結構強引な展開になりましたが、目を瞑って頂けるとうれしいです。
「....さ、どこでもいいから座りなさい」
潮に言われた通り神綺は自分に一番近かったソファーへと腰掛ける。
(うわっ なにこれふかふか...なんとなくそうだとは思ったが...結構金持ちな所に来たもんだな....)
「....神綺君」
「っ はい」
「私のちょっとした付き合いでね。君の戸籍を調べさせてもらった」
「えぇ....」
なぜそこまで....それが神綺の率直な感想だ。
「それで?どうだったの?」
神綺の対面に座っている紅音がそう急かした。
「....言いにくいのだが」
「構いませんよ。どうなっていても状況は変わりません」
「...わかった。神綺君、君はどういうわけか死亡したことになっている。それも...5年前に」
「「え?」」
「5年....となると引き取られた時か。なるほど」
「なにか...思い当たることがあるのかい?」
「えぇ、5年前。私はある所に引き取られました。....おそらくその時に死んだことにされたのでしょう」
「......」
流石に潮もこれには唖然とする。
「ま、だからと言ってどうにかなるわけではないんですがね....」
「と、取りあえずだ。.....あまりよろしくないことだが、君の戸籍を新たに作ることにした」
「...は?」
「これでもそれなりに力のあるお方と知り合いでね。なんとかしてもらうつもりだ」
「ちょっ ちょっと待ってください。どうしてそんなことまで...」
「これもなにかの縁だ....お節介だが、やらせてもらうよ」
「待ってくださいよ!私は別に!」
「いいんだ。もう決めたことだ。紅音達も私の意見には逆らえない。それに...戸籍がなければなにかと不便だろ?学校にも通えなければ病院にもいけない」
「......」
「そして....これは紅音」
「なにかしら?」
「航を呼んできてくれ」
「航を?...わかったわ」
「....なにをするおつもりで?」
「なぁに、ちょっとした家族会議だ」
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その後、寝ていたのであろう航を紅音は引き連れてきた。
「あ!さっきのお兄ちゃん」
「航、この子は神綺君よ」
「ふ~ん....神綺お兄ちゃん。もう大丈夫なの?」
「あ、あぁ....ありがとうな、心配してくれて」
と心配しながら寄ってきた航の頭をやさしくなでながら神綺はそう答えた。
「さ、これから重大な話がある。これは航にも関係があるからな、難しいと思うが聞いてくれ」
「うん、わかった」
「...さぁ、雫と紅音はさっき言った通り神綺君には戸籍がない。...そこで新しく戸籍を作り、養子に迎えようと私は思うのだが...」
「は!?潮さん!?なにを言って!」
「悪いがこれは家族の会話なんだ...神綺君は黙って聞いててくれ」
「私の意思は無視ですか!?それに赤の他人の私を受け入れるわけないでしょう!」
と神綺は猛烈に抗議した。しかし、
「....いいんじゃない?彼の魔法、少し気になるのよね」
「...うん。私もいい」
「は!?紅音さん?それに雫も...何を言ってるかわかっているんですか!?」
「えぇ、あなたを養子で受け入れて新しい家族となる。間違ってるかしら?」
「いえ....わかっててなぜ!」
「んー?特にないかな、私の干渉力を上回ったのよ?気にならないわけないじゃない」
「っ...雫は?」
「私は単に神綺が気にいっただけ」
「そんな簡単な理由で.....」
「航はどうする?」
「んー....難しくてわからない」
「簡単に言うと、神綺君が航のお兄ちゃんになるのに...賛成?反対?」
「んー.....神綺お兄ちゃんがお兄ちゃんに?」
むむむ?といった難しい顔で悩んでいるようだ。
「うーん....うん!お兄ちゃん欲しい!」
「おいおい.....」
「と、満場一致というわけだが...?」
「....止めておいた方がいい。私を勝手に死んだことにした所から私は逃げてきたんですよ....そして奴らは今も私を追っている。そんな私を養子にするなんて....止めておいた方がいい」
「ふむ。なんとも危ない所にいたんだな....ならこうしよう。A級のランクで登録するとしようか」
「...そのA級とやらは?」
「要人用に設定されてるランクでね。殆ど公にでることなく、特別なストレージに登録されるんだ。そこなら大丈夫だろう」
「なっ.....」
「諦めたら?この人、決めたことは突っ走るわよ?どこまでも」
とやさしいまなざしで微笑みながら紅音が言ってきた。
「神綺は私達と家族になるのが嫌なの?」
「いや....そうではないが....なぜそこまで....」
「なにかの縁というのもあるが、なにより雫が君を気にいっているからな。....安心しなさい。資産はある、困ることはないだろう」
「......」
「決まりね♪」
「はぁ....」
もうどうにでもなれ、なにかあればここから出ていけばいい。そんなことを自分に言い聞かせながらその場はお開きとなった。
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「遂に今日からだね」
「....そうだな」
とある豪邸の玄関に真新しい制服に身を包んだ男女が立っていた。
あの養子縁組事件から約7年。神綺と雫は家族となり、兄弟となった。そして今日、新高校1年生となった二人は入学式に向かう為に乗る車が来るのを待っている。
今はもう慣れたものだが、最初は戸惑いまくった憶えがある。
リムジンに乗って通学など今まででは考えられないことだ。
「あ、来たよ」
「これから高1か....」
これで3度目の高校か、と思いながら自分達の目の前に停車したリムジンに乗り込んだ。
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