「ほー...ここが一高か」
「立派だね」
「ひぇ~」
リムジンから降りたのち、神綺達は校門をくぐり一高の校舎に圧倒されながら入学式の式場となっている講堂へと足を進めていた。
そして、講堂に近づくにつれ学生も多くなり、それと同時に
「「.....」」
「....おい、2人共」
二科生である神綺に対し、あざ笑うかのような視線を送るものが増えてきたのだ。それには雫達も気づき、それに対する反抗の目を周りに向けるが神綺が止める。
「お前達は入学初日から目立ちたいのか....」
「だって!神綺君はなんとも思わないの?」
「そうだよ。ただ受かっただけであれはないよ」
「お前らなぁ.....俺の為に怒ってくれるのは嬉しいが、言ったろ?俺はこれを想定してここに入学したんだ。気にしていない」
それに赤の他人にとやかく言われようとなんとも思わない。
「うー...」
「はぁ....さ、ここが講堂だな」
案内図を元に講堂へとたどり着いた3人は中へと入る。
「これは...」
「.....」
「これはすごいな」
講堂の中には生徒が大勢すでにいたが、それで一番目立ったのは
「綺麗に分かれているのな」
新入生が座るエリアは2塊に分かれている。ステージを中心に内周を一科生、そして通路を挟む外周に二科生と別れて座っていた。
勿論、指定席ではなく自由なのだが生徒自身がこう別れてしまっている所を見ると、自分達が一番一科生と二科生の違いを気にしているように思えた。
「こういうことらしいから、俺は向こうに行くな」
「え?」
「....わかった」
と神綺は外周の席を指さしてそっちへ向かった。
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(どうしたものか...)
結構余裕を持ってきたつもりだったのだが、結構席が埋まっている為自分が座る場所を探すのも一苦労だ。
(...お、あそこにしよう)
とフッと一席開いている所を見つけてそこへと向かった。
「すみません。そちらの席、空いてますか?」
「え?えぇ、どうぞー」
「ありがとうございます」
「...ねぇねぇ」
「ん?なんですか?」
「折角だから自己紹介しよ。私は千葉エリカ、よろしくー」
「俺は北山神綺だ、よろしく」
と席が空いているかと聞いた女子が自己紹介をしてきた。
そして自分の名前を神綺が言った瞬間、エリカの隣の隣。場所で言うなら一番通路側にいる生徒が息を呑んだような感じがしたのだ。
「っ!?」
「?」
それに不思議に思った神綺が
「俺が...どうかしたか?」
と生徒に聞いた。
「い、いや....俺は司波達也だ。よろしく...」
と落ち着いた声でそう言った。
「あ、あのっ 私、 柴田美月っていいます。よろしくお願いします」
と今度は達也とエリカに挟まれて座る眼鏡をかけた生徒も自己紹介をしてきた。
「あぁ、北山神綺だ。よろしく」
と自己紹介を終わらせると、入学式が始まった。
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無事入学式も終わり、学生証を貰った神綺達は講堂を出て、自分達のクラスの下見にと教室へ向かっていた。
「ねぇねぇ司波君、北山君」
「ん?」
「これからHR覗いていかない?」
とエリカが提案するが、
「ちょっと待ってくれ。なぁ、北山」
「ん?」
「少し時間あるか?話しがある」
「話?....まぁいいが」
「およ?まぁいいけど、それじゃぁ私達教室にいるね~、行こう美月」
「え?うん...」
とエリカと美月は教室へと向かった。ちなみに神綺達全員1-Eという偶然があった。
「...それで?話って?」
「...少しここでは人が多い。場所を移そう」
「わかった」
神綺は内心、こいつ同性愛者か?とか思いながら前を歩く達也に送れぬようについていった。
「...んで?」
神綺達は人の少ない校舎裏についた。
「....なぁ北山、いや....東山神綺」
「っ!?」
そう達也が言った瞬間。神綺は心臓が止まったかの様な錯覚を受けた、それと同時に本能からか達也から距離を取る。
「....なぜその名前を知っている」
普通ならとぼけるなどして回避しただろうが、わざわざ人が少ない所まで来たのだ。確信がなければできない。
「安心してくれ。俺は敵じゃない」
「その根拠は?」
「....すまない」
「....は?」
と急に達也が頭を下げてきたのだ。
「俺はお前の敵じゃない。....むしろ仲間のつもりだ」
「何が言いたい」
「....俺もお前と同類、ということだ」
「なんだと!?」
これには流石の神綺も動揺を隠せない。
「....俺も元々は魔法を満足に使える体ではなかった。しかし、実験によりこの様に俺も魔法が使えている」
「....お前も施設を抜け出したのか?」
「いや....俺はお前と同じ実験を受けたが待遇が全然違うんだ」
「そうか....」
「厳密には...俺に施された実験の改良型がお前に使われた、という方が正しいが」
「なに?....俺よりも先に?」
「ある組織が俺を改造し、そのデータをある者が盗み、改良し独立してお前を改造した。これがいきさつだ」
「......」
このカミングアウトには驚きを隠せない。もうパンク寸前だ。しかし神綺は
「どうしてお前はそこまでのことを知っている....」
「....すまないが話せない。本当なら今のことさえ話したくはなかった」
「じゃぁなぜ話した!」
「....罪滅ぼしだ」
「....なに?」
「俺が実験されたことによりデータが生まれ、お前が試された」
「....確かにそうだ。だがそれは違う。お前を実験した奴が根元じゃないのか!?」
「....そうともいえるか。...それで?お前はどうする」
「....どういう意味だ」
「お前の目だ。一瞬だが濃い憎悪を感じた、復讐などを連想させる...な」
「っ.....」
実際に『小林神綺』は体験していないが、『東山神綺』は体験している為、そういう感情が無意識にでてしまうのも仕方がない。
「言っておく。これは助言でもあるし忠告だ。....悪用した奴らをどうこうするのはいいと思うが、俺を弄った組織には首を突っ込むなよ」
「っ おいおい...それじゃぁお前は自分を弄った奴を知っているのか!?」
「あぁ、だからこその忠告だ。....自分の身を消されたくないのならやめておけ...俺もお前が消えるのは嫌なんだ。.....話はこれだけだ。すまない、妹と約束しているんでね。これで失礼する、エリカ達によろしく言っておいてくれ」
そう言うと達也は神綺を置いて行ってしまった。
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