モンスターハンター 最弱で最強の少年   作:夢の天鱗

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水に生きる獣

グラリ……と、また揺れた。大抵の人間なら立ってるのがキツくなる程の揺れがまた起きた。何時もよりも長く揺れて、収まった。

 

「村長、平気か」

 

白髪のおっさん……元凄腕ハンターの村長に、一応確認する。

別に、村が真っ二つに割れたわけでも無いし、平気だろうが。

 

「大丈夫だ。しかしソル、一つ相談がある」

 

村長は、真面目な顔で俺に頼んだ。

 

「タンジアの港で情報を集めてくれ」

 

という、俺がやる必要無さそうな事を。

 

……それが、昨日の出来事。一日かけて、タンジアの港に着いた。

移動するのに使った、剣ニャン丸――とある交易船の船長の弟子。北辰納豆流の使い手である――の船には妙な武器を持った奴もいたが、今は関係無いだろう。

港を歩いていると、シータンジニャ――結構美味い店で、それなりに人気がある――の、少し高い所にある眺めの良い席にいる女性を見た刹那感じた、アイツは当たりだと。

何も食べずに、ただ景色を見ている女性は、反対側の席に座った俺に気が付いた様子は無い。

終焉を感じさせるような真っ暗な髪を降ろしており、水色の瞳が海を見つめている。

 

――妙だな、コイツ。

 

何かと訊かれると、雰囲気だろうか。何か妙だ。

 

「……何?」

 

氷のように冷たく、刃のように鋭い声が発された。一瞬たりとも俺を見ないで。

 

「……探してる奴がいるんだ」

 

本来訊くべき事と違う、私的な事を訊いてみた。

 

「俺の姉貴を知らないか?行方不明なんだよ」

 

女性は、一瞬だけ俺を見てから、言った。

 

「知るわけ無いわ」

 

嘲笑いながら。此方は真剣なんだが。

 

「……んじゃさ、地震を起こせるモンスターとか知らないか?」

 

「ラオシャンロン」

 

即答だった。一応聞いてはくれてるらしい。

しかし、ラオシャンロンは山のようにデカい古龍だと聞いた事があるが、周りが孤島と海しかないモガの村周辺にいる筈は無い。

 

「他」

 

「ジエン・モーラン」

 

生憎、砂漠の古龍だ。

 

「他」

 

「アカムトルム、ウカムウルバス、ダレン・モーラン、ダラ・アマデュラ、ゴグ・マジオス……」

 

俺を迷惑そうに睨みながら、高速で俺の知らないモンスターわリストアップしていく。

全く、解らない。

 

「……海に生息するのは?」

 

「ナバルデウス」

 

これまた俺の知らないモンスターの名前が出て来たが、もしかしたらソイツの可能性もある。

情報は手に入ったから、さっさと立ち去ろうとしたが、女性はまた謎な言葉を発した。

 

「ミル」

 

「何だ?」

 

唐突に『見る』とか言われても、俺には通じない。

 

「私の名前」

 

「……ああ、忘れとく」

 

何か気に入らない奴だったから、嫌味だけ言って立ち去ろうとしたのだが………9時の方向からこれまた突然声を掛けられた。

 

「……アンタ、孤独な狩人(ソロ)だろ?」

 

全くもって気に入らない二つ名で――タンジアの港では、結構俺は有名らしい。そして勝手につけられた二つ名だ――話しかけてきた一人のハンター。

ソイツは、頭が眩しかった。これだけ言えばどういう事か解るだろう。

 

「何の用だ」

 

「さっき妙な男を見たんだが、知らないか?武器が変なんだ」

 

「………俺は船で見た」

 

眩しいオッサンは、俺が知らないと解ると、酒を持ちながら何処か行ってしまった。

知り合いなのかもしれんが、どうでも良かった。そして、どうでも良くない事が起きた。

 

「せんぱぁあいっ!!!」

 

不吉な声が聞こえた。5時の方向から聞こえたソレで距離を推測し、タイミングよくしゃがむ。すると、少女が俺の上を通過して転ぶ。

俺は気にせず立ち上がり、さっさと帰りの船を探しに行こうとしたが、足首を掴まれた。

 

――しまったっ!!

 

一度掴まれたが最後、個人的に拷問とも思える会話をしてお願い事という名の脅しを一つされて最終的に港中に聞こえる声で何か叫んで何事も無かったかのように消えるという地獄が待っている。……のが何時もの流れだが、何か今日は違った。

 

「先輩、良いクエスト見つけましたよ」

 

そんな台詞を前聞いた時は、確か『渓流の一番長い日』に連行された記憶がある。しかし、その時の表情は分かり易い程ニタァと笑っていたが、今日は真剣な表情をしていた。

 

「なんだ、アンタも学習出来るんだな」

 

「真面目な話ですっ!」

 

そう彼女は叫ぶが、どうせ嘘だろと思った。

そんなコイツは、二年前に此処で会ってから友達未満の関係――個人的には――を維持して来た仲だ。そして、俺のほぼ唯一の知り合いだ。

 

「嘘だ……ろっ!?」

 

唖然としてしまった。ガラ空きの左手で持っていた受注書をチラッと見て書いてあったのは、『ロアルドロスの討伐』という内容だけであった。

 

「ね?信じてくれた?」

 

「………オマエ遂にギルドに手を出しやがったか?!」

 

「……違うよっ!?だから真面目な話っ!ほら、最近モガ周辺で地震が酷いらしいじゃん?だからクエストついでに調べてきなって事!」

 

――俺に気を使うトコ初めて見たっ!

 

そう思いつつ、受注書をありがたく奪うと、見事な速さで何処かに消えていった。

まあ良いかと思い、ちゃんと受注してから孤島……つまり村の隣りへと向かった。

 

 

煌黒龍アルバトリオンを狩ったが、それは惨敗という言葉がお似合いだ。ユウも、そしてセイカも死んでしまった。しかし、そんなことをしてくれた御本人は俺の隣でベラベラと独り言を言っていた。

 

「五月蝿いっ!」

 

俺がそう声を荒らげると、急に静かになった。

それから、正直気持ち悪い微笑みを浮かべながら、一つ訊いてきた。

 

「君は、私の事嫌い?」

 

「………大切な奴を殺した野朗を好きになるドMになった記憶は無いね」

 

「ドMって……まあコウガドSだもんね」

 

「うっせぇ!」

 

「退け」

 

――はい?

 

唐突に第三者の声が聞こえたから、反射的に振り返ってしまった。エレクも反応して、振り返っていた。

そいつは、太刀を背中に装備しているが、防具の類が全く無く、軽装だった。

 

「聞こえなかったか?退け」

 

「はぁ?何も道を占拠してるわけじゃねぇだろ?迂回も出来ねぇのかよ?」

 

実際、今は孤島の中でも比較的広い場所にいる。真ん中を歩いているからって、邪魔にはならないと思う。

 

「……お喋りしてるのが気に入らねぇんだよ。ハンターナメてんのか?」

 

「ンなの勝手だろ?ていうか他人に喧嘩売ってる暇ありゃとっとと失せろ。その方が早く狩りが終わると思うが?」

 

「あー……喧嘩は止めた方が良いんじゃない?」

 

「誰か知ら無いが……黙ってろ!」

「関係無いから喋るな黙れっ!」

 

エレクは苦笑いしながら、その場に止まったから続ける。

 

「……邪魔だ」

 

彼は、慣れた手つきで抜刀し、俺に太刀の刃を向けた。

 

「おい、人間に武器を向けるのは、ハンター最大の禁忌だぞ?」

 

そう指摘すると、獲物を見る目で俺……の背後を見た。

 

「誰がアンタに剣を向けるかよっ!」

 

何かの断末魔が響いた。彼も俺の背後にいつの間にか移動していた。

……中々のやり手だ。俺に飛びかかっていたらしいジャギィの頭を真っ二つに割っている。

 

「所詮は物だな」

 

俺を睨みながら呟いていた。完璧に意味不明だったが、それを訊く必要は全く無い。

 

「ふぅん……戦力になるんじゃない?」

 

「誰があんな奴と狩りに行くか」

 

エレクが今想像していたであろう、俺とあいつが共闘してる姿は、絶ったいに無いと思いたい。

 

 

本来モンスターと闘うべきハンターの中でも、雑魚は反応できない。そう、何処ぞの馬鹿に言われた。曰く、雑魚は素早い動きや圧倒的な火力を見ると、動けなくなる。それは置物と何も変わらない、せいぜい盾だ。という事らしい。

……んで、そういう意味ではさっき会った奴も物だ。というか、口喧嘩をしていたといえどもジャギィに気が付かないとは、余程の馬鹿だ。

そんな思考をしながら歩いていると、黄色い物が遠くに見えた。ロアルドロスだ。

ロアルドロスの特徴は、スポンジだ。いや、正確には違うんだが。しかし、水を含むと膨らみ、しかも柔らかいだなんて、スポンジだ。

そんなスポンジの先についてる頭がしっかりと見えてきた……と思ったら華麗にUターンして行った。

一応、アイツは俺の討伐対象だから狩ることにする。

全速力で逃げるロアルドロスに追いつく為に、全速力で走る。そして、陸が途切れたのだが、水中に飛び込んだ。当然、俺も。

すると、さっきまで逃げていたロアルドロスは、俺を見て威嚇。

 

――完全に舐められてるな。

 

大抵のハンターは水中で戦わないし、したとしても苦手。だけど俺は……水中戦の方が得意だ。

ロアルドロスは、それなりの速さで突っ込んで来るが、俺が太刀を向けた瞬間右に少しズレた。知能はあるらしい。が、それでも来るロアルドロスをスレスレで避けて、スポンジに刺す。

しかし、血が出る事は無く、逆にスポンジから太刀が抜けなくなってしまった。可笑しい、絶対オカシイ。

とりあえず根気で無理矢理抜いたが、迫りくる尻尾を防ぐことはできなかった。

それにより飛ばされるが、平泳ぎで勢いに逆らい、そのまま頭目掛けて斬る。

……しかし、ロアルドロスに異変が起きた。全身が白く輝いた。でも振り切るが、感触が全く無い。

白い光が無くなると、そこにはスポンジの色をした髪の少女がいた。

 

「殺さないでー!」

 

そんな黄色い頭を抱えてうずくまった。

……さて、どういうコトなのか。

 

「アンタ、誰?」

 

「こう見えてもロアルドロスなのでありますっ!ハンターさん、見逃してください死にたくないので」

 

何故か敬礼しながら意味不明な事をサラッと言った。

 

「……アンタがロアルドロス?スポンジ?」

 

「スポンジじゃないっ!でもロアルドロスなのは合ってる」

 

何かを期待してるような目で見てくるが、そんな事はどうでも良かった。とりあえずロアルドロスだと自ら言ってるので狩ることにする。だから、太刀を構え直す。

 

「アレ……?これ言わない方が良かった?」

 

「多分な」

 

自称ロアルドロスに突きを放つ。しかし、中々の泳ぎでそれを躱してから……やはり逃げ出した。陸に。

 

「どらぁあ!!」

 

「あぶっ……」

 

太刀を投げた。そして見事それに気を取られて泳ぎが止まったので、背中に回り込み羽交い締め。

 

「もう一回聞くが……アンタ誰?」

 

「ロアルドロスだって……これでも。ていうか、殺さなくても良いじゃん。フゥフゥしてれば良いでしょ?」

 

「フゥフゥってなんだ?」

 

「そういえば私まな板だっ……っっ!」

 

何か変な事を口走った気がしたから、更に強く締めてあげた。

 

「やっぱ死にたい?」

 

「いやはや、まさか死にたいワケ無いじゃないですか?そんなんだったらとっくに首をあげておりまっっいだいっ!!」

 

やはり変な事を言ってるので、もっと強く締める。

 

「許してぇ!そして殺さないでぇ!」

 

「………わーったよ」

 

解放してあげる。するととてつもないスピードで逃げ出そうとした。しかし、とある点が気になって、足を掴む。

 

「……服は何処で手に入れた?」

 

ちゃっかり着ている服は、本当にロアルドロスならば何処で手に入れたのかが凄い気になるのである。

 

「……買った」

 

「何処で?」

 

「すぐ近くの村」

 

すぐ近くの村=モガの村。

 

「いつ?」

 

「結構前かな?昼間だったと思うけど……」

 

………スッキリした。

買ったと言われた瞬間、そういえば見た事あると思ったが、本人の証言を信じると、本当に見たらしい。

 

「じゃあとっとと失せろ」

 

「ありがーーっとッス!」

 

足を離してやると、何処に向かったのかは知らないが、去って行った。

 

こんな、ハッキリ言ってどうでも良いような出来事が、自身の未来を捻じ曲げた事はまだ知らない。




分量……自分でも少ないと思ったが、ロアルドロス程度じゃこれが限界。いや、ロアルドロス戦以外の所取ったら極短くなってしまうが。
次回について……ちょっと閑話入れたいと思います。本編に全く関係の無い内容。言ってしまえばGEの世界観のオリキャラとのちょっとした話を………何故今かって?自分がGE2RB買ったからだ。なので、見たくなければ御自由に。

今回は補足も殆ど無しですね……次回もよろしくです。
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