白銀の証―ソードアート・オンライン―   作:楢橋 光希

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オリ主の設定的な…
本編にあまり関係ありません。

※圏内事件編の続きはこの前に挿入して更新しています




22:中核*舞うことを知る前

 

『わ、あの人白い!』

 

『なんかビョーキじゃない? 寄らない方がいいよ。』

 

…うるさい。

 

『あいついっつも体育見学だよな。』

 

『サボりじゃねぇーの?』

 

…うるさいってば!

 

『ままー! あのおねぇちゃん…』

 

『しっ! 見ちゃダメよ。』

 

 何も知らないくせに…

 呪われる、病気が染つる…そんな言葉どれだけ聞いただろう。あなたたちは良いよね、普通で。私だって望んでこんな姿に生まれた訳じゃない。私だって同じ人間で…ただ色が違うだけでなぜこんなことを言われなければならないの。白い馬だって、ウサギだってみんな美しいと言うのに、欧州人ならカッコいいと言うのに、なぜ人で日本人なのにこの色というだけで、そんな風に酷いこと言うの。私はあなたたちみたいに世界は見えないし、暖かい陽気の中外に出るのだって大変なことなのに…。世界はこんなにも私に冷たい。

 

バーチャルの世界なら私を傷つけない。

 

そこでは自由だった。

 

 私の姿を知らない、だから同じように接してくれる。色彩々の服を着て、様々な髪色や髪型。例え白い髪でも、赤い瞳でもそこでは普通。恐る恐る自分に似たアバターでゲームを始めたとき、初めて自分が受け入れられた気がした。

 それからはどんな世界のどんなMMOゲームでもアバターが作れる限りは白髪の赤い瞳のプレイヤーでいた。一見自己愛のようにも見えるかもしれない。もしかしたらそんな要素もあったのかもそれない。でもそれは主に保身であり、自己表現であり、存在意義の確認だった。

 

 キリトと出会ったのもその頃。私と同じく色々なMMOに出入りしており、主にソロプレイヤーを貫いていた。勿論パーティを組むことはするが、特定の組織に縛られることを好まない。そんなところが似ていた私たちは自然と顔を合わす(と言ってもゲームのキャラクターでだが)機会は増え、よくパーティを組むようになっていた。私はいつもセツナと言う名前で白髪赤目。キリトはいつもキリトの名前で黒髪に勇者然としたアバター。探すのはそう難しくなかった。

 今から思えば私も彼も必ず一線を引いて深くは人と付き合わない。それが居心地がよかったのかもしれない。

 

 

 アルビノ。先天性白皮症。遺伝子的にメラニンに疾患が起きる病気で治療法はない。勿論、それ以外のことは到って健康で全く問題がない。ただ外出にはサングラスと日焼け止めが欠かせない。視力も弱く裸眼では物が見えにくい。個人差はあるが私に出ていたのはその症状だった。

 体の色で幼い頃から好奇の目に晒され、謂れのない中傷を受ける。外出自体が大変なことでもあったため次第に家にこもるようになった。バーチャルの世界に夢中になったのもそんなわけで、中学に上がる頃には立派なネットゲーマーの出来上がりだった。

 勿論、ナーブギアが発売されると聞いた時には真っ先に飛び付いた。フルダイブ環境と言うことに心が踊った。

 

日の光を思いっきり浴びてみたい

 

遠くを見渡せるのはどんな感じなんだろう

 

 ただただ純粋な好奇心に欲求。初めの頃はろくなタイトルも無かったがそれでも幸せだった。

 こもりがちな私が少しでも元気に過ごせるよう、どんな形でも良かったのだろう、両親はそんな私に何も言わなく協力的だった。

 

 私の世界が変わったのはソードアート・オンラインのベータテスターに当選したとき。世界初のフルダイブ環境下でのRPG。つまりはRPG世界に本当に飛び込める。誰もが夢見ていたことではなかろうか。

 今までは主人公たちに感情移入して行っていたゲーム。その主人公に自分自身がなれるのだ。そんなことが実現されるなんて思っても見なかった。

 応募者数は計り知れない。その中から選ばれた1000人。日本人の中に6000人程度しかいないと言われてるアルビノ症の自分自身の存在確率よりは低いかもしれないが、その時ばかり自分の運の良さに感謝した。…始めてみたらキリトも当選していたことには驚いたけれど。

 

 ベータテスト開始のその時、初めて私は思う存分走り、光を感じた。

 

 二ヶ月の間は誰よりも長くナーブギアを被り、その世界を堪能した。昼寝をすると自動ログアウトしちゃうのがたまに瑕ではあったけれども思う存分に体を動かし、隅から隅まで駆けずり回った。テスト終了後は生きる気力を失うぐらいに魅せられた。

 

 

 

 そんな私がここに閉じ込められてしまったのは成るようになった結果なのかもしれない。

 

 私には現実(リアル)よりここ(バーチャル)の方が似合っている。容姿も馴染めば人間関係もよっぽどか上手に築けている。例えそれが私がハイレベルプレイヤーだからだとしても。そんなことはどちらでも良い。

 今自分自身が生きているのはここ、アインクラッドでそれ以外でもなんでもないのだから。

 

 

―ぴぴぴぴぴ

 

 7時のアラームに起こされ毎朝の行動が始まる。

ゲームの世界だと言うのに倦怠感が残っていたり寝不足を感じたりすることがおかしく感じる。今日みたいに変な夢を見たときなど…そう、夢まで見るのだから現実の生活とさして相違ないのも特筆するべきところだろう。

 茅場晶彦の真意は私には分からないけど、自分の存在しやすい世界を作りたかったのだとすればそれは分かる。そしてこの世界の完成度からしてもそう願ったのかもしれない。

 であるならば同じことを願った私が世界に適応するのも当然のことなのだ。GM(ゲームマスター)の意思に沿うことになるのだから。

 

「キリトはもう起きてるかな。」

 

 それでも現実(リアル)あってこそだ。いつかは帰らなければならない。そして帰るために私たちは生きている。常宿の隣の部屋に寝起きする相棒。そう素直に認めるには少しの時間を要したけど認めてしまえば楽なものだ。背中を預けられ、同じ視点で物事を考えられる人。もし、はないけど…もし、この世界一人で生きることになっていたらまた思いは違ったのだろうか。美しいものを美しいと言えず、大好きなこの世界に自由を感じられなかったのだろうか。そうであれば感謝しなくてはならない。

 

 今日の朝ごはんを考えながら身支度を整える。そろそろその相棒が部屋をノックしてくる頃だ。

 

―今日のアインクラッドの天気はどうだろう

 

 残り半数を切ってしまった世界。

 

 思う存分に楽しみ、今日もここに生きるのだ。

 

 

 

 




圏内事件、アスナと揉める前ぐらいのイメージで。

アルビノについては差別や偏見を助長するつもりではありません。そういった設定にしておいてなんですが、二次では萌え対象と言うか美化されてることが多いように思うのですが現実は苦労も多いのではないかと、セツナについては彼女のコンプレックス、心の闇部分として扱っています。
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