだけどそれをエリカに見られてね」

「ふ~ん。....そんな一瞬をなんでおめぇは見てたんだ?」

 とからかうような口調でレオは指摘する。

「別に?偶々よ。チラッと見たら神綺君の余剰サイオン光が少なかったからジーっと見てたのよ」

「あ、それは私も見ました。神綺さん、すごくサイオンの扱いがお上手なんですね」

「あ、ありがとう」

(言えない....人工的に魔法師にされたせいで並みの魔法師より体内にサイオンを貯めるスピードが劣るからその分を燃費でカバーしようとしたなんて言えない)

「私もあのくらいうまく扱えたらな~」

 と羨むようにエリカが呟くと達也がフォローを入れる。

「それでもあれだけうまく使えていればいい方だと思うぞエリカ。明らかに高校生にしては上位だ」

「そ、そう?恥ずかしいわね.....」

 褒められるのには弱いのかすぐにあたふたし始めた。

 そしてなんとか話題を変えようと思い、神綺は早速実行する。

「んで?みんなここにいるってことはもう終わったのか?」

「えぇ」

「勿論です」

「そういえばよ、生徒会室に呼ばれてたんだろ?どうだったんだ?」

 と興味深々にレオが聞いてくる。

「え、それは....」

「あまりいいものではなかったな。風紀委員の勧誘されたよ」

「勧誘?すげぇじゃねぇか。受けたのか?」

「その答えはまだだな。放課後に答えを言いに行く」

「どうするんだ?」

「俺は断るぞ」

 とキッパリと神綺は言いきる。

「え?断っちゃうの?」

「聞けば風紀委員は実力行使で不正な魔法使用者を取り締まるそうだ。そんなのを、実技が乏しい俺には無理だ」

「でも昨日は一瞬であのなんだっけ....もり.....もり....森なんとか」

「森崎だぞエリカ」

 達也は憶えたらしくちゃんと指摘する。

「そうそうそれ。そいつのCADを一瞬にして弾いたじゃない」

「あれは特化型だからだ。あれがもし腕輪とか体に密着しているCADならその場凌ぎにはなっても、すぐにまた魔法式を構築されて終わりさ。今度はこっちが狙われる」

「二科生だからな。乱闘の流れ弾とでもいえば言い訳はつく。もし俺らが入れば、そうやってどさくさにまぎれて攻撃されるさ」

「そっかぁ....なら肉弾戦で挑むのはどうなの?」

「...無手ならいいが、魔法という遠距離手段があるかぎり難しいな」

 一応レイブンから近接戦闘は叩き込まれている為にある程度は何とかなる。しかし相手が魔法という手段を持っている相手に近接は不利だ。

「うむむ」

「な?俺が入っても太刀打ちできないんだ。それなら最初から断るさ」

「そっかぁ....二科生が風紀委員!ってのもかっこいいと思ったんだけどなぁ」

 と残念そうにしょぼくれるエリカ、それに神綺は。

「あくまで俺は、だ。達也は知らんぞ?」

「なっ」

「お、達也君はどうするの?」

「俺に振るな神綺!....俺も断るぞ」

「えー?達也君までー?」

「俺だって神綺と同じ理由だ。風紀委員なんて大役務まんないさ」

「そんなもんか~」

 とエリカは興味をなくしたのか、課題が終わっている為実習室をでて教室へと向かった。

「俺達も戻るか」

「それもそうだな....」

 一高は5限制な為、これからは放課後.....生徒会室で決断を言わなければならない。

 昼休みの時よりも重くなった足を引きずりながら神綺はレオ達と一緒に教室へと戻った。

 

 




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