モンスターハンター 最弱で最強の少年   作:夢の天鱗

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乱れ咲く彩鳥

俺はユウと一緒に武器さがしをしている。

と言っても、俺は既にユクモノ双剣を買ったのだが。

ユウ……とんでもなく馬鹿馬鹿しいネーミングだ。青熊獣から取っただけだし。

そして今、俺は武器の説明をしている。

 

「俺が使う双剣なんかは、素早い動きができるし、攻撃回数も増える。一撃がまあまあだったり、研ぐ回数が増えたりするけどな」

 

ユウは、俺が持っているユクモノ双剣を見ながら、「フムフム」と言っている。

 

「ランスなんかは、素早い動きなんて絶対無理だし、一撃がめちゃつえぇなんて事もない。けれど、デカイ盾持てるから相手の攻撃を防ぐのは楽」

 

ユウは、いまいち納得のいかない表情をしている。

ガンナーの方が良いのかもしれないと勝手に解釈。

 

「弓は、ガンナーの中では一番強いと思う。使い手次第というのもあるけど」

 

「……じゃあこれは?」

 

ユウが指したのは、斧だった。

 

「これはスラッシュアックスといって、斧モードと剣モードに切り替えれるんだよな。個人的にはそんな好きじゃないけど」

 

「うーん……」

 

彼女は、他の武器もじっくりと見てから言った。

 

「ハンマーは?」

 

「ハンマーは相手のスタミナを奪えるという利点があるかな?それに頭殴り続ければピヨらせれるし」

 

ハンマーは触れた事もないので、細かい事は知らない。というか、俺は片手剣と双剣、それにちょっと太刀を触った程度だから、細かい事は殆ど解らない。

ユウが、今度は「この剣大きい……!」と呟いたので説明。

 

「文字通り大剣だ。思いからランスみたいにゆっくりになってしまう。また、剣自体を盾にできるのも良いね。更に一撃が強力なんだよな。双剣とは対照的な武器だな」

 

そして、説明が終わった時にやっと気が付いた。ユウの目が輝いてる事に。

ユクモがユクモノ大剣をジィィっと見る。そして通りすがりのハンターがユウを、「何やってるんだ?」と言いたげな目線で見る。

そして俺を見てから行った。

 

「私、これに決めた!」

 

「……何故に?」

 

最高のスマイルで言った。

 

「一撃必殺!」

 

………と。

 

もう一度マイハウスに行く。ユウも当然ついてくる。

マイハウスに入った瞬間、ユウがアイテムBOXに一直線しそうだったから、両手をしっかりと握って拘束する。

武器さがしの少し前、ユウがアイテムBOXから少しだけハチミツを奪ったのだ。だから拘束。

マイハウスにほぼ唯一ある物の上に転がす。それはベッドだ。

武器を買うついでに買った沢山の回復薬を用意。そして……

調!合!開!始!

少しだけハチミツを残して、後は皆薬さんグレートへと変化した。

それを見たユウが、「ハチミツ……」と名残惜しそうに呟く。

 

「よし、寝るぞ」

 

「へ?……あ、はい」

 

マイハウスには、ベッドが一つしかない為、二人で寝た。

そしてその日の夜中。

俺が偶々起きたら、目の前にあったのが美少女の顔だ。今にも当たりそうな距離だし。

そして、これまた柔らかい感触が伝わってくる。

この状況は……!色々とマズイ!

なぜならこうなってるかは解る。何時もなら布団を抱いてるが、今回はユウになったというだけだ。

そして俺の咄嗟の判断は、何も無かった事にして寝る。

そして、特に問題もなく寝れたが、寝る直前に頬に柔らかい感触を得た。

 

そして現在、村長にクエの受注をさせてもらっている。

今回の討伐対象は、彩鳥クルペッコ。

中々に厄介なモンスターなのだ。理由は、他のモンスターを呼んでしまうからだ。

そして、後ろで顔を真っ赤にしているユウが、俺を叩く。

 

「あんた……そんなにクルペッコが」

 

「ち、違うもん。夜での出来事忘れてるカミトが悪いんだもん」

 

夜での出来事と言われても、何も思い出せない。起きた記憶もないし、ユウの夢なんだろうと勝手に解釈。

 

「頑張ってらっしゃい」

 

「村長さん、任しとけ!」

 

そんなワケで、クルペッコ狩りに行く。

 

今回は渓流ではなく砂原だ。昼はとても暑く、夜はとても寒い場所だ。

今は昼だ。クルペッコは確か火を使う。ただでさえ暑いのに、これ以上は勘弁。

歩きで行ける狩り場は渓流だけなので、ガーグァ車に乗っている。

一クエストに四人までしか行けないのは、ガーグァ車が四人までしか乗せられないかららしい。

そして、本来此処にいるべきハンターは二人の筈だが、同乗者が一名。

武器はハララペッコ(狩猟笛)で、防具もクルペッコ一式という、いかにもクルペッコな奴だ。

女性で、ユウみたいな子供らしさを全く感じない。茶色の髪が落ち着いた雰囲気を出してる気もする。

 

――ユウの髪って何色だっけ?

 

そういえば、ユウが寝てる時も装備を着たままだったし、あのフードで見事に見えない。

まあ何時か替えるだろうし、その時まで待つか……

 

「ねぇ、君」

 

すると、謎の同乗者が突然声をかけてきた。

 

「何だよ」

 

「何狩りに来たの?」

 

その質問に、嫌味は全く感じなかった。

なので、馬鹿正直に返答してみた。

 

「クルペッコだが?そういうあんたは?」

 

「採取ツアーだよ。装備作るのに虫が足りなくて……」

 

採取ツアーは、はっきり言って行く必要の無いクエストだ。他のクエストやりながら採取だってできるんだし。

 

「だったら別に採取ツアーじゃなくても」

 

俺が言い切る前に、ガーグァ車が揺れた。

ガーグァが鳴いて、走るスピードアップ。但し、雑になったが。

モンスターに攻撃されたのだ。そして、ガーグァ車を追いかけてるモンスターは一頭のみ。

鳥のような見た目。翼には手の代わりに石。嘴のように長い口。平べったい尻尾。そして全身の色が()

 

「紅彩鳥クルペッコ亜種かよ!」

 

「運無いねえ」

 

「そんなにヤバいんですか?」

 

上から、俺、同乗者、ユウだ。

本来、亜種は上位のクエストにしかでない。村で受けれるクエストにそんなクエストは無い。

つまり、乱入だ。

そして、クルペッコ亜種の恐い所は………

クルペッコ亜種はガーグァ車を追い越して、止まる。そして鳴き始める。

あれはとんでもなくヤバいのだ。止めるには音爆弾を使わないといけないが、俺は持ってない。

すると、同乗者がポーチから丸い物を取り出す。音爆キタコレ!

同乗者が、鳴いてるクルペッコ亜種に音爆弾を投げる。キィィインと耳をつんざくような音が鳴る。

クルペッコ亜種は、鳴くのを止めて、フラフラしている。そして、見事にユウも気絶してた。

 

――あ、アオアシラって音爆弾効くんだった。

 

ガーグァ車は、その場から立ち去っていった。

 

現在地、BC。

クルペッコ亜種から逃走して、見事着いたのは良いものの、砂原の何処にもクルペッコがいなかった。

入れ違っただけだと思うが、一旦戻ってきた。そして、その時にはクルペッコなハンターはいなくなっていた。

入れ違い多いなーと思いつつベッドに入る。休憩休憩っと。

すると、突然ユウがある事を呟いた。

 

「クルペッコ……さっきの……」

 

それは、多分あのハンターがクルペッコなんじゃないかと推測したのだろう。

まあ前例――目の前にいる――があるからなんとも言えないが、だとしたらとんでもない馬鹿馬鹿だ。

クエストが出る程暴れたあげくに、その暴れた場所に自ら舞い戻るなんて、狩れと言ってるようなものだ。

なので、この思考を簡単にユウに伝えた。

 

「あり得るけど、余程の場所じゃないと無いね」

 

「だったら、確認しに行こうよ」

 

解りやすい返答が返ってきた。なので、解りやすく動いた。

 

砂原を全力疾走した結果、俺は不思議な光景を見た。クルペッコとクルペッコ亜種、二頭が争っていた。

縄張り争いだろうか。ただ、鮮やかな色をしたモンスターが舞うのもまた見るだけなら美しい。橙と緑、雷と火、その二つが命を削りあってる。

すると、クルペッコが二頭共鳴き始めた。だが、音色が違う。

原種は、モンスターを癒す音色。亜種は、モンスターを呼ぶ音色。

これが何を意味するか?それは……

状況整理が終わった瞬間に、二頭共鳴き終える。亜種はそのまま飛んでいき、原種は、俺達に向かって勝手突っ込んでくる。

 

――えっ!?

 

「ユウ……逃げるぞ」

 

「解った……」

 

もうこれだけで充分だった。180°ターンして二人で全力疾走。来たときの二倍はあるのではないかというスピードで走るが、それも直ぐにやめてしまう。

地面から、頭が出てくる。黒くて、下顎に沢山の突起がある。

 

――俺ってつくづく運が無いなぁ……

 

「ユウストップ!」

 

「ほえ?」

 

ユウはしっかりと止まってくれた。そしてその手の前から地が割れて、化物が出てきた。

発達した後ろ足、そして小さすぎる前足。胴体とあまり変わらない程太い尻尾。そして、小さな頭に大きな顎。全身真っ黒。

凶暴竜イビルジョー。クルペッコ亜種が呼ぶモンスターの内の一頭。

常に高い体温を保つために、とんでもない量の飯を食わないといかない。その食欲は切り落とされた自分の尻尾出さえ食らう程。あまりの凶暴さ故に、イビルジョーが出現した地域の生態系をも変えたという噂がある。

イビルジョーの涎は、強力な酸性であるため、柔い装備だと簡単に溶かされる。

更に良く見ると、片目潰れている。

 

――こいつと会うのが二回目かよ……

 

まあ、つまり、ピンチだ。

身体を縦に曲げて、横に動かしながらそうそう聞けるレベルの声量越した音が響く。

バウンドボイス。そう呼ばれる。

ある一定の声量を越した咆哮はバインドボイスになる。分け方は、耳を押さえないといけないか、そうで無いかだ。

噂によれば、吹っ飛ばされる程の咆哮をするモンスターもいるらしいが、イビルジョーは長時間拘束してくる。

その間から終わって少し経つまで、耳を押さえる、つまり拘束されないと耳が逝かれる。が、素直に拘束されていればそれもピンチだ。

ハンターの中には、耳栓をつけていくハンターもいるが、それこそ二人以上なら以心伝心できないと危ない。

要は、バインドボイスはとてつもなく危険な技である、ということ。

が、耳を押さえてる途中で、身体が浮いた。どんどん地面が遠くなっていく。隣にも、また気絶してるユウがフードを掴まれて………

 

――掴まれてる?

 

不信に思った俺が後ろを振り向くと、クルペッコの姿が見えた。そして確信した。

まず、このクルペッコは助けてくれたんだ。でも見知らぬハンターを助ける筈もない。つまり、あのクルペッコなハンターの正体だ。

これはラッキーとしか言いようがない。

ただ気になるのが、何故亜種がいるか、という事。

ギルドはほぼ常に狩り場を監視してる。だったら、俺達みたいな下位ハンターのいる所に上位モンスターが向かわないようにすると思うのだが。

 

――これは何かが起ころうとしている?

 

災厄、一言で言えばそうなる。それが起ころうとしてるかもしれないが、まあセンパイに任せれば平気だろう。

と、考えが色々と纏まった時には足が地面に着いていた。

 

「アンタ達、どうしてそんなに運が無いんだろうねぇ?」

 

その声を発してる張本人こそ、クルペッコなハンターで、クルペッコ自身でもある。

 

「何処の疫病神が呼び寄せてくれたのだか」

 

ハァァと、ため息を吐きながら疫病神に返す。

つまり、クルペッコとクルペッコ亜種の縄張り争いに巻き込まれて、またその所為でイビルジョーとも遭遇した。

ユウはというと、未だ状況を理解してないらしく、辺りをキョロキョロ見渡してる。そして、ユウの目線が固定される。方向は……泥沼。

 

――砂原で泥沼、それから連想されるモンスターは土砂竜ボルボロスだけであり、今も泥沼からちょっとだけフンみたいに茶色い物が少し出てる。それこそボルボロスの頭だ。

ボルボロスは、クルペッコより少し危険度が上で、得意技は頭を地面に着けながらの突進。速さはアオアシラの比では無く、結構追跡してくる。

ボルボロスは、苦手な火、即ち日から体を守る為にドロを常に被っている。ドロを落とすには水属性が効果的だが、剥がせば火属性が弱点に早変わり。

また、ドロが付いてる部分は当然柔らかいが、ボルボロス自身はそれなりに硬い。特に、斬属性武器で頭を斬るのは愚の骨頂である。

つまり、無属性、斬属性の切れ味の無い武器でいる俺達からしたら強敵である。

 

……という思考を、一秒以内に終えて、ユウに命令。

 

「ユウ、逃げるぞ」

 

「は、はいっ!」

 

返事しながら何故か背筋を伸ばして敬礼をするユウ。いや、何故だし、てか何処で覚えたし。

と、頭は働き、脚はまた全力で働いてる。

クルペッコハンターは、呆然としながら俺を見ていた。

 

 

「とりあえず安全地帯に来たな……」

 

如何にも何か出そうな静けさを保ってる場所に出た。砂とサボテンしかないその光景は、やはり砂漠だ。

今、何か大切な事を忘れてるような気がしたが、気の所為だろう。

……という考えを、ユウがいとも容易くブチ抜いた。

 

「討伐対象から逃げてどうするんですか?」

 

「あ……」

 

余りにもイレギュラーな事が多すぎて忘れていたが、今回受けたクエストはクルペッコの討伐だった。

本来砂原で行動しない為か、ユウがとても疲れてるように見える。暑さにやられたか。

アオアシラの弱点も、また火属性だ。食うものだって魚やハチミツだし、こんな場所に生息するワケがない。なので、暑い場所での長時間行動は苦手とみた。

 

「ユウ、大丈夫か?」

 

ユウは無言で頷いた。だが、目は全然違う方向を向いている。

俺もつられてそっちを見ると、橙の物体が降下していた。

 

――疫病神来たァァア!!

 

だが、俺達の不運はそれだけでは終わらなかった。後ろから、大きな足音を立てて何かが接近してくる。

忘れる筈がない。この音は………

 

「イビルゥゥウウ!!!」

 

音を聞いただけで、俺は走り始めていた。

悪魔が後ろから、俺に追いつけるスピードで走ってくる。

これじゃ確実に食われる。そうは思っても、この速さが俺の限界。

 

――いや、奥の手を使えばもっと速くなれる!

 

奥の手、それがだれでもホイホイ使える事も知らず、訓練所で乱発した技。それを使えば、限界が無くなる。但し、スタミナの減りが通常の四倍程に増えるが。

俺の前に、イビルの影が映る。使うしかないと思い、双剣に手をかけようとした瞬間だった。

イビルは、俺を()()()()()()

イビルに集中し過ぎて気付かなかったが、クルペッコ亜種は癒しの声を鳴らしていた。

 

――誰も怪我してないっての。

 

なんとなく心の中で呟いたその直後、イビルはクルペッコ亜種に飛び掛かり、脚で翼を抑えた。

 

――あれって、拘束()()の構えじゃないか。

 

イビルがクルペッコ亜種を襲う?いやまさか。

タクトに聞いた話だが――タクトがギルドから聞いたんだろうが――クルペッコに呼ばれたモンスターは例外なくクルペッコを襲わないらしい。つまり、今この状況さえもイレギュラーなのだ。

そして、イビルはお口を大きく開けまして、クルペッコ亜種の細い首まで持ってって……

 

「グシャ」

 

食い千切りました。血がドボドボと流れ、直ぐに周りが真っ赤に染まる。

外れた頭を、半分また食い千切る。残った部分を丸呑み。体も、小さくバラけさせながらも食らう。

凶暴竜イビルジョー。絶対的な力を持ち、永遠につきまとう空腹感に襲われる。それを満たすため、ありとあらゆるモノを食らう。

 

――逃げろ逃げろ逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ。

 

逃げなければ絶対に死ぬ。それを頭で理解しながらも、体は動こうとしない。

 

――もうお終いか。

 

ユウの事を完璧に忘れ、逃れる事の出来ぬ恐怖に立ち向かう勇気も忘れた。生きるコトを諦めた。

イビルジョーは、真っ赤に染めた顔で俺を見ながらジワジワと距離を詰めてくる。

もう何も怖くない。だって、怖がる意味が無いのだから。

すると、突如視界が真っ白に塗り潰された。そして誰かに引っ張られる。

 

「走れってこの馬鹿野郎が!」

 

何か聞こえる。そうか、俺は助けられたのだ。

閃光玉を使い、イビルジョーの視界にダメージを与え、その隙に逃走。そういうコトだ。

………ん?

 

「ったくよ!大切な彼女放っておいて死にに行くクズが何処にいるんだ!?」

 

待て、何かがオカシイ。

まず、俺に対してそんな嫌味や冗談や呼び方をするのは一人しかいない。タクトだ。

だが、いる筈が無い。彼が相手にするモンスターは、上位未満強敵以上だ。雑魚――当然クルペッコやボルボロス――や上位――さっきまで生きてたクルペッコ亜種やイビルジョー――しかいない、この場所にこのタイミングで来る筈が無い。

んじゃ誰だ?

その答えは、次の言葉で解った。

 

「他人の命見捨てて勝手に死ぬなよ!責めて土下座してからにしやがれ!」

 

見捨てる。それに該当するのはたった一人、昨日の新米だ。つまり、今俺を助けたのはそのセンパイもしくは同期だ。

彼を改めて見てみると、何もかもが俺と違った。

見れば解る、彼は上位のハンターだ。また、実力もさっきの首尾の良さで解る。

閃光玉に慣れてないハンターは大抵、自分もその光にやられてしまうが、こいつは慣れてる。

そして、慣れてるということはそれだけ使い、使うだけの機会が幾つもあったということである。

まさか………こいつ、イビルジョーを狩りに来たのでは無いのか。

そこまで考えが辿り着いた時、やっと自分の状況を理解した。

俺は既にBCまで来ていた。そして、ベッドに座らせられてる。隣にはユウがいる。

 

「危ない所だったんだぞ?元()()()()さん?」

 

「……ありがとう」

 

命を助けてもらった以上、此処で無視する事はできない。

彼は、上位のジエン・モーランの装備を来ている。戦国武将のような姿だ。

ジエン・モーランは、古龍という仲間に入っていて――アシラは牙獣種、クルペッコは鳥竜種、イビルは獣竜種となってる――、その存在自体がレアなのだ。とんでもない巨体だから、装備作りは一回狩りに参加できれば良いのだが……兎に角凄いのだ。

 

「……一つ質問良いか?」

 

「どうぞ」

 

彼は、案外普通に俺の発言を許した。そして、俺は悟った。

 

――こいつ……熟練者(プロハン)だ!

 

彼は確かに、俺が彼の後輩を見殺しにしたと言っていた。本来だったら復讐とか言って俺を見殺しにしてもおかしくなかった。更に、そんなクズが偉そうに発言しようとしている。もうそれこそ、俺を殴っても誰も文句は言えまい。なのに、冷静だ。多分、何かが死ぬのは慣れてるんだ。

モンスターハンター、自然との調和をしてこそ真のモンスターハンターだと、誰かが言った。そして、目の前にいる彼はモンスターハンターといっても過言では無いであろう。人とモンスターの死を同一化するのだから。

ただ、そんなハンターはそれこそ熟練のハンターの中に沢山いる。だからこう呼ぶ、プロのハンター、略してプロハンと。

そして、そんな彼に発言の許可を得た俺は聞いた。

 

「あんた、イビル狩りに来たんだろ?」

 

タメ口で。

中には、プロハンだからといって敬われたりするのが嫌な奴もいる。だから、あえてタメ口で聞いたのだ。

 

「そうさ。でも君にはクルペッコの一頭も狩れなかったんだよね?」

 

馬鹿にしてますオーラ全開の口調でそういう。

此処で俺は口答えする権利は無いのだ。仕方なくとはいえ彼の後輩を見殺しにして、それなのに命を助けてくれている。

だから、嫌味の一つや二つに言い返す権利は無い。だから、素直に謝った。「すまなかった」と。

彼は、それを聞いてニヤリと笑い、言った。

 

「別に謝れなんて言ってないさ。それに()()お前でも亜種やイビルやボルボロスに乱入されても狩れないよなぁ?」

 

………?

 

「まあだから、()()()()の俺が()()()()のあんたでも狩れない状況でも狩って、努力で才能を越せるって証明してやるぜ」

 

俺を成績最高と言い、自身を成績最低と言う。それは確実に訓練所での話だ。つまり、彼は俺の同期である、ということだ。

誰だったか、成績最低なら解る筈だ。

明らかに失礼な思い出し方をして、見事に思い出した。

 

「クルトか!お前全然変わったなぁ!」

 

「酷え、忘れられていたのかよ。やっぱイビルの前に放して来るか……」

 

「いやいや冗談でも勘弁」

 

クルト、彼は俺の同期では最低の成績だった。良く合格基準満たしてるなぁと思えるような酷さだったのは記憶に残ってる。

使用武器は片手剣なのだが、特徴の一つである盾を使わないのだ。当時の本人曰く、「何時でもアイテムが使えるように」とのことだが、当然盾をつけててもアイテムは抜刀しながら使える。

まさか彼がプロハンレベルになってるとは知らず、というか想像なんか出来もしない。

なので、訊いてみた。

 

「盾、使ってるか?」

 

「使ってるって」

 

安心出来る返答が返ってきたので良かった。

確かに良く見れば、盾は右腕についていた。左利きなので間違ってない。

ホッと安心しながらも、何かを忘れてるような感覚に捕らわれる。

いや、確実に何か大切な………

思い出した時には、走り始めていた。

 

 

「突然どうしたんだよ……」

 

「合図くらいください!」

 

二人の発言を聞き流しながら、泥沼を見る。相変わらずちょこんとボルボロスの頭が出てるが、真っ赤だ。

 

――手遅れか!

 

イビルジョーがたかだか一頭のモンスターを食らっただけで去るとは思えなかった。そして忘れてた事とは、あのクルペッコのことだ。

彼……彼女にも、助けられてるのだ。亜種をあんな無惨な食らい方をした、だから危ない。そう思い飛び出してきた。

クルペッコは飛べるし、彼方此方に行けるが、ボルボロスは基本的に泥沼にいるし、潜ることしかできない。潜るのはイビルにもできることであり、狙うならまずはボルボロスだと思って来てみたら、遅かったというワケだ。

 

「……ッ!」

 

俺は小さく舌打ちしながら、また駆け出した。

 

クルペッコ亜種が食われた、その直ぐ側に、新たな死体が増えていた。死体と言っても、殆ど骨なのだが。

そして、二つの死体の中間に、少女が寝転がっていた。

足音に気がついたらしく、俺を見る。そして、それだけで動けなくなる。圧倒的なプレッシャー、イビルジョーに睨まれた、そんな感覚。

きっと、彼女がイビルジョーなのだろう。少々ギャップがあるが、それ以外考えられない。

すると、少女がニッコリ笑った。無垢な、それでいて、狂気じみた笑顔。

感じていたプレッシャーは無くなった。あまりの展開に体がついて来られなかったのか、その場に座り込んでしまった。

今頃二人は追いついたらしく、足音がやっと聞こえた。そして、一人分減る。ユウだろう。

だが、流石は劣等生なのか、クルトが見当違いな質問をしてきた。

 

「あのガキと待ち合わせでもしてたのか?」

 

「……死んでも御免だね」

 

死んでも、俺はイビルジョーと待ち合わせなんぞしない。と、心に誓った。

すると、少女は俺に向かって走って来た。そして、俺に飛び掛ってくる。

反射的に俺は受けとめた。そして、彼女は言った。

 

「ありがと♪カミトおにーちゃん♪」

 

「「「………は?」」」

 

意味合いは違うだろうが、皆同じ反応をした。

彼女は、俺に頬を擦り付けてきた。結構柔らかい。そして違和感。

だが、違和感の正体はすぐに解った。

 

「おにーちゃんに潰された右目、忘れてないからね♪」

 

囁く。周りの誰にも聞こえないように。

違和感……それは、潰した筈の目が何方も傷一つついてない、綺麗な状態に保たれていた。

つまり、通常と擬人化では、傷は共有していないと考えるべきだ。

そして、彼女をもう一度良く見る。

少し緑になってる黒、つまり体色と同じ髪の色、ちょうど肩につく長さ。瞳は血のように紅い。服装は、何故かワンピースだ。白いけど、半分紅い。これは本物の血だ。

何故こんな謎行動をしてるのかは知らないが、警戒はする。

すると、心を読んだかのように彼女は言った。

 

「あたしは、おにーちゃんだけは絶対に食べたりしないからね。大丈夫」

 

「何故だ?」

 

「おにーちゃん強いもん。それに、その判断力も良いよね。普通だったら焦っちゃうよね」

 

ニコニコ笑い、嬉しそうに言う。本気で楽しんでる。

ただ、あくまでも楽しくて殺めているのであれば、それは絶対に止めないといけないことだ。

彼女少し離して、頬を抓る。

 

「何するの?」

 

「遊びで殺すな。そしておにーちゃんって呼ぶなクソガキ」

 

「……食ってるのは生きる為だし、おにーちゃんって呼ぶのは呼びたいからだもん。弱肉強食、これ常識」

 

素直に言おう、こいつが生きる為に殺めているとは思えない。そして後者は無茶苦茶だ。

そして、やっと気がついた。後ろから殺気を浴びせられてる事に。

 

「へぇ……忘れました?そいつイビルジョーなんですヨ?」

 

「う……あ、うん。そりゃそうだけど………」

 

「だ〜ま〜れ〜!たかがアオアシラ如きが偉そうな事言うなぁ〜!」

 

「……ナンノ話でしょうかネ?何がアオアシラなんでしょう?」

 

妙にヒートアップしてる二人(?)と、全く状況を理解してない一人。

とりあえず、ガキを膝蹴りする。そしてユウの手を掴み全力逃走。BCへ直行。

とりあえず俺は、今日の事を擬人化云々は除いてギルドに報告しようと決めて、BCにいるアイルー――明らかに猫だが、獣人族である。料理したりハンターのオトモしたり。ポカポカ村という場所では、アイルーだけでクエストに行ってるだとか――にクエスト完了を報告した。

 

 

彼は、行ってしまった。でも、きっと何時かまた会える。そして、彼に認めてもらう。

彼女は、ある場所を見つめながら、呟いた。

 

「舞うは嵐、奏でるは災禍の調べ………」

 

「不吉な事言うなよなー!イビルジョーさん」

 

彼女の発言に反応する者が一人、正確には一頭。

 

「それ言ったら、あんたはそもそもこの地域にいない筈でしょ?」

 

「まあそれもそうだな……」

 

「誰が考えたんだろうね?怒髪に挑むは無謀の極みって」

 

「そりゃあんたも災禍だからな……人間と比べんなよ」

 

彼女は、彼の事だけを考えて、ただひたすらに暴れ回る事にした。




舞うは嵐、奏でるは災禍の調べ……某クエストの名前。
怒髪に挑むは無謀の極み……3rdでさえないが、やはりクエスト。
乱入……普通に考えたらありだと思う。運が無いとは思うけど。
ジョー様……クルペッコだって普通にいただくと思った結果。
クルペッコ同時狩猟……きっと戦場はカオスとなる。
盾無し片手……そんなんもう違うゲームやん!モンハンちゃうわモンハン!
ジョー様パート2……リア友がいつだか古龍だと豪語してた。獣竜種だけど。
ボルボロスの泥……何故本体にダメージが通るのか?
奥の手……微チートの理由である。鬼人化とはまた別。
新米君……途中から忘れ去られてる。自分が忘れたのではない。断じて。
モンスターハンター……4の設定頂きました。違ったらハズい。
クルト……誰かと同じく途中から空気。
アイルー……何気初。
ロアルドロス……水中のイメージがあるのでまたの機会。
ドスなんちゃら……皆カット。
ドスファンゴ……3rdしかいないから、上位編で登場させる。
ジエン……ゲームだと激龍船は一隻しかいないから、この小説ではどうしようか考え中。

総力戦か、一隻のみか、意見があればください。

次回まよろしく。
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