魔法科高校の劣等生 -彼のこれからは-   作:レイヴェル

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どうも、レイヴェルです。


入学編 13

 HRを終え、雫の端末へ生徒会室に居るとメールを送った神綺は昼休みと同じく達也と深雪の3人で生徒会室の前へと来ていた。

 昼の帰り際に3人分のIDカードをドアの横にある認証システムに強制的に登録させられた。

 その為、態々インターホンで呼び出すことなくカードを差し込むだけでロックは解除された。

「失礼します」

 ドアを2度ノックし、達也を先頭にして生徒会室へと入る。

 すると昼とは違い、真由美と摩利は椅子に座っていたが、あずさと鈴音はスクリーンとにらめっこをしながら業務をこなしていた。

 さらに、

「......」

 昼の時にはいなかった男子生徒、おそらく会長の言っていたはんぞーという人だろう。彼が神綺と達也を敵意を隠すことなく無言で睨んでいた。

 しかし神綺も敵意の視線には慣れている。雫と潮さん達とお偉いさんとの会食に行く時があるのだが、その度に数人から睨まれるのだ。神綺が本当の息子ではなく養子で引き取られた立場だからだろう。

「いらっしゃい」

 それを気にもせず真由美は歓迎する。

 すると一気にさっきまでの敵意は消え、男子生徒がこちらへと向かってきた。

 否、深雪に向かってきたと言った方がいいだろうか。

「副会長の服部刑部です。司波深雪さん、生徒会へようこそ。さ、こちらへ。生徒会からあなたにお話があります」

 といかにも神経質そうな声で達也と神綺を無視して深雪を誘導しようと席へと手を向ける。

 それをむっとした深雪だったが、上級生の為、噛みつくのは抑えた。

 そして服部と入れ替わりで摩利がこちらへとやってきた。

「よっ 来てくれて安心したよ」

「深雪さんにはこれから私達のほうで話があるから、摩利の方はよろしくね?」

「了解。さ、2人共。取りあえず風紀委員会本部に行こうか、ここだと邪魔になるからな」

「わかりました」

「しかし、どちらにあるんですか?」

「ここの真下だ。といってもそこの扉から下に行けるぞ」

「...不思議な構造ですね」

「あたしもそう思うよ。さ、行こう」

 と手で招きながら摩利は風紀委員会本部へとつながる扉のドアノブへと手を掛ける。

「渡辺先輩、待ってください」

 しかし、服部が待ったを掛けた為摩利はドアノブから手を離す。

「何だ?服部刑部少丞範蔵副会長」

(な、なげぇ)

「フルネームで呼ばないでください!」

(えぇ....はんぞーって実名だったのか)

「んー...それじゃぁ服部範蔵副会長」

「服部刑部です!」

「そりゃ名前じゃなくて官職だろ?」

「官位なんて関係ありません!学校には服部刑部で通ってるんですから...」

 余程恥ずかしいのか少し顔を赤らめながらそう指摘するが、...男が顔を赤らめても需要はない。

「ってそんなことを言いたいのではありません!.....渡辺先輩、風紀委員の補充においてお話があります」

 ついさっきまでの慌てようが嘘のようにスッと気持ちを切り替えた辺りを見ると、伊達に副会長をかっているわけではなさそうだ。

「ん?何だ?」

「その一年生を風紀委員に抜擢するのは反対です」

 予想通り、だろうか。入室した時の敵意は思った通り風紀委員関連のものだった。

 しかし神綺はなんとも思わなかった。服部がそう言うのも頷けるから。

 その意見に摩利は眉をひそめた。

「おかしなことを言うな。司波君を任命したのは七草会長だ、まぁ北山君を指名したのは私だが...指名の効力はこっちの方が上であり、口頭とはいえ副会長である君が意見できることでもないぞ?」

「本人達は受諾していないと聞いています。本人の意思を尊重するのが適切なはずです」

「それこそおかしいだろう?決定権は彼らにある。君にはないぞ?」

「っ」

 どっちも言い分はある。しかし、ここでは摩利の方が上手だった。

 その様子を鈴音は冷静に観察しながら、対してあずさはオロオロしながら見ている。

 真由美と深雪は生徒会の話をしながらもちらちらとこちらの様子をうかがっている。

 そして怯んで半歩下がった服部だったが、意を決したのかまた半歩前に出てこう言った。

「....過去、ウィ―ドを風紀委員に指名したことはありません」

 ウィ―ド、これは差別用語であり、生徒会員である服部が本来口にしてはいけない言葉だ。

「それは禁止用語だぞ服部。風紀委員会による摘発対象になるのはわかっていて言っているんだな?いい度胸じゃないか」

 服部の問題発言に語気を強くしながら摩利は警告をする。

 しかし今度は服部は怯まずに続ける。

「今さら取り繕っても仕方がないでしょう渡辺先輩。それとも、全校生徒の三分の一以上を摘発するおつもりですか?ブルームとウィ―ドの間の区別は、学校制度に組み込まれた、学校が認めるものです。そしてブルームとウィ―ドには!区別を根拠付けるだけの実力差があるではないですか。風紀委員は、ルールに従わない生徒を全力で取り締まる役職だ。実力に劣るウィ―ドには務まりません!」

 傲慢とも言える服部の断言口調に、摩利は、いや、摩利だけではない。神綺も冷ややかな笑みをする。そこで初めて服部は神綺のことを睨んだ。

「なにがおかしい!」

「いいえ?おかしい所はありませんよ?確かに、私は一科生よりも決定的に処理速度が遅い。認めます。しかしですよ?くくくっ、生徒の副代表ともいえるあなたがそんな発言をしてよろしいんですか?」

「どういう意味だ」

「言葉のまんまですよ。先程副会長は仰いましたよね?生徒の三分の一以上を摘発するつもりか、と」

「....それがなんだ」

「おかしいですね。生徒会は学校生活の充実や改善向上を図る組織のはずですが?そうですよね?七草会長?」

「えぇ、その通りです」

 真由美自身もこの事態を快く思っていないのだろう。眉をひそめている。

「それなのにですよ?副会長ともあるあなたが、活動の一環である差別用語使用の撲滅を図らなければならないのに、それを放棄する発言をするとは....」

 白々しく驚いた顔をしながら神綺は言う。

「ウィ―ドの癖に何を偉そうに!言っただろう!これは学校が認めている制度でっ」

 と服部は激昂しながら言うが、

「ではなぜ.....禁止用語などと呼ばれているのか、説明願いますが?」

 神綺が冷たい声でさえぎる。

「まぁよせ北山君。確かに服部の主張は問題だが、今はそれを議論したいわけじゃぁない。それよりもこちらはこれからのことを風紀委員として、決めなければならない。いいか服部?お前の今回の発言は一部筋もとおっているから目を瞑るが、次はないぞ?」

 このままでは色々と面倒になると摩利も思ったのだろう。仲裁に入り、話を終わらせようとする。

 しかし、

「納得いきません!彼らには実力が一科生よりも劣るんですよ?」

 摩利の脅しが効いたのだろう。自棄になるのはやめて一科生と正式名称で指摘する。

「お前の納得するしないは聞いてない。それに実力ならあるぞ?彼らは起動中の起動式を読み取る能力がある」

「...なんですって?」

 摩利から発せられた予想外な言葉に、今までとは打って変わって落ち着きを取り戻して聞き返した。

 それもそうだろう。起動式を読み取ることはできない。それが『常識』だから。

「つまりだ。彼らは発現すらしていない起動中の魔法がわかるんだ。服部も知っているだろう?ここは使用した魔法によって罰則が変わる」

「それは知っていますが...」

「それでだ。真由美のやるように魔法式を構築する前の起動式を破壊してしまっては、どんな魔法を使おうとしたかがわからない。それはそうだろう。魔法発動まで待つのは危険だしバカだからな、その前に止めるのは最善の方法だと思う。だが、彼らの能力があれば、今まで結果的に軽い罪で済んでいた未遂犯への強力な抑止力となる」

「....しかし、現場での魔法を阻止できなければ読めたとしても意味はないはずでは?」

「そこは大丈夫だ。司波君はわからんが、北山君が真由美と同じ方法で魔法を阻止したのはこの目で見ている」

「なっ」

「だがそれがなんだ?そんなの一科生でも二科生でも変わらないだろ?それに彼ら一人でやらせるわけではない。私や他の奴が一緒に就く。阻止はそいつらにやらせればいい」

「ですが...」

「まだあるか?それじゃぁ聞くぞ服部。一科生の一年の中にどれほどの人数、起動式を読み取れる奴がいる?言ってみろ」

 風紀委員にとって、達也と神綺の能力は喉から手が出るほど欲しいのだ。

 対して服部は一科生特有のくだらないプライドでたかが二科生が、と下に見ているだけ。説得力も何もかもが摩利には勝てなかった。

「それは....」

「それにもう一つ理由がある。服部は言ったな?今までに二科生が風紀委員に抜擢された例はないと」

「えぇ....」

「前例は覆す為にあるものだ。何もかも最初はあるもの。気にするべき所ではない。だが、多くの奴がそれに拘っているからな....私はそれが気にいらない。だが、こうして前例を覆してくれるような人材が見つかったんだ。私は強く風紀委員入りを進めるぞ?」

「へぇ~摩利にしては考えてるのね」

「会長、お静かに」

「あ、はい...」

 今までの重い空気が真由美の言葉で嘘のように霧散したが、鈴音にバッサリと切られ、真由美は下を向いた。




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