Re ハイスクールD×D 黄金転生のロンギヌス   作:めんどくさがりや

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黄金の片鱗

下校途中、今回は一人で歩いている一誠はドライグと話していた。玲誠は友人と寄る場所があるとの事で別行動だ。

 

「それで、何があった?」

 

学園でのドライグの様子が何処かおかしかったために聞くと、

 

『あの来栖とかいう奴、そいつに妙な反応があってな』

「妙な反応?」

 

ドライグが感じる反応ということは、

 

『奴から、俺の力を感じた』

「なに?」

 

ドライグの力、つまりは赤竜帝の力だ。それはーー

 

「つまり、彼が赤龍帝の籠手の抜け殻(・・・)を所持していると?」

 

ドライグがかつて言っていた事だが、ドライグの魂と分離した神器、つまりは抜け殻を誰かしらが所持しているというのだ。

 

『ああ、だが抜け殻と言っても俺の魂の残滓が付いているから神器としては問題無く機能する』

 

なるほど、つまり赤龍帝であるドライグが抜けただけで赤龍帝の籠手は神器として有り続けるという事か。

 

『まあ、多少の弱体化は否めんし、俺自身を宿し何の拘束もない状態でそれを使える相棒には敵わん。そもそも、今は人の身であるとはいえ《覇道神》と呼ばれる相棒の足元にも及ばないだろう』

 

覇道神、この世の法則を塗り替える存在であり、前世において自分が辿り着いた領域。

その言葉に一誠は苦笑する。

 

「卿も覇を唱えた者だろう」

 

そう、ドライグもまた覇を唱えし者の一つの存在。だが、

 

『・・・相棒と俺とじゃ、在り方が違う。俺は力を求めた結果、覇を唱えた。そしてその末に、俺は滅ぼされた』

 

そこでだが、とドライグは区切り、言う。

 

『相棒の覇道の本質は俺と異なる。なあ、相棒は何を以ってして覇を唱えた?』

「ーー愚問だな」

 

そう言うと一誠は空を見上げる。

 

「卿とさして変わらん。卿は力を求め、その末に覇を唱えた。されど私が求めしものは力ではない。無論、力を欲していないわけではない。力無くては何も成し得ん。ゆえに、力そのものは必要だ。しかし私の本質はそこに無い」

『と言うと?』

「私は総てを全力で愛したいと願った」

 

それこそが己の渇望。万象総てが愛おしい、故に例外無く愛でよう。

 

「だが、嘆かわしきかな。私がこの手で愛したものは、皆等しく壊れてしまう。一時期は自ら愛しいものを遠ざけてもいた」

 

そう、あのゲシュタポでの出会いが無かったら自分はあのままだったろう。

何も分からず、ただ飢えを抑えながら日々を浪費していく日々に。

 

「一時期は、総ての存在に下らないものというレッテルを貼り遠ざけてもいた。だが、とある友人に諭され、破壊することを恐れて愛さないのは、愛し子らをないがしろにしていることと同義ではないか?、と真に理解してな、例えそれを壊してでも愛する事を誓ったのだよ」

『総てを愛したいが故に覇を唱える、か。くくく、相棒は本当に面白い。まさにここ(・・)はそれを表している』

「私の修羅道(グラズヘイム)はお気に召したかな?」

『ああ、最高だとも』

「重畳、しかしまだだ」

 

ドライグは心底愉快だと言う風に笑う。一誠もまた、笑みを浮かべている。

いや、今の彼は兵藤一誠ではない。澄んだ蒼の瞳は金に輝き、その髪は黄金へと変わり逆立っている。

 

そう、これこそが一誠の正体。聖槍十三騎士団黒円卓第一位ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒである。

 

「私の愛は破壊である。故にそれしか知らんし、それしか出来ん。そしてそれこそ我が覇道なり。所詮人道などとうに外れた身。なればこそ、卿の求めた覇の境地を私と共に示そうではないか。天界を、冥界を、神、天使、悪魔、そして人間。三千世界の悉くを全力で()してやろう」

 

だから願う。愛しき者達よ、どうか私を失望させないでくれ。

 

□■□

 

 

一誠が過ぎ去った後、その場に一人の少女がいた。

 

「何よ、あいつは・・・」

 

彼女は堕天使。とある目的のために、この地域へと潜伏しているのだ。そして見てしまった。圧倒的なまでの威圧感を放っていた青年を。傍目から見ても上級悪魔、いやそれ以上の力を有している。

 

「この地域だとグレモリーが一番の脅威だと思っていたのだけどね・・・とんだダークホースが現れたものだわ」

 

そして、堕天使は黒い翼を羽ばたかせ、その場から去った。

 

□■□

 

「・・・・?」

 

ふと、どこからか強い気配を感じた。玲誠はそれがなんなのかを瞬時に理解した。今世で久々に感じた父の気配だ。

 

「(父様?)」

 

怪訝そうにする玲誠。何かしら事件のようなものでも起きたのだろうか。

 

「(やはり父様について行くべきだったか?いやしかし友人の誘いを断るわけにもいかないし何より父様が望んだ事だ。それに父様に解決出来ない事があるわけがない。だったら今はこの瞬間を楽しもう)」

 

自己完結して、目の前にあるデザートに手を付ける。

 

「あむ、むぐむぐ」

「もぐもぐ、はむ」

 

ちなみに目の前には子猫がおり、玲誠と同じメニューであるギガデラックスジャンボフルーツパフェが置かれている。このパフェはこの店の店長が遊び心で開発したもので、二十分以内に食べきれれば一万円、残したら五千円の罰金を払わなければいけないというもので、その量は大の大人でさえも殆どを残してしまうだろう。

だが、それをこの二人は開始十分で四分の三はたいらげてしまっている。一体二人の小さ(ギロッ‼︎)・・・小柄な体のどこに吸い込まれているのだろうか。

その後、二人して余裕で完食を果たして合計二万円を獲得した。店長涙目である。

 

「ふう、なかなかの味だった」

「美味しかったです。それにお小遣いも貰えました」

 

無表情で分かりづらいがホクホク顔の子猫。それを見て玲誠はクスリと笑う。

 

「今日部活は?」

「休みです。部長が用事で参加できないようなので」

 

子猫はオカルト研究部という部活に所属している。名前だけ聞くと胡散臭いが、その正体は悪魔達の根城。子猫も、悪魔の一人だ。

その後、他愛ない話をした後、二人は別れた。

 

「ふぅ、もうこんな時間か。そろそろ帰らねば。・・・ん?」

 

その時、玲誠の携帯から着信音が鳴り響く。

 

「もしもし?」

『イザークですか?』

「・・・聖餐杯か」

 

その瞬間、イザークの声音が幾分か低くなる。相手は自分の知り合いであった。

聖槍十三騎士団 黒円卓第三位 ヴァレリア・トリファ=クリストフ・ローエングリーン。黒円卓内では聖餐杯と呼称される存在である。現在は一誠が仮初めの肉体に宿っている為に、前世の肉体の所有権を一誠が彼へと渡してこの世界の様々な状況を探るためにヴァチカンへと向かわせたのだ。そして分かった事は様々だ。まず天使、堕天使、悪魔の三大勢力について。各地方の神話大系について。そしてーー無限と夢幻の存在について。

 

「それで、どうかしたか?」

『ええ、こちらでちょっとした情報を得ましてね。貴方とハイドリヒ卿へ報告をと思いまして』

「情報?」

 

聖餐杯の言葉に怪訝そうな表情になる。

 

『そちらに堕天使数匹が潜伏しているようです』

「堕天使だと?」

 

堕天使。元々は神に仕える天使であったが、欲望に目覚め、地に堕ちた存在。

 

『はい。何かしら行動を起こそうとしているようですが』

「だが、ここら一帯はグレモリーの管轄だぞ?」

 

それだけではない。もう一人上級悪魔がいるのだ。たかだか一介の堕天使が行動をおかすにはリスクが高すぎる。

と、そのような危険をおかしてまでここに来るという事は相手が単なる愚か者か、それともーー

 

「何かしら策があるのか・・・分かった、父様には私から伝えておく。お前はそのまま潜入を続けていてくれ」

『ええ。私もこちらで楽しみを見つけましたからね』

「楽しみ?ああ、例の聖剣使いか」

『まだ未熟ではありますが、彼女達はなかなかの腕を持っている。少々狂信的なのが問題ですが、必ず強くなる』

「そうか」

『はい。では、私はこれで』

「ああ」

 

そう言って電話を切る。

 

「堕天使、か。何が目的かは知らないが、この町で事を起こすのなら覚悟しておけ」

 

そう、ここには総てを愛する破壊の君、黄金の獣がいるのだから。

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