前回から一カ月近く経っているんですね...まだ1週間とかその位だろうと本気で思ってました。
設定はもう少しお待ちください。たぶん明日辺りには投稿すると思いますので、今回は前回の続きを投稿します。
ではでは。
真由美の呑気な一言により服部のペースは崩れたが、一度咳払いをして調子を取り戻す。
「...会長。私は司波達也及び北山神綺の風紀委員会入りを強く反対します。渡辺委員長の主張に一理ありますが、風紀委員会本来の任務。それはやはり、校則違反者の鎮圧と摘発です。...魔法力の乏しい二科生に風紀委員が務まるとは到底思えません。今回の登用は必ずや、会長の体面を傷つけることになるでしょう。....どうかご再考を」
なんということか。摩利に勝てないと悟ったのか、会長へと矛先を変えた。
そんな見苦しい抵抗に神綺が呆れていると今まで沈黙を保っていた深雪が勢いよく立ちあがって服部を見た。
「お待ちください!」
そんなイレギュラーな深雪の介入に驚いた達也が珍しく慌てながら深雪の方に振り返る。
そしてなんとか止めようとするが、なにぶん距離がある為にそれは叶わなかった。
「僭越ですが副会長。兄は確かに魔法実技の成績が芳しくありません。ですが、それは実技試験の評価方法に兄の力が適合していないだけなのです!実戦でしたら、兄は誰にも負けません」
そんな強気な深雪の言葉に摩利は目を軽く見開き、真由美は先程までの胡散臭い薄っぺらい笑顔は消え、真面目な目で達也のことを見ている。神綺もお淑やかだと思っていた深雪がこうも前に出ることを意外に思いながら、面倒なことになりそうだ、と目を瞑った。
そして、その言葉を向けられた当の服部の目は、真剣味が薄かった。
「....司波さん」
「なんでしょうか」
少し間を開けて服部はこう言う。
「魔法師は如何なる場合でも冷静に、そして倫理的に物事を見極めなければならない。しかし今の司波さんの発言は...身贔屓にしか聞こえないのです。一般人ならともかく、魔法師の卵であるあなたがそれではいけない。気をつけなさい」
どうやら服部は同じ一科生である深雪には親身になって指摘やアドバイスをするらしい。今の発言に含みは感じられない。
だが、これほどまでにお前が言うなという綺麗なブーメランがあるだろうか。神綺はそれに耐えきれず吹き出してしまう。
「なっ 今度はなんだ!」
「おっと失礼....すみません。どうもおかしくて」
神綺自身。行きたくもない生徒会室に呼ばれ、時間を拘束され、さらにくだらない持論に酔っている服部の話を聞かされ、内心荒れていた。
その為、日ごろなら誰も刺激せずにただその場が収まるのを待つのだが、いい加減耐えられなくなり、挑発的な態度が目立ってくる。
「....なにがだ」
それを服部も感じたのだろう。先ほどよりも敵意を強くして睨んでくる。
「聞きたいですか?では....先程のことです。渡辺先輩が私達を推薦してくださった時のことを思い出してください。....魔法師は如何なる場合も冷静でなければならないんですよね?お笑いですね。自分で偉そうに下級生に訓示を垂れておきながら自分はその典型で興奮して私達を追い出そうと必死だったんですから」
「おいっ やめろ神綺」
神綺の挑発丸出しの言葉に達也は冷や汗をかきながら小声で咎める。しかし神綺は止まらない。
「先程からなんなんですかあなたは。渡辺先輩が仰ったではありませんか。あなたに意見具申する権利はない、と」
「なんだとっ」
「やめるんだ、北山君」
神綺の追撃に声を荒げる服部だったが、服部が言い返そうとする前に摩利の冷徹な声が生徒会室内に響く。
「....失礼しました」
摩利のいい加減にやめておけ、という目をされ、神綺は一回ため息をして下がる。
「確かに、はんぞー君が言う通り、彼らには風紀委員としての責務を全うするには力不足かもしれません。しかし、それを補うほどの才を彼らは持っています。そのことを、はんぞー君。わかってほしいの」
これ以上の刺激はまずいと判断したのか真由美が言い聞かせるように服部に言う。
「....ですが会長。申し訳ありませんが納得いきません。彼らは二科生です....なのに....」
「....お言葉ですが副会長。先程仰いましたね、私は身贔屓で目を曇らせていると」
「...あぁ」
「ですが、私は目を曇らせた覚えは一切ありません。兄の実力もこの目でなんども見ています」
「...それを身贔屓と言うのでは?他人の技量を見なければ誰しも身近な家族に目がいく」
頑なに譲ろうとしない服部に達也でさえも呆れ顔になり、半ば諦めたような顔で達也は、
「副会長。....俺と模擬戦をしませんか?」
「...なに?」
達也の意外な申し出にこの室内にいる全員が言葉を失った。
「...思いあがるなよ。補欠の分際でっ」
真由美に言い聞かせられ落ち着きを取り戻していた服部だったが、達也の切り出しに再度激情する。
それに達也も呆れを通り越して苦笑いになっていた。
「....魔法師は如何なる場合も冷静に、ですよね?」
「くっ!」
神綺だけでなく達也からも揶揄された服部は口惜しげに息を詰まらせる。
そして続けて達也は、
「別に風紀委員になりたいわけではないのですが。...妹の目は曇っていないということを証明しなければなりませんからね...やむを得ません」
そんな挑発的な発言に服部は我慢の限界だった。
「...いいだろう。その挑発を受ける」
「では、生徒会長権限により、二年B組服部刑部と、一年E組司波達也、及び北山神綺の模擬戦を正式な試合として承認します」
服部が挑戦を受けると同時に真由美が立ちあがりそう宣言する。それに続けて摩利も
「生徒会長の宣言に基づき、風紀委員長として、三人の試合が校則で認められた課外活動であると認める。時間はこれより30分後、場所は第三演習室。試合は非公開とし、三者にCADの使用を許可します」
と言うが、神綺がそれに待ったを掛ける。
「なんだ?あれだけ強気に言っておいて怖気ついたか?」
と面白い物をみる顔でそう摩利が聞いてくるが、そんな気はまったくない。
「いえ、あれだけ私も言ったんです。それぐらいは当然かと自分でも思っています。しかし問題があるのです」
「問題?なんだ」
「私のCADです。私は硬化が得意なのですが、その性質上。物理攻撃が主となります。それでもよろしいですか?」
そう、ここは魔法科学校。つまり魔法による攻撃での試合が多数を占める。そして大体は物理攻撃の禁止、もしくは傷が残らないほどの軽度の物しか認められない。だが神綺は武装一体型CADを使い物理的に戦うスタイル。....これでは神綺がなにもできないのだ。
「なに?...しかし先日は特化型を使っていただろ?」
「あれはいわば護身用です。無系統しか入れられませんから、別にCADを持っています。...といっても自宅にありますが」
「む、そうか....どうする?真由美」
「そうねぇ...でも時間が無いし、今回は北山君は除くでいいんじゃない?」
「なっ」
「いえ、副会長がお望みであれば今から持ってこさせますので。ただ、物理攻撃となりますので、痣などは我慢して頂きたい、というだけですので」
「ふむ....服部はどうだ?」
「...私は受けますよ。攻撃を受けなければ傷つくこともない」
と強気に服部は言う。
「そうか。なら認めよう。ただし、骨折より重傷はダメだ」
「わかりました。善処します」
「それでは先程の宣言通り、30分後に開始します」
「ということだ、達也。お前から先にやってくれ」
「...一応聞こう。なぜだ?」
「これから持ってきてもらうんだ。少し時間がかかる」
「そうか。わかった」
そう達也に伝えると神綺は端末を取り出し、家にコールした。
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