現在、俺は激龍船にいる。激龍船は幾つもこの大砂漠を進んでいる。ジエン目指して。
コウガ、セイカ、レナ、ルーン、そして俺が、今船内にいる。ユウは何故か張り切って外で観察している。
「大砲もバリスタもフルで使う。良いな?」
「手抜きは駄目だよな。他のハンターへの侮辱だよな」
コウガが、何か妙に鋭い目をして、それとは対照的な発言をする。
今回、俺とレナがジエンに乗って、背中の弱点を攻撃しながら鉱石を採取。その間、というかずっと他の皆は大砲やバリスタで攻撃。
また、ユウに限ってはボウガンだから、角を狙って攻撃してもらう。
二本ある角も、やはり良い素材だから、部位破壊報酬として入ればな……と、思ってそうさせる。
ユウが、転げ落ちるように降りてきて言った。
「ジエン近いよ!皆上がって!」
――宴の始まりだ。
俺は、その時ニヤリと笑っていたと思う。
現在、俺は数ある激龍船の内の一隻に乗りこんでる。勿論、操縦者以外は全員追い出したが。
まあ、他のに乗ってるだろうから問題無いと思うが。
「ラヴィ、何してるの?」
「……何って、武器の点検」
砥石片手に俺の大剣を見てる姿を見て、素直に何してると訊く所は、やはりハンターに慣れてないアンナらしい台詞だ。
「別に要らなくない?ラヴィは何時も格闘技だし……」
「ジエンに格闘で通じると思うなど……やはりた直後、突然後ろに引っ張られる。
――回り込まれたのか!?
つい一秒前まで目の前にいたアンナが、俺をベッドに倒した。更に大剣を手で吹き飛ばし、馬乗りになる。
「馬鹿馬鹿言わない!」
「別に何時もの事だろ!?」
最近、何時もの事に妙に反応するアンナは、顔を近づけてズバッと言った。
「好きなんだもん!」
「………ああ、告白したいのか。自分がド級のマゾだと」
毎日のように、俺はこいつに嫌味皮肉暴言暴力等を振る舞ってる記憶があるのだが。そんな俺に冗談でも本気でも好きと言うには、マゾだとしか考えられない。
「どうしてそうなるの……?」
「ンな泣きそうな顔しても意味ないからな?」
顔を俺の胸に隠すようにつけてから、「ウッ、ウッ、ラヴィのバカぁ」と言う。
――馬鹿はお前だ!って言ってやりたい!
絶対に演技だ。前にも二回程似たような事があったが、演技だった。しかも、一回目は女はそういうモンだと思って利用されたし。
「やめろ、演技……は……!?」
顔を無理矢理上げながら言った。が、……マジで泣いてた。しかもグシャグシャだ。
「……本気で、好き、だもん。前から、だよ?」
「…………なあ?マジ?」
こくんと頭を縦に振る。そして、こいつは感情が揺れ動いてる時は、必ず本音を言う。
……要は、マジだ。
「……話逸らして良いか?うん、この続きはまた今度で。ジエン狩り
「解った。今は忘れる。……それで、ジエンが瀕死になったのを確認したら、ジエンにやられたフリして暴走、そしてカミトんちの以外全部沈める」
言いたい事は、解った。しかし……
「カミトって誰だ?」
「あのレウス君のいる猟団のリーダー兼唯一の人間」
「………兼の使い方合ってるのか?」
何故知ってるのかも気になったが、そっちの方が気になった。
「……まあ良いか。んで、何故知ってる?」
ニコと、訂正、ニヤリと笑い言った。
「キスさせてくれたら」
「あ、やっぱ良いわ」
言い切る前に断っておいた。
「ちょ、ひど………来た!」
彼女は、後半は真剣な顔して言う。俺よりも、気配を察知するのが優れてる為、俺より早く気づける。
「茶番はとっとと終わりにして行くぞ!」
「茶番だったの!?」
アンナをかっ飛ばし、大剣を拾って甲板に行った。
「うわ……こりゃすげぇ」
ジエンの実物を見るのは初めてだ。圧倒的な巨体を見て驚く。
「だろうな……」
コウガが呟く。何がだろうなのか。
少し遅れて上って来た皆を見てから、ジエンを見る。
ジエンは俺達の横にちょうどいる。つまり、一番近い。
だからこそ、様子見。
ジエンが体を曲げる。それと同時に岩が幾つか他の激龍船に飛んでいく。
穴を穿ったりはしないものの、船に傷がつく。
「近くで狙われないなんて、ラッキーだな」
俺が、思った事を口にしたと同時に、さっきの岩が戦いの合図だったかのように、次々と大砲やバリスタがジエンに向かって飛んでいく。
俺達の船からも、大砲の弾が幾つか飛んでいく。
「カミトもぼさっとしてないで殺ろうよぉ!」
レナが急かすが、俺はぼさっとしているんじゃない。敵の攻撃を見て、大銅鑼や束縛バリスタ等を使えるようにするために待機しているのだ。
ジエンは、向きを変えて、一隻に突っ込んでいく。
俺の船からでは、止めることは出来なさそうなので観察。
グサリと二つの角が激龍船に大穴を開ける。どうやら大銅鑼が間に合わなかったらしい。
だが、他の船は相変わらずガンガン撃ちまくっている。
……いや、妙に攻撃が少ない船が一隻だけある。が、気にする程では無いだろう。
ジエンは止まらず、横に近づいてきた船に体当たり。
その船はグラつくが、転覆したりはしない。
そこから人影が幾つかジエンの背中に飛び移る。
――今乗るなんて脳無しか?
ジエンは、また体を曲げる。岩はまたさっきの船に当たる。不運だ。
それだけでは無く、乗り移ったハンター共も飛ばされる。そして砂漠に落ちる。船のロープに掴まるか、後でギルドに発見されるか、死ぬかの三択だろう。
「なぁにあれ?」
「いや、何を言いたい?」
ユウが、ヘビィのスコープを覗きながら言った。意味不明だ。
ジエンは、また横の船に体当たり。いや大銅鑼使えよと思ったが、さっきので船員が殆ど落ちてるから無理かと勝手に納得。
ジエンは、砂に潜った。それから飛び出て来た。そしてまさかの………
「宙を舞ってる……!?」
「しかも激龍船飛び越えたしな」
そう、見事に飛び越えたのだ。凄すぎる。
ジエンが、少々大きめの船を向いた。また突っ込むのかと思いきや、まさかのブレス、砂塵ブレスだ。
が、船は沈むどころか、避けた。中々の手練だ。
しかし、後ろを横切っていた船の後ろを掠った。何してるんだか。
「こっち全然来ないねぇ」
「攻撃を控えてるからじゃないのか?」
バリスタ大砲を使ってるのは、レナとルーンとセイカの三人だけだ。だから順番が遅いんだろう。
しかし……ジエンってあんなに暴れるのか?
まるで、それを肯定するかの如く、ジエンはまた船に当たりに行く。
だが、その船から束縛バリスタの弾が飛んでいき、刺さる。船から幾つもの束縛バリスタ弾が飛んでいき、それも刺さる。
――今はチャンスの真逆だな。
まあ、近くの船からしたら乗り移るチャンスだろうが、少々距離がある為、そこで無茶をしてでも乗り移れば、それは大惨事を招くような気がする。
そして、近くの船が見事に予測通り近づき、乗り込む。まあ鉱石……取られちゃうけど……命には………変えられん。
――やばい、凄く欲しい。
「タクト!絶対に……近付くなよ」
操縦をしているタクトに、祈るように言う。
残念ながら、俺にはあまり質の良くない激龍船が支給されており、操縦室との連絡がまともに取れないという最悪の設計になっている。
「あいつ、ああ見えてあんたのセンパイだぞ?」
事実上センパイのタクトへの侮辱だと思ったのか、コウガが俺に耳打ち。
大丈夫だ、解ってる。
ジエンは、拘束バリスタを振り解いた。それから、またそれを撃った船に突っ込む。
他の船が大銅鑼を鳴らす。ジエンはその音に怯み、止まる。そしてまた集中砲火される。
あんなに撃たれてるのに、何故平気なのかと不思議に思う。
すると、激龍船が一気に加速して、ジエンに接近する。
――このタイミングでかよ!
ハッキリ近付くというより、突撃しようとしてるような速さだ。
タクトが何故そうしたのかが全く解らないが、今は攻めるしか無いようだ。
ジエンは少ない怯みから立ち直り、また砂に潜っていく。
しかし、止まらない。この船が。
――最悪突き飛ばされるぞ!?
そして、前が少し盛り上がる。そして、やはり止まらない。
自殺するつもりかと思ったが、急に横に向きが変わる。
ジエンが砂から出てくる。殆ど目の前に。
こいつはチャンスだと考え、束縛バリスタを撃つ。
ジエンにしっかりと当たり、束縛。
「レナ、行くぞ!」
「ちょっと、今は不味くない!?」
レナが驚いてるが、無視してジエンに跳んで乗り込む。
背中は、仕切りのような壁(?)がある以外は、鉱石がちらほらある程度だ。
昨日コウガに取られていたスノウツインズを抜刀して、弱点と思わしき場所に斬りかかった。
――あの船の操縦者、中々上手いわね。乗員が可哀想な程危ない事するけど。
私は、ジエンの出てくる直ぐ近くまで行って待ち構えた船を見ながら思った。
「御主人様、ちょっとあれは危ないのでは?」
私と同じ、黄金色の髪をした女性が話かけてくる。
「平気よ。それに、御主人様って呼ばない」
「す、すみません」
体を90°ピッタリ曲げて謝罪する。そんな彼女を見て、ため息を吐きたくなる。
「……というか、操縦はどうしたの?」
「他のハンターさんに変わってもらいました」
「そう、じゃあルナはバリスタやって?」
彼女に命令して、船の先に行く。激龍槍を放つ為に。
私の予想が正しければ、それすなわち絶対、ジエンは次に私の船な前から仕掛けてくる。
あの船を見て、思った。
――タクトがあの船を操縦してるのかしら?
と。
ジエンが大きく揺れる。束縛が解けてしまったか。
俺は大急ぎで船に飛び戻った。レナも続いて降りてくる。
「次はあっちか……」
コウガが、ジエンを睨みながら何か呟く。
どうでも良いから仕事しろと、俺は思ったが、コウガは大銅鑼のスイッチの近くに待機しているから、まあいいかと思い直す。
次は俺達の船に来るだろうと、考えたが、ジエンはまた砂に潜り、あの少し大きめの船の前の方に出た。
――まさか無視されてるのか?
そう思ってしまったのも仕方ない事だ。
ジエンは何回か跳ねてから、大口開けて跳びながら突っ込んだが、当たる前に横に落ちた。
――激龍槍か。
激龍槍、激龍船の先についてる大きな槍であり、それが回転しながら突くのだ。スイッチを押すと。
確か、スイッチを押してから突くまで時間があった筈。つまり、しっかりと計って撃ったのだ。慣れている。あれは、強い。
あのハンターに負けないように俺も頑張るか。
密かにそう思ったのである。
「ありゃプロハンだね」
双眼鏡で、大きめの船を見ながらアンナが呟いた。
「………そろそろ作戦を開始するぞ」
操縦をしていた男を、砂漠に捨てながら言った。
「中々非情だね。もしかしたら死んじゃうかもしれないのに」
真面目に心配してるようにも見えるアンナは、俺を少し睨みながら言った。
「本来モンスターは人間を
「そ、それは……必要な犠牲」
「あっそ。んじゃ、俺は操縦してくるから後頼んだ」
馬鹿に作戦の全てを託して、俺は操縦室に向かった。
誤射だ。最初はそう思った。だが、直ぐにそうでないと気がつく。何者かが船から船に飛び移り、蹴散らしてるのを見たからだ。
明らかに人間には見えないような距離だし、大抵の奴はジエンに集中していて気が付かないだろう。
一隻、二隻と、次々と沈められていく。殆どの奴が気がついた時には、半分以上が沈められていた。しかし、混乱はしなかった。
実は、誤射だとかは良くある話、らしい。ジエンに攻撃されて動揺した宴初心者が自ら転覆させたり、間違って船を撃ったり、挙句の果てに激龍槍を船に刺したりだとか。本当かは知らないが。
だが、今回は明らかに計画的に行われている。しかも、人間の限界に近いレベルの動きで。
何故だ?何故なんだ?と、幾ら考えても解らない。
「ユウ、ヘビィを少し貸してくれ」
「コウガさん?」
ユウからヘビィを奪う。カミトは他の船には全く興味を示しておらず、ジエンに夢中で俺の行動にも気がついてない。
スコープから、その人影を捉える。あくまでも、人影を、だが。
そして、撃つ。当たらない。しかも、もたもたしてる内に沈められていく。
「……ユウ、此処だけの話だ。船は暴走なんかじゃない、わざと他の船を落としている。気をつけろ」
それだけ言って、俺はヘビィを返す。
誰も――ユウは除くが――俺の行動には気が付かなかったので、狙い撃つのは諦めて、狩りに集中した。
「どりゃぁ!」
ラヴィの大剣を振り回して、ハンター共に気づかれる前に砂漠に突き落とし、大砲の弾を撃たずにこの船に何個かぶつけて、脱出。
他の船、私達の船から大砲が飛んで来て、この船をボロボロにする。そして、沈む。
そんな事を何回続けたのだろう。私は、この作業に飽きて来た。けれど、沈めるのは後一隻だけ。あの少し大きい船だけ。
きっと、あのレウス君なら、事故なんかでは無い事にとっくに気がついている筈だ。
その証拠に、さっき一回だけボウガンの弾がカミト達の船から飛んできたのだ。
私は、例の大きめの船に着地。そして、鋭い殺気を背中にビリビリ感じる。
金髪の、まあ美しい女性だ。
――私は可愛いキャラを貫くから良いもん!
勝手にライバル心を感じる私。
それを知ってか知らずか、なんか殺気が強くなった気がする。
「御主人様……このケダモノをコロシテ良いデショウか?」
「私の美貌に狼狽えたか!」
その時の私は、当然知らなかったが、実は本当にそっち系の反応をしていたらしい。
まあ、当時の私は、冗談で言ったのだが。
「………御主人様?ヤッパコノ屑ヲ砂漠ニ捨テテ良イデショウカ?」
――さっきから御主人様御主人様五月蝿いなぁ。まあ、さっきまでよりは退屈しないけど。
そんな事を思いつつ、同時に、
――御主人様って誰?
と考えて辺りを見回していた。
そして、目に入ったのは、五月蝿い奴と同じ金髪に、それと同じくらい輝くゴールドルナ一式……リオレイア希少種の素材を惜しみなく使った鎧を着てる女性がいる。しかも、その鎧の下半身部分がスカート状……
――そこに魅力があったりするのか!?
と、本能は叫びつつ、
――やっぱプロハンだ……
と、理性は全く違う事を考えていた。
「こんにちは、
私をマジマジと観察してから、彼女は言った。
「私の事を、知ってるんだ?モンスターさん?」
私は、モンスターだと一目でバレた事を全く気にせずに、興奮して言った。
「ええ知ってます!今年21歳彼氏無し、でも昔はいてバリバリ振られただとかなんとか。あ、勿論ハンターとしての腕も凄いって聞いてますよ?いやぁ金レイアを13体を殺っちゃってオリジナルの双剣自分で作ったんでしょ?ホント尊敬しちゃうねぇ。しかも連れにその金レイアいるなんて、一体何があったんだか……あ、暴虐とか言われてるけどホントは優しいなんて噂も何処かで耳にしましたよ?何処かで。そういえば、実は彼氏もういらないんですって?本命に捨てられたから諦めちゃったんですかねー?あ、それとも本命の事諦めてないとか?逆に?ああ、そういえば下着なんか……っ!?」
私の発言をしっかりと聴いてしまった彼女は、耳まで真っ赤になり、私にも見切れない速さで接近して、口を塞いだ。
……女の底力というやつか。
「……なんで………知ってるの!?」
半分涙目になりながら訊いてくる。そして、口から手を離してくれる。
「憧れですから!」
「……だからってなんで私の下着の事まで?ストーカー?」
「まさかぁ……と・う・しって言えば満足ですかね?」
当時の私は、全くからかってるつもりなど無かった。まあ、その時の事をラヴィに報告したらこう言われたよ。「あんた、最高に侮辱してるぞ?てか、半分脅しになってるぞ?」と。
そんな未来があるとは、その時の私は知らなかったが。
彼女……名前はネビュラ。といっても偽名だが。プロハンは大抵偽名を使ってる。殆どのハンターの憧れの対象であるから、プロフィールはなるべく隠そうとするものだ。
「うっ……言わないでよね?ハンターに。特に男に」
「サクラさん、別に言いふらしたりしませんよ……」
「……!?本名まで!?」
彼女、髪と同じ色をしている瞳が大きく開く。
桜色の唇が、小さく動く。もう、言葉さえ出てない。
「大丈夫です。私は、貴方の美しさに一目でやられて好きに……あ、恋愛的な事では無いですよ?まあ、なってしまったんです。それか色々と調べ上げたんですよ。あ……私はアンナです。種族は……………です」
彼女の目が、か弱い少女を連想させるものから、ハンターらしいものに変わる。
「聞いたこと無い……」
「まあ、あの地方の人しか知らないでしょうしね………」
「あの……一つ良いですか?」
確認を取ってから。
「応えたら……誰にも言わない?」
私は頷く。元々誰かに言うつもりは無かったから。
そして、彼女が「どうぞ」と早口で言ったので、思い切って言った。
「恋の相談があるんですっ!!」
もう、彼女は分かりやすく一時停止した。
「………何だ?」
さっきから、妙に他の船に集中しているコウガが呟いた。
「何かピンク色のオーラが……っ!!」
本当に意味不明な事を言っている。そして、それに呆れた……つまり、冷静になり、初めて気がついた。
――ありゃ?他の船が後一隻しか残ってない。
確かに、結局他にも何隻か潰されてたが、そんな殆どが天国に昇る程では無かった筈。
もうレナは、冷静の『れ』の字も残っておらず、ハンマー振り回したり大砲を投げたりバリスタが壊れそうな程乱射したりと無茶苦茶だ。
少々雲行きが怪しくなってるな………と、思っていると、コウガは更に意味不明な事を呟いた。しかも、ユウまで。
「何か……嫉妬という殺気が凄いぞ……!」
「れ、恋愛……相談!?」
「オマエラ……一旦落ち着け」
そこで、俺が二人を見ていた事にやっと気がついたのか、コウガが軽く咳払いをした。それから、「聞いてないよな?」と訊いてきた。
――ゴメン、意味不明な呟きを聴いてしまった。
だが、コウガは全然軽傷だ。いや、ユウは耳まで林檎みたいに真っ赤にして、「ほわっ、ほわっ、ふあぁ……!!??」と、謎の言葉を発しているくらいだ。
――ゴメン、俺はお前の事を救えない!
ユウになんとなく謝り、ジエンを見ると……逃げていた。
激龍船は、結構な距離を走り、そして、砂に乗り上げるように止まった。そして、タクトが甲板に上がってくる。
「さぁて、ジエンと一騎打ちだぜ?」
「………は?」
良く見ると、もう船は俺達のしかない。そういう事なのか。
「いや、追いかけろよ」
素直に思った事を言う。だが、タクトはニンマリと笑って言った。
「おりゃあジエン狩りの常連だからな?ジエンもここから歩いて来るぜ?」
「ああ、そういう事か」
コウガが、何も見えない砂漠――砂が舞って見えないのだが――を見ながら言う。
いや、何がどうなのか説明を要求したい所だが、時間が解決してくれた。
「さて、後半戦と逝くかぁ!」
「逝ってはダメだと思いますよ?」
一旦ジエンが見えなくなって、冷静になったセイカがツッコむ。
そして、大砂漠の向こうに、ジエンの巨体が少し見えた。
――まだ狩りは終わんねぇか……!!
一人こっそり興奮してから言った。
「ユウとセイカはバリスタや大砲で迎撃頼む!他の全員はジエンに突撃!!」
俺は、皆の了解も聞かずに、走り始めていた。
「はぁ……」
サクラさんに言われた難題を果たすには、まずはこの狩りが終わってラヴィと二人きりにならないとダメなのは、既に解っている。
だが、その難題の難しさに改めてため息を吐いてしまう。
私は、カミト達の船の上のロープにこっそり座りながら、下の様子を見てみる。
アシラの娘とレイアの奴が待機で、他が直接攻撃。
明らかに、そのチョイスは間違ってる。きっと、ラヴィがカミトの猟団にいたら、カミトにこう言っていただろう。「あんた皆を死なす気か?」と。
そう、レナちゃんは完全に冷静さが吹き飛んでる。そして、判断力も落ちている。
そんな状態のを前線に出すのは、隊列陣形、つまりは連携を失わせる。
そして、あの少年ならやっちゃうだろう。盾があるわけでも無いのに他者を庇う事を。
私は、お気に入りの双眼鏡でジエンの近くを見る。
全員、いや、一人を除いてジエンが巨体をフルに使った攻撃に苦戦している。プレスしたり、体を使ってスイングしたりして。
だが、私は驚いた。全然違う事に。
――あれってサクラ先輩の想い人じゃん!
さっき除いた一人、彼はまだ上位ハンターになったばかりのひよっ子だ。だけど、ジエン狩りには相当慣れてるらしく、行動を先読みしてるかのように躱している。
そんな彼こそ、サクラ先輩――先輩というのは、勿論恋愛的な意味である――の幼馴染で、恋愛対象である。
結局、コチラの事情で、半ば脅し的な感じになってしまったが、帰っていただいたサクラ先輩に心の中で謝る。
「おい馬鹿、何を面白そうに観察してるんだ?」
声をかけてきた男を見ずに、「まあ、ちょっとね」と適当に返す。だって、ラヴィだから。
「あっそ。んで、カミトとかいう奴の作戦、あんたはどう思う?」
「誰かさんと同じく、最悪だと思うよ?」
誰かさんとは、当然ラヴィの事だ。
「……やっぱ戦いの事に関しては鋭いんだな?」
「ラヴィも鈍いでしょ」
嫌味でそう言う。だって、私が好きだと言っても「嘘だ」とか「マゾだな」とか「最近幻聴が酷いんだよな」とか言ってくる鈍感野朗だから。
「……あえて追求しないでおく。んで、こんなトコいて見つからないのか?」
「いや、もう熊さんには見つかってるけど」
そう、あのアシラの娘の可愛い顔が、不思議そうにこっちをジィーと見てるのだ。
「……尚ダメじゃねえか。口止めでもしとくか?」
殺る気スイッチONになったラヴィが言う。
「大丈夫、彼女は実力の差を気配で感じ取ってるから。ちょっと抜けてるけど、馬鹿じゃないよ」
「抜けてるって、馬鹿だと言ってるのと何も変わりはしないぞ?」
ラヴィの言葉は聞かなかった事にする。
「しっかし、あんたの女好きも酷いモンだよな……いや、今はどうだって良いか。俺はコウガ以外が撤退したとしたら助けに入るが、どうする?」
何か、ラヴィにとんでも無い勘違いされてる気がしたが、双眼鏡を覗きながら私は答えた。
「
と。
「………」
あの二人は、何かを話している。結構近いのに、何故か聞こえない。私の取り柄なんて、耳が良い事だけなのに。
でも私は、余計な所だけ聴いてしまった。
「……奴の作戦、あんたは……」
「……最悪だと……」
作戦、最悪。その二つの言葉が、とてつもなく私を不安にさせた。それが、何かを予言してるようにも聞こえて。
彼等の実力は、きっと生半可なものじゃない。それが解るから、恐かった。
だって、その方が事実になりそうだから。
「……っ!」
ジエン、100mもあるという巨体、しかも横幅も結構ある。
そんなジエンだから、少し動くのに当たるだけで致命傷になる。
タクトは、本当に慣れてるらしく全然当たらない。
結局、柔らかい腹を攻めてはふっ飛ばされて、回復薬グレートを飲んでまた突っ込んでを繰り返して、殆どの回復薬グレートが無くなってきた時の事だった。
「くあっ!」
ジエンの角に突き上げられて、レナが宙を舞い、落下した。
幾ら下が砂とはいえども、凄い高さから落ちたし、本人曰く基本的な部分は人間と同じになるらしく、それで頭から落下して、気絶した。
「………っ!!」
一瞬だけ、コウガがレナを見て、それから舌打ち。
レナは、ジエンの少し右側に落ちている。あれは、絶対に範囲内だ。薙ぎ払いの。
そして、ジエンは左側に体、そしてあの角も持ち上がる。
そして、俺の体は考えるよりも先に動いていた。鬼神狂化を瞬間的に、無意識の内に発動させて、レナの元に跳んだ。
――あれって……
その時、ルーンは記憶に焼き付いている真っ紅双剣と、同じモノを見て本能的に恐怖し、
――不味いだろ!
カミトは、鬼神狂化をした後狂った事を憶えているコウガは止めようとし、
――カミト……!
激龍船から見ているユウは、嫌な予感が現実になるのを恐れ、
――解りやすい……
その上で、この戦の流れを予測していたアンナが呆れ、
――届けぇぇええ!!
飛び出た本人は、ジエンの攻撃が来るのを解りながら、真っ白になっている頭でレナを掴み、思ったより軽く、熱いのを感じる事なく放り投げた。
そして、ジエンのとてつもない質量に突き飛ばされて………その後暫くの事は覚えてない。
「俺が時間を稼ぐ!他の皆は撤退しろ!タクト、カミトを頼んだ!」
「言われなくても!」
回復薬は、秘薬含め完全に尽きていた。いや、カミトだけはまだ少し持っていて、それを飲ましたのだが、起きるどころか傷が治る事も無かった。
そして、更にレナも気絶しているこの状況を、冷静に把握して、カミトのある言葉を思い出しながらコウガは叫んだのだ。
「俺が殺られても気にするな。そんな時は、あんたがリーダーだ」
そう、この狩りへ行く前に言っていた。
カミトは、誰よりも一番興奮していて、誰よりも一番冷静だった、としかいいようがない。
宴だなんだと言われているが、古龍を狩るという事には変わり無い。それは、何時もの倍は命を失う危険性を秘めているという事だ。
風の噂で聞いたのだが、ロックラックという地方では宴だなんだと騒ぐ事なく、覚悟してジエンに挑むらしい。
もしかしたら、カミトはその遠い地方の人達と同じくらいは覚悟していたのだろう。
――カミト、死ぬなよ!
ジエンの牙が深々と刺さっていたのだ、カミトは飛ばされる前に。普通なら死んでいるが、きっとあいつは普通じゃない。
そう信じ込み、只々生きている事を祈った。
皆は激龍船に撤退した。残るは俺一人だが、俺はジエン・モーランを一人でも狩らないといけない。
俺の分身でもある、炎剣リオレウスを握りしめて走った。
腹より少し硬いが、まだ安全な腕に向かって振る。が、勿論真っ二つに斬れたりはしない。
ジエンは、まるで気がつかないように、激龍船へ進んだ。俺を飛ばしながら。
しかし、それほどの致命傷では無い。俺はもう一度ジエンの腕に向かって振る。しかし、やはり手応えが無い。
ジエンは、反対の腕をまた前に進める。それは、腹の下かそっちにいなければ影響は無いため、また腕を斬る。
――怯みもしないのか!?
俺は、やはり雑魚だったのだろう。ジエンを狩ることなんぞできず、皆に迷惑をかけるだけだろう。
でも、だからって諦めるこみわけにはいかず、腕にもう一度振った。
そして、余計な事を考えていたから反応に遅れた。ジエンの体が持ち上がっている事に気付くのが、遅れた。
――ハハ、此処でぺしゃんこになるのも良いな。
俺は、一応逃げようとしていたが、諦めていた。
腕を狙っていたが、大振りの一撃ばかり放っていて、いつの間に腹の下にいた事にも気づけなかった程だ。
――ったく、忠実に予測通りに動いてくれるのね……
双眼鏡で見ているアンナは、テレパシーが使えない事の悔しさと………
「あんたはその程度か!!」
ラヴィの活躍が見れる事の嬉しさがあった。
俺の目の前で、信じられない事が起きた。突如ジエンの牙が片方折れた。そして、ジエンは横に倒れた。
――まさか、バリスタでサポートしてくれたのか?
だが、直ぐにその考えを捨てた。
だって、見覚えのある橙色の髪をした男が、同じく橙の色をした刺々しい大剣を振り切ったポーズをして、立って……いや、膝をついていたからだ。
その男は立ち上がり、俺を見て言った。
「一日ぶりだな……とだけ言おう」
「何故、あんたが?」
やはり、昨日火山であった男だった。
「命の恩人にその態度か?アンナは結構気に入ってるようだが……」
腕を組んで何を考え始める男。突然知らない名前が出てきたが、なんとなく解った。散々馬鹿呼ばわりしていた男(又は女)だろう。
「……予測通りに事が動き過ぎてつまらないって嘆いてたぞ、あいつ」
予測通り……。その言葉を聞いた時、ゾッとした。そして、とりあえず訊いてみた。
「♂♀どっちだ?」
「女だが……」
女、そう聞いた瞬間、ある光景が思い浮かんだ。
金髪の女性(人間)に対して興奮しながら何かを話している女性の姿が。しかも、ユウが聞いていた――結構距離があるのに、断片的にでも聞こえていたらしい――限り、恋愛相談なるモノをしていたらしい。
「……後で問い詰めるか」
いつの間に地面、というか砂に刺したあった大剣を抜きながら言った。
まさか心を読まれていたのかと焦ると、彼は言った。
「慌てるな、途中から声が出てただけだ」
「……マジか。そういや、名前は?」
「言わなかったっけか……?ラヴィだ」
あまりにも似つかわしくない名前に思わず吹いてしまう。
睨まれたが、どうやら雑談は此処までのようである。ジエンがどうやってか起き上がった。
そして、砂が舞った。それから、またジエンの牙が折れた。そうしか表現が出来なかった。
そして、彼が落ちてきて、華麗に着地。
「たったの一閃でかよ……!」
「あんたもそのくらい、本気になりゃできそうだけどな……あの男もな」
あの男というのが誰を刺したのかは直ぐに解った。カミトだ。確かに技量は結構あるが、例え鬼神狂化したとしてもそんな怪力はでないと思う。
俺の思考は、まさか読まれてないと思いたいが、彼は言った。
「あの男は……色々な意味で普通じゃない。あの冷酷な所とかも……な。見放されるなよ?」
意味深な笑みを浮かべて、そしてまた姿が消えた。残ってるのは舞った砂だけだ。
そして、ジエンの両腕から血が舞う。だが、腕は残ってる。
そして、また行きとは全然遅い帰りで、俺の前に戻ってきた。
「あんたなら腕斬れそうだけどな……」
素直な感想を述べると、彼は苦笑いして言った。
「このジエン殺ったら俺も殺されるからな……手加減してんだよ」
……殺される?この男が?一瞬で姿を消して牙を斬り落とすような奴が?
正直、恐かった。このジエンを彼が殺したら、彼が殺される。多分、あの女に。
ハッキリ、彼程の強さは感じ取れなかったし、そもそも馬鹿だ。しかも、人間を頼るような弱者だ。でも、彼は殺されると言ったのだ。
「んまあ本気出されなきゃ俺の方が強いとは思うけど、本気出したあいつに勝てる奴がいるとは思えねぇな」
勝てる奴がいるとは思えない。このとんでもない実力を持つ彼が言ったのだ。
……解らない。あの女の事が。
「まあそんな事今は、いや、一生どーでもいーだろーよ」
後半は完全に棒読みになっていた。本当に興味なさそうに言った。
「まあ、んな事より……!」
滑るようにジエンに向かった。薙ぎ払いをする直前のジエンの腹の下に。
無論、俺は後ろに跳んだ。全く解らない。
だが、彼が飛ばされるなんて事なく、腹にデカイ傷が刻まれただけだった。勿論、ジエンも無視して薙ぎ払いをするなんて事はできず、プレスするかのように落とした。
そして、全身を真っ赤に染めて帰ってきた彼は言った。
「ヤッパ……コロスの楽しいヨネ?」
狂ってやがる。
こいつは、さっき殺したら殺されると言った。そして、今なんて言った?殺すの楽しい?
巫山戯てる。俺はそう思った。
だけど、彼は自分のデコをベシッと叩いた。
「理性が消し飛ぶ所だった……」
そして、元の彼に完全に戻っていた。冷静な、彼に。他者を馬鹿だと非難するような奴に。
「なんなんだよ、あんた……」
「いや、多めの血を見ると時々理性が飛びそうになんだよ。てか、前一回なってアンナ襲って返り討ちにあった事がある」
なんか、可哀想だな、と思った。
私は、ちょっと油断していた。いや、カミトを双眼鏡でしっかり見ていなかった。だから、彼の傷を見た時に、驚きバランスを崩して落ちたのである。
「大丈夫、ですか?」
アオアシラの少女――名前はユウだったっけ?――は、私を心配そうに見る。本来イレギュラーな筈の私を。
――優し過ぎでしょ……
と、理性では考えたが、
――でもそれがまた良い!
と、本能は真逆の事を考えていた。
「立てますか?」
「へーきよ、このくらい。……でも、ありがと」
礼を言うくらいの常識はあるつもりだ。
ただ、ユウ以外――気絶してる方々は除き――皆驚いて硬直している所を見て、思った。
――ああ、これはラヴィに半殺しにされるぞ。
と。
激龍船の上にずっといた女性は、皆が戻ってきたのと同時に、落ちてきました。
私が心配して駆け寄ると、問題無い(要約)と言い、それからちょっと嬉しそうにお礼を言いました。そして、周りを見てから、苦笑いして十秒きっかり止まってから、言いました。
「失礼しました……」
そそくさと立ち去ろうとしました。だから、彼女の腕を掴まえて言いました。
「……名前は、何ですか?」
純粋に思った事を。
「「問題そこっ!?」」
セイカさんとタクトさんが、しっかりハモリました。
「え、ええと……」
彼女は、周りを改めて見てから、ニヤリと笑いました。
一瞬にして、私の後ろに回り込み、そして私を首を左腕でがっちりホールドしてから、皆の方を向きました。
それから、言いました。
「この娘の命が欲しければ、皆私の命令を聞く事!」
「……は?」
タクトさんが、カミトの双剣を奪い、それを向けながら言った。
「まさか、今程度の速さで俺に敵うとでも………!?」
タクトさんは、だんだん顔が朱くなっていきました。
そして、私は彼女の右手が自由なのを今思い出しました。その手は、首に刃物を突きつけた方がまだ良かったです。だって、……もみだしたからです。
「ひゃっ!」
悲鳴を上げてしまいますが、不可抗力です。
「反応するか!女の子だな!君は人間としてしっかりと育ってるゾ!うん!」
意味不明な事を言いながら、それから二十秒間しっかりとやり続けて、それから、今度は頬を引っ張り始めました。
「……凄い、もっちりしてます!」
また意味不明な事を言いました。今回は直ぐに離しました。
そして、ルーンとセイカがコソコソと話始めました。
「あれは……従った方がいいんじゃない?」
「その方が身のためです。絶対にアブナイ人ですよ、あれ」
どうやら、抵抗はしない方向に進んでます。
そして、タクトはというと……ワナワナ震えながら言いました。
「この……変態が!」
だけど、彼女の次の言葉を聞いた瞬間、とても冷たい目線に変わりました。その言葉は……
「あ、さっきサクラさんに会ったんですよ」
それだけでした。それだけで……
「貴様……何だ?只の変態って感じじゃないな………」
氷のように冷たくなったのです。そして、彼女も応えました。
「これで……良いかな?」
私には、何も変化を感じませんでした。だけど、皆急に青ざめました。
「ユウちゃんを恐がらしちゃいけないもんね!」
それから明るくまた妙な事を言い、頬をまた引っ張りしまた。
「何でこんなに柔らかいんだろう……」
どうやら、私はこの人に気に入られたようです。
「……わーった。何だよ」
結局応じました。
「私の事は秘密ね?後、ユウちゃん欲しいな!後レナちゃんも!」
恐ろしく純粋に、欲しがってます。何故かは知りませんが。
「あー大丈夫だよ、一日か二日したら返すし」
彼女は、レナさんを持ちながら言いました。
だけど、タクトさんが高速で近づいて、肩をしっかりと掴んで言いました。
「だったら、一つくらいこっちも要求させてもらって良いよな?」
「生意気ね……まあ一つくらいどーんと来なさい」
ジエンの攻撃を躱し一撃与えてまた離脱。所謂ヒットアンドアウェイを何回繰り返したか解らなくなった。
「っら!!」
まあラヴィって男は、背中に乗って暴れまわってるが。今も体に刺したし。
そしてジエンが怯み、俺がまた腹に一撃を加えると同時に、あの巨体が光り、どんどん小さくなって行き、一人の少女、というか幼女になった。
それを見た彼は呟いた。
「あいつってロリコンだったかな?」
もう、本当にどうでも良い事を。
それから、彼は大剣を地面に刺して、彼女の頬を弄くる。
「これは……あいつが気に入るわけだ」
そして、一人納得してそのまま何処かに行こうとした。だから呼び止めた。
「おい!大剣を忘れてるぞ!」
彼は止まり、俺を見てから大きな声で言った。
「それはあんたにやる!ストックはあるしな!」
俺は、その大剣を引き抜いた。炎剣リオレウスよりもがっちりとした重量感。
確かに、あの男程では無くても、此方の方が思い一撃が放てそうだ。
それを炎剣リオレウスと一緒に納刀して、少女を担いで激龍船へと戻った。
その夜の話。
――お土産とかいらねぇから。
二人の少女を抱えて帰ってきたアンナを見て、俺はそう思った。
そして、問答無用に自分の布団に寝かせた。しかも片方起きているし。
そしてその時、不意にアンナの表情が、私欲に塗れた屑のものでは無くなり、子供を見る親のような優しい表情になった。
「……もう」
それを見て、男と女を違う生物と認識している俺は、本当はストックなどない大剣に今更別れを告げながら自分の部屋に向かい、寝た。
レナちゃんは、全然起きない。頭打って気絶してるだけなのに。
とりあえず、寝かした二人の中間に私は入った。
ユウちゃんは、トロンとした目をしているけど、起きていた。
「寝れる?」
頭を撫でながら聞いた。
「無理に決まって……ふぁ」
無理と言いながら、彼女は欠伸した。というか、今にも寝そうだ。
しかし、彼女は私にしか聞こえない声でそっと言った。
「昼の良いんですか?好きな方……いるんでしょ?」
それを聞いた私は、きっと全身真っ赤になっていたと思う。
「べ、別にそれとこれとは……っ!」
ある意味何時も通りな返事を返してる途中で気がついてしまった。
ユウちゃんは、確かに目をトロンとさせてるが、それ以上に、氷のように冷たい目をしていた。
そして、悟ってしまった。彼女が、何故そんな目をしているか。
彼女を抱きしめた。そして言った。
「恐いんでしょ?だったら、私に全部吐き出しちゃいな。幾らでも相談に乗ってあげるから………」
ユウちゃんは、顔を私の胸に埋めながら、ひっそりと泣き始めていた。
「脳無しか……」
俺は、カミトのマイハウスで一人呟いた。
一日か二日で返すという、本当かも解らない言葉を鵜呑みにして、ユウとレナを渡してしまった事に、苛立っていた。
だが、それだけなら此処まで苛立って無いだろう。
実は、あのラヴィという男に、呼び止められて一つだけ言い残した。
「アマツマガツチって、知ってるか?」
「……知るかよ」
俺は、確かあの時そう返した。
アマツマガツチ、多分モンスターだろうが、そんなのは知らない。きっと、古龍辺りのレアもんだろう。
だけど、わざわざそれを彼が言ったのが、あまりにも意味不明だった。
多分、今日は寝れないだろう。
コウガに、マイハウスを追い出されてしまった。その家の主人含めて。
ルーンは、暇なのかずっとカミトに何か話してる。
私は、アイルーに囲まれて寝ている。
コウガの不機嫌、それは二人を渡してしまったことだけではないのは解っている。だから訊いたけど、無視された。
「……大丈夫かな?あの二人」
昼の悲惨な光景を思い出し、改めて別の意味で私は二人を心配した。
アンナとラヴィ……たっぷり出てくる回もちょくちょく出しますよ?アンナの容姿は誰にも語らせてないので。でーじょーぶです。
新キャラ……多すぎって?当初の計画通りだから問題ナッシング。
↑調子に乗って巫山戯てる作者。
ジエンって強いのか?……村ジエンをヒャッハーしながら虐めてた作者からすると、強いイメージが全く無い。
アンナ……本人は否定してるが、基本的に女好き。
ラヴィ……立ち位置的には、コウガに結構近かったりする。馬鹿の世話役的な意味で。
カミト\(^o^)/……主人公は死なないさ!多分。
ユウ泣いた……あまり隠す気無いし、次で理由語るつもりだったり。
タクト……ジエン狩りは、猟団の誰よりも上手い。今回は大剣振り回してた。
次回もよろしく!
↑やはり調子に(ry